Lyftが自動運転試験車にクライスラーのミニバンを追加、新試験施設も建設

ライドシェア事業を展開しているLyftは、今年も自動運転車の経験を積み重ねるべくテストの拡大を続けている。同社によると、6カ月前に比べて四半期単位のテスト走行距離は4倍に増え、全世界で約400人が自動運転技術を専門に開発している。

来年に向けて同社は、新しいタイプの自動運転試験車を車列に加える。Chrysler(クライスラー)のハイブリッド・ミニバンのPacificaだ。これはGoogleの関連会社であるWaymoが現在自動運転車(AV)のベースにしている車種でもある。Pacificaは大きなスライドドアと広くて快適な室内をもつ理想的な乗用車であり、ライドシェアリング用にも非常に適している。実際、Lyftはこの車の「サイズと機能性」および、LyftのAVチームが自動運転ライドシェアリング体験を「実験」する際にそうした特徴から得られる恩恵のためにこの車種を特に選んだと言っている。現在Lyftは、試験車を路上で走らせるための準備を進めている。

Lyftは今年5月にWaymoと提携し、アリゾナ州フェニックスで自動運転車のパイロットテストを行った。その時出会ったPacificaとの体験が今回の選択につながった可能性が高い。Waymoとの提携によってLyftは、自動運転車によるライドシェアリングの乗客の体験に関する多くの情報を得ることができた。WaymoのほかにLyftはAptivとも提携して、ラスベガスで自動運転車を展開している。

これまでFord Fusion(フォード・フュージョン)だけだった試験車にPacificaを追加したLyftは、現在同社の自動運転プログラムの中心地であるレベル5エンジニアリングセンターに加えて第2の施設を開設する。新たな試験施設はレベル5エンジニアリングセンターと同じくカリフォルニア州パロアルトに設置される。両者を近くに置くことで「実施できる試験の数を増やす」とLyftは言っている。新しい試験場には、交差点、信号、合流、横断歩道など公道に近い環境が作られ、リアル世界のさまざまな運転状況をシミュレーションする。現在Lyftはカリフォルニア州コンコルドにあるサードパーティー製の試験施設、GoMentum Stationを利用しているが、新しい施設はこれを置き換えるのではなく、補完することになる。

一方Lyftは、社員による自動運転サービスの利用拡大も続けている。2019年に同社の社員向け自動運転経路は3倍に増えており、今後も「急速に」カバー地域を増やしていくと語った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

WaymoのクライスラーPacificaで、本当の意味の無人運転を体験した

今日(米国時間10月30日)が私にとって初めての体験の日となった:初めて運転席に誰も乗っていない完全自動運転車に乗って道を走ったのだ。走ったのは公道ではなかったが、そこは交差点があり、他の車両や歩行者、そして自転車などが行き交う場所だった。乗った車はかなり長い距離人間の介入なしに走行することができた――そして私は何の懸念も感じることはなかった。

これまで私は、Waymo自身による前世代のLexusテスト車両をはじめとして、多くの自動運転車のデモを体験して来た。そのためWaymoのクライスラーPacificaミニバンに乗せられることには不安を感じてはいなかった。しかしそれでもこの経験は、私にとっては驚きだった。車が様々な操作を自分できちんと処理できて、周囲で何が起こっていようとも安全な走行が続くということが明らかになって、それが如何に自由なものかが分かったのだ。

CastleにあるWaymoのテストコースには、信号機のある複数の交差点、ラウンドアバウト交差点、路肩に駐車された車、行き交う自転車などが用意されている(なおCastleの中にはそれ以外の設備もある)。例えこれらが事前に準備されていたものだとしても、毎回正確に同じことを再現することは難しい。なので、この場所ではWaymoが現実の世界よりも環境をコントロールする力を持っているにせよ、それでもドライブ体験は印象的なものだった。

特に、ある出来事が私の印象に残った。1匹のリス(のようにみえる小さなげっ歯類だった。私は北カリフォルニアの動物相の専門家ではないので)が急に車の前に飛び出して来て、また路上から走り去って行ったのだ――しかし車はそれを避ける必要がある場合に備えて、はっきりと減速したのだ。信じられないほどリアルな動物ロボットであったというならともかく、この出来事はWaymoが事前に仕込んでおけたものではない。

実際にどのように動作しているかはともかく、ともあれ乗客が車に乗ってシートベルトを締めて、走行を開始するためのボタンを押せば、フロントシートの背に取り付けられたディスプレイの上には、車のセンサーが何を見ているかがビジュアライズされる。しかし乗客が重要だと思うものに対して焦点を当てるように、選択的に単純化され再構成されており、システムが路上にある重要な変化を見逃さない能力を持っていることに関して乗客に安心感を与えてくれる。

これは現在フェニックスのチャンドラー周辺で、Waymoが運用しているものと本質的には同じものだ。それはプレミアムアップグレードされた量産型のパシフィカバンだが、車内には例えば沢山の充電用USBポートがあり、上で述べたディスプレイはシートの背に2台備えられており、そして後部座席のエアコンは乗客第一のタスクに相応しい仕事をしている。

私はまたPacificaが、私が親しみを感じるようなやり方をすることで、乗客としてより心地よくなるように運転していることにも気が付いた。交差点には慎重に侵入し、例え優先側であっても、道を渡る歩行者が居たならゆっくりと進んだ。それ以外の沢山のこともこなし、コンピューターシステムがやっているとは想像できないレベルでのドライブ感覚を得ることができた。

Waymoの自動運転車は私の最後の体験になるわけではないし、もちろん最初の体験でもない。しかし多くの人が一般人向けの公道上でのレベル4の自動運転車の運転に対して抱いているイメージに、初めて近付いているように思えた。WaymoのCEOであるJohn Krafcikに対して、公共サービス開始のタイムラインを直接質問してみたところ、特定の年を答えることはしなかったものの、多くの人たちが考えているよりは早く実現するだろうと答えた。

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(翻訳:Sako)