学校の問題解決を「生徒理解の充実深化」により側面から助けるPanorama Educationが$12Mを調達

November 04, 2014 - Boston, MA - Marketing photography for Panorama Education. 
Photo by Kristyn Ulanday

校区が良い意思決定をできるために、児童生徒や親や教師にアンケートを送って、そのデータから何をすべきかを提案する教育補助サービスPanorama Educationが、Spark Capital とOwl Venturesが率いるシリーズAのラウンドで1200万ドルを調達した。同社に以前シード資金を提供したのは、Y CombinatorとGoogle Ventures、FacebookのCEO Mark Zuckerberg、その奥さんPriscilla ChanのStartup:Education基金だった。

Panoramaは2013年にYale大学の二人の学部学生Aaron FeuerとXan Tannerが始めた。二人は、学校が児童生徒たちからフィードバックを得て、それらを正しく理解するための、良い方法が必要だ、と感じていた。

Feuerは曰く、“データと教育に関する議論が盛んだが、‘データ’は、あまり意味のないバズワードになってしまっていて、相変わらず実際に重視されるのは試験の点だ。児童生徒が何にどのように関わっているか、関わろうとしているかには、まったく目が行かない。児童生徒にとって本当に関心があることと、学校をテストの点という数字で評価しようとすることとのあいだには、大きな乖離がある”。

学校が集めて記録すべきデータは、法律で決まっている。テストの点、成績、出欠データなどだ。Panoramaは、そういう既存のデータを出発点にして、アンケートを組み立てる。

校区がPanoramaのユーザになると、まず、とくに知りたい領域を5つ選ぶ。たとえば、児童生徒が学校を安全な場所と感じているか、教師をどれぐらい信頼しているか、自分で自分の能力や素質をどのように評価しているか、など。

Feuerは言葉を継ぐ: “今学校は、不登校率を調べて記録しているが、児童生徒が不登校になってからそんなことをしても、何の意味もない。学校が知るべきなのは、児童生徒と教師が親密で良い関係を維持しているか、だ。良い関係が築かれれば、児童生徒が不登校になるのを、多くの場合防げるのだ”。

一方、成績の良い学校は、自校の児童生徒が試験の点が良いだけでなく、人格的にも円満でいろんな方面に関心を持っていることを、示さなければならない。そうでないと、良い教師が来ないからだ。

学校によって状態も抱える問題もさまざまなので、Panoramaはアンケートをカスタムメイドにせざるをえない。メールによるアンケートは、富裕層地区の学校では有効だが、今でも合衆国の校区の多くが、児童生徒や親とのコミュニケーションに、主に紙を使用している。

これまでPanoramaは、40州220校区の数千の学校で、合計300万人あまりの児童生徒にアンケートをした。アメリカの大規模校区のトップ100のうち14の校区(サンフランシスコ統一校区、シアトル公立校校区、ダラス独立校区など)がPanoramaを採用し、また、主なチャーター・スクールも採用している。

Spark CapitalのAndrew Parkerはこう言う: “これまでVCたちの多くが、エドテック(edtech, 教育テクノロジ)企業と営業や販売という概念のあいだに、居心地の悪いものを感じてきた。でも、両者にまったく違和感がないところが、Panoramaのすばらしいところだ。彼らは、校区に自分たちのサービスを売り込んでいるが、そのサービスの内容と結果によって、たくさんの学校からの肯定的な評価を獲得している”。

合衆国最大の校区がNew York City Department of Education(ニューヨーク市教育局)だが、ここは児童生徒が100万人近くおり、一人あたり年間2万ドルを支出している。その金額の大きさを見ただけでも、学校が正しい情報に基づく支出の意思決定をすることが、いかに重要であるかが分かる。多くの場合、問題やその未解決は、お金がないことではなく、お金の配分が正しくないことから生じているのだ。

Feuerはこう言う: “教育の世界では、予算の獲得が何よりも強力な金科玉条になっているが、でも、問題がはっきりしているときに、それを解決するための総合的で有効な対策がないのが、今の現状だ。どこへ行っても、学校は昔と変わらず悪戦苦闘している。児童生徒一人あたりの予算を12000ドル増やしても、何一つ良くならないのだ”。

Panoramaを上手に使えば、問題を正しく同定できるだけでなく、これまでのさまざまな解決方法とその効果を知ることもできる。そして同社は、多様な教育問題に対する有効なソリューションを処方できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Y Combinatorデモ・デー―TechCrunchが選ぶ今年の夏学期の有望スタートアップ8チーム

今日(米国時間8/20)、Y Combinatorの2013年夏学期のデモ・デーが開催され、45のスタートアップがそれぞれ全力で売り込みのプレゼンを行った。われわれTechCrunchチームは25人の著名なベンチャーキャピタリストの意見も聞きながら、もっとも有望そうな8チームを選んだ。今回、普段よりもわれわれの意見が一致したので選ぶのが楽だった。

全45チームのそれぞれについての紹介はBatch 1Batch 2Batch 3の各記事を参照されたい。以下、順不同でわれわれの推薦チームを簡単に紹介する。

SpoonRocketオンデマンドのオーガニック料理宅配サービス

SpoonRocketのデモではフードサービス2.0とか料理のUber とかいったバズワードが飛び交った。しかしこのスタートアップのこれまでの実績を検討するとそれも誇張ではないと思える。このサービスはオーガニック素材の一般向け料理と菜食主義者向け料理を作って宅配する。一種類が6ドルだ。最速10分で配達できるという。その秘密は、まず毎日2種類の料理しか用意しないところになる。これによってコストを大幅に削減できる。配達車は保温装置つきだ。SpoonRocketによれば、通年換算で200万ドル相当の売上実績があり、毎週112%も成長しているという。現在はカリフォルニアのバークレーで営業しているが、学生が夏休みだというのにこの好調ぶりはすばらしい。将来は全米の大都市圏に展開する計画だ。

SpoonRocketについてのわれわれの記事

Panorama Education: 学校のデータ処理

Panoramaには大きな野心がある。生徒、教師、両親から得たビッグ・データを分析して全米の学校jすべてに提供しようというのだ。

ただしスタートはささやかなプロジェクトだった。3人の共同ファウンダーがYale大学の1年生だったときに、地元のニューヘイブン地区の公立学校のデータ分析を手がけたのがきっかけだったという。この5月にファウンダーたちがYaleを卒業したとき、Panoramaはずっと大規模なサービスに成長しており、合計50万ドルの売上を得ていた。現在全米の3600の学校がPanorama Educationにデータ処理を依頼している。Panoramaでは全米から収集したデータを提供することであらゆる学校が教育の質を向上させるのを助けられると期待している。

われわれの記事

Amulyte: お年寄りの安全モニタ

アメリカには2000万人のお年寄りがいる。Amulyteではお年寄りの安全を図るためにペンダント型のオンライン・デバイスを提供しようと試みている。このデバイスはGPS、Wi-Fi、加速度計を利用してユーザーの行動をモニタし、異常を検知した場合は携帯電話網を経由して家族などに急報される。

ペンダントは149ドルで安全モニタ・サービスは月額29ドルだ。現在年金生活者の居住施設と提携して実験を行いサービスの改良を図っている。こうした老人介護ビジネスはアメリカだけで100億ドル市場だ。

AmulyteについてのTechCrunch記事はこちら

Buttercoin: Bitcoinを利用した迅速、低料金の国際送金

国際送金は年間5000億ドルにも上る巨大ビジネスだ。同時に手数料が高額であることで悪名高い。

Buttercoinはbitcoinを利用することで、国際送金を迅速かつ低料金で合法的に実現しようというサービスだ。 Bitcoinを使う新しいテクノロジーのおかげでライバルより20万倍も迅速な送金が可能だという。また各地の免許を持った金融機関と提携することですべての取引が完全に合法的なものになっている。

Buttercoinはbitcoinによる国際送金自体からは手数料を徴収しない。ユーザーが他の通貨とbitcoinと交換する際に少額の手数料を課する。

Buttercoinに詳しい説明はこちら

True Link: お年寄り向けクレジットカード

True Link Financialは認知力に障害のあるお年寄りユーザー向けの支払い手段を提供しようとしている。こうしたユーザーは詐欺やいかがわしい売り込みにひっかかる危険性がある。

True LinkはVisaのネットワークを通じてこのクレジットカードを利用した取引を逐一モニタし、不審な点がないか、ブラックリストに載っている業者との取引がないかをチェックする。アメリカにおける高齢者のクレジットカード利用額は年間19億ドルにもなるという。

詳しい紹介記事はこちら

EasyPost: 発送を効率化する

テクノロジー系企業にとってはUPS、USPS、FedExなどの古臭いレガシーな運送システムは頭痛の種だ。EasyPostは運送業者とテクノロジー企業の間に立って独自のRESTful JSON APIを提供することによってこの問題を解決しようとしている。テクノロジー企業は最も有利な料金を素早く見つけ出せるし、発送した商品のトラッキング情報などもリアルタイムで得られる。料金は1個あたり5セントだが、260億個という膨大な運送商品数の相当部分を取り込もうという野心を抱いている。事実、このサービスは毎月179%の急成長ぶりだ。すでに7万個のトラッキングを実施して、SVAngelを含む投資家から85万ドルを調達している。ライバルにはPostmasterShipHawkなどというサービスがある。

EasyPostについての以前の記事。.

Standard Treasury: 一般銀行向けAPI

Standard Treasuryは一般銀行に対して口座間資金移動のような処理を簡単にするためのAPIを提供しようとしている。現在、アメリカ最大の5行を含む16の銀行と交渉中だという。交渉がまとまれば、200万ドルから1500万ドルの収入となる。

Standard Treasuryについての記事。.

7 Cups Of Tea: 「聞いてあげる」サービス

誰でも一生のうちにはどうして人に悩みを聞いてもらいたいという苦しい状況をに落ち込むものだ。離婚、家族の病気、将来への不安等々だ。このとき選ぶ道は2つある。家族と友だちは無料で話を聞いてくれるが、その忍耐力には限度がある。心理セラピーは効果的かもしれないが料金も敷居も高い。7 Cups of Teaはこの2つの中間のオプションを狙っている。訓練を受けたボランティアの聞き手を見つけることができるオンラインマーケットだ。 料金は無料ないし寸志のお礼でよい。7 Cups自身はやりとりされる料金の40%の分配を受ける。ローンチは8週間前だが、これまで着実な成長を示している。現在活動中の「悩みの聞き手」は160人で毎週1800回ものセッションをこなしているという。

7 Cupsについての記事

この3ヶ月かそれ以上サービスの立ち上げに努力してきたファウンダーたちに健闘を祈る。

この記事の執筆にはColleen Taylor、Kim-Mai Cutler、Ryan Lawler、Jordan Crookが協力した。

〔日本版:Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール(TechCrunch Japanの滑川、高橋共訳)にはY Combinatorの歴史と内幕が詳しく描写されている。〕

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+