Appleの「子供向け」App Storeを使ってみた

Appleは、同社の端末を使う子供たち、特にiPadを気に入っている家族にむけて、子ども向けApp Storeを公開した。今週、iOS 7と共に登場した子ども向けApp Storeは、個別のモバイルアプリではなく、Apple App Storeの一セクションだ。ストアには「子ども向け」カテゴリーが追加され、年齢別に分類されている。

同カテゴリーは、年齢範囲が5歳以下、6〜8歳、9〜11歳の三段階に分かれている。

Appleが最初にこの「キッズ」セクションを発表したのは、今年の夏にWorldwide Developers ConferenceでiOS 7を初披露した時だった。アップデートされたモバイルApp Storeは、他にも「ジーニアス」がボトムメニューから消え、「近くで人気(Near Me)」に代わったり、自動アプリアップデートその他の機能追加など数々の変更があった。

子供向けモバイルアプリの体系を改善して使いやすくしたことに加え、AppleはKids App Store導入に合わせて13歳未満の子供によるサインアップを許しiTunesのユーザーアカウントを持てるようにした。ただし、「認定教育機関」による事前承認を受けていることが条件だ。以前TechCrunchが指摘したように、Appleは幼少者に直接モバイルアプリを届けられるようになったことによって、これまで以上の監視の目を向けられるようになるだろう。

子ども向けアプリの安全な居場所

例えば、13歳未満向けに設定されたアプリは、児童オンライン保護法(COPPA)の要求を満たしている必要がある。デベロッパーが子供から個人情報を取得することは「適用される児童プライバシーモデルに準拠した目的」を除き禁止されている — つまり、ターゲット広告のための情報収集目的はできないという意味だ。アプリは親の許可なく個人情報を送信あるいは共有することもできない。

また、明文化されたプライバシーポリシーが必要になったことに加えて、このカテゴリーのアプリは、アプリ内の何からのアクティビティを完了させるために広告を利用することが禁止されており、コマース目的でアプリ外のウェブや他のソフトウェアにリンクする際には親の許可を得なければならない。

子供向けアプリの定評あるデベロッパーの多くにとって、新しいポリシーに準拠することはさほど大きな問題ではなかった。「変更はごくわずかだった」と Mindshpesの共同CEO、Chris Michaelsは言う。この会社は、キッズセクション公開時にアプリが3本掲載された。「われわれは、Appleの要求にしたがって、アプリ内にプライバシーポリシーを同梱している。他にも、取引や外部リンクに基づくコンテンツにおける親の承認などの機能は2013年にすでに実現している」と彼は言った。

Toca BocaのCEO Björn Jefferyは、自分を含めてキッズアプリ・デベロッパーの多くは、はるか前からAppleの殆どのルールに則っている、「いくつか存在する怪しげなデベロッパーたちは、準拠しようという意志もなかっただろう」。こうして子供たちにとって「安全な」アプリは、iTunesのキッズセクションにある評判が広まれば、子供たちのアプリ内購入で儲けようと今でも考えている連中のビジネスは、ネガティブな影響を受けるだろう。

「Appleは、まちがいなく正しいことをしている。この年代層の子供たちをだましてアプリ内購入をさせる破廉恥なアプリによる悪用を排除しようとしている」と、JibJabの共同ファウンダー、Gregg Spiridellisは言い、自社のアプリを新しいポリシーに準拠させるためには、ごくわずかな変更しか必要なかったことを指摘した.

大物バブリッシャー、例えばDisneyなどは、この夏の時点でアプリはすでにCOPPA準拠になっており、アプリ内購入、ユーザー登録、もしくはメールアドレス取得に関係することすべてについて「年齢ゲート」を追加した。これは基本的に、コード生成システムのついたポップアップウィンドウであり、先へ進む前に読んでコードを入力する必要がある。他には、プレス・アンド・ホールドのジェスチャー等の特殊なアクションを使用したり、親が別のアプリ内アカウントを持つ必要があるアプリなどがある。

全体を通じて、よく知られたキッズブランドの殆どがこの変更に関して同じような話をしていた — 彼らの修正量は最小限であり、これらの「新」ポリシーは、もともとやっていたことだ。今回はそれが系統化され、ルールを守らないアプリと一緒にされなくなっただけだ。

「子ども向け」カテゴリーを眺めてみる

iOS 7のApp Storeアプでも、最新版iTunesデスクトップアプリでも、「子ども向け」カテゴリーでは、より一般的な「教育」カテゴリーとは別の特に吟味されたアプリケーションが紹介されている。両者の間には重複も多く、子ども向けカテゴリーは、教育カテゴリーから選抜されたサブカテゴリーとも言える。後者には成人や「生涯学習者」をターゲットにしたアプリも含まれ、若年齢学習者向けに限らない。

公開にあたり、子ども向けカテゴリーには、テーマ別のコレクションが特集されている。「楽しく作ろう」「いろとかたち」「身近な世界を探検しよう」「はじめての言葉と数」「音楽アプリ」「楽しく学ぼう」「さわって遊べる絵本」などなど。

キッズブランドのビッグネームたちには、それぞれ独自のコレクションが与えられている。Disney、Toca Boca、Duck Moose、SagoSago(実際にはToca Bocaの別ブランド)、Sesami Street、PBS Kidsなどは、キッズアプリメーカーとして以前以上の注目を得ている。多くのアプリが教育系に寄っている一方で、エンターテイメントに焦点を合わせたゲームも一部にはある — 例えば、エルモやクッキーモンスターと「Facetime」できるものもある。

そして上に書いた通り、これらのアプリは子供たちに広告をタップしたり、追加アイテムを買うようにしつこく迫ることはない(Out Fit7のおしゃべりキャラクターなどとは違って)。購入は承認が必要な「親エリア」に隠されているだけでなく、このカテゴリーのアプリの多くは有料アプリであり、質の高さを示している。

幼稚園児の娘を持つ親の一人しとして、この数日間多くの推奨アプリを試しててきたが、スムーズにことは運んだ。以前試したような広告で埋め尽くされた質の悪い無料アプリと異なり、娘はお話や対話を楽しみ、まだ理解できない購入行動へとだまされて誘導されることはなかった。

私はiPadから古いアプリを一掃し、キッズストアの厳選されたアプリだけをインストールした.時間のある親御さんにはぜひおすすめしたい週末プロジェクトだ。

すでにダウンロード上昇中

まだ始まったばかりではあるが、Duck Duck MooseのCEO Alan Shustermanは、同社のアプリ14本がAppleに推奨されており、すでに売り上げに好影響を与えていると言っている。PBS KIDS Digitalの副社長、Sara DeWittも同様であると言い、このトレンドは続くと予想している。そして、Disney Publishingのデジタルメディア担当副社長、Yves Saadaは、子ども向けカテゴリーは、アプリの発見に役立ち、同社ではすでにダウンロードの増加を確認している、と話した。

Toca Bocaなどのようにまだ明確な上昇をみていない会社もあるが、時間とともに、新カテゴリーがApp Storeの注目スポットになり、デベロッパーにとって長期的な売り上げ増加につながることを彼らも期待している。

iTunesで新しい子ども向けアプリストアを利用するには、カテゴリーのリストをクリックして「子ども向け」を選べばよい。

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(翻訳:Nob Takahashi)