大きな塊にもできる植物由来肉を開発したPlanted、シュニッツェルはじめさまざまな料理に

スイスの代替プロテイン企業Plantedが2021年の2度目のラウンドで、1900万スイスフラン(約23億円)を「プレB」の成長資金および製品開発資金として調達した。米国進出も予定にはあるが、当面はPlantedの顧客はヨーロッパに限定され、彼らだけが新製品の純植物性シュニッツェルを味わうことができる。

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Plantedは2019年に、スイスのチューリッヒ工科大学からのスピンオフとして登場した。同社の共同創業者たちは、植物のタンパク質と水分を、本物の肉のような繊維状の構造へ抽出する独自の技術を開発した。その後同社はそのタンパク源を多様化し、えん麦やヒマワリも加えて、プルドポークやケバブの代替製品も開発した。

その後、工程も改良された。CEOで共同創業者のChristoph Jenny(クリストフ・ジェニー)氏はTechCrunch宛のメールで「発酵やバイオテクノロジーの技術を加えて、味と食感を改良しました。それは(1)どんな形や構造でも作れる、(2)多様な風味を実現できるということです」。

同社の最新の進歩はシュニッツェルだ。これはもちろん、叩いて薄くした肉にパン粉をつけて揚げたもので、世界中で人気があるが、特に主な市場であるドイツとオーストリアとスイスでよく食べられている。ジェニー氏によると、Plantedのシュニッツェルは、細切れ肉を寄せ集めて押し固めたものではなく、一片の肉だ。「発酵により味と食感が良くなり、おいしそうな匂いとジューシーな食感が得られました」というが、残念ながら私はまだ食べていない。シュニッツェルの一般市販は、2021年第3四半期だという。

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どんな料理でも作れる大きな肉の塊としての代替肉はさまざまなところで計画されているが、Plantedのチームが主張するのは、同社の製品ならどんな形状も可能だとのこと。その形は、本物の肉をカットしたものとまったく変わらない。現在は大きな肉の塊を消費者にテスト、試食してもらってる。最終製品の味や形が決まれば、大量生産へ移れる。

今回のラウンドは、Vorwerk VenturesとGullspång Re:food、Movendo Capital、Good Seed Ventures、Joyance、ACE & Company(SFGの戦略的投資)、そしてBe8 Venturesが参加し、3月に行われた1700万スイスフラン(約20億円)のシリーズAの、続きのようなものだ。いうまでもなく、代替プロテインの爆発的需要急増と競争の激化が、Plantedの投資家たちの、もっと攻撃的な成長と開発戦略への欲求をかき立てている。

第3四半期と第4四半期にかけていくつかの新市場に進出する計画だが、新型コロナウイルスで旅行が制限されている間は、米国には疑問符が付く。ジェニー氏によると、可能な市場ならどこへでも出ていくが、現状のPlantedは主にヨーロッパ市場にフォーカスしているという。

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タグ:Plantedスイス資金調達代替肉プロテインチューリッヒ工科大学

画像クレジット:Planted

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

スイスの代替肉メーカーPlantedが製品の多様化と市場拡大に向けシリーズAで約19.8億円を調達

植物性の代替チキンの製法を独自に追求しているスタートアップ企業のPlanted(プランテッド)は、提供する製品と国際的な市場を拡大するため、シリーズAラウンドで1700万スイスフラン(約19億8000万円)の資金を調達した。ケバブやプルドポークの人工肉を製造しており、カットステーキのような代替肉も(文字どおり)開発中であることから、Plantedは中央ヨーロッパ以外の地域にも視野を広げ始めている。

同社はスイス連邦工科大学チューリッヒ校からのスピンアウトで2019年に設立。代替チキンの製法で成功を収めているが、それに留まることなく、他の代替肉の開発も続けている。同社の代替チキンの製法では、えんどう豆由来タンパク質とえんどう豆の繊維を押し出し成型して、鶏肉の繊維状構造をほぼ1:1で再現しているが、このアプローチは異なるスタイルや食材にも適応できることが証明されている。

「農業的にも食事的にも多様性があるため、私たちはさまざまなタンパク質を使用することを目指しています」と、共同設立者のChristoph Jenny(クリストフ・ジェニー)氏は語っている。

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「例えば当社で新しく発売した planted.pulled(プランテッド・プルド)はヒマワリ、オート麦、黄エンドウ豆のタンパク質で構成されており、構造も味も、鶏肉ではなく、プルドポークのように変わりました。ヒマワリのタンパク質ですばらしいところは、ヒマワリ油の生産から再利用することです。私たちは循環型経済のアプローチを確立しています」。

筆者が最初にPlantedについて書いたとき、その製品はほんのひと握りのレストランや食料品店で流通しているだけだった。現在ではスイス、ドイツ、オーストリアの3000以上の小売店で販売されており、レストランやフードサービスとも提携している。この強力な(いわば)有機的成長と、代替肉の全般的な市場が拡がっていることは疑いの余地もなく、これによって資金調達が以前と比べて楽になったことは確かだ。

今回調達した資金は、この段階にある企業に期待されるように、研究開発とさらなる発展に充てられる予定だ。

「この資金は、当社の技術の蓄積を拡大し、現在実験室規模で製造しているプライムカットステーキを商品化するために使われます」と、ジェニー氏は述べている。「製造面では、国際市場からの需要増に対応するため、現在の1時間あたり半トンの生産能力を大幅に増強し、まずは近隣諸国から、さらに欧州や海外へと拡大していきたいと考えています」。

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「私たちは、構造化と発酵のプラットフォームにさらに投資していきます。構造化技術と天然微生物の生化学的な働きを組み合わせることで、クリーンでナチュラル、健康的で美味しい、変革的な特性を備えた究極の新製品を生み出すことができます」と、共同設立者のLukas Böni(ルーカス・ベーニ)氏はプレスリリースで語っている。

これらのすべてが、価格を下げることにも役立つことは間違いない。それは同社の設立当初からの目標だったが、生産・販売の規模が拡大することによってのみ可能になることだ。

この分野では他の企業も資金を調達し(ちなみに、かなり大きな金額に上る)、市場を拡げているため、競争は熾烈になるだろう。

しかし、Plantedは一般的に製法が知られていない種類の代替肉に関しても、独自の知見を持っているように思われる。少なくとも米国では、代替肉といえばソーセージ、挽いた「牛肉」、そして「チキン」ナゲットが主な形状だ。

Plantedの製品が米国の食卓に並ぶのはいつになるのか、まだ言及されていないものの、ジェニー氏のいう「海外」は、少なくともそれが遠くない可能性を示唆している。

今回の資金調達ラウンドは、Vorwerk Ventures(フォアベルク・ベンチャーズ)とBlue Horizon Ventures(ブルー・ホライゾン・ベンチャーズ)が共同で主導し、スイスのサッカー選手であるYann Sommer(ヤン・ゾマー)氏や、従来の投資家がいくつか参加した。

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タグ:Plantedスイス資金調達代替肉

画像クレジット:Planted

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)