Valveが約4.4万円の「Zen 2+RDNA 2」携帯ゲームPC「Steam Deck」でWindows 11が動作するよう作業中と明かす

Valveが約4.4万円の「Zen 2+RDNA 2」携帯ゲームPC「Steam Deck」でWindows 11が動作するよう作業中と明かす

Valve

Valve社が発売予定の携帯ゲームPC「Steam Deck」はWindows 10がインストール可能だと判明していますが、次期Windows 11も問題なくインストールできるよう作業中との公式見解が発表されました。

現世代のWindows 10が最新の携帯ゲームPCで動くことには不思議はありませんが、次期Windows 11についてはTPM 2.0必須とされています。実際にマイクロソフトが最初に提供したPC正常性チェックアプリでは多くのPCが互換性がないと表示され、サードパーティ製のTPM 2.0対応ボード購入に走るユーザーも相次ぎました。

その後に配布されたプレビュー版では要件が緩和されていますが、あくまで「幅広くテストする」に留まる可能性もあり、製品版で同じ仕様が引き継がれるかどうかは記事執筆時点では不明です。

この点につきValve社のSteam DeckデザイナーであるGreg Coomer氏は、海外テックメディアPCGamerに「いまTPMに注目が集まっています」「これまではWindows 10に集中していたため、そこまでは手が回らなかったのです。私たちが期待しているのは、それに応えられることです」と語っています。

これは心臓部分となるAPUを開発したAMDとも協議してきたことであり、Coomer氏いわく「BIOS(UEFI)レベルでの対応を確認するために、AMDとの話し合いも行っています」とのこと。そのため「Windows 11で何か問題が発生したということは、今のところ一切ありません」と語られています。

標準のSteamOS 3.0をWindows 11に置き換えたいと考えている人にとっては、Coomer氏の発言は朗報と言えます。8月時点ではSteamで販売されているゲームの内、LinuxおよびSteamOSが正式サポートされているのは全体の15%に過ぎず、最もプレイされている10本のゲームのうち半分が動かないことも明らかにされています

Valve社はProton(Linux上でWindowsアプリを動かすしくみ)を改善することで「Steam Deckを出荷するまでに、すべてのゲームが動作するようにする」という目標をめざすと述べていました。

それが達成できれば出荷状態のSteam Deckで、何の手間もかけずに豊富なゲームライブラリが楽しめるはず。ですが、もし実現しなくとも、Windows 11をインストールして「携帯Xbox」として活用できる可能性が高まったとは言えそうです。

Valveが約4.4万円の「Zen 2+RDNA 2」携帯ゲームPC「Steam Deck」でWindows 11が動作するよう作業中と明かす

Valve。別売の公式ドックを利用することで、外部ディスプレイ、有線ネットワーク、USB周辺機器、電源に接続可能となる。公式ドックの詳細は近日公開予定

(Source:PCGmaerEngadget日本版より転載)

関連記事
マイクロソフトの「クラウドPC」こと「Windows 365」の無料トライアルが申し込み殺到で一時受付停止
約4.4万円の携帯ゲームPC「Steam Deck」はWindowsをインストール可能、ただしドライバーが未知数
Valveが約4.4万円のポータブルゲーミングPC「Steam Deck」発表、欧米では2021年12月発売
PlayStation 5は5GB/秒超で容量825GBのSSD搭載、GPUはAMDのRDNA 2アーキテクチャ

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:RDNAWindows(製品・サービス)Windows 11(製品・サービス)AMD(企業)OS / オペレーティングシステム(用語)Steam(製品・サービス)TPM / Trusted Platform Module(用語)Valve Corporation(企業)UEFI(用語)Linux(製品・サービス)

約4.4万円の携帯ゲームPC「Steam Deck」はWindowsをインストール可能、ただしドライバーが未知数

Valveの携帯型ゲーミングPC「Steam Deck」はWindowsをインストール可能、ただしドライバーが未知数

Valve

先日Valveが「Steamが動くハンドヘルドゲーミングPC」ことSteam Deckを正式発表しましたが、Arch LinuxをベースとしたSteam OSゲーム専用機という他は未知の部分が多く残されていました。

その続報として、Windowsをインストールできることや「どれだけSteamで販売中のゲームが動くのか」といった続報が伝えられています。

まずWindowsやサードパーティ製コンテンツについては、Valveの開発者向け公式FAQにて「Steam DeckはPCなので、プレイヤーは他社のOSを含めて何でもインストールできます」と述べられています。

この件になぜ注目が集まっていたかといえば、Steam OSつまりLinux上でSteam用ゲームがすべて動くわけではないからです。Steamで販売されているゲームのうち、LinuxおよびSteam OSが正式にサポートされているのは全体の15%に過ぎません。

そうした事態を緩和しているのが、数年にわたるValveの「Linux上で多くのWindows用ゲームを遊べるようにする」ことへの取組みです。それでもProtonDB(Linux上でWindowsアプリを動かす「Proton」の対応状況をまとめたサイト)によると、Steamで最もプレイされているトップ10のうち半分が動かないとのこと。

この原因はProtonとチート対策ソフトを搭載したタイトルとの相性の悪さとされており、Valve社はEACやBattllEye(どちらもチート対策ソフトウェア)と協力していると述べています。つまり、これらを採用しているApex Legends, Destiny 2, PUBG, Fortnite, and Gears 5がまもなくSteam DeckとProton上で動くかもしれないーーテックメディアThe Vergeはそう指摘しています。

しかしWindowsそのものをインストールすれば、そうした問題は一挙に解消されるはず。The Vergeによれば、Steam Deckのハードウェアは「AMDのカスタムGPUを搭載し、8つのRDNA 2 CUを備え、最大1.6TFLOPSの性能を発揮する。これはXbox One S(1.4TFLOPS)よりもわずかに上で、PS4(1.8TFLOPS)をわずかに下回る性能だ。最新のRDNA 2アーキテクチャを採用しているため、TFLOPSだけで比較するのは難しいが、携帯型PCゲームに十分な性能を発揮することは間違いなそうだ」とのこと。そうした強力なデバイスにWindowsを積めば、ポータブルXboxに近くなるというわけです。

とはいえ、Windowsをインストールする場合は完全なドライバーのサポートがある保証もなく、ハンドヘルド機器用に最適化されていないUIも苦労するかもしれない。さらに(Windows 10 PCだからといって全ゲームが動くわけではないように)Steam DeckのWindowsでゲームがどれだけ上手く機能するかも明らかではないとも指摘されています。

ともあれ、これほど高性能のハンドヘルドPCが399ドル(約4万3800円)からの低価格で入手できることは、先行している他社の「Steamゲームが遊べる超小型ゲーミングPC」の相場感覚からすれば驚異にも思えます。実際、Valveの共同創設者であるゲイブ・ニューウェル氏は米IGNの取材に対して、「消費者に魅力を感じてもらえる価格帯にすることが非常に重要であること」は分かっていたので大変な努力をしており、価格設定は「二次的に痛みを伴うものだった」とも語っています。

記事執筆時点ではSteam OS上でのSteamゲーム互換性は十分とは言えませんが、今後しだいに改善されていくはず。日本上陸は欧米よりも遅れる見通しですが、その頃にはWindowsをインストールする必要がないほど大半のゲームが完全に遊べることを期待したいところです。

(Source:SteamworksProtonDB。Via The VergeEngadget日本版より転載)

関連記事
マイクロソフトの「クラウドPC」はChromebookのような低価格ハードウェア誕生につながる?
Valveが約4.4万円のポータブルゲーミングPC「Steam Deck」発表、欧米では2021年12月発売
任天堂が有機ELディスプレイSwitchを10月8日発売、価格は3万7980円
PlayStation 5は5GB/秒超で容量825GBのSSD搭載、GPUはAMDのRDNA 2アーキテクチャ

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:RDNAWindows(製品・サービス)AMD(企業)OS / オペレーティングシステム(用語)Steam(製品・サービス)Valve Corporation(企業)Linux(製品・サービス)

AMDがテスラの新しいModel SとModel XがRDNA 2採用とCOMPUTEX 2021基調講演で発表

AMDがCOMPUTEX 2021基調講演でテスラの新しいModel SとModel XがRDNA 2採用と発表

AMD

テスラのアップデートされたModel SおよびModel Xはまるで飛行機の操縦桿のようになったハンドルやレバーを使わないシフト操作など、一般的な市販車の既成概念を打ち破る改変が盛り込まれています。

テスラ車の特徴でもある巨大なタッチスクリーンを採用したインフォテインメントシステムも新モデルではその性能を大幅に向上しており、1月の発表時にはその性能が10TFLOPSにものぼると宣伝されました。10TFLOPSといえば、PS5やXbox Series Xなどが搭載するGPUとほぼ同等の性能。もしやテスラはこの最新ゲーム機と同等のGPU機能を自動車に詰め込んだのでは…という憶測が流れていました。

そしてこのたび開催されたComputexの基調講演で、AMDのリサ・スーCEOは新しいModel S / Xについて語り、それらがAMDのAPU(Radeonグラフィックス機能を統合したCPU)を搭載していることを認めました。さらにそのGPUは憶測どおりRDNA 2を採用しているとのこと。

ただし、車載インフォテインメントシステムという用途上、そのGPU性能は常に利用するのではなく、なにか高負荷な処理が必要とされるときだけ作動するようになっているとのこと。おそらくそれは車内でゲームをプレイするとき…というのがまっさきに思い浮かぶところですが、それ以外にも17インチの巨大なタッチスクリーンに加え、新しいテスラが搭載する後部座席用ディスプレイを同時に使う際などにも活躍しそうです。

ちなみに、ゲーム好きな著名人の中には、移動用の車両の後部座席にモニターとゲーム機を持ち込んでプレイする人もいるそうですが、そのような方々なら経済的な心配はいらなそうなので、多少値が張ってもModel SやModel Xを次に購入する愛車に検討してみても良いかもしれません。

(Source: AMD(Youtube)Engadget日本版より転載)

関連記事
Intelが薄型軽量ノートPC向け第11世代Core新SKU2種と同社初の5Gモデム発表、バーチャルCOMPUTEX 2021で
テスラが車内カメラでAutopilot使用中のドライバーを監視
テスラの北米向けModel 3とModel Yがレーダー非搭載に
RDNAアーキテクチャのモバイル向けGPU「Radeon RX 5000M」でライバルを追撃するAMD
PlayStation 5は5GB/秒超で容量825GBのSSD搭載、GPUはAMDのRDNA 2アーキテクチャ

カテゴリー:モビリティ
タグ:RDNAAMD(企業)COMPUTEX(イベント)COMPUTEX 2021(イベント)GPU(用語)Tesla / テスラ(企業)

RDNAアーキテクチャのモバイル向けGPU「Radeon RX 5000M」でライバルを追撃するAMD

モバイル向けGPU「Radeon RX 5000M」でライバルを追撃するAMD

高いパフォーマンスで注目を集めるCPU「Ryzen Mobile 4000」シリーズ同様、AMDはモバイル向けGPUにも力を入れており、「Radeon RX 5000」シリーズを投入している。

Radeon RX 5000は、開発コードネーム「Navi」で呼ばれていたGPUで、製造プロセス7nmの「Radeon DNA」(RDNA)アーキテクチャを採用している。RDNAと聞いて気がつく人もいるはずだが、年末商戦期発売予定のPlayStation 5が採用しているGPUは、このRDNAの第2世代「RDNA 2」をカスタムしたGPUとなっている。第1世代とはいえ、同系統のRadeon RX 5000シリーズもそのパフォーマンスに関し十分期待できるというものだろう。

具体的な製品としては、2020年1月に開催された「CES2020」プレスカンファレンスにおいて「Radeon RX 5000M」シリーズが発表されており、「AMDづくし」といえるスペック(CPUとしてRyzen Mobile 4000シリーズを採用)のノートPCの発売が始まっている。

Ryzen Mobile 4000とRadeon RX 5000Mを搭載したノートPCが登場している

Ryzen Mobile 4000とRadeon RX 5000Mを搭載したノートPCが登場している

Radeon RX 5000MのSKUは、Radeon RX 5700M、RX 5600M、RX 5500M、RX 5300Mの4GPUとシンプルになっている。型番から察せられるように、現状最上位はRadeon RX 5700Mになるが、RX 5600MとはGPUコアクロックや、最大メモリー容量、帯域幅が異なるだけで、演算ユニット数とストリーミングプロセッサー数は同じとなっている。ただし、ピーク時の単精度浮動小数点演算性能はRX 5700Mが7.93TFLOPsのところ、RX 5600Mは5.83TFLOPsと差が開いている。

また、7.93TFLOPsという演算性能(FP32)は、デスクトップ向けミドルクラスGPUのRadeon RX 5700と同等(7.95TFLOPs)だ。

Radeon RX 5500Mのスペック(GPU-Z)

Radeon RX 5500Mのスペック(GPU-Z)

SKUで多少異なるが、Radeon RX 5000Mシリーズのスペックは、デスクトップ向けの同シリーズと同等または近くなっている。「フルHD解像度、60fps」というゲームプレイがターゲットとなる、エントリークラスのゲーミングノートPCに採用されているRadeon RX 5500Mでも、ピーク単精度浮動小数点演算性能はデスクトップ向けGPUのRadeon RX 5500 XTの5.2TFLOPsから、若干パワーダウンした4.63TFLOPsの性能が備わっている。

あくまでも数値上になるものの、NVIDIAのモバイル向けGPUのGeForce GTX 1660 Ti Max-Q Designの4.101TFLOPsを上回っている点もポイントだろう。

なお、モバイルCPU「Ryzen Mobile 4700U」が内蔵するiGPU「AMD Radeon Graphics(Vega 7)」では、演算ユニット7基、ストリーミングプロセッサー448基となっている。エントリーdGPUのRadeon RX 5500MやRX 5300Mでも、その3倍以上のスペックになっているため、そのぶんゲーミングパフォーマンスには期待できるというものだ。

Radoen RX 5000Mシリーズ スペック

デスクトップ向けおよびモバイル向けGPUの比較

CPUとGPUを手がけるAMDならではの技術に注目

モバイル向けのCPU・GPUを手がけるAMDならではとして注目したい技術が、「AMD Smart Shift」だ。クリエイティブ系ソフトウェアやゲームなどアプリケーションの負荷に状況に応じて、CPUのRyzen Mobile 4000と、GPUのRadeon RX 5000Mの間で動的に電力を割り振ることで、パフォーマンスが最大14%向上するとうたっている。

基本的な考え方は、NVIDIAが最新のMax-Q Designに盛り込んだ「Dynamic Boost」と同じで、CPUとGPUの両方を開発しているAMDだけに、そのパフォーマンスアップに期待が持てるだろう。

CPUとdGPUの消費電力をアプリケーションに合わせて最適化し、最大限の性能を引き出すAMD Smart Shift

CPUとdGPUの消費電力をアプリケーションに合わせて最適化し、最大限の性能を引き出すAMD Smart Shift

AMD RadeonとMacBook Pro

Appleは、自社開発のCPU「Apple Silicon」の発表により、長らく続いたIntelとの関係に終わりを告げた。GPUに関しては、(今のところ)AMDとの関係が続いており、MacBook Pro向けには「Radeon Pro 5000M」シリーズが投入されている。

Radeon Pro 5000MシリーズのGPUイメージ

Radeon Pro 5000Mは、製造プロセス7nmのRDNAアーキテクチャを採用する点はRadeon RX 5000Mシリーズと同じだが、演算ユニット数やストリーミングプロセッサ数などが増加。16インチモデルのMacBook Proで選択できるRadeon Pro 5600Mでは、帯域幅が高速なHBM2(High Bandwidth Memory 2)の8GBメモリーを搭載している。

Radoen Pro 5000Mシリーズ スペック