シンガポールGICとTPGがインド小売最大手Reliance Retailに1050億円を出資

シンガポールの政府投資公社GICはMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏のReliance Retail(リライアンス・リテイル)に7億5200万ドル(約790億円)、そしてTPGも2億5000万ドル(約260億円)投資する、と両社は現地時間10月3日深夜に明らかにした。

GICとTPGはインド最大の小売チェーンであるReliance Retailを支援する最新の著名投資家となる。Reliance Retailは姉妹会社のJio Platforms(ジオ・プラットフォームズ)と同様、インドで最も価値の大きなReliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)の子会社だ。

GICとTPGの投資で、Reliance Retailのバリュエーションはプレマネーで585億ドル(約6兆2000億円)となる、と同社は述べた。40カ国で投資を行っているGICはReliance Retailの持ち分1.22%、一方のTPGは0.41%を取得する。

今回の発表は、Reliance Retailの忙しい週を締めくくるものだ。同社はこの3日間、Mubadalaによる8億5500万ドル(約900億円)での1.4%取得、Silver Lakeの2億5400万ドル(約268億円)での0.38%取得、General Atlanticの4億9800万ドル(約525億円)での0.84%取得を発表していた。

2006年創業のReliance Retailはインド国内6500市町村に1万2000店を展開し、毎週350万人が利用する。いくつかの調査会社の推定によると、インドでは全小売の売上高の97%が実在店舗でのものだ。

「Reliance Retailは引き続き広範なサプライチェーンと店舗ネットワーク、強固なロジスティックとデータインフラを用いて顧客や株主に価値を提供すると確信しています」とGICのCEO、Lim Chow Kiat(リム・チョウ・キアット)氏は声明で述べた。

Reliance Retailはスーパーマーケット、家電量販店、ファッション店舗、現金問屋を展開している。ここ数カ月で同社は小売マーケットでの独占を急速に進めた。インドで2番目に大きい小売チェーンであるFuture Group(ヒューチャーグループ)の一部を8月下旬に34億ドル(約3580億円)で買収した

Reliance Retailはまた、昨年末にJioMart(ジオマート)を立ち上げてeコマース分野にも進出した。Reliance RetailとJio Platformsの合同ベンチャーであるJioMartは国内200市町村で事業を展開し、WhatsApp(ワッツアップ)統合でFacebook(フェイスブック)と提携している。

Jio Platformsに今年57億ドル(約6000億円)を投資したFacebookは、インドに6000万店ある家族経営店や中小企業の店舗にデジタル化をもたらすためにRelianceと協業する方法を模索すると述べていた。

Jio Platformsは今年、一連の投資家から200億ドル(約2兆1000億円)超を調達した。投資家にはFacebook、Google(グーグル)、General Atlantic(ゼネラル・アトランティック)、Mubadala(ムバダラ)、Silver Lake(シルバーレイク)、KKRが含まれる。一部の業界幹部は、Jio Platformsへの投資はビジネスケースを伴っておらず、投資する外国企業が主にアンバニ氏とのつながりを深めるためのものだと主張した。アンバニ氏はインドで最も裕福な人物であり、Narendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相とも近い。

Reliance Industriesの会長でマネジングディレクターであるアンバニ氏は声明文で「成功している長期投資を世界中で40年近く行っている実績を持つGICが、インドの小売を変革するというミッションでReliance Retailと提携することを嬉しく思います。GICのグローバルネットワークと長期提携の実績はインド小売のトランスフォーメーションにとってかけがえのないものです。今回の投資は当社の戦略とインドの可能性を強く支えるものです」と述べた。

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(翻訳:Mizoguchi

インドの億万長者アンバニ氏所有のインド小売り大手Reliance Retailが1000億円超を調達

インドの億万長者であるMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏が所有する小売業のReliance Retail(リライアンス・リテール)は9月9日、ベンチャーキャピタルのSilver Lakeから10億2000万ドル(約1080億円)を調達すると発表した。グループ会社のJio Platformsが200億ドル(約2兆1170億円)を調達してから数カ月間に活発な資金活動を進めていた。

Silver Lakeは、この投資によりインド最大の小売チェーンであるReliance Retailの1.75%の株式を取得することになる。親会社であるReliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)の声明によると「今回の取引はReliance Retailの資金調達前の価値を570億ドル(約6兆円)と評価している」とのこと。

先月、インド第2位の小売チェーンであるFuture Group(フューチャーグループ)の一部を買収したReliance Retailは、全国に1万2000店舗を展開している。3月に終了した会計年度では7億2640万ドル(約770億)の純利益が報告されている。ここ数四半期、石油小売大手のReliance Industriesは、電子商取引の分野に参入することでReliance Retailのリーチをさらに拡大しようとしている。

また、Jio PlatformsとReliance Retailの合弁会社であるJioMartは、インド国内200の都市や町に展開している。Silver Lakeの共同CEO兼マネージングパートナーであるEgon Durban(エゴン・ダーバン)氏は声明で「特にインドでは、世界各国とともに新型コロナウイルスの感染蔓延との戦いが繰り広げられていますが、このような短期間でのJioMartの成功は前例のないものであり、最もエキサイティングな成長フェーズはまだ始まったばかりです。Relianceのニューコマース戦略は、この10年で最も大きな変革をもたらすものとなる可能性があります」と述べている。

本日の発表により、Silver Lakeはインドの大富豪アンバニ氏への賭けをさらに広げることになる。メンロパークに本社を置くこのベンチャーキャピタル(プライベートエクイティ)企業は、今年初めにもJio Platformsに13億5000万ドル(約1430億円)を投資している。9月8日には、インドのEdTech大手Byju’sへの5億ドル(約530億円)の投資ラウンドもリード(未訳記事)した。

アンバニ氏は声明で「私はSilver Lakeとの関係を拡大し、インドの小売部門で全国のインド人消費者に価値を提供しながら、何百万人もの小規模加盟店と包括的なパートナーシップを構築するという私たちの変革的な取り組みを喜ばしく思います。テクノロジーは、小売エコシステムの様々な構成要素が協力して包括的な成長プラットフォームを構築できるように、この分野で切望されている変革をもたらす鍵になると信じています。Silver Lakeは、インドの小売業のビジョンを実現する上で、かけがえのないパートナーとなるでしょう」と述べている。

Silver LakeのReliance Retailへの投資は、今後数週間のうちにさらに数人の著名な投資家が追加投資を行うことになるでしょう。アンバニ氏は、7月に行われたReliance Industriesの年次総会で、「今後数四半期のうちにReliance Retaiにグローバルなパートナーや投資家を迎え入れる」と述べていた。なお7月には、アマゾンがReliance Retaiと9.99%の株式取引を行う(未訳記事)と地元メディアが報じていた。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

インドのeコマース市場でアジアで最も裕福な人物がアマゾン・ウォルマート連合に挑む

Amazon(アマゾン)とWalmart(ウォルマート)が所有するFlipkart(フリップカート)は、インドの小売市場での存在感を確立し、最近の規制上のハードルをの乗り越えるために数十億ドル(数千億円)を投下した。しかしそれに加えて両社は、アジアで最も裕福な男性であるMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏からの新しい挑戦を受けることになった。

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アンバニ氏がCEOを務めるReliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)の2つの子会社であるReliance RetailとReliance Jio社は、JioMartをソフトローンチしたことを発表した。これはインドのマハーラシュトラ州の一部であるナビムンバイ、カリヤーン、ターネー近隣の店舗と密接に連携するeコマースベンチャーだ。

ヒンディー語で「新店舗」を意味する「Desh Ki Nayi Dukaan」(デシュ・キ・ナイ・ドゥカーン)としてマーケティングが行われているこのeコマースベンチャーは、現在5万点の取り扱い食料品と「無料迅速配達」を売りにしている。

Reliance Jioの顧客へのメールの中で、前述の2つの子会社がeコマースベンチャーを立ち上げようとしていることや、この先数カ月のうちにサービスをインドの多くの場所に展開する計画であることを伝えている。このジョイントベンチャーはまたはJioの有料会員に対して、初期特典にアクセスできるようにJioMartにサインアップするよう呼びかけている。Relianceの広報担当者は、これ以上の情報提供は拒んでいる。

今週のソフトローンチは、インド最大の企業グループであるReliance Industriesを経営するアンバニ氏が、全国の膨大な数の小売業者と店舗経営者たちにサービスを提供したいと発言した数カ月後に実現したものだ。

もしインドに、強大なアマゾンやウォルマートと競争できる立場にいる人物がいるとするなら、それは彼をおいて他にいない。2006年創業のReliance Retailは、インド国内最大の売上を持つ小売業者だ。6500拠点以上のインドの都市と町にある、約1万軒の実店舗を通して、毎週350万人以上の顧客にサービスを提供している。

そしてReliance Jioは、3億5000万人以上の加入者を持つインド最大の通信事業者である。この2016年下半期に商用運用を開始した4G専用通信事業者は、長期間にわたって大量のデータ通信および音声通話を低額もしくは無料で提供することで、国内の既存の通信事業たちを大いに悩ませてきた。

1月に行ったスピーチで、インドのNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相の盟友であるアンバニ氏は、マハトマ・ガンジー氏を引用し、政治的植民地化への反対運動を指導したガンジー氏のように「データ植民地化への新しい反対運動をまとめ上げる必要があります。インドがこのデータ主導革命で成功するには、インドのデータのコントロールと所有権をインドに戻す必要があるのです。言い換えるなら、インド人の富をすべてのインド人に取り戻す必要があるのです」と語った。その聴衆の中に、アマゾンとFlipkartに影響を与える規制を発表したばかりの、政府の責任者であるモディ首相がいたのだ。

eコマースがインドの小売売上高全体で占める割合は、まだまだ小さなものだ。調査会社Technopak Advisorsは、インドの小売市場は昨年の約790億ドル(約8兆6000億円)から今後4年間で1880億ドル(約20兆円)に成長すると予想している。

Amazon IndiaのマネージャーであるAmit Agarwal(アミット・アガルワル)氏は、今年初めのインタビューで「心に留めておくべきことは、eコマースはインドの小売消費全体の非常に小さな部分だということで、おそらく3%未満です」と述べている。

彼らのビジネスをインド人にアピールするために、AmazonとFlipkartの両社 はサービスを拡大し、新しいビジネスに参入した。どちらのプラットフォームも食品小売に取り組んでいる。Amazonは、インドで2番目に大きい小売チェーンFuture RetailのFuture Couponsや、インドのスーパーマーケットチェーンのMore、そしてデパートチェーンであるShopper’s Stopといった、インドの多くの小売業者の株式を買い集めている。

Flipkart は、ShadowFaxやNinjacartなどの、多くの物流スタートアップに投資している。またAmazon Indiaはバンガロールに拠点を置くスタートアップの株式を購入するために、Ninjacartとも協議中であると、この問題に詳しい人々は語っている。

アプローチを受けた多くのショップオーナーたちの証言によれば、直近の四半期に、Reliance Jioの幹部たちが、インドの多くの場所で、ショップオーナーたちと接触し、彼らのPOSマシンを紹介して、JioMartへの参加を勧誘しているということだ。

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(翻訳:sako)