“検索がいらない”サロン予約アプリ「requpo」がVCやアイスタイルらから約2.3億円を調達

ユーザーのリクエストに対して美容師から提案が届く、“検索不要”のサロン予約アプリ「requpo(リクポ)」。同サービスを提供するリクポは8月29日、環境エネルギー投資、アイスタイル、アドウェイズ、マネックスベンチャーズ、iSGSインベストメントワークス、SMBCベンチャーキャピタルを引受先とする第三者割当増資により、総額約2.3億円を調達したことを明らかにした。

requpoの特徴はユーザーが起点となり、面倒な検索なしでサロンを予約できる点だ。従来のように美容室側が用意したメニューやスケジュールに合わせてサロンを探すのではなく、ユーザーが登録したリクエストの内容に興味を持った美容師側からオファーをする。

前回の記事でも紹介した通り、この仕組みで2016年11月にビジネスモデル特許を取得した。

ユーザーはエリアやメニュー、希望金額、おねだり、日付、時間、髪型(任意)を登録しておけば、あとは美容師からのアプローチを待つだけ。1回のリクエストには最大で3人からアプローチが届くので、気に入ったものを選べばいい。

もちろんエリアによって違いはあるけれど、たとえば美容師が多い表参道エリアだと5分ほどで3つのオファーがくることも珍しくないそう。結果的に手間なくスピーディーに、自分の要望に合ったサロンを予約できることがユーザーにとってのメリットだ。

以前から提供していたiOS版に加えて2018年の1月にAndroid版をリリース。エリアも拡大し、1都3県の一部地域(東京、神奈川、埼玉、千葉)のほか愛知や大阪、福岡の各エリアでも対応を開始している(requpoでは美容師ユーザーの登録数が一定数に達したエリアごとに提供する仕組み)。

また前回調達した資金を活用してプロモーション面も強化。2017年9月には乃木坂46の伊藤万理華さん(現在は同グループを卒業)をPRキャラクターに起用してコラボCM動画を展開した。これらの取り組みの成果もあり、リクポ代表取締役CEOの木崎智之氏によると「1年前に比べると登録ユーザー数が約20倍、美容師数も約10倍に増えている」という。

ユーザー層に関しては18歳〜24歳の女性が最も多く半数近くを占め、25歳〜34歳の女性も加えると全体の70%ほどになるそう。また女性向けのブランディングをしてはいるものの男性でも利用でき、実際に男性のユーザーもいるようだ。

requpoの仕組みはリクエストにマッチした美容師からすぐにオファーが来るのであれば、確かに使い勝手がいいだろう。リクエストはスマホから数十秒〜数分程度でできるし、検索のわずらわしさもない。一方でリクエストをしても美容師からの反応が全くなければ、却って余計な手間とストレスがかかってしまう。

木崎氏の話では、まさにこのマッチング率をあげることに現在力を入れているそう。たとえば大きめのサロンからの要望が多かったという“店舗アカウント”(オーナーが髪を切っている最中でも、他のスタッフが代わりにオーナーの枠で予約を取れる機能)などを今後追加していく方針だ。

「requpoは美容師の空き時間をシェアリングエコノミー化しているような側面があるので、いかに美容師ユーザーにとって提案しやすいような設計を作れるかがマッチング率をあげるポイントにもなる。単に美容師の数を増やすというだけでなく、アプリ側の改善や機能開発を強化していく」(木崎氏)

今回調達した資金はこれに向けて主にエンジニアを中心とした人材採用と、プロモーション強化に用いる計画だ。

リクポは2015年12月の設立。これまでも2016年3月にTLMと複数のエンジェル投資家からシードマネーを、2016年12月にコロプラ、ベクトル、大和企業投資、エンジェル投資家から8000万円を調達している。

リクポのメンバー。最前列の中央が代表取締役CEOの木崎智之氏。

“検索しない”美容室予約アプリ「requpo」運営元が8000万円の資金調達、ビジネスモデル特許も

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美容室予約アプリ「requpo(リクポ)」を運営するリクポは2月15日、コロプラ、ベクトル、大和企業投資およびエンジェル投資家数人を引受先とした第三者割当増資により、総額8000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。調達自体は2016年の12月に実施しており、評価額や出資比率等は非公開。同社は2016年3月にもTLMとエンジェル投資家5人からシードマネーを調達しており、今回が2度目の資金調達となる。リクポは2015年12月の設立。代表取締役CEOの木崎智之氏は学生時代から事業の立ち上げを経験しきた人物で、美容・婚礼業界向けのウェブマーケティング会社の代表を務めたのちrequpoのビジネスを企画した。

ビジネスモデルで特許を取得

2016年7月に正式版がリリースされたrequpoは、美容室を予約したいユーザーが日時やメニュー、予算といった希望を登録すると、それに応じて美容師側からオファーが届くという“検索しない”サービスだ。(正式版リリース時にTechCrunchでも紹介している)

当時から「ユーザーが美容室の特徴や空き時間を調べて予約する」一般的な仕組みではなく、「ユーザーの要望に対して美容師側からオファーをする」という従来の常識に捉われないシステムを大きな特徴としていた。前回の取材時にはビジネスモデル特許を出願中とのことだったが、2016年11月に無事特許を取得。資金調達にあたっても、目先の数値の伸びよりもこの新しい切り口のビジネスモデルに対して投資家から共感を集めたという。例えばコロプラは主にエンターテイメント領域へ投資を行っているが、木崎氏によると「requpoの予約システムにエンターテイメント性を感じていただき、今回の出資につながった」そうだ。

様々な業界で「予約」の概念を覆すチャレンジ

リクポのメンバー。後列中央が代表取締役CEOの木崎智之氏

リクポのメンバー。後列中央が代表取締役CEOの木崎智之氏

これまではプロモーションに資金を投じてこなかったが、サービスリリース後にTwitterトレンドで19位に入ったこともあり、前回取材をした2016年7月に比べ「数はまだ大きくないものの登録ユーザー数で約13倍、美容師数で約3倍になり、美容師の登録希望が毎日届いている状況」(木崎氏)という。

美容室を予約したいユーザーとしては予約の手間が省け、美容師側としては新規顧客開拓に繋がるツールになりうるrequpo。双方からの反応も良いだけに、いかに認知してもらえるかが目下の課題だ。今回調達した資金を元に事業のスピードをあげるべく採用を進めるほか、プロモーションに力を入れていく。

並行して今後見据えているのがネイルやまつげエクステといった、美容室以外への横展開だ。「多くのユーザーにとって美容室は月に何度も訪れる場所ではないため、月ごとのサービス利用頻度も限られる。1人のユーザーに何度も使ってもらえるサービスになるように、まずは美容業界から予約の仕組みをリプレイスし予約を『作業』ではなく『エンターテイメント性のある楽しいもの』にしたい」(木崎氏)

“検索しない”美容室予約アプリ「requpo」が正式ローンチ、TLMなどが支援

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ネットで美容室を予約しようとすると、サイト上でエリアやスタイリスト、カットやカラー、パーマといったメニュー、さらにはカレンダーから空いているスケジュールを選び…と、なかなか面倒だったりする。「美容室の都合に合わせて予約を入れる」と考えれば仕方がないことだが、今回紹介するリクポは、その考え方を真逆に変えるような予約サービスを展開するという。同社は7月27日、これまでクローズドベータ版として提供していた美容室予約アプリ「requpo」を正式ローンチした。

requpoは、「ユーザーの都合に対して美容室がオファーを行う」という、今までとは逆転の発想の美容室予約アプリだ。美容室を予約したいユーザーは、希望するメニューと予算、追加サービスを希望する「おねだり」、さらに希望のスケジュールや現在の髪型、希望する髪型(髪型は任意)を入力する。ユーザーの予約情報はサービスを利用する美容室に通知されるので、条件が合えば美容師側がユーザーにアプローチ(予約のオファー)を行う。ユーザーがそのアプローチを受け入れれば予約完了。入力した内容がそのまま電子クーポンになるので、あとは美容室に向かえばいい。その後ユーザーが実際に来店した際に「来店しました」のボタンを押すことで一連の作業は完了(ここで美容師ごとに1回980円の課金が行われる)。


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美容室側にはユーザーの予約を断る機能があるので、無茶な条件では予約できない仕組みだという。サービスは当初東京の渋谷から表参道、原宿エリアに限定して展開。年内にも東京都内での展開を目指すほか、今後はユーザー、美容師の評価機能を実装し、いわゆるドタキャンやノーショウ(連絡なし・来店なし)を防ぐ仕組みを作る。ビジネスモデル特許も出願中だという。

美容室から見ればrequpoは新規顧客獲得のための新しいツールだ。美容業界のマーケティングツールとしては、リクルートライフスタイルの展開する「ホットペッパービューティー」が圧倒的なシェアを誇っている。だがホットペッパーを代表とする販促メディアなどは、プランや地域によっては月額で数十万円の固定費がかかるし、ドタキャンやノーショウを防ぐ決定打となる施策があるかというとそうでもない。それを成果報酬型(かつ今後は評価制度を導入すること)にすることで、幅広い店舗での利用を狙う。約2カ月、ユーザー200人、美容室30店舗でテストを行った結果、30件ほどのマッチングが成立。ドタキャンはほぼなかったという。もちろんこれはあくまで知人を中心としたクローズドなテストなので今後この割合がどうなるかは不明だけども。

リクポは2015年12月の設立。独立系ベンチャーキャピタル・TLMのほか、IT業界の経営者を中心にしたエンジェル投資家5人がシードマネーを提供する。代表取締役CEOの木崎智之氏は学生時代にオフラインのコミュニティ運営(共同創業)やファッションショーの企画・プロデュース(代表)などを手がけてきた人物。その後ウェブ制作会社などを経て美容・婚礼業界向けのウェブマーケティング会社の子会社代表となった。美容業界について学ぶ中で同僚だった現・リクポ取締役の姫野航平氏とrequpoの事業を企画し、今回の起業に至ったという。

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リクポのメンバー。前列左が代表取締役CEOの木崎智之氏、前列右が取締役の姫野航平氏