無人カフェロボ「root C」運営が1.7億円を調達

需要予測AIを搭載した無人カフェロボット「root C」を開発するNew Innovationsは6月24日、DEEPCORE、THE SEED CAPITAL、社名非公開の事業会社(関係者によると金融系の大手企業とのこと)および個人投資家を引受先とする第三者割当増資により1.7億円を調達したことを明らかにした。

New Innovationsでは昨年7月にDEEPCOREとTHE SEED CAPITALから7000万円を調達したことを発表しており、今回のラウンドも含めた累計調達額は2.4億円となる。

同社が手がけるroot Cは専用のスマホアプリと連動したカフェロボットだ。アプリから自分の好みのコーヒーをオーダーして決済を済ませておけば、指定して時間にサクッとテイクアウトできるのが特徴。コーヒーの需要を事前に予測して抽出を開始する需要予測AIも搭載する。

昨年8月に大阪・なんば、今年3月には東京・丸の内(新東京ビル)にて実証実験を実施。主にオフィスワーカーがオフィスのデスクでコーヒーを楽しむ際の手段として利用された。

今回の調達はそこで得られたフィードバックなどを基にプロダクトの改良を行うためのものだ。アプリのUI/UXの一新やユーザーにあったコーヒーを提供するためのレコメンデーションエンジンの強化、サブスクリプションモデルの実装などを進めていくという。

New Innovationによると新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もあり、直近では人を介さずにサービスを提供できる非対面販売ソリューションとしてのニーズも高まってきているそう。「現在すでに『root C』の設置に関する問い合わせに加えて、店舗の無人化などOMOソリューションについても複数の企業様からの引き合いをいただいています」とのことだった。

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無人カフェロボが丸の内・新東京ビルで実証実験開始、アプリから事前注文で待ち時間なくコーヒー受け取り

“カフェロボット”と聞いてどんなものを思い浮かべるだろう。多くの人は「Cafe X」のようにアーム型のロボットが自動でコーヒーを提供してくれるシーンや、おもてなしスキルを持ったロボットが丁寧に接客してくれる場面をイメージするかもしれない。

日本のNew Innovationsも無人カフェロボットを手がけるスタートアップの1社なのだけど、同社が開発する「root C」の見た目はどちらかというとロボットというより自動販売機に近い。エンタメ要素やイベント要素の強い「サービスロボット」的なものではなく、ユーザーが日常的に使えるように機能面や体験面をより重視した設計を選んだ結果がこのデザインだ。

ユーザーはロボットと連動した専用アプリを使えば、事前に自分の好みのコーヒーをオーダーして決済を済ませ、待ち時間なしにサクッとテイクアウトできる。価格は300円とコンビニコーヒーよりは少し高いかもしれないけれど、味や提供スピードの速さにはこだわった。

そんなroot Cが3月24日より東京・丸の内の新東京ビルに登場する。今回は三菱地所の協力のもとで行う実証実験という形で、4月6日までの約2週間に渡ってビルのB1Fと8Fの2箇所にロボットが設置される。

root Cのコーヒーを楽しみたい場合、ユーザーはまず専用アプリから「受け取り場所(今回はB1Fか8F)」「飲みたいコーヒーの種類」「受け取り時間」を選び、クレジットカードを使って事前決済をする。あとは指定した時間にロボットの元へ行くだけ。アプリでロッカーの番号を確認して自分のコーヒーを受け取れば完了だ。

味は「すっきりフルーティ」と「プレミアムスイート」の2つのフレーバーが用意されていて、それぞれホットとアイス、普通と濃いめの合計8タイプから好みのものを注文する。料金は一律300円だ。

3月24日〜4月6日までの実証実験期間中は平日7時30分〜19時の間で営業(24日のみ午後開始)。営業時間内であれば10分ごとに受け取り時間を細かく設定できる。

開発元のNew Innovationsにとって今回の実証実験は昨年8月に大阪・なんばで実施したものに続いて2回目となる。

前回はロボットの設置運営など基盤部分を検証することが主な目的だったこともあり、アプリはなく現地に行ってから自販機のように注文するスタイルだった。

そのためNew Innovations代表取締役の中尾渓人氏によると「アンケート結果を見ても味についてはかなり満足度が高かった一方で、全体の体験を踏まえると300円だとコスト的に見合わないという声もあった」という。

一方で今回はモバイルアプリによってコーヒーを受け取るまでの体験がデジタル化され、ハードウェア側にも大幅なアップデートが施された。20個の受け取り口を備えたロッカー風のデザインに変わり、一度に複数人が受け取れる仕様に変更。需要予測AIも実装し、込み合う時間帯でもなるべくスムーズにコーヒーを提供できる仕組みを作った。

「コーヒーを受け取るまでの体験をオンラインに乗せることで、いかに提供価値を上げていけるかがポイントだ。また今回も味にはかなりこだわっていて、特徴が出やすいものを2種類選んで提供する」

「将来的には、ひとりひとりが自分に合ったコーヒーと出会える体験を提供したい。(通常のカフェとコスト構造などが異なるため)あまり万人受けしないようなものも提供しやすいのが自分たちの1つの特徴。数十種類のコーヒーを用意した上で、過去のデータなどを元に個々に合いそうなものをいくつかレコメンドし、1番気に入ったものをスムーズに購入できるような体験を実現していきたい」(中尾氏)