有料ユーザー400万人を擁する写真共有サービス運営のVSCOが360度カメラ開発のRyloを買収

2019年のミームとなった「VSCO girls」を作りだした写真共有アプリ開発のVSCOが、ビデオ編集アプリを開発するスタートアップであるRyloを買収した。Ryloは、Instagram(インスタグラム)のHyperlapse(ハイパーラプス)を作ったオリジナルデベロッパーによって設立された。

設立8年のVSCOはサブスクリプションベースのサービスを展開しており、有料ユーザーは400万人を超えようとしている。VSCOの広報は、買収案件の詳細の公開は拒否した。PitchBookのデータによると、Ryloはベンチャーキャピタルファンディングで3800万ドル(約41億円)を調達し、2018年10月に発表した2000万ドル(約22億円)のシリーズBで評価は1億2025万ドル(約130億円)に達している。

サンフランシスコを拠点とするRyloSequoia CapitalAlumni Ventures Group、Icon VenturesAccelを含む多くの機関投資家の支援を受けている。Accelはシリコンバレーのベンチャーキャピタルファンドでオークランドが拠点であるVSCOの主要株主でもある。

2015年に設立されたRyloは、解像度5.8Kで映画のようなビデオが撮れる360度カメラで知られている。以前、このカメラは500ドル(約5万4000円)近くで販売されていたが、今ではBestBuy.comで250ドル(約2万7000円)ほどの低価格で売られている。VSCOの下で、Ryloはモバイル向けのビデオ編集ツールの作成に専念することになる。同社がTechCrunchに語ったところによると、デバイスの製造・販売は継続しないが、販売したカメラの保証には対応していくという。

RyloはAlex Karpenko(アレックス・カーペンコ)氏とChris Cunningham(クリス・カニンガム)氏によって設立された。CEOのカーペンコ氏は2013年にInstagramに買収されたビデオ撮影・スタビライゼーション・共有アプリのLuma Cameraを2011年に立ち上げた。これはInstagram初の買収だった。カーペンコ氏はソフトウェアエンジニアとしてInstagramのチームに加わったが、その後、このアプリはなくなった。そして同氏はInstagramのタイムラプスビデオアプリ、Hyperlapseの主要な開発者になった。

一方のカニンガム氏は2008年から2013年まで、Apple(アップル)でエンジニアとしてiLife、ApertureそしてiOS用のiPhotoに携わった。その後アップルを辞めてFacebook傘下のInstagramに移り、Instagram Direct専門のiOSエンジニアとして働いた。

VSCOは共同創業者でCEOのJoel Flory(ジョエル・フローリー)氏が率いている。モバイル写真編集ツールや高度な写真フィルター、チュートリアルなどアプリの全機能を利用するには年19.99ドル(約2200円)が必要だ。TechCrunchとの最近のインタビューでフローリー氏は、写真共有・編集だけでなくビデオやイラストレーションにも手を広げるという野望を描いてみせた。2015年のMoving SciencesArtifact Uprising以来となる今回の買収は、事業の成長と新たな収入源の確保が狙いだ。

「VSCOとDSCOでビデオ編集ツールが倍になったように思われていますが、我々のGIF作成ツールは最も人気のある機能の1つであることにかわりはありません」とフローリー氏は同社のブログに書いている。「我々のユーザーが、より多くのビデオツールや、クリエイティブな自己表現を通じて自分たちのストーリーを伝えるための新たな方法を欲しているのは明らかです」。

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(翻訳:Mizoguchi)

360度でない360度カメラRyloはソフトウェアでいろんなトリックを提供

Ryloは、360度カメラで撮った画像や映像を、後からソフトウェアで必要な形に整える。今日(米国時間4/19)同社はそのアプリと、カメラと、カメラのエフェクトに新しい機能を加え、同社の、本当は360度カメラでない360度カメラを、もっとおもしろいものにしようとしている。

アクションカメラとして使おうとすると、360度カメラにはそれに向いてない部分がいくつかある。たとえばカメラを胸に装着したら、撮った映像の約半分は使えないことを覚悟するだろう。そんなときのために、Ryloのカメラには180度モードがある。このモードで撮ると解像度と画質が良くなる、と同社は言っている。

実際、YouTubeがVR180モードを導入して以来、180度ビデオはいろんな記事でも取り上げられるようになった。その目標は、クリエイターがすべてのワークフローを再発明しなくても、もっと良い没入的なフォーマットを作れることだ。Ryloの単眼レンズでは3Dは無理だが、しかし同社のねらいは、VRヘッドセット用のコンテンツではなく、ふつうのレターボックスフォーマットによりパンチを効かせることだ。

このカメラのタイムラプスモードでは、“モーションブラー(動きのぼかし)”(下図)というクールなエフェクトがあって、パーフェクトなモンタージュを作れる。

またBluetoothによるリモートキャプチャという、360度カメラらしい機能もあり、アプリからリモートで映像の収録をon/offできる。撮影中にユーザーがモードの切り替えをできるから、いちいちカメラに触らなくても、スナップ写真モードから180度モードへ、などの切り替えができる。

いずれも、画期的と言うほどのアップグレードではないけど、この独特でおもしろい球面カメラがどんどん良くなっていることを、示している。アップデートは同社のAndroidとiOSアプリで今日から有効になる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Ryloのクールな小型360度カメラがAndroidからも使える、気楽に撮って自由に編集がモットー

Ryloは強力な小型360度カメラだが、360度機能をなるべくバックグラウンドに置こうとする。つまり同社の本当の目標は360度カメラそのものではなく、カメラというものの考え方を変えて、写真やビデオの完璧な構図云々といったことを後回しにし、とにかく撮ることに専念させる。

このカメラは昨年ローンチして以降、iOSのみだったが、今日(米国時間3/2)同社のアプリがPlay Storeに登場し、Androidユーザーも、この革新的な球体カメラで遊べるようになった。

同社はAndroid互換のRyloカメラを自分のサイトで予約販売してきたが、シンクケーブルの違い(Lightningでなくmicro-USBとUSB-C)を除いては、iOSバージョンとほとんど同じだ。今日まで時間がかかったのは、ハードの問題ではなく、iOS版と変わらぬ機能性能のAndroidアプリを作るためだった。そのAndroidバージョンの予約販売を開始したのは先週で、発送は24時間以内に行われる。

そのカメラはすっきりしたデザインのハードウェアだが、Rylo Inc.自身は自分をソフトウェア企業と呼んでいる。

同社のモバイルソフトウェアスイートは、ビデオや写真を見るだけでなく、編集や、360度で撮った画像や映像からふつうのフレームを“型抜きする”仕事もする。しかしそれは、静的な世界ではない。Ryloにはとても強力でしかもシンプルなオブジェクト追跡機能があり、そのため、競合するGoProのFusionカメラ用のOverCaptureなどよりもずっと大きな自由度と使い易さが得られる。苦労せずに編集できる、ということ。

360度ビデオの処理はかなり計算集約的な工程だったが、最近の2年以内に出たスマートフォンがあれば、ほとんど問題ない。Rylo互換のデバイスのリストが、ここにある。

カメラの小売価格は499ドルで、ここで入手できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Ryloの360°カメラは手ブレを追放した優れもの――ファイルは標準フォーマットで保存

先週Ryloのファウンダーにインタビューするまでこのプロダクトにはいささか懐疑的だった。テクノロジー的には面白い製品であっても360°カメラというのはすでにマーケットに多数登場している上に、正直に言えば、野心的なユーチューバーを除けば、われわれは日頃あまり利用していない。360°全周ビデオカメラというのはたまに使われるだけのきわものではないかと思っていた。

しかしベイ・エリアのスタートアップの新しい製品はこれまでのものとかなり違っていた。ファウンダーはInstagram元社員( Alex Karpenko、Chris Cunningham)で、 標準的フォーマットに360°ビデオを録画する新しいテクノロジーを開発した。社名と同じRyloカメラは画角208°の広角レンズ2基で4Kで360°ビデオを撮影する。しかしこのカメラのいちばん優れた機能は360°ビデオを日頃われわれが使っている標準的フォーマットの変換できることだろう。これは1080p、アスペクト比16:4の表示となる。

また走ったり、サイクリングしたり、その他どんなに激しい動きをしようと、Ryloのソフトウェアは手ブレを大幅に軽減する。このスタビライザーのデモを見て私は強い印象を受けた。短いデモだったが、安定効果はメカニカルなジンバルに近かった。

また編集能力も強力だ。ソフトウェアにはモーショントラッキング機能がビルトインされておりフレーム内の特定の対象を選んでトラッキングすることができる。しかもこれはポストプロダクション〔撮影後の後処理〕で実行できる。今のところトラッキング機能は完全ではない。指定した対象とカメラの間を何かが横切るとトラッキングを失ってしまうことがある。しかし全体として撮影者の製作意図をよく伝えるカメラのパンを実現してくれると思う。

その他ソフトウェアには前後のカメラの映像を左右に並べて表示するスプリット・スクリーンやタイムラプス撮影など各種の便利な機能がある。タイムラプスは最大16倍速がサポートされる。当初発表されるモデルはiOSデバイスと接続するモデルだが、Android互換も「近くサポートされる」ということだ。このカメラにはBluetoothではサポートされておらず、テザリングにはmicroUSBケーブルが必要だ。2017年後半の製品でBluetoothがないというのは問題だが、もともとこのカメラはポストプロダクションを経て公開することを前提としているのでストリーミングについては優先順位が低かったのだろう。

ハードウェアとしてのデザインはしっかりしているが、これは元Appleのデザイナー、Jonathan Denby(iPhone 5C、iPhone 6s Plusの開発を担当した)によるものだ。360°ビデオを撮る際に撮影者自身が写り込まいないようにするためセルフィースティック方式のハンドルが同梱される。

カメラは固定焦点で光学ズーム機能はない。また低照度の環境ではやや画質に難が出る。しかしRyloの最初の製品であることを考えれば全体的に上出来だ。同社は356万ドルのシード投資に加えてAccessとSequoiaがリードしたシリーズAラウンドで1100万ドルを調達しており、十分な資金を用意しているようだ。

Ryloカメラは現在予約受け付け中だが、499ドルとかなりの価格だ。撮影用ハンドル、16GBのmicroSDカード、USBケーブルなどが同梱される。出荷は11月中旬以降になる予定だ。

〔日本版〕Ryloサイトにスタビライザーのオン/オフを比較できる動画がアップされている。このカメラはスマートフォン(iOSデバイス)に接続して専用アプリから再生、編集する。カメラ本体にはデイスプレイは備えていない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+