感染に導く新型コロナのタンパク質をモデル化、免疫療法のImmunityBioとMicrosoft Azureが協力

大量のグラフィクス処理能力を結合する取り組みが、現在のパンデミックの背後にある新型コロナウイルス(COVID-19)の治療法や治療薬の開発に取り組んでいる研究者に鍵となる力を与えるかもしれない。

免疫療法のスタートアップであるImmunityBioが、Microsoftと協力し、合計24ペタフロップのGPUによるコンピューティングパワーを使って、新型コロナウイルの原因であるSARS-CoV-2ウイルスを人間の細胞に入らせる、いわゆる「突起タンパク質」(スパイクプロテイン、Spike Protein)の極めて詳細なモデルを作ろうとしている。

この新たなパートナーシップには、スパイクプロテインのモデルを、従来のように数か月ではなくわずか数日で作れるようになる、という意味がある。この時間節約によりモデルが、ワクチンや治療薬を開発している研究者や科学者の仮想的な手に早く入るようになり、そして彼らは自分たちの仕事を、人間のACE-2プロテインのレセプターにくっつくことを彼らが防ごうとしているまさにそのプロテインの、詳細な複製を作るところまで前進させることができる。ウイルスの感染とは、まさにスパイクプロテインのその働きのことだからである。

科学者が研究している治療法のメインは、体内のウイルスの拡散を防止または最小化して、ウイルスがそれらのプロテインにくっつくのをブロックすることだ。そしてそのためのもっとも単純な方法は、スパイクプロテインがターゲットのレセプターに接続できないようにすることだ。新型コロナウイルスから回復した患者に自然に生成される抗体は、まさにそれをやっている。現在開発中のワクチンも、同じことを先回りしてやらせようとしている。また多くの治療薬は、ウイルスが新しい細胞をつかまえて体内で自分を複製しようとする能力を、弱めようとしている。

両社のパートナーシップの具体的な中身は、Microsoft Azureのクラスターからの機械学習アプリケーションが使用する1250のNvidia V100 Tensor Core GPU群がImmunityBioの320 GPUのクラスターによる分子モデリングワークと協働するかたちになる。そのコラボレーションの結果を、COVID-19の治療や予防に取り組んでいる研究者たちに提供し、彼らの研究開発努力の迅速化と有効化を促進する。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

S&PがSoftBankの長期債見通しを「弱含み」に、債権格付はBB+を維持

日本の巨大通信事業グループSoftBankにはこの数週間に多数の悪材料に見舞われている。Wall Street Journalの調査報道によれば、Vision Fundのトップは、企業スパイ会社を使って同業他社を妨害していたという。世界最大級の「もの言う株主」のヘッジファンドであるElliott Managementは、SoftBankに投資して貸借対照表と取締役会の透明性を高めて株価を上昇させることを求めている。

さらに弱り目に追い打ちをかけるニュースがあった。

S&P Global Ratingsはグループの債務見通しを「安定」から「ネガティブ」(弱含み)に格下げした。同時に長期債権発行体格付けは従来どおりBB+であることを確認した。BB+は一般に投機的ないし投資に適さないグレードと見なされている。

S&Pはこの発表で、特にSoftBankの自社株買について懸念を抱いていると述べた。公開市場で投資家から株式を買い取るためには多額のキャッシュが必要なため、現金流動性が低下するだろうという。先週発表されこのプログラムは48億ドル(約5141億円)の自社株買いで、「財務の健全性と信用格付けを優先する財務方針を守る意図に疑問(を生じさせた)」としている。

同僚のArman Tabatabai(アルマン・タバタバイ)と私は、TechCrunch Extra(有料)で2018年末にSoftBankの強迫観念的借り入れ行動の背景を探ったが、この分析は市場が右肩上がりで新型コロナウイルスもまだ流行していない時期のものだった。

しかし現状では、SoftBankの巨額債務は最近の経済に関する記憶の中で最大級の惨事に向かいかねない。

SoftBankの債務よる業容拡張は、SprintとT-Mobileという通信事業者の合併プロジェクトでことに目立った。これは最近米司法省の反トラスト局によって承認されたが、Vision Fundの投資を含めて数百億ドル(数兆円)の借り入れを必要とした。Financial Timesが2017年に報じたところではVision Fundは約款の規定により、投資家への利益還元は最低限のものだ

投資家はVision Fundから投資の見返りとして「優先ユニット」を提供される。これにより、12年のファンドのライフサイクルを通じ、毎年7%のリターンが保証されるクーポンを受け取ることができる。

ここ数日の株価の壊滅的な下落を考えると、大型の新規上場が起きる可能性はほとんどない。するとVision Fundの流動性はどうなるのか? また経済全般の悪化を考えると、合併したSprintとT-Mobileは巨大な債務負担をどうやって返済するのか?

SoftBankの強みは、誰にとっても必須なサービスを提供していることだ。 これが、長期債権発行体としての格付けがダウンしなかった大きな理由だろう。誰もがモバイルネットワークを必要としている。しかしながら債務がますます積み上がり、新型コロナウイルスによって経済に混乱がもたらされる中、Vision Fundの将来はさらに見えにくくなっている。

画像:Alessandro Di Ciommo/NurPhoto (opens in a new window)/ Getty Images

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滑川海彦@Facebook