インドのクレジットカード市場でシェアを拡大しようとしているフィンテックスタートアップSlice(スライス)への投資を、知名度の高い投資家たちがこぞって追い求めている。
Tiger Globalは、ベンガルールを拠点とするこのスタートアップの1億ドル(約110億円)を超えるラウンドをリードするための交渉を進めていると、この件に詳しい情報筋が語った。
Insight Partners、Ribbit Capital、Greenoaksなど、他の多くの企業もこのスタートアップに関わっていると情報筋は語っているが、この件が非公開であることから情報筋は匿名を希望している。
交渉は続いていて、条件は変更される可能性があると情報筋は付け加えた。
これまでのラウンドで約3000万ドル(約33億円)を調達し、2021年初めのラウンドでは2億ドル(約224億円)を下回る評価を受けたSliceはコメントを控えた。Sliceの投資家にはBlume Ventures、Gunosy Capital、Better Capitalが名を連ねている。
Tiger Globalもコメントを却下した。
現在、インドの何億人もの人々が銀行口座を持っているにもかかわらず、クレジットカードを持っているのは約3000万人にすぎない。インドのほとんどの人がクレジットカードを持つことができず、また、クレジットカードを持つことができる人でも、登録が面倒で時間がかかり、それに見合う報酬が得られないため、わざわざクレジットカードを持とうとしない。
Sliceは、従来のフルタイムの仕事に就いていない人でもカードを取得しやすくし、登録プロセスも迅速に行えるようにした。この2年間で、Sliceはインド最大のカード発行会社の1つに成長した。
また、潜在的な顧客を獲得するために、積極的に動いてもいる。Sliceは9月、インドの潜在的な獲得可能な最大市場規模である2億人の人々を開拓するために、デフォルトの限度額を2000インドルピー(約2990円)に設定したカードを発行した。
今週初めの別の発表では、Sliceは9月に11万枚のカードを発行したと述べた。元Flipkart社員のRajan Bajaj(ラジャン・バジャージ)氏が設立したこのスタートアップには300万人以上が登録しており、会員の平均年齢は27歳だという。
また、バジャージ氏のLinkedInや同社の採用案内によると、同社はブロックチェーン上のアプリケーションを模索している。先週、同社は新入社員に安定した給与と福利厚生付きの週休3日制を提供し、他の機会に取り組みたい、あるいは他の好きなことをしたいと希望する人材を採用することを発表した。
Tiger Globalはここ数四半期の間に、インドで最も積極的なグロースステージの投資家として台頭してきた。2021年、インドでは20社を超えるスタートアップを支援し、その多くを憧れのユニコーン・クラブに押し上げている
インドのスタートアップは2021年9月までの四半期に519件の取引を記録したと、調査会社のCB Insights社が10月7日に発表した。同四半期のスタートアップ企業の資金調達額は99億ドル(約1兆1110億円)で、2020年全体では103億ドル(約1兆1560億円)だったという。Sequoia Capital Indiaは、同四半期中、世界第2位のインターネット市場であるインドで最多となる33件の投資取引を行った。
画像クレジット:Slice
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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi)