SpaceXがこれまでで最大規模となる約2000億円を資金調達

米国時間8月18日に米証券取引委員会(SEC)に提出された書類によると、SpaceX(スペースX)は新たに19億ドル(約2000億円)を調達した。最初にReutersが報じている。以前、SpaceXが資金調達中だとBloombergが報じており、今回の調達でSpaceXのポストマネーバリュエーションは460億ドル(約4兆8000億円)になると予想していた。

まだ未公開企業であるSpaceXにとって、今回のラウンドはさほど驚きに値するものではない。Elon Musk(イーロン・マスク)氏が率いるこのロケット打ち上げ会社は2020年初めから資金調達を模索していた。しかし投資家たちからの強い需要を受けて資金調達の規模を拡大した、とBloombergは先週報じている。

今回、募集枠を上回る申し込みがあったようだが、ラウンド参加者については情報は明らかになっていない(Bloombergの報道ではFidelity Investmentsが最大の出資者とされているが未確認だ)。このところの一連の成功を考えると、SpaceXは投資家から巨額出資を引き出すのに絶好の状況にある。

一連の成功には、米国からの打ち上げとしては初となる民間企業による有人宇宙飛行ミッションが含まれる。宇宙飛行士が乗り込んだDemo-2が2020年5月にフロリダから打ち上げられ、国際宇宙ステーションに2カ月滞在したのち宇宙飛行士は今月初めに地球に帰還した。このミッションの成功は、SpaceXが地球と国際宇宙ステーションの間の輸送サービスを定期的に提供できることを意味する。そして民間ツーリストや研究者ら向けの商業宇宙フライトサービスの提供にもかなり近づいた。

また、同社の宇宙船開発も順調で、今月プロトタイプの短いテストフライトを成功させている。加えて、NASAと米政府から打ち上げサービスでいくつかの複数年契約を獲得している。

同社は現在多額の資金を必要とする時期にあり、今回のラウンドもそうした理由によるものだ。巨大な衛星コンステレーションStarlinkの展開にも取り組んでおり、Starlinkの運用が始まればインターネット接続が難しいエリアに住んでいる人々に商業・家庭用のブロードバンドインターネットサービスを提供する。ちょうど8月18日朝、SpaceXはStarlink衛星58基を打ち上げたが、世界中をカバーするという最終目標を達成するにはまだ多くの衛星を打ち上げる必要がある。

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画像クレジット:NASA/Bill Ingalls / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

SpaceXがStarlink衛星の打ち上げに成功、Falcon 9ロケットの再利用記録も達成


SpaceX(スペースX)は宇宙からのインターネット接続を目指すStarelink衛星の11回目の打ち上げに成功した。これにより58基のStarlink衛星を追加し、トータルの衛星数は600以上となっている。ペイロードには地球観測衛星Planet(プラネット)3基も含まれていた。またFalcon 9のブースターの再利用回数も6回目と新記録となった。

東部時間8月18日午前10時31時分にケープカナベラル空軍基地内のSpaceX発射施設から打ち上げられた。ブースターは洋上でSpaceXのドローン着陸船「Of Course I Still Love You」に無事着陸した(Twitter投稿)。回収の成功によりSpaceX は自らが持つ再利用記録を更新した。このブースターは今後さらに再利用回数を伸ばすかもしれない。

今回の打ち上げでは、4回目のStarlink衛星打ち上げで洋上回収されたフェアリングを整備して再利用している。全体としてSpaceは創設者でCEOである Elon Musk(イーロン・マスク)氏が目指す「ロケットシステム全体の再利用」という目標に大きく近づいたことになる。この目標が達成されれば衛星打ち上げコストは劇的に下がるはずだ。

Starlinkネットワークについても、2020年中に米国とカナダの一部地域でベータサービスを開始するという目標に向かって着実に前進している。最近のPCMagの記事によると、 インターネット接続速度テストサイトのOoklaがStarlinkサービスを計測したところ満足できる接続速度が出ていたという。これはおそらく既存の衛星を社内のみ利用モードでテストした結果だろう。

今回のミッションにはカーゴベイを覆うフェアリングの洋上回収も含まれ、SpaceXの回収船であるMs. ChiefとMs. Treeが用いられた。SpaceXのツイートによれば、Ms. Treeがフェアリングの一方をキャッチした(未訳記事)。2分割のフェアリングの他方は海中に沈んでしまったようだが、今後引き上げて再利用可能だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceXがStarlink衛星打ち上げでFalcon 9ロケットの再利用記録更新に挑戦

SpaceX(スペースX)は、米国時間8月19日火曜日の米国東部夏時間午前10時31分(日本時間8月19日午後11時31分)に最新のStarlink衛星を打ち上げる予定だ。これはStarlinkにとって11回目のミッションで、同社のブロードバンドインターネット衛星58機と、SpaceXの顧客であるPlanet(プラネット)のSkySats衛星3機が含まれる。

Starlinkのミッションはインターネットサービスがほとんどない、または劣悪な地域の顧客に、低遅延で高速なインターネット接続を提供するというもので、スペースXが取り組んできた計画の中でも重要なものだ。さらに今回のミッションは、スペースXのロケット再利用プログラムを推し進めるという点でも意義がある。

現在のミッションで飛行するFalcon 9の第1段ブースターは2018年に1回、2019年に2回、そして2020年にすでに2回と計5回飛行している。そして今回は、同ブースターにとって6回目の打ち上げとなる。これはSpaceXにとって、そして再利用可能なロケットにとっての新記録となる。また、大西洋に浮かぶ「Of Course I Still Love You」と名付けられたドローン着陸船を使って、ロケットステージを再び着陸させようとしている。

このFalcon 9ブースターが以前に飛行したミッションのうち、3回はStarlinkのものであり、これはスペースXが独自ミッションを行う際に再利用かどうかがいかに重要であるかを示している。衛星画像解析サービスなどを行うPlanetとのペイロードの共有は運用コストをある程度相殺されると考えられるが、Starlinkが実際に顧客に向けた有料サービスを開始し、収益を上げ始めるまで、現時点では大部分がSpaceXが負わなければならないコストとなる。

今回のミッションでは、以前のミッション(4回目のStarlinkの打ち上げ)で使用されたFalcon 9のフェアリング(ロケットの上部にあるペイロードを保護するノーズコーン)の再利用も含まれる。フェアリングの再利用はSpaceXがミッションのコストを軽減するためのもう1つの方法であり、これまでもその回収プロセスを進めてきた。なお、フェアリングのコストは約600万ドル(約6億3000万円)である。

打ち上げのライブ配信は、実際の打ち上げウィンドウの約15分前となる米国東部夏時間午前10時16分(日本時間午後11時16分)に開始される。

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タグ:SpaceX Starlink Falcon 9

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXは今週の打ち上げで「ロケット再利用6回」の記録更新を狙う

米国時間8月18日、SpaceX(スペースX)はStarlink(スターリンク)衛星の新たな打ち上げを行う。この通信衛星の量産バージョンにとって10回目の打ち上げだ。今回、Falcon 9(ファルコン9)のミッションには、58基のStarlink衛星に加え、地球観測衛星Planet(プラネット)3基を搭載する。これはこのブースターロケット自身6回目の飛行であり、SpaceXにとって従来の記録を破る歴史的な出来事だ。

今回のミッションに使用される第1段ブースターは、これまでにSpaceX Starlinkミッションを3回、およびSpaceXの顧客であるTelstar(テルスター)とIridioum(イリジウム)の衛星を運ぶ2回のミッションに使用された。さらにSpaceXは、今回もブースターを回収するために軟着陸させる予定であり、成功すればこれも同社にとって新記録となる実績だ。

SpaceXの目まぐるしいほどのStarlinkの打ち上げは、ロケット再利用を推進する素晴らしい機会を同社に与え、打ち上げコスト削減に役立つことが期待されている。StarlinkはSpaceX自身のプロジェクトであり、通信衛星の「星座」を作るための運用コストを下げるためにもコスト削減は特に重要だ。Starlinkが提供するブロードバンドインターネットサービスはベータテストが始まろうとしている段階であり、会社に収益をもたらすまでにはまだかなりの時間がかかる。

もう1つ、SpaceXが再利用の限界に挑戦しているのが「フェアリング」と呼ばれるロケット部品の回収だ。ロケットが搭載する貨物を保護する役目を果たすフェアリングの、2つに分裂した両方を船の甲板から伸びたネットを使って回収する。そして7月のStarlinkの打ち上げでは、初めて2つのフェアリングの回収に成功した。フェアリングを再利用することで、1回の打ち上げ当たり最大600万ドル(約6億3000万円)のコストを削減できる可能性がある。

このミッションでは、顧客であるPlanet社との貨物ライドシェアリングも行っており、これも自社衛星の打ち上げにかかる出費を軽減する手段の1つだ。Planetなどの顧客が、Starlink打ち上げの相乗りにどれだけの費用を負担しているのかSpaceXは明らかにしていないが、打ち上げにかかる費用全体のかなりの部分を削減できるに違いない。

今回のミッションは、SpaceXがStarlinkインターネットサービス開業というゴールに一歩近づき、ロケット再利用プログラムの新境地の開拓を継続するものであることに加え、同社にとって100回目の打ち上げ(Falcon 9は92回目)になる。これはそれ自体大きな節目であり、新記録ずくめで記念すべきSpaceXの1年を象徴している。

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タグ:SpaceX Starlink Falcon 9

画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXの衛星インターネットサービス「Starlink」のベータテストに関する詳細

SpaceX(スペースX)は、今週、Starlink(スターリンク)サービスのベータテストの参加希望者として登録した人たちにアドレス情報を要求したことから、同サービスの開始は近いと推察される。現在、Starlinkサブレディット(Reddit)からの最初のリーク(Business Insider記事)によって、ベータテストがどのように行われるか、そしてSpaceXが求める参加条件について少しだけわかってきた。

ハードウェアについて

Starlinkサービスでは、Starlink衛星群とのデータの送受信に使用する専用のハードウェアに加えて、「北の空がよく見渡せる」環境が必要となる。上の写真に示されたハードウェアは、SpaceXの創設者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が以前「棒の先にUFO」と表現した小型の衛星アンテナだ。写真からは、普通の衛星アンテナと変わりないように見えるが、Starlinkサービスが提供した画像からは、大きさまでは判別できない。

Starlinkは、これらのハードウェアをベータテスターに無料で提供することになっているが、設置は各自の責任で行わなければならない。キットには、パラボラアンテナ用の電源、テスターの住居に個別に対応できるようデザインされた設置器具が付属する。ウェブサイトでは、このキットを設置する際に外部の業者に依頼してはいけないと強く忠告している。FAQには「空を十分に見渡せる場所でなければ良好な通信状態が得られない」とも書かれている。

既存の衛星インターネット・サービスプロバイダーは、接続を可能にするために使用場所にアンテナを設置するようにしているが、通常は設置業者がユーザーに代わって取り付けている。Starlinkのベータテストの後はその方向に進むだろうが、ローンチ前のテスト期間中は、なるべく人の目に触れさせたくないという意図が明らかに見てとれる。

サービスについて

Starlinkのサービス品質は、適正に接続できれば「良好」となるはずだが、同社のFAQには「安定しない」とも書かれている。なぜならSpaceXは、テスト期間中にリモートでソフトウェアの更新やその他のネットワークの最適化を実施するからだ。そのため同サイトの記述によれば「ゲームや仕事を目的とした」ソリューションには向かない。

またStarlinkは、テスト期間中はネットワーク上のあらゆる活動をモニターするが、海賊版データの不正ダウンロードや不正保存といった「違法活動」は明確に禁止し、そうした活動を理由にベータテストの参加を「保留または取り消し」できる権利を同社は保有していると明示している。

ユーザーは、いつでもテストの参加をキャンセルできる。また機器の取り付けに関しては、設置場所が適切で、安全に設置作業ができる環境であることを推奨している(アパートなどの共同住宅では参加要件を満たさないことがある)。

ベータテスターの責任

ベータテスターは、参加の際の詳細、例えばネットワーク速度や品質など、秘密を厳守しなければならないとStarlinkは言っている。また参加者には「定期的なStarlinkサービスのテストと評価の提出」に1日30分から1時間を確保することが求められる。評価の提出には、「アンケート、電話、電子メールそのたの方法」が用いられる。

さらにベータテスターは、ベータテストが終了したとき、または要請されたときに、Starlinkキットを必ず返却するように求めている(返送はStarlink着払い)。さらに同社は、テスターにクレジットカードまたは銀行口座の情報の提出を求め、わずかな手数料を徴収する。金額は確定していないようだが、設置時に1ドルから3ドル、その後は毎月となりそうだ。これは「SpaceXの注文および支払いシステム」をテストする目的で行われる。だが、テスト期間中のStarlinkサービスの利用、さらにハードウェアの貸し出しは無料だと明記されている。

Starlinkは、ベータテスター参加希望者に向けて、プライベートベータテストはこの夏に開始されると電子メールを送っている。ということは、機器やその他の必要なものはすでにテスターの元に送られていて設置準備が整っていると考えてもおかしくない。すべてが順調にいけば、同社は最初のサービス対象地域となるアメリカ北部とカナダでのオープンベータテストに拡大したいと考えている。来年、さらに多くの衛星が打ち上げられれば、サービス対象地域も広げられる。

画像クレジット:Starlink

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceXのStarlink衛星打ち上げは天候悪化で延期

【アップデート】ミッションは米国時間7月8日、天候を理由に中止された。次回の打ち上げ時期については検討中だ。


SpaceX(スペースX)は次回の打ち上げスケジュールを決定した。ミッションはフロリダ州ケネディ宇宙センターの第39A発射施設から、米国東部夏時間7月8日午前11時59分(日本時間7月9日0時59分)に打ち上げられる。またその15分ほど前から、ライブ中継が実施される。

このミッションにより同社のアクティブなStarlink衛星群は536機に拡大され、今年後半に一般向けのブロードバンドインターネットサービスを開始するという目標に近づくことになる。今回打ち上げられる57機の衛星には、同社が開発した新しい「サンバイザー」システムが搭載されており、衛星による太陽光の反射を阻止する。

同社は以前にもこのシステムを搭載した試験衛星を1機打ち上げているが、Starlinkのすべての衛星がこのシステムを搭載するのは今回が初めてだ。同社は自社の衛星に加えて、新しいライドシェアプログラムによりBlackSkyの人工衛星を打ち上げる予定で、これは同社の既存の地球観測ネットワークに加わることになる。

今回のミッションで使用されているFalcon 9のブースターは、国際宇宙ステーション(ISS)へのCrew Dragonの初のデモンストレーション飛行を含め、これまでに4回のミッションをこなしている。さらに、大西洋に浮かぶSpaceXの着陸船による着陸も試みられる予定だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter