パリを本拠とPaaSのスタートアップStratumnに注目だ。このチームはブロックチェーン・アプリの開発に興味を持つデベロッパー向けにアプリを公開、共有できるプラットフォーム・サービスを開発中だ。
Stratumnを利用すれば、このプラットフォームにさまざまなアプリをアップロードして作動、共有させることができる。アプリはbitcoinのブロックチェーンと通信が可能だ。機能としてはHerokuによく似ている。ブロックチェーン開発者のためのHerokuといえるだろう。
Stratumnは最近、Otium Ventureとエンジェル投資家から67万ドル(60万ユーロ)を調達した。エンジェルには Ledger WalletのCEO、Eric Larchevêqueが含まれる。
本質的にいえば、bitcoinブロックチェーンというのは あらゆるトランザクションをタイムスタンプ付で安全、確実に記録する分散データベース・システムだ。非常に多数の開発者が暗号通貨とはほとんど関係ない分野でbitcoinのブロックチェーンを利用しようとしている。
たとえばStamperyはブロックチェーンのデータベース能力を利用して伝統的な公証人制度を変革しようとしている。このサービスではユーザーの権利、義務などに関わる重要事項について法的に有効な記録が提供される。ブロックチェーン・システムがこうした記録の正当性を保証する。
Stratumnはこうした現状を見て、さらに一歩先に踏み出そうとしている。Stratumnを利用すれば個々のアプリを苦労してゼロから作る必要はない。つまりデベロッパー側でブロックチェーンと通信するための面倒なプログラムを書く必要がなくなる。
この機能を実現するために、Stratumnが開発したのがオープン規格のChainscriptだ。簡単にいえば、Chainscriptはいくつかのデータを保持するJSONファイルを生成する。デベロッパーはStratumn.を通じてこのデータをブロックチェーン・システムに送る。Chainscriptを利用しているアプリはその後ブロックチェーンによるデータの認証を利用できる。
つまり前記のStamperyのようなデベロッパーは、Chainscriptを使ってStratumnプラットフォームの上に独自のアプリを構築できる。Stamperyが目的とする契約関係書類の公証も大きな分野だが、要するにStratumnは暗号通貨取引以外のブロックチェーン・アプリの開発全般にビジネス・チャンスを見出そうとしている。
現在利用されているブロックチェーンで最大のものは言うまでもなくbitcoinのブロックチェーンだ。しかし多くの研究機関や企業は他のブロックチェーンの可能性を探っている。Stratumnはスタートアップとしてもまだごく若い存在だが、もしbitcoin以外のどんなプロックチェーンにも対応できるプラットフォームを開発することに成功すれば、デベロッパーはブロックチェーン分散デーベースの公証能力を生かしたアプリを開発するにあたって大幅に労力を節約できるはずだ。これはブロックチェーンのユースケースとして非常に興味ある展開となるだろう。
画像: Jason Benjamin UNDER A Public Domain LICENSE
[原文へ]
(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)