イーロン・マスク氏のSpaceX Starshipイベントで残る大型ロケットをめぐる多くの疑問

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、テキサス州ボカチカにあるStarship(スターシップ)開発現場から、同社の次世代打ち上げ宇宙船Starshipの進捗と計画について最新情報を提供した。StarshipとSuper Heavyブースターを組み合わせた高さ約400フィート(約121メートル)の打ち上げ機について、これまで印象的な説明があった。しかし今回、同氏がStarshipについて語ったことの多くは目新しいものではなかった。飛行試験と開発の次のステップに関してプロジェクトが置かれている実際の状況について同氏が共有できたことは、新しいコンセプトビデオに描かれた、空想上の惑星に向かうというビジョンに現状からどうやってたどり着くのかという疑問をいくつか投げかけた。

「ノアの方舟」の正当化

マスク氏は、人類を火星やその先に恒久的に到達させるというミッション実存の正当性に繰り返し言及してきたが、今回のアップデートでは、その目標に、地球の幅広い種の保存を中心とする補足を加えた。同氏はノアの方舟に触れなかったが、以下の通り、この類推は外れていない。

人類だけでなく、地球上のすべての生命を本当に大切に思う人たちにとって、長期的には、私たちが複数の惑星を持つ種になり、最終的には太陽系を越えて生命をもたらすことが非常に重要です。私たちは生命の管理人であり、生命の後見人です。私たちが愛する生物たちは宇宙船を作ることができませんが、私たちは彼らを連れて行くことができるのです。それは、環境を大切にする人、地球上のすべての生き物を大切にする人にとって、とても重要なことだと思います。

SpaceX(スペースエックス)のCEOであるマスク氏は、究極的にはこのプロジェクトの正当化を軽視し、第2の理由であるインスピレーションをより重要視している。同氏は以前、SpaceXの野心について語った際に、Starshipと文明の多惑星化は、人々を「未来について興奮」させることができるものの1つだと述べた。これは、マスク氏とSpaceXが地球上の問題解決に費やした方がよいはずの膨大な資金をプロジェクトに注いでいるという批判に対する長い回答の一部だった。批判に対して同氏は「リソースの99%超は地球上の問題解決に向けられるべき」ということに同意し、それはすでに行われていると述べた。

Starshipの打ち上げプロセスと迅速な再利用性

SpaceXは、これまでもStarshipの打ち上げプロセスについて語り、コンセプトアニメーションも公開してきたが、今回のアップデートでは、同社がイメージする最新のバージョンを映し出した。上に掲載した短い映像は、現在ボカチカに設置されている実際の打ち上げ施設をより忠実に再現しているが、タワーにブレードランナーの雰囲気を漂わせるビジュアルが施されている。

このアニメーションでは、2つのStarship宇宙船が軌道上でドッキングする様子も描かれている。これは、SpaceXが以前にモデル化したものではないが、火星への旅のために宇宙で燃料を補給する方法について同社は議論してきた。マスク氏は、ドッキングプロセスの詳細について同社がまだ解決しなければならないことだとしながらも、実際には「自分自身とドッキングするよりも宇宙ステーションとドッキングする方がずっと難しい」はずだと語り、SpaceXの宇宙船が常に宇宙ステーションとドッキングしていることに言及した。

打ち上げ場所と必要なクリアランス

もう1つの話題は、これまで共有された情報との相違が明確になった、Starshipの打ち上げ施設についてだ。マスク氏によると、打ち上げ場所の周辺には比較的人口の少ない広大なエリアが必要で、さらに人々をすばやく避難させることができること、打ち上げ傾斜角や宇宙船が宇宙に入る際の適切な位置取りが必要なことから、Starshipの打ち上げには2つのオプションしかないという。イベントが行われたテキサス州のStarship開発施設と、フロリダ州のケープカナベラルだ。

テキサスでの打ち上げのための米連邦航空局(FAA)による現場審査がどういう状況なのか、マスク氏は実際には把握していなかったが、3月中には承認が得られると予想しているという。とはいえ、ケープカナベラルには予備のためのStarshipの建設現場と発射台があり、テキサスで環境審査とFAAの審査が通らなければ、ケープカナベラルが第一の場所になる可能性もある。SpaceXが最初からフロリダのスペースコースト(ケネディ宇宙センターとケープカナベラル基地周辺)に決めてStarshipを打ち上げようとしなかった理由の1つは、そこではすでに多くのロケット打ち上げが行われており、既存のオペレーションを中断させたくなかったからだと、マスク氏は述べた。

質疑応答のセッションでマスク氏は、最終的にはSpaceXが古い石油プラットフォームを使って現在開発しているような、海上に浮かぶ宇宙港が「おそらく」いくつもできると考えている、と繰り返した。これは、ロケット発射が「かなりうるさい」こと、また混乱を最小限に抑えるために少なくとも「主要都市から20~30マイル(約32〜48キロメートル)」離れたところで発射を行わなければならないことに対処するためだ。このことは、地球を拠点としたポイント・ツー・ポイントの移動にとって重要なことだと同氏は話した。

軌道到達のタイムラインは不明

Starshipに関して次に期待されているのは、何といっても最初の軌道上テスト飛行だ。プロトタイプはすでに(Super Heavy除く)民間旅客機が飛行する高度まで飛んでいるが、地球の大気圏を超えたものはまだない。過去の発言でマスク氏はいつも楽観的なスケジュールを示してきた。例えば2019年9月の最初のStarship情報アップデートで同氏は、6カ月以内に軌道に到達し、2020年中には人を乗せることもできると予想していた。

明白だが、それは実現しなかった。

その代わり、タイムラインは2021年末から2022年1月に、そして現在は3月になる可能性もあるなど絶えず変化しており、マスク氏は実際に軌道テストに成功するいう点に関して「2022年中に軌道に到達すると強く確信している」とだけ発言している。

Starshipアップデートのプレゼンテーションの全容は、下の動画で閲覧できる。

画像クレジット:SpaceX

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

イーロン・マスク氏、Starshipロケットは「規制当局の承認があれば」来月にも最初の軌道打ち上げの準備ができると語る

SpaceX(スペースX)の「Starship(スターシップ)」ロケットは、テキサス州南東部で現在も開発が進められており、発射塔の建設や、宇宙空間に到達した際の動力源となる真空仕様の「Raptor(ラプター)」エンジンの搭載など、重要な要素に大きな進展が見られる。Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、規制当局の承認が得られれば、来月にも初の軌道宇宙飛行を試みる準備ができると述べている。

SpaceXがこの試みを実施するためには、これまでテキサス州ブラウンズビル郊外の開発拠点で行ってきたStarshipのテスト飛行と同様に、米国連邦航空局(FAA)の承認が必要になる。FAAは基本的に、SpaceXが打ち上げ時に何か問題が発生しても最小限のリスクで済むように、必要な安全対策をすべて講じていることの証明を求めている。

Starbase(スターベース)発射塔が完成に近づき、初の軌道飛行に向け、StarshipとSuper Heavyブースターがスタンバイ

SPadre

すべてが順調に進めば、規制当局の承認を得た上で、来月にはStarshipの最初の軌道打上げに向けた準備が整います。

Elon Musk

この開発段階では、それも決して有り得ないというわけではない。SpaceXはすでに開発プログラムの中で、多くのStarship試作機が爆発するのを目にしてきた。だが、SpaceXのテストには、地球の大気圏内における高高度飛行テストや、制御された着陸に向けた宇宙船の降下など、いくつかの成功例もある。

SpaceXの次の大きなマイルストーンは、Starshipとブースター部分の「Super Heavy(スーパー・ヘビー)」のコンボを完全に積み重ねたバージョンを、地球の大気圏を超えて宇宙空間に飛ばすことだ。マスク氏によれば、技術的にはその準備は整っているとのことだが、FAAが最近行った打ち上げライセンス付与に関するパブリックコメントの募集が示唆するところによれば、規制当局の承認が得られるまでには1カ月以上かかる可能性もある。

先週行われたタウンホールミーティングでは、次のステップに進む前にFAAがSpaceXと一緒に検討・対処しなければならない多くの問題を、賛成派と反対派の両方が声をそろえて提起した。しかしながら、FAAはテストを目的とした一時的なライセンスを発行し、進行中の打ち上げ許可を再検討することで、これらの問題の解決を先送りする可能性もある。

画像クレジット:SpaceX

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マスク氏はスペースXの新都市「スターベース」の発電所とロケット燃料に必要な天然ガスをどうやって調達する?

SpaceX(スペースX)が世界最大のロケットのテストを開始する前に、ある環境関連の文書にFAA(米連邦航空局)の承認を得る必要がある。そこに、燃料の調達先についての重要な詳細が欠けていると専門家は指摘する。

FAAは9月、SpaceXのStarship(スターシップ)とSuper Heavy(スーパーヘビー)ロケットのプログラム環境アセスメント(PEA)の草案を発行し、パブリックコメントを募った。Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、スターシップとスーパーヘビーロケットをまもなく軌道に乗せ、その後、火星に送ることを目指している。142ページに及ぶ草案の対象は、マスク氏が新都市「スターベース」の建設を希望しているテキサス州ボカチカにおける、SpaceXの施設での建設と日常業務だ。飛行前のオペレーション、ロケットのテスト、打ち上げと着陸、燃料・水・電気の供給などが含まれる。

新しい前処理システムで、天然ガスを精製・冷却し、スターシップとスーパーヘビーロケット用の液体メタン燃料にする。その上、新しい250メガワットのガス火力発電所向けに、さらに多くのガスが必要となる。この規模の発電所は、通常10万以上の世帯に電気を供給し、コストは数億ドル(数百億円)に上ることもある。PEAはロケットの打ち上げについて大きく取り上げているが、新しい発電所についてはほとんど触れていない。特に、1日に必要な数千万立方フィートのガスが、メキシコ国境近くにあるSpaceXの遠隔施設にどのように運ばれるのかが明らかにされていない。

バーモント大学ロースクールのPat Parenteau(パット・パレントー)教授は「PEAにこのような記述がないのは異例であり、連邦政府の国家環境政策法(NEPA)に違反している可能性があります」という。

「NEPAは、いわゆる『Look-before-You-Leap(跳ぶ前に見よ)』法です」とパレントー教授は話す。「連邦政府の意思決定者に、ある行動が環境に与える影響と、それを回避する方法を知らせるための法律です」。

発電所への天然ガス運搬には一般的にパイプラインを利用する。連邦政府機関の関係者がTechCrunchに語ったところによると、SpaceXは2021年の初め、リオ・グランデ・バレー国立野生生物保護区を通る、今は使用されていない天然ガスパイプラインの再利用について問い合わせてきたそうだ。

「彼らはメタンの輸送に、現在彼らが行っているようにトラックを使うのではなく、パイプラインを再利用したいと考えています」と匿名の関係者は述べた。

しかし、この関係者と州の記録によると、そのパイプラインは2016年に永久に放棄された。その関係者がTechCrunchに語ったところによると、廃止されたパイプラインには現在、テキサス大学リオグランデバレー校のインターネット接続用の光ケーブルが設置されているという。

大規模発電所と定期的なロケット打ち上げの両方を支えるのに十分な天然ガスをトラックで運ぶのは、かなりの大仕事になる。TechCrunchが話を聞いたあるエンジニアによると、毎年タンカーで何千回もの運搬が必要になるという。

2021年初めにブルームバーグが最初に報じたように、SpaceXは自らガスを掘削することに興味があるとさえ表明している。同社は、放置された複数のガス井の所有権をめぐる争いの中で「SpaceXには、輸送やガス市場への販売に依存しない、異なる経済的な動機で天然ガスを利用する独自の能力があります」と記している。

SpaceXがどの方法を選択するかにかかわらず、環境への影響はPEAで開示されるべきだったとパレントー教授はいう。

「メタンは非常に強力な温室効果ガスです。裁判所は、メタンが絡むプロジェクトを誰かが提案する際には、ガス井、パイプライン経由の輸送、ガスが燃やされる下流での影響までを考慮しなければならないとしています」。

スターベースについて調査している環境エンジニアのブログによると、PEAでは、熱酸化装置、アンモニア貯蔵タンク、ガスフレア焼却装置など、ガス発電所やガス処理施設によくある設備についても言及していない。これらはすべて、二酸化炭素排出量や大気汚染など、環境に影響を与える。

FAAは次のような声明を出した。「評価書の草案は、米国家環境政策法など適用される環境関連法令を順守して作成されました」。

SpaceXはコメントの要求に応じなかったが、マスク氏は米国10月7日木曜日に開催されたTesla(テスラ)の株主総会で、同社の化石燃料への依存について触れた。「人々は炭素税がテスラの利益になると言っています」と同氏は発言した。「私は、『それはそうですが、SpaceXには不利です』と言いました」と述べた。そして、大気中のメタンは最終的に二酸化炭素に分解されることを指摘した。「メタンのことはあまり気にしなくていいです」と締めくくった。

ガス発電所の正確な位置は不明だが、広さは約5.4エーカー(約2万2000平方メートル)、高さは最大150フィート(約46メートル)の構造物で、昼夜を問わず1年を通して連続して稼働する。また、PEAによると、小規模(1メガワット)の太陽光発電所もあり、SpaceXはそれを拡張したいと考えている。

同社がガス発電所を必要としているのは、新しい海水淡水化プラントを稼働させるためだ。このプラントでは、打ち上げ時の防音や消火のために、年間数百万ガロン(数百万リットル)もの真水を生産する。また、空気から液体酸素を作るために、大量の電力も必要となる。

適用される連邦規則はNEPAだけではない。パレントー教授と別の専門家によると、250メガワットの発電所は通常、米大気浄化法の下で、重要な新規大気汚染源として認定される。そうなれば、長期にわたる環境審査が別途必要とされる。

「NEPAが制定されてから50年以上が経過しているにもかかわらず、このようなことをする機関があるとは驚きです」とパレントー教授はいう。「誰も気づかないことを期待しているのではないでしょうか」。

11月1日にパブリックコメント期間が終了すると、FAAは最終版のPEAを発行し(安全性に関する発見事項を付す可能性はある)、SpaceXに許可を出すか、あるいは通常は数年を要する、より詳細な環境影響評価書(EIS)を作成する意向を表明する。

最終版PEAがNEPAや大気浄化法の要件を満たしていなければ、地元のコミュニティや環境団体がFAAにEISの作成を求める訴訟を起こし、スターシップの軌道への打ち上げがさらに遅れる可能性がある。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Mark Harris、翻訳:Nariko Mizoguchi

SpaceXの大型ロケット「Super Heavy」と宇宙船「Starship」が初めて合体、全高120mは史上最大

SpaceX(スペースX)は、完全再使用型ロケットシステム「Starship(スターシップ)」の開発において、新たに大きなマイルストーンを達成した。同社は、29基のRaptor(ラプター)ロケットエンジンを全搭載したSuper Heavy(スーパーヘビー)ブースターのプロトタイプの上に、6基のエンジンを搭載したStarship宇宙船本体を設置するスタック試験を完了した。合体した宇宙船は、これまで開発されたロケットの中で最も全高の高い組立式ロケットとなる。

テキサス州南部にあるSpaceXの開発拠点で行われたこのスタッキングは、Starshipシステムを構成する2つの要素が初めて1つになったという点で重要な意味を持つ。これは、次のStarshipプロトタイプをテストミッションで打ち上げる際に使用される構成で、軌道到達が期待されている。

この巨大な複合ロケットシステムは、全高が約400フィート(正確には約390フィート、約119m)に達し、それが乗っている軌道発射台と合わせると、全体で約475フィート(約145m)となり、ギザの大ピラミッド(138.74m)よりも高い(牛久大仏は全高120m)。

スタッキングの実現は目覚ましい成果だが、この状態は長くは続かないはずだ。次のステップは、ロケットシステムの2つの部分を再び分離して、より多くの作業、分析、テストを行い、最終的な軌道飛行打ち上げテストに向けて再組み立てすることになると思われる。

軌道投入の打ち上げテストがいつ行われるかについては、現時点では明らかになっていない。解体、試験、再組み立てには時間がかかるはずだが、同社が年内の実現を目指していることは間違いない。

上のストリームはNASASpaceflightが配信したもの。

【更新】SpaceXのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、Starshipシステムの2つの部分が分離された後の次の作業についての詳細を明らかにした。同氏はツイートの中で、システムの次の課題はStarship宇宙船に最終的な耐熱シールドタイルを追加することであり、この作業は約98%完了していると付け加えた。他にも、ブースターエンジン、地上の推進剤貯蔵タンク、宇宙船のQDアームに熱保護を加えることも今後やるべきことのリストに含まれているという。

もちろん、SpaceXがStarshipを飛行可能な状態にするために越えねばならないハードルはそれだけではない。同社は、米国連邦航空局(FAA)から打ち上げライセンスを取得する必要がある。これは規制当局が環境アセスメントを完了するまで実現できないが、そのプロセスには数ヶ月かかる可能性がある。

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カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXStarshipSuper Heavy宇宙船イーロン・マスク

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

スペースXが初の海上スペースポートを建設中、2022年にStarship打ち上げを予定

SpaceX(スペースX)は、同社初の浮体式スペースポート(宇宙港)プラットフォームの建設をすでに進めており、早ければ2022年に打ち上げを開始する予定だという。SpaceXのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、同社が開発中の再使用型ロケット「Starship(スターシップ)」の浮体式発射・着陸施設に改造するために2021年初めに購入した、石油掘削リグ2基のうちの1つである「Deimos(ダイモス)」の進捗状況についてその詳細を共有した。

SpaceXが2021年1月に購入した2基の掘削リグは、火星の月にちなんで名付けられた2つの浮体式スペースポート「Deimos(ダイモス)」と「Phobos(フォボス)」を建設するためのものだった。これらの港は、Starshipの打ち上げ活動のための海上拠点として機能する。最終的な計画では、Starshipが地球と赤い惑星との間で人と物の両方の輸送を行うことになっているため、このネーミングは適切といえるだろう。

マスク氏とSpaceXはこれまでに、Deimosのようなスペースポートが世界中の主要ハブからアクセスしやすい場所に配置され、北京からニューヨークまで30分程度で移動できるStarshipを使った極超音速ポイントツーポイント飛行の世界的ネットワークを実現するというビジョンを語ってきた。しかしSpaceXはその前にまず、まだ開発中のStarshipとそれに付随するブースター「Super Heavy(スーパーヘビー)」の軌道上での飛行テストを行うことを目指している。

マスク氏は2021年初め、早ければ2021年末には海上プラットフォームからロケットを飛ばし始めることができると語っていた。今回の新しいスケジュールは、当初のバラ色の予想が裏切られたことを示しているが、これは複数企業のCEOである同氏に関しては珍しいことではない。しかし、テキサス州の開発拠点である「Starbase(スターベース)」での高高度の打ち上げ・着陸テストに成功するなど、同社のStarship計画は最近、順調に進んでいる。

SpaceXは現在、StarshipをSuper Heavyの上に載せて初めて飛行させる軌道飛行テストと、試験後にStarshipがハワイ沖で着水した後に回収する準備を進めている。また、次の大きなマイルストーンに向けて、燃焼時間がより長いRaptor(ラプター)エンジンの地上試験を行っている。

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カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXイーロン・マスク火星Super HeavyStarship

画像クレジット:SpaceX

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

スペースXの次世代超大型ロケットブースターが完成間近

SpaceX(スペースX)は、Starship宇宙船を軌道に乗せるための次世代の超大型ロケットブースターSuper Heavyの試作品1号機の「スタッキング」を完了した。Super Heavy高さは約220フィート(約67メートル)で、これはBoeing 747の翼幅とほぼ同じか、あるいはフロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールドにあるシンデレラ城よりも少し高いくらいだ。

ここにはStarshipがないので、あと160フィート(約49メートル)ほど高さが追加される。しかしSuper Heavyは、Starshipと結合されて飛行する前に独自の飛行テストを実施する予定であり、その主な目的はエンジンが実際に燃焼する前に、点火可能な燃料を安定状態に保つために必要な加圧と、極端な温度に燃料タンクが耐えられることを確認することに焦点が当てられる。

Super HeavyはStarshipと同じエンジンを使用している。これはRaptorエンジンで、スペースXはこの次世代ロケットのために新しいエンジンを製造した。最終バージョンには合計28基のRaptorエンジンが搭載されるが、この最初のプロトタイプに搭載されるエンジン数ははるかに少なく、同社CEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、組み立てや輸送の仕組みなどのテストにのみ使用されるため、地上に留まることになると認めた。

マスク氏は次のプロトタイプでは飛行すると述べている。同氏はスケジュールに関しては必ずしも正確ではないが、Starshipの上段ステージ(フィンがついた大きな穀物サイロのような形状のもの)の開発は急速に進んでり、最近のテスト飛行ではほぼ完璧な着陸を達成したようにみえたが、数分後に起きた爆発でプロトタイプの機体は完全に吹き飛んでしまった

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マスク氏がStarshipとSuper Heavyの開発を急いでいるのは、Artemis(アルテミス)計画の一環として将来の有人月面着陸ミッションをNASAに提供するという野心的な目標を持っていることと、2023年までのわずか2年間でStarshipの初の商用観光飛行を計画していることが理由だ。

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タグ:SpaceXSuper Heavyロケット

画像クレジット:Elon Musk

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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter