地名に関するキーワード、場所に依存するキーワードでの集客を行うための考え方


「サイトと地理的なクエリの結び付きを強化する際の考え方」についての質問をいただいたので今回はこれについて答えてみたい。

来店、あるいは訪問型のビジネスにおいては地名に関するキーワードからの集客が非常に重要である。
「品川 歯医者」「横浜 歯医者」といったキーワードだ。

そして、ベニスアップデートによって地域との関連性が高いと考えられるキーワードは、検索しているユーザーの位置によって検索順位が異なるようになったと言われている。
日本ではベニスアップデートが導入されたというGoogleからの公式なインフォメーションはないようだが、実際には順位は異なっている。

例えば「歯医者」というキーワードでは、品川で検索している場合と横浜では自然検索の順位が明らかに異なる。

実際に移動して確かめるのは難しいのだが、地域による検索順位の変化を確認できる(厳密にイコールとは限らないが)。
Googleの検索画面の右上の歯車マークのアイコンをクリックし、「検索設定」「場所」の順でクリックしてやると場所を指定することができる。

出来る限り近隣の歯医者を検索結果に出そうとしていることがよくわかるだろう。

このような地域性のあるキーワードだけではなく同名の法人が複数ある場合、法人の名称を検索すると検索しているユーザーの近隣の法人の検索順位が上になるといったような現象も見られる。
要はGoogleはできる限り検索意図に近い検索結果を返そうとしている結果がこれなのだ。

これらのことからわかるようにSEOにおいては、Webサイトと地域の関連付けをGoogleに対して正しく指し示してやることが重要だということが分かるだろう。
ではどうすればいいのか?というのが今日のお題だ。

基本は、渡辺隆弘氏の【ローカルSEO】[1] ローカルSEOの概要に詳しいのでこちらをご覧いただきたい。

なのでここに載っていないことについて種々私が体験したことについて書いてみよう。

よくある間違いがとにかく地名に関するキーワードを埋め込むという手法である。
建築会社などで「当社施工対象地域」などと称して、全ページに近隣地名を全て埋め込もうとするといったことをやっている会社もある。
それぞれのページにある様々なキーワードと、地域キーワードの掛け合わせで集客しようとする企みだ。
しかしこれはNGである。まずいい結果を生まない。安直にはうまくいかないのである。場合によっては全体の検索順位に対してネガティブな影響を及ぼす。

とは言っても、これはまるっきり無意味というわけでもない。

店舗概要といったページの中に施工対象地域を入れておくといったインフォメーションは悪くない。
これはユーザーにとっても、
「あ、この建築屋さんはうちのところまで来てくれるんだ」
ということが確認できるといった利便性を提供する。
この程度では地域キーワードの掛け合わせで来訪することはなかなか望めないが、やらないよりはマシであり可能性はゼロではない。
要はユーザーのためになる程度にやりましょうということである。

少しズルく考えれば、対象地域を明記した概要のページを充実させて作ればキーワードの掛け合わせパターンが増えるかも知れない。
概要ページといったなおざりにされやすいページについて頑張ってみるのは意味があるかも知れないのだ。

私が考える重要なことそれは

ページの中に地名を必然として入れる

ことだ。

建築会社の事例で言えば、自分の会社が立地する地名については当然のことながら上位に来ることが多いだろう。
しかし、周辺の地名についても上げたい場合は、その地域における施工事例、オープンハウスなどを詳しく書くのである。

もしそのようなコンテンツが作れないのであれば、深追いせず潔くあきらめるのが吉である。
なぜなのか?

自分のWebサイトは該当の地域キーワードで上がる意味が見出せないからだ。

上位に表示されるサイトには上位に表示するべき意味がなければならない。
なので、もし様々な地域キーワードで上位に表示したいと願うのであれば、実ビジネスにおいて何らかのアピールポイントが必要なのだ。
バーチャルオフィスを借りてそこを支店として記載するといった裏技もあるが、これがばれたらブランディングを損なうのでそんなことはすべきではない。

あくまでも該当地域に住んでいるユーザーにとって、Webサイトに訪問する意味がなければならないのである。

SEO担当者を自社で採用すべきかしないべきかの指針について


今回のテーマであるが会社の方針として難しい問題について考えてみたい。

SEO担当者を自社で採用すべきか?

という問題である。
実はこのブログのネタというのは、社内外の人や掲示板などで受けた質問に答えてというところから取っているケースが多い。
自分が簡単に答えられる質問もあるのだが、ちょっと考えてしまったりするような質問もある。
そのような質問で「これはいい質問だわ」と思うとブログに書くといったわけだ。

今回の質問は「どうやったらいいSEO担当者を採用できるのでしょうか?」

という質問だったのだが、その質問には前提を疑う必要があった。
そもそもSEO担当者を採用すべきか?という観点から考えられなければならない。
こっちの質問がむしろ重要である。

「ほとんどの会社においてSEOの担当者は不要である」

からである。SEOの担当者が絶対的に必要な会社というのは非常に少ない。

業種から言うと絶対必要な会社というのはSEO業者、あるいはWebの集客のコンサルティング会社ぐらいのものである。
これまあ当然すぎるほど当然なので、ほとんどの会社はそもそもSEO担当者が必要かをよく吟味しなければならない。

SEOがビジネス上重要であったとしても何故SEO担当者が不要なのか?
前提としてはWebサイトが重要であり、SEOに取り組まねばならない会社であったとする。その中において担当者が不要だというケースについて列挙してみたほうが早そうな感じなので、不要なケースについて書いてみよう。

1.Webサイトを数多く所有しているわけではない

SEOの知識がサイト運営において必要な場面は非常に少ない。
担当者が主に活躍するのはサイトの開設時、リニューアル時である。
そんな局面においても、一つのサイトについて多大な時間が必要なわけでもない。

せいぜい数十時間、いや数十時間もかかることはごくごくまれだろう。

普段の仕事としてはウェブマスターツールで被リンクを定期的にダウンロードしてチェックしたり、クローリングできているか確認したり、といったような業務になる。
こんな仕事は1日平均20分ぐらいあればだいたい事足りる。
コンテンツの増強計画をアクセス解析などを元に作るといった業務もあるが、そんなしょっちゅうやるものでもない。

だから、2・3サイト持っているというぐらいならば、SEO専任の担当者は要らない(兼任だったらいたほうがいい)。

2.SEOについての社内のコンセンサスが得られていない

実はこれが重要だったりする。
SEOはビジネス的なメリットが出るかどうかが不確実なマーケティング手法である。
これをやったことによって、どれだけの利益が得られるのか?についてを常に問われる組織においてSEOは向いていない。
SEOは確実な正解はあるが、その施策を行ったとしても結果が出るかはやってみなければわからないからだ。
費用対効果が明確なのはリスティングといった広告である。
もし、費用対効果を明確にするのであればリスティングに取り組んだ方がよいだろう。

3.担当者に短期的な結果が求められる

短期的な結果が求められるSEO担当者は不幸である。
あまりにも性急に結果が求められるならば、被リンクを買う、あるいは自分で人工リンクするしか選択肢がなくなる。
そのような場合にはペナルティの危険を伴い、逆効果になるかもしれない。
短期的な結果を出すならばこれまたリスティングがよい。

4.社内に協力体制がない

SEOを行うためにはサイトの改修ができなければならない。
しかし、改修するにあたって様々な障壁があることが多い。
ある時は改修コストであり、またある時は改修するための担当者のスキルや手間、あと面倒なのが部門間の調整といった政治がらみだ。
コストや手間がかけられない、様々な部門間の調整があり変更ができない、あるいはとても困難というWebサイトにとってSEOは適用が困難である。

手足を縛った状態で「自由に泳いでみろ」と言われても困るだろう。

SEO担当者というものは単独では無力なものである。
コーダー、コンテンツ作成者といった諸担当者のサポートがあって初めて機能する。
協力体制がないSEO担当者程悲惨なものはない。
また、担当者は悲惨であるし、Webサイト自体に何の益ももたらさないであろう。

5.適任者がいない

SEO担当者は知識は当然前提として必要だ。
それにプラスして向学心と探求心が必要である。
サイトの繁栄を自らのこととして受け止める主体性が必要で、受け身ではとても成功はおぼつかない。
適任者がいないのであれば、無理に誰かを担当にしてもうまくいかない。


以上の状況であれば、SEO担当者を置くのではなく、状況を整える、あるいは外部コンサルタントにスポットで依頼するのが現実的には有効であろうと思うわけである。

上記の状況は多いというか、ほとんどが上記の状況に当てはまってしまう。
ほとんどのWebサイトにとって外部コンサルタントを依頼するのが吉ということになる、というのが結論ということになりそうだ。


SEO小説を電子書籍として再編集してみました。
SEOについてある程度詳しい人であれば、

「これってあるある。」

っていう感じで笑えたり、笑えなかったり、嫌なことを思い出して腹が立ったりする小説集であったりします。
このブログで書いた小説ではあるのですが、脚注など加筆したりしていますので気が向いた方は是非ご購入くださいませ。
あと、感想文などお寄せ下さると作者が喜びます。

Web制作者のためのSEOスキル・考慮事項など5つの質問


最近「ネタ切れです」という話をしたところ、Webutubutu!を運営している稲垣氏からネタを頂戴したのである。
稲垣氏には残念ながらお会いしたことはないのだがWebデザイナーの方である。

ブログを時々読んでいるが、SEOに対する判断・見識においてその辺のナンチャッテSEOコンサルタントなど及びもつかないと思っている。
(自分がナンチャッテであることを自覚していない、あるいはポジショントークをするコンサルタントは非常に有害である)

さて、稲垣氏の質問は色々な人の役に立ちそうな気がするので答えてみることにする。
いただいたネタは以下の通り。

  1. 制作はこれだけは抑えとけというSEOスキル
  2. 新規サイトではこれだけはやっとけというSEO的な設定
  3. 「サイトの順位が落ちたのはなぜ?」と制作が聞かれた際にどこを見てどう判断すればよいのかマニュアル
  4. サイトと地理的なクエリの結び付きを強化する際の考え方
  5. SEOを意識して内部に手を入れた際に効果を見るための期間と見方

これらはなかなか制作側からすると知りたいところだろう。

第1問目
制作はこれだけは抑えとけというSEOスキル

これは大昔に書いたことがあった。2011年10月の記事なのでもう誰も覚えていないだろう。
今読み返してみたが古くなっていなかったので、これを載せておくのだ。
ホームページ制作会社に必要な11項目のSEO知識

第2問目
新規サイトではこれだけはやっとけというSEO的な設定

これは結構難しい質問である。
サイトの規模にもよるし、サイトの性質によっても変わってくる。

Web担当者Forumの2011年12月の記事「サイトを新設する際のSEOチェックリスト #1 アクセス性・キーワード・コンテンツ」これが近いだろう。内容的には悪くないと思うのだが、今一つピンと来ない感じがするし、不必要な場合が多い項目もある。
他にもサイト開設時のSEOのチェックリスト的な記事はたくさんあったが、内容が古かったり間違いと思える項目があったりして今一つお勧めできる記事が見つからなかった。
そういったわけで、再度記事にしてみたい。ってなわけでもう一回ブログが書けるのである。稲垣氏に感謝である。

第3問目
「サイトの順位が落ちたのはなぜ?」と制作が聞かれた際にどこを見てどう判断すればよいのかマニュアル

1.ペナルティで下がっている場合と、そうでない場合がある。
2.特定のキーワードが下がっている場合と、全体的に下がっている場合もある。
3.一時的な場合と、長期間にわたって下がっている場合もある。

といった感じで場合分けして考える必要があるだろう。

1.ペナルティで下がっているのであれば、ペナルティの要因を取り除くことで回復が可能だ。

ペナルティかどうかは以前に、

Googleペナルティ判定フローチャート

という記事を書いた。
これで全て判定できるとは限らないのだが、かなりこれで判定できるだろう。
ペナルティになってしまった場合は、ユーザー視点で考えてみて無意味あるいは有害であり、検索エンジンからの集客のためにやったことを解消すればよい。
ほとんどのケースであれば、この手のことは自分自身が何をやったかわかっているはずなのでそこを直せばよい。

2.特定のキーワードだけが下がっているケースはアンカー過剰といったケースが多い。

しかし、アンカーテキストは検索順位に大きな意味を持つということを知ると、ついやりがちなのでそのあたりを改善する。
また、品質の低い外部リンクにによってこの問題が起こることがよくある。
その場合リンクを外すといった対応が必要になる。

但し、特定のキーワードで下がってしまっても、自然検索経由全体で見たときの来訪者数はほとんど変化がない時もある。
この場合は、特に対応はする必要はないケースが多い。
何もなくても順位は大きく上下するものなのである。

全体的に下がっている場合は対応が非常に難しい。

何か大きなネガティブな要因があって下がっている場合は、canonicalタグといった検索エンジンに対する指示のタグが間違ってしまっているといった人為的ミス、全体的にコンテンツが薄いといった要因などが考えられる。
コンテンツが薄いと検索エンジンから判断されたような場合は、実際には薄くない場合もあり判断が難しい。

要因がたくさんあり、正直私も分からないケースもある。理由がないとしか言いようのない場合もある。
このケースについてはとてもとても難しいのだが、これまでの知見について後日まとめてみたい。

第4問目
サイトと地理的なクエリの結び付きを強化する際の考え方

これは所在地を会社概要などに入れるのはもちろんのことなのだが、その近隣地域での様々な活動をコンテンツとして残すのがよいというのが私の経験則である。

原理的に言ってもそれが正しそうだが、実際にこれをやってみると地名系のキーワードで上がるだけではないようだ。

検索クエリによっては地域によって検索順位が変わることもある。
このような施策により該当する特定の地域で検索した場合の検索順位が上昇するケースを見たこともある。

第5問目
SEOを意識して内部に手を入れた際に効果を見るための期間と見方

これはなかなかに難問だ。
手を入れる度合いによりけりである。
確実によいと思えることでも全く効果が出ない(わからない)場合もある。
例えば、今までh1が設定されていなかったページについて表題をh1にして、h1にキーワードが含まれていたとしても順位が上がるかどうかはやってみなければわからない。
このようなケースであれば、正解であったとしても効果がわからない可能性が高い。

また、色々な施策を行った場合にどれが効果を生み出したのか?
複合的な要因によって効果が上がったかもしれない。

逆に良いはずのことをしても順位が下がる場合もある。
何もしなくても順位が下がる場合もよくあるが、何かの変更を行ったタイミングでたまたま自然的に順位の下落が発生すると、その施策が悪かったと思ってしまうかもしれない。

といったように難しいのだ。

とは言え、SEOの観点から望ましいことをすれば基本的には順位は上昇する可能性が高い。
評価は最低1週間、通常は1ヶ月程度は様子を見る必要があるだろう。

それ以上待っても順位が上がらなければ、その修正は順位上昇に寄与しない可能性が高いと考えてよさそうだ。


さて、今回は5問の質問について書いてみたわけだが、難問だったという印象である。

とは言え、私としても考えるきっかけができたし、また記事のネタができたのでとてもよかったと思っている。
また、続報として個別の問いについて答える記事を書きたいと考えているので、これからもお付き合いの程お願いいたします。

こんなSEO業者に勤めているなら退職することをお勧めしたい


役に立つというわけではないのだが好きなSEOのブログにSEO日記 一喜一憂 (仮題)というブログがある。

SEO業者に勤めるってことがどんなことか?

ということがよくわかるブログである。

SEO会社を辞めました。

という記事があるが、なかなか本当に実感がこもったいい記事である。

最後にクライアントとそのような会社に勤務している社員に対するアドバイスが載っているが、

契約をする時は契約書と規約をしっかり読んで、分からない事は全部営業に確認して、出来るなら全て録音して下さい。
中で頑張ってる人は、その頑張りが会社の外からどう評価されるのか?を考えて行動する事をお勧めします。
これを読んだ同じ境遇の人が少しでも救われるといいな。

結局はこのブロガーの方はSEO会社を辞めて転職したというわけなのだが、私もこれは正解だと思う。

といったわけで、こんな会社なら辞めた方がいいと思うSEO業者の条件について書いてみたい。

石の上にも三年という言葉があるが、大体の職業にこれは当てはまる。
しかし、とっとと離脱すべきという仕事がこの世の中には存在する。

学校を卒業して最初に入った会社が振り込め詐欺をやっていたとする。

でも、

「世間ではあれこれ言われているけど、私たちのやっていることは社会の正義なんですよ。
金をため込んでいる老人たちからお金を回して、経済を活性化しているんです。だから頑張ってくださいね。」

といったことを連日言われていると、だんだんそれに慣らされていく。
良し悪しの判断ができなくなるはずなのだ。

私はこの種の犯罪組織に所属している人達の全てが、悪しき動機に基づいてやっているのではないと考えている。
最初は生活のためといった理由で良心の呵責を感じながらやっているうちに、徐々に慣れてしまっていく過程があると思うのだ。

悪徳SEO業者もこれに似ている。

生活のためにその仕事をやっているうちに、良心を忘れる、あるいは慣れるのだろう。

ちょっと前の話であるが、私の知り合いの会社がSEOのテレアポの営業を受けたのだ。
その知り合いの会社はSEOのこととかよくわからないので、私に話を回してきたのである。

私はテレアポの担当者と話をしたのだが、よくよく話をしてみると結局はリースでSEOを売りつけるといった内容だった。
いまだにそれをやっている業者があるのか?
とたまげたのだが、そのテレアポの営業をしている担当者と話をしていたら、非常にSEOに詳しく正しい知識を持っていることに驚いたのだ。

多分まだ20代の女性だと思われるのだが、大したものだと思ったのである。

「すごいお詳しいですね。なのに何でSEOをリースで売りつけるような会社に勤めているんですか?」

と率直に聞いてみたのだ。
それに対しては返答しないで、テレアポを打ち切るモードに入ってしまった。
とても残念である。

まあ、そんなこともあったのでこんな記事を書きたくもなったのだ。

さて、やっと本題に入るのだ。

「こんなSEO業者に勤めているなら退職するべき」という私の考える条件だ。

1.顧客のことを考えて営業しているか?

最も重要なことはこれに尽きる。
もちろん全ての会社は営利企業であって、自社では利益を取らねばならない。
しかし、顧客の利益にならないことをやってはならないということは自明である。

悪徳SEO業者というものは顧客の利益を無視しているから悪徳なのである。

もし、

「今こんな仕事をしていていいのだろうか?」

と疑問を持ちながら日々を過ごしているのであれば、この点を問うべきである。

2.自分のスキル向上につながるか

現在は食えている商売であっても10年後は食えないであろう仕事はたくさんあるはずだ。
その中で、SEOは食えなくなる仕事になる可能性が非常に高い。

SEOのテクニカルな面だけを担当する仕事ではつぶしが効かなくなる。
ビジネスに深く入り込んで一緒に作り上げるといった仕事をしていかないと、いずれ通用しなくなるだろう。

または、休日、休暇がきちんと取れ、勉強する・見聞を広げるといったことができる環境が必要だ。

言い換えれば、SEOだけではいずれ食えなくなるから、そのために備えることができるかできないか?なのである。


条件に付いて2つ書いてみた。
普通に休日出勤で、夜も徹夜、顧客のことは無視といった、両方を満たすSEO業者もあるようだ。

だからと言って今すぐ辞めると生活が成り立たなくなるだろう。
ならどうすればいいか?

ソーシャルネットワークなどで人脈を作っておくのが私はいいと思う。

SEO関係者は同業者同士ソーシャルネットワークで盛んに交流しているので、転職先を見つけることもできるかも知れない。
また、日々のやり取りのなかで自然にスキルアップできる。
そして重要なこと、

自分の会社の常識が世間の常識ではない

ということを常に意識することができる。
この視点は忘れてはならないと思うのである。

SEOの考慮が正しくできたショッピングカートのシステムはあるか


結論から言うと、

「ない」

のである。
ひょっとして私が無知なだけですでにあるのであれば教えて欲しい。
ブログで宣伝させてもらうので、連絡いただけたら幸いである。
このサイトからリンクするので、少しは被リンクの効果があるかも知れないし、また多少なりとも宣伝の効果もあるかも知れない。

私としては中小零細企業の販促のお手伝いをさせていただいているのだが、その中で前からとても困った課題に直面している。
それは、

「SEOの考慮が正しくできたショッピングカートのシステムがないことである」

中小零細小売店は大手のECモールに参加していることがほとんどなのだが、これはいわば鵜飼のようなシステムだ。
ひとたび参加すると離脱できない。
条件を決められて不満であっても、店舗側からはどうする術もない。

大手のECモールは徐々に条件を悪くしているが、それでも離脱することができないので泣く泣くそのままやるしかないのだ。

私は大手のECモールがあることを否定しているわけではない。
消費者から見た時には大きな利便性がある。
また店舗側からも全く自前のインフラやノウハウがなくてもECを始めることができるのはメリットだ。

最初はいいかも知れない。

しかし、

料率が高く粗利益を圧迫する。
顧客の名簿が自店の財産にならない。
購入した人に自店の存在を覚えさせることが難しい。

といったデメリットが長期にわたって継続するにつれて顕在化する。

なので、完全に離脱できないとしても、独自サイトへ徐々にシフトしたいと考えるのはごく自然な流れである。
しかし、これが難しい。

大企業はではどうしているのか?
自社で独自のシステムを開発して営業しているのが普通だ。

この手の決済や在庫管理を伴うシステムは開発規模が大きくなるのが普通で、少なく見積もっても1千万円に近いほうの数百万はかかってしまう。
大手の場合であれば、数千万円、数億円といった投資になることもある。

こんな規模の投資ができない中小零細企業は、永遠に依存し続けなければならないのか?

選択肢は二つある。

1.EC-Cubeといったシステムを使って自社で運用する。

これは金銭的な負担は少ないものの技術的に非常に難しい。
中小零細企業がおいそれとできるようなものではない。
まったくインフラ知識がないような商店主ができるようなものでは全くない。

PHPをちょろちょろ触って何とかなるWordPressなんかと違う。
商品数が増えてきたときに実用に耐えるだけのパフォーマンスを出すためには、データベースやサーバの知識が必要になってくる。

システムのアップデートも非常に難しく、プラグインが動かなくなるといったことも発生する。
そんな時にもサポートしてくれるベンダーがほとんどない。
技術力がないとどうにもならないと言ってもいい。

2.ショッピングカートを使って移行する

一般的に取りうる選択肢はこちらしかない。
この選択肢においてはECモールと違い、集客は自ら行わねばならない。

SEOへの十分な考慮が死活的に重要なのだ。

私が調べた限りにおいてこれができているショッピングカートはない。
現在サービスを提供しているほぼすべてのショッピングカートが、

SEO対応

をうたっているが充分とは全く言えない。ここで言うSEO対応というのは、titleタグやmetaタグが編集できるといった程度のものである。
こんなことはできて当たり前で、ECサイトに求められるSEOはもっと様々な考慮が求められる。
SEOのコンサルタントとして高名な某氏とゆっくり話をする機会があったので、そのあたりを聞いてみたのだがやはり彼も、

「ちゃんとSEOの考慮ができてるショッピングカートはないね。」

という見解だった。

私の考えるショッピングカートで最小限必要と考える機能を上げておこう。
これはあくまで十分なものではなく、必要最小限として思いつく限りだ。
だが、この程度を満たしているものがないのが残念である。

  1. ECモールとの在庫連動
    これがないと集客以前に話にならない。
  2. ブログ機能
    WordPressやMTといった充実した機能を持つCMSを同一ドメインで動かすことができる。
    これがSEOのキモとなる部分なのだが、これが非常に難しい。
  3. noindex・nofollow対応
    商品画像のポップアップといった検索エンジンから見て意味のないページへのリンクをnofollowにしたり、ページそのものをnoindexにできる。
  4. 類似ページ正規化
    単に色違いであるだけといったページについてcanonicalで正規化する、あるいは代表的なページ以外をnoindexにすることができる。
  5. 同一コンテンツ別URLの生成への考慮
    商品一覧を見たときに1ページ目は、
    /item/
    で、2ページ目を見た時には、
    /item/page2/
    それで1ページ目に戻ってきたときに、
    /item/page1/
    となってしまうようであれば駄目である。完全に同一の内容であるにもかかわらず2つのURLが生成されるのはNGだ。
  6. sitemapの生成
    これは人間が見るsitemap.htmlと検索エンジンが見るsitemap.xmlの2つだ。

特に1.2.が死活的に重要、他も重要である。

私はかつてこのようは要件を満たすショッピングカートがないかECのソリューションの展示会を見に行って、ブースの担当者に聞いてみたことがある。
でもやはりできないという見解。

ある担当者は、

「できるんですよ。でもどこもやらないのはコストがかかるからですよ。」

といったSEOおたくは全くやだねえみたいな態度であった。
おたくどころの話ではない。
この程度ができず何がSEO対応なのだかちっともわからない。
SEOのイロハのイであって、これができていないというのは不勉強だからであり怠慢であると私は思う。

多くの中小零細企業は困っているのだ。

この記事を読んだら是非取り組んでいただきたいと思う次第なのである。

良いSEOと悪いSEOの見分けるための考え方


最近スパムSEOづいている感じである。

当ブログであるが、

「悪徳SEO業者」なんてしょーもないキーワードで上位表示されたり、
はたまた、
「SEO業者」なんてそこそこビッグキーワードで10位以内に2URLも表示されたり、

当ブログはSEO業者でもなければ、ましてや「悪徳SEO業者」などでも全くないので、まあ、面白いやら、面白いやらって感じである。

「SEO業者」って記事で上位表示している記事であるが、もし広告枠を提供したら買ってくれる業者っているだろうか?D社とか?
まあ、多分売らない気がするが、まあ金額によっては考えますのでよろしくお願いします(って結局金目かよ)。

何でまたスパムSEOの記事を書こうと思い立ったかというと、Web担で鈴木さんに紹介してもらったからブログ記事を書き始めるにあたってちょっと過去記事を眺めたりしていると、そこから着想を得て記事のネタを考えついたりするのである。
それで、最近はスパムSEOのことをばかりを書いているので、そこからまた着想を得てしまうという悪循環なのだ。

さて、どうでもいい前置きが長くなってしまった。

プラス、もしくはマイナスに作用するSEOの考え方だ。

さてなぜSEOスパムはだめなのか?

当たり前のことなのだが、検索エンジンは常に利用者にとって最も最適な検索結果を表示させるように努力し続けている。
それに逆らう行為だからだ。
言うまでもなく当たり前なのだが、この理をよく考えて体得すれば、

  • マイナスになる可能性のあるSEOとは何かを理解することができる
  • 検索エンジンを介してもっと集客することができるようになる

というメリットがある。

マイナスな可能性のあるSEOとは検索エンジンの意向に反すること、言い換えれば検索エンジンを通じてその先にいる人達にとって不利益をもたらすことである。

サイトのリニューアルのためのページ遷移図やワイヤーフレームを主にSEO的な観点からチェックしていると、高い確率でユーザーの利便性と一致していることに気がつく。
ユーザーの利便性とSEOが相反することはあるのだが、そんなケースではSEOについては無視してしまってもさほど問題ないことが多い。

でも大きな例外はある。
この例外の見分け方は、人間が見ているものと同じものを検索エンジンが見ることができるかどうか?で考えればだいたい間違いありませぬ。
AjaxとかFlashとかは検索エンジンが見られないので駄目である。
人間が見られるものと同じものを検索エンジンが見られるようにしておけば、あとは人間が判断するのとおなじように検索エンジンはそれなりによきに計らってくれる(だろう)。

さて、マイナスになるSEOの考え方であるが、どのユーザーにとっても得にならない施策のことだ。
これは前回の記事でもも書いたとおり。

では逆によいSEOとは何であろうか?

SEOとは最近コンテンツを作ることっていうような風潮はあるがこれは誤りである。
良いコンテンツを作るのはSEO以前の前提であって当たり前のことだ。

SEOというのは検索エンジン最適化と言われるように、検索エンジンに対して働きかける技術を指す。
SEOとコンテンツ作成は相互に関連しつつも概念としては別のレイヤーに存在するものだ。

  1. 誰かに見せるべきコンテンツを作る。
  2. コンテンツが見せるべき誰かの検索結果に露出するように配慮する。

このような順番があり、2の配慮を行うことをSEOという。
見せるべきコンテンツが存在していたとしても、検索結果に全く表示されなければ意味がない。
コンテンツ作成とSEOは両輪である。

現在の「コンテンツを作ることイコールSEO」であるという誤解はではなぜ生じたのだろうか?

Googleはいいコンテンツさえ作っていればそれに応じてしかるべき順位まで上げてくれるはず、だから取り立ててSEOなんかしなくてもいいコンテンツさえ作ればいいのだ。
という考え方を持つ人が増えているわけだ。

まあ、これは正しいといえば正しいのだが、あくまでそれは原則に過ぎない。

Googleはそうでありたいとつとめているのだが、未だにそのアルゴリズムには到達できてない。
だから、重要な価値のあるコンテンツであっても、それに応じた価値があると認識できないケースが往々にしてある。

コンテンツの価値が相応に評価されないことが多いのである。

コンテンツの価値を相応に評価させるための技術それがSEOだ。
当面SEOはなくなることない。

あなたの伝えたいことを充分に伝えられるコンテンツを作り、SEOを行うことではじめてあなたの伝えるべきことは世の中に伝わる。

両方必要なのだ。SEOが要らないは誤解である。

これでお分かりいただけただろうか?

最後に一言。

こう考えると、しょーもないペラページを無理やり上位表示させるっていうのはSEO以前に間違いである。
コンテンツの価値がそもそもないし、価値がないコンテンツを価値があると誤認させるのは、SEOではない。それは最適化とは言わない。

この手のペラページをGoogleとしてはわざわざデータベースに蓄積し、膨大な順位計算をCPUパワーを使ってロジックを回して、挙句の果てにはユーザーの利便性を損なわせたりする。
Googleからすると踏んだり蹴ったりである。

最近、大量にペラページを作って収益を上げていたサイトが軒並み落とされている。

まあ、当たり前である。
いずれそうなるのは運命だ。

スパムSEOで生きているのであれば今から別の商売を探すか、ちゃんとしたサイトを作った方がいいだろう。

人工リンクだけではないスパムSEO業者の手法


最近はSEO業者の話題を続けて書いているのだが、また今回もそれ系の話題である。
マンネリのようなのだがスパムSEO業者からのテレアポを受けて色々思うことがあったので、また書いてみたいと思った次第なのだ。

私がSEO施策を担当しているサイトがあり、電話番号を会社案内に明示している。
そのサイトはSEOとは全く無関係の業種であるため、Webの販促に関する営業電話は実によくかかってくる。

基本的にはよほど忙しくない限り営業電話は話を聞くことにしている。
営業電話は会社に居ながらにして向こうから情報を持ってきてくれるという面があるため、

「なるほどね」
「お、そんな手法があるもんか」
「こんなビジネスモデルがあるのか」

といった発見があることも時々ある。
私が担当しているプロジェクトは比較的予算があるので、テレアポから契約したようなケースも時々ある。

テレアポは迷惑なのだが、販促手法としては今後もなくならないはずだ。
テレアポにはテレアポにしかない有用性が二つある。

  1. テレアポでしか掘り起こせない潜在的顧客層は非常に大きい。
    会社のオーナーは誰しも売上アップを願っているが、売上をアップさせるための情報を能動的に探すことはまずない。
    売上を上げるためのソリューションを提案するためには、テレアポはいい方法と言える(あくまで売る側の立場として)。余りにも誰もが願っているにも関わらず、当たり前になっているようなことはテレアポといったプッシュ型でアプローチするのがよいのだ。
    Webの販促手法の中ではディスプレイネットワークやソーシャルメディアといった方法もあるが、まあテレアポほど説明はできないという欠点はある。
    SEOの営業がテレアポ頼みという会社が多いのはこれが理由であったりする。SEOなんて超ビッグキーワードだけど、運よくこんなキーワードで上位表示されたとしても検索数はたいしたことないし。
    ・・・でも個人的にはでもこの手のテレアポは不要なのでご遠慮願いたい。
  2. 今現在世の中で認知されていないサービスを売るため。
    テレアポみたいにゴリゴリっとアプローチしないと難しいだろう。
    この種のテレアポは時間を取って聴くことにしている。ビジネスのヒントになることもあるし、あるいは実際に契約してサービスの提供を受けることもある。
    「自分の話をきいてくれないとあなたは損をするから絶対聞いてほしい」って心の底から思っているのであれば、テレアポで売るのもそれほど悪くないと思う。

さて、横道にそれたので戻ろう。

スパムSEOの営業である。

「うちのSEOはスパムじゃありません。」

と電話の担当者は言っていた。

「うちは社内でSEOしているんで・・・」

と答えたら、腹の立つことに、

「御社のサイトを見ているんですけど、うちの方がレベル高いと思いますよ。」

って何をぬかすかスパムSEO業者!
余りにも腹が立ったので、アポを取らせて事務所に呼ぶことにした。
待ち構えていたのだが、結局アポをすっぽかして来なかったというオチである。

提案内容はこの業者の設置したブログシステムで記事を書くと、ブログのタイトルの中に地域名が設定した地名がランダムに自動的に入り、地域名との掛け合わせで集客できるという手法だそうな。

これがなぜスパムなのか理解できないならばSEOをやめた方がいいと私は思う。

地名と記事中のキーワードの掛け合わせでそのページに来訪したユーザーに対して、検索意図に合致したコンテンツを見せようとしていないからである。
地名との掛け合わせで来訪したユーザーに対して、必要な情報を何も提供していない。
こんなSEO(もどき)は単なるだましであって、こんな子供だましがレベルが高いって勘違いしているのは、笑えすぎてはらわたがよじれるようだ。

まあ、それだけではなくてほかの業者も、色々・・・

「うちは被リンクは使わずに内部で上げるんです。」

って言ってもスパムではないと思ってはいけない。
トップページの上部にiframeっぽい領域をCSSで作って、

「この中に検索キーワードを含む文章を毎日入れていくことで、更新頻度を上げ、キーワード比率を高めることでビッグキーワードで上位表示されるようにします。」

ってトークも聞いた。
この業者は月額料金は安いモノの

「12か月分料金前払い」

ってどんな嫌がらせですか?という感じである。
iframeみたいなつくりだから大量の文章を埋め込んでもユーザーは見えないから問題なかろうって発想が隠しテキストと一緒である。
スクロールすればユーザーは読めるから隠しテキストではないのだが、

「検索エンジンにだけ見せよう」

というよこしまな発想方法が隠しテキストと一緒である。
これは確かに即座にペナルティになることはないだろうが、いずれペナルティを食らう可能性がある。
HTMLのソースが上部から徐々に肥大化するので、領域の下部にあるリンクへクローラーが巡回しにくくなったり、本来ヒットすべきトップページの下部に含まれているテキストでの検索順位が下がったりといったように、全体的なファインダビリティが減少する可能性も出てくる。

これらは一例であるが、スパムSEO業者はたいていこう言うのである。

「私達の施策はスパムではありません」

このスパムではないという根拠は、

「人工被リンクではないから」

という一点に尽きる。
人工被リンク以外でもGoogleのガイドラインに明確に書かれていないスパムは無数に存在する。

では、これをどうやって見分ければいいのか?

その施策をやったら得をするユーザーがいるのか?

を考えてみればいい。
誰も得をする人がいないが、検索エンジンからの集客を増やすことを狙うといった施策はスパムを疑わなければならない。

※クローラーに対してやさしいサイトを作るといった検索エンジンに対する配慮は、直接人間には関係ないが検索エンジンもユーザーである。
検索エンジンがよりページやサイトの内容を理解できるようするのはSEOの基本であり、まったくもって正しい。

内部施策とはユーザーの役に立つコンテンツを作ること、もしくは検索エンジンに理解させやすくすることしかない。
それ以外はスパムを疑わなければならない。

こう考えれば有用な施策と無用、あるいは有害な施策を見分けることができるだろう。

悪徳SEO業者はこうしてつぶれた


SEO業者はこうして会社をつぶしたの続編なのである。
SEO業者をテーマとした小説がちょっとばかり好評なので、調子に乗って3回目なのだ。
前作を読まなくても分かるようにはなっているが、読んでいないのであれば読むことを推奨である。

ちなみに今回は最長、8900文字もあるので、こちらのPDFファイルで読んでもらった方が楽かもしれない。
半沢直樹シリーズみたいって言われるかもしれないが、まさしくその通りである。実際に最新作の銀翼のイカロスを読んで熱くなってしまったので影響があることは間違いない。
筆力の違いはいかんともしがたいが、私なりにあれを書こうとしたらこうなったってことである。


私の勤めていた榎戸商会という会社は2年ほど前に倒産した。

SEO業者に施策を依頼したECサイトがペナルティになってしまい、検索経由での売上がほぼなくなってしまった。
それだけではなく同じ業者からFacebookのいいね!を購入していたことが、ソーシャルメディア上で拡散してしまいこれまでのファンからの信頼も失ってしまったのだ。

私はSEO業者に施策を依頼することも、いいね!を人為的に集めることにも反対だった。
しかし、社長であった榎本氏がSEO業者のセールストークを完全に信用してしまい業者にいいようにやられてしまった。

私がもしあの時もっと強く反対していればと悔やまれてならない。業者の言うことに対して反論する程SEOについての知識がなかったのだ。

事務所兼、靴下を作る工場兼、社長の自宅には社長の家族も住んでいた。
まだ小学生の娘は私にもよくなついていて、学校から帰ってくるとビーズ細工などをして遊んだり一緒に一泊旅行に行ったりもした。

家族はECサイトを畳んだ時に自宅を引き払い、山梨で社長の兄がやっている蕎麦屋を手伝うことにしたらしい。
社長の兄というのは非常にケチな人物らしく、社長は昔から嫌っていたらしいのだが食っていけないのだから是非もない。

そんな兄のところに身を寄せている家族のことを思うと、もう少し自分がしっかりしていればと悔やまれてならない。

1年が経った。
私は年商20億円ぐらいのECショップを運営している飯倉株式会社という会社に転職した。
自分では零細ショップでの経験などとるに足らないものだと思っていたのだが、経験を評価してもらって採用してもらえたのだ。

「ゼロから立ち上げて黒字化したのは大したものですよ。」

そう言われたのだが、やることをやっただけのつもりだったので褒められているのか、お世辞なのか、皮肉なのかよくわからなかったぐらいである。

今回も新しい商材のECサイトを任された。

スポーツ自転車に乗る人向けの自転車用品の専門の販売サイトだ。

最初は自転車に全く興味がなかったので自信がなかった。

まずはユーザの気持ちを知るところから始めなければと考え、この金額でも初心者向けということに驚いたものの20万円程のスポーツ自転車を買った。

最初は30kmぐらいしか乗れなかったが、徐々に距離を伸ばしていき週末の度に150kmぐらい乗れるようになった。
1ユーザとして自転車に向き合っているうちに、一つ一つの商材を買うユーザの心情をつかむことができるようになるのを感じた。

最初は運営のコツがわからず苦戦したがものの、始めて2か月程で手ごたえをつかみ半年後には月商900万を超え、1000万をうかがうまでに成長した。
リスティングやアフィリエイト広告に使うための広告予算も比較的潤沢にあったため、軌道に乗せるのは割と簡単だったように思う。

毎日ブログを書いたし、週明けはツーリング日誌と称して走ったコースなどをレポートし、
ソーシャルメディアを運用して固定客のつながりを強めたり、いちゃもんとも思えるようなクレームに対しても真摯に対応し、
アフィリエイターの提携申請に対しては休みの日であったとしても必ずその日のうちに処理を行ったし、全てのサイトを実際に見た上でお礼のメールを出し、
SEOについても会社で売っている商品を販売するアフィリエイトサイトを自分で運営して、毎日実践したりしながら知見をつかんでいったりした。

やるべきことをやっているだけなのだが、これらをこなしているだけですごいと言ってもらえたのは意外に思えた。

そんな頃、SEO業者から営業電話がかかってきたのである。
SEOについては特別に取り組む必要は感じていなかった。
Webマスターツールでは着実にクエリ数も増えており、約5000程度まで増加していた。
今のやりかたで間違っていない。そういう確信はあった。

フリーダイヤルしか公開していないにも関わらず、そこにかけてくるような失礼極まりない営業電話はいつもは話途中で切ってしまうのだが、この日の電話は違った。

忘れもしない、私が勤めていた会社をつぶしたあの会社、サウザンドリーフ社である。
営業してきたのは横芝と名乗っており、私のことを知らない社員のようだった。

私は彼からのアポイント提案を受け入れ事務所に呼ぶことにした。
但し一人で来ることという条件をつけた。
私を知っている社員が同行すると全てはおじゃんになる。

横芝は事務所にやってきて、

「自転車用品っていうキーワードで上位表示させましょう。そうすれば売上は激増しますよ。」

またこれか。
既視感に激しいめまいを感じた。進歩しない人達・・・。

「本当に自転車用品ってキーワードで上位表示されると売上が上がるのですか?」
「そりゃあ、そうですよ。」

自転車用品なんてキーワードで一体誰が何を求めて検索するっていうのでしょう?と突っ込みたくなる気持ちを抑えて、

「そういうものですか。」
「そうですよ!」
「わかりました。」

とりあえずいったん話を打ち切って、

「ではこちらのサイトの対策をお願いしようと思います。」

リスティングのために前に作ったLPでありドメインは別だ。このページには自然検索経由でのアクセスはほぼないことはわかっている。
このページであればペナルティを食らってもさほど問題はない。
LPと言いつつも会社案内といったページはいくつかあるが、本サイトと同様の内容でありnoindexになっておりインデックスさせない設定になっている。
最初からSEOは捨てているページである。

上げられるものなら上げてみろって感じだ。

「かしこまりました。ではメールで見積と発注書をお送りします。」
「お待ちしております。」
「最後に1点お願いなのですが、Webマスターツールは削除が必要です。」
「何でですか?」
「GoogleはSEOを嫌いますので、SEOをやっていることをGoogleに知らせない方がいいためです」

全くあの時と同じだ。馬鹿なの?

「あのう、ちょっと聞いていいですか?御社のSEO対策ではペナルティになることはないって聞きましたが、Webマスターツールが入っていなければペナルティになったかどうかなんてわからないんじゃないですか?」
「・・・」
「どのみち今現在Webマスターツールを導入しているので、今更削除したとしてもGoogleにはサイトの存在は知られているでしょうし、Google Analyticsも消さないと意味ないんじゃないですか?」
「Google Analyticsは問題ないんです。GoogleはAnalyticsのデータを用いてペナルティにするしないの判断はしないと明言してますし。」

それはWebマスターツールも一緒ですよね。Webマスターツールが入っているとペナルティの通知が来るからあなたたちは困るからですよね。とここまで出かかったが、我慢した。

「そういうものですか。わかりました。」

とあの時のような反応をしてやり過ごした。まあ実際のところはどうでもいい。
Webマスターツールを当社側が見ているかなんてことは、SEO業者には絶対にわかりえない。

その日のうちに契約書と見積書が送られてきた。
成功報酬は24750円だそうだ。高い。もし、万が一成果が1ヶ月完全に達成した場合は76万円を超えることになる。
こんなキーワードで上がったからと言って、こんな金額を回収できるわけがない。全く馬鹿としかいいようがない。
私は売上金額の1.5%までなら自由に販促費を使ってもいいことになっているがとても足りない。

今度は、FTPのアカウントは開示しなかった。

「内部施策のために必要なのでFTPのアカウントを教えてください。」

と言われたものの、

「それは規則で社外の人には教えられないことになっています。」
「NDAを締結させていただきますがいかがでしょうか?」
「内部施策が必要であれば作業指示書をいただけば、その通りHTMLを社内のデザイナーが実装しますので御社にやっていただかなくて結構です。」
「はい、わかりました。」

これで引き下がっていたので、よくあるケースなのだろう。
FTPを開示しないので、.htaccessをどう編集したのかSEO業者側にはわからない。
.htaccessでGoogleのクローリングを拒否してしまえばGoogle検索にはヒットしなくなるので、検索順位を監視しておいて上位表示されてしまいそうになったら手を打つことができる。
実質的には1ページしかないペラサイトなので、いくら外部施策をやったとしても上位表示はほぼ100%あり得ないことだが、回避策は用意しておいた方がいい。

一番重要なこと、それはペナルティである。
契約書にはペナルティになっても一切の責任を負わない旨が記載されていたので、そこは「絶対ペナルティにならないのだからこの条文はいらないですよね」と言って削除を要求し、ペナルティになった場合には速やかに回復する義務を負う旨を明記させた。

かなり渋っていたのだが、やはり契約が欲しいのだろう。最終的には折れたのである。

契約を開始して当初は300位圏外だった順位は1ヶ月ほどで上がってきて75位まで上昇してきた。
この程度なら全く課金は程遠い。30位ぐらいまで上がってきたら考えればいいだろう。

Webマスターツールから被リンクをダウンロードしてみる。
なかなかひどいものだ。
1ページから無関係な文章が大量に羅列されていて20サイトぐらいにリンクされている。

こんな感じである。

家電量販店よりも家電通販が便利です。
世田谷で痛くない医療痩身を受けてきました。
宇都宮餃子は美味しいですね。
ランドセルは新入学の必需品。

こんな文章が延々と続く。
100人が100人見てSEOスパムだと判断できる代物だ。

このページのドメイン名は日本で使われていたとは思えないものであった。
Wayback Machineで見てみると、3年前には全然違うサイトだった。
ロシア文字が並んでいて何が書いてあるかさっぱりわからない。
ページランクは「なし」である。
危険物そのもの。

帰宅してから一つ一つの被リンクのサイトやブログを開いてみて、リンク先をまとめてみる。
リンク先はこのSEO業者の基本的に取引先であるはずだ。
Whoisでまずは全ての独自ドメインの所有者を調べてみたのだが、バリュードメインなどのドメイン販売業者の名義になっており、どの業者が実際に管理しているのかはわからなかった。

ここから尻尾をつかむことはできないか・・・。
まあ、いい。

1ヶ月かけてリストをまとめて、約650のSEO対象サイトをピックアップしてみた。

中には私のいた会社、榎戸商会のECサイトもあった。
このせいで私の会社はつぶれたのだ。
こんな雑なリンクで金を取ろうってひどいわ。ほんの少しだけではあるが薄らいでいた憤怒と自責の苦い感情が広がった。

SEO対象となっているページはページランクが「なし」になっていたサイトも30ほどあり、1位で表示されるであろうサイト名ですら10位以内に入っていないケースが多々あった。これらはペナルティを受けたサイトであることはほぼ間違いない。

私はそれらのサイトのサイト管理者に全てメールを書いた。

「自サイトをペナルティにしてしまったSEO業者に対して仕返しをすべきだ。」

という趣旨である。
多くのサイト管理者から返信が届いた。
私が以前榎戸商会の社員だったときは、契約したのはSEOの代理店で施策を行っている業者は分からなかった。

返信には株式会社エイトタウン社への恨みが多く綴られていた。
まさしく、私の会社がやられたことそのものである。

大体手口は同じだった。

  1. 日額成功報酬で契約をとる
  2. ペナルティになる
  3. 高額なペナルティ回復サービスの契約を迫る
  4. ペナルティ回復サービスを契約するとリンクをはがしてくれる

といった一連の流れらしい。
順位が10位以内まで上昇して成果報酬が発生することは最近ではほぼないらしい。
最初から順位が上がることを期待してないのかもしれない。
複数サイトをエイトタウン社に施策させていた会社では、ペナルティを受けたサイトの中で重要なサイトのみペナルティ回復サービスを契約したそうな。
すると、契約しないサイトはそのままだったものの、契約したサイトの被リンクはきれいに抹消されたらしい。

自分で泥棒をしておいて「金を払えば犯人から取り返してあげますよ」と言うような詐欺である。

非常に多くの証言がある。これだけでもエイトタウン社の犯罪の証拠としてはほぼ確実だ。
しかし、状況証拠でしかない。

ソーシャルネットワークで親しくなって、現在は時々情報交換をしているレンタルサーバ業者の社長さんがいる。
社長といっても従業員3人のこじんまりとした会社らしい。

この社長さんに前職の会社で起こった出来事と、現在エイトタウン社の施策によって困っている人のことを話して頼み込んだら快諾してくれた。

「そういう悪い奴を懲らしめるのには賛成ですね。協力しますよ。」

10IP分散のサーバについて当初半年間無料。
その後は10サーバー合わせて月額千円で使えるという破格の条件でサーバを貸してもらえることになった。
最初は私はそれに相応する金額は払うと言ったのだが、本当にその金額でいいと言ってくれたのだ。

この金額を餌にして営業メールと電話を使ってエイトタウン社にアタックしまくった。

何度も電話はガチャ切りされたが、技術担当者らしき人が出たら条件の良さに即決してくれた。

サーバ設定が終わって数日後にはサイトが徐々に立ち上がり、約1か月後にはレンタルサーバには例のゴミのような被リンクのページが山のように出来ていた。
そのページからは私がリストとしてまとめた約650サイト中に含まれるサイトも多くあった。

動かぬ証拠はつかんだ。

エイトタウン社のSEOの代理店、サウザンドリーフ社の担当横芝を電話で呼び出しエイトタウン社の社長を同行して連れてくるようにと話した。

「エイトタウン社の社長って何でですか?」
「あなたの会社はエイトタウンのただの一代理店だからエイトタウンが来なければ話になりません。」
「何でうちがエイトタウンの代理店だってわかったんですか?」
「調べれば簡単に分かることです。」
「でも何で社長なんですか。」
「社長じゃないとだめなんです。社長が来ないならばこちらにも考えがありますよ。例えば、某巨大掲示板に御社とエイトタウン社がこれまでしてきたことを書くとか・・・。」
「それって脅迫ですか。」
「さあ、どうでしょう?」

結局後ほど折り返し電話がかかってきて、エイトタウン社の社長も来社することになった。

当日の打ち合わせはセミナーでも使っている大会議室で行われた。

エイトタウン社の市川社長と、サウザンドリーフ社担当の横芝がやってきた。
こちら側はエイトタウン社のSEO施策によってペナルティを受けた会社の担当者や社長など総勢25名という陣容である。
既に倒産した私の前職の榎本元社長もいた。

市川社長も横芝も肝をつぶして、

「何でみなさんここにお集まりなのですか・・・」
「あなたから謝罪と対応をしてもらおうと思いましてね。」

「何のことですか?」

「言われないと分かりませんか?というかとぼけるのはいい加減にしてください。」
「・・・」
「ペナルティになるのが分かっていてリンクを張り、そのリンクをはがすのにお金を要求するってどれだけあなたは腐っているんですか?」
「私たちのせいでペナルティになったという証拠でもあるんですか。」
「ペナルティ回復サービスを申し込むとリンクが数日間でほとんど残らず消えますよね。あんなことは自社の管理下のリンクでなければ不可能です。」

別のエイトタウン社の被害を受けた別の会社に協力してもらい、ペナルティ回復サービス前と後のリンクをすべて印刷して残しておいたのだ。

「わざとじゃないですよ。私達だって上位表示されるように精一杯やったんです。」
「上位表示されたことなんてありましたか?私はあなたの会社がSEOを請け負っていたと考えられる650サイトを全て詳細に見てみました。」
「アンカーテキストに含まれる重要キーワードでは全く上位表示していませんね。」
「そんなのは言いがかりだ。上がっているクライアントだってちゃんとある。」

「あんなくそみたいなリンクで上がるわけないないやろボケェ!」

私に代わって発言をしたのは業界の草分けで、数多くの著作で知られるSEOコンサルタントの小岩氏だった。
被害を受けたうちの一社が彼からコンサルティングを受けているため本日同行したらしい。

市川社長は小岩の存在に気が付いて驚愕の表情を浮かべていたが、

「小岩先生お会いできて光栄です。私もあなたの書籍でSEOを勉強したんです。」

そう言って場の雰囲気を変えようとした。

「おべんちゃらなんかいらんわい。わいの本をちゃんと読んどったらあんなSEOなんかせんやろ。読んどらん証拠、ムカつく奴や。」
「・・・」
「SEO業界が胡散臭いって思われるのはお前みたいな奴がおるからや。お前みたいなカスは死んでしまえ!」

「榎戸と申します。私の会社はあなたのせいで倒産したのです。どうしてくれるんですか?」

「私の会社には責任はありません。」

「いつもそうやって言い逃れをしてきたのでしょうが今回は通らないですね。」

松岸が口を開いた。
彼はITの関連の案件を専門に行うことで知られた弁護士である。

「倉橋さんが証拠を固めてくれました。貴社がやったSEO対策はGoogle社の定めるガイドライン違反であることは明白です。それを隠してペナルティの可能性はないと強弁するのは無理でしょう。」
「被リンクがうちの会社であるなんて証拠なんかない。よそのSEO会社の被リンクなんじゃないですか?」

「証拠はあります。」

6か月無料契約を餌にして契約を取った、レンタルサーバの契約者情報のプリントアウトを松岸は差し出した。

「これが証拠です。ここに集まっている方々が原告団となり民事訴訟、刑事訴訟の両面で現在裁判の準備を行っています。これだけの証拠と証人があれば負けない。」

「お前は俺をはめたんだな!」

市川社長は顔を真っ赤にして吐き捨てるように言った。

「それはこっちの台詞ですよ。ここにいる人々を騙したのは誰ですか。」

「俺は騙してない。俺は当然の経済行為をしたまでだ。」
「この期に及んでそんなことを言うんですか。面の皮がどれだけ厚いんですかね。まあいいです。裁判の結果を待つまでもなく、もうすぐあなたは報いを受けるのですから」

翌週の週刊水曜日にはエイトタウン社とサウザンドリーフ社の行った詐欺行為の特集が組まれていた。
榎戸社長を始め他の被害者にもインタビューがなされており、また専門家の見解としてSEOコンサルタントの小岩氏、松岸弁護士のコメントも書かれていた。

この週は他に大きなニュースもなかったためか、テレビ局や新聞の取材もエイトタウン社に押し寄せた。
市川社長は相変わらずノーコメントだったが、このタイミングで退職を決意したというある従業員は、

「クライアントを騙し続けることが苦しくて辛かったんです。」

と電子音のように加工された音声で語っていた。
この従業員は裁判で証言台に立つことも約束しており、市川社長の逃げ場は完全にふさがれた格好である。

既存客だけではなく、報道を見て過去の顧客までもが続々と損害賠償請求を求める原告団に加わって来た。
市川社長の所有のフェラーリや三軒茶屋のマンションも仮差押え処分を受け、会社の現預金も凍結された。

従業員の給与を払うこともできない状況に追い込まれたのである。

エイトタウン社はついに倒産した。
ついでに言うと、エイトタウン社の代理店業務を行っていたサウザンドリーフ社も、責任から逃れることができず同様に倒産した。

会社の人々をはじめ様々な人々から応援され悪徳業者を倒すことができたが、榎戸商会を倒産させたことによる気持ちのささくれはなくなることがなかった。

そんな矢先のこと榎戸元社長から連絡があった。
靴下の製造機械は倉庫にとっておいたので、エイトタウン社からの回収よって靴下の製造販売をとりあえず再開することができたそうだ。

自転車用品の販売は軌道に乗り、部下の社員も採用してもらった。
彼女は専門学校でHTMLを勉強した経験があり熱心だった。愚直に私が実施しているのに近いレベルでこなしてくれている。
要所を押さえておけば任せても大丈夫だと思う。それに彼女はとても美人だしw

自然派靴下という商材もうちの会社で一手に扱ってECショップで販売してもいいことになった。
もともと売っていた商材なので今の知識ならすぐに軌道に乗せられるだろう。

「もう一頑張りしますか。」

夜の10時を回ったオフィスで呟いたのである。


もしこの他にもSEOの小説にご興味があれば、

SEO業者はこうして倒産した
SEO業者はこうして会社をつぶした
SEO小説 カニのオマージュ

このような小説も書いておりますので是非ご覧くださいなのだ。
カニのオマージュはあり得ない設定の小説ですが、個人的にはちょっと気に入っている。

もし、カニのオマージュが面白いと思われたならば、

掌編小説「カニのオマージュ」という同じタイトルで、設定の似たSEOとは関係のない小説も書いているので合わせてご覧くださいませ。

SEO業者はこうして会社をつぶした


前回のエントリーSEO業者はこうして倒産したが珍しくバズったので、性懲りもなくまたSEO業者をテーマとした小説を書いてみるのだ。
まあ、今回はバズらず懲りることになるのだろう。と予め予防線を張っておくのである。

今回は結構長くて読みにくいのでPDF版を準備した。
こちらからダウンロードできるのでお使いくださいませ


「私は全然ITのことは素人なので、御社を信じてお任せしますのでよろしくお願いします。」

私の年齢の倍はあるだろう榎戸社長は私に向かって深々と頭を下げた。

「私も経験不足なのでいろいろ教えてください。」

倉橋さんという若い女性がこれまでは店舗運営兼任であったがWebの選任になることになったそうだ。

「はい、ご期待に必ずお応えできるように致します。」
「SEOコンサルタントってすごいですね。SEOって全然わからないんです。色々教えてください」
「はい。」

実はほんの半年前まで投資用マンションの電話営業をしていたので、SEOのことなんかよくわからないのである。すいませんという感じだ。

3人コンサルタントと名乗る担当者がいるのだが主業務は営業である。

Aがテレアポをする。
アポが取れると、AとBが同行してお客様の会社に行く。
Aは営業部、BはSEOコンサルタントの名刺を出す。

Bがテレアポをした場合はこの逆に
Bは営業部、AはSEOコンサルタントの名刺を出す。

といったあんばいだ。
コンサルタントの役目の人がテレアポをしているとなると説得力がないので、わざとテレアポした担当者と別の担当者を連れていくという仕組みにしているわけだ。

実際はうちの会社にコンサルタントと言えるほどのスキルのあるコンサルタントはいない。

私は半年前まで投資用不動産の営業、
飯岡は1年前まで俳優を目指していて、
佐倉はこれまた1年ほど前までキャバクラの店員、

といったあんばいである。
半年ほど前まではSEO事業を立ち上げたコンサルタントの日向という奴がいたのだが、現在退職してユーザー側の会社でSEO担当者として働いているらしい。いわゆるインハウスSEO担当者というやつだ。

その彼が抜けた穴を埋めることはいまだにできていない。
SEOを教える人がそもそもいない。
我々3人で勉強会などもやったこともあったが、たった2回やっただけでその後は立ち消えになった。

ひたすらテレアポをし、受注が取れたらもともとリンクを調達していたSEO業者に丸投げして、代理店マージンだけで食っているのである。

日向が退職したときにSEO事業をやめるという話もあった。
社長はじめ全員が上野を慰留したのだが、彼が退職の意思を曲げないので全員で「無責任だ!」と言って吊し上げた結果、その翌日から会社に来なくなってしまったのだ。

彼がいなくなってできることはテレアポしかなかったから、S社のコピー機でも売るかそれともN社の光回線あるいはS社の携帯電話のセールスでもやるか?と議論をしてみたが、まあそこそこ収益も上がっていたのでSEOで行くことになったのである。

上野はそんないきさつで退職したため、まったく引継ぎをしていなかった。
我々3人ではリンクを張ることすらできないので、前から付き合いのあったSEO業者、株式会社エイトタウン社と代理店契約を結んで営業を継続することになった。

飯岡がテレアポをして取った案件がこの榎戸社長の会社、榎戸商会である。
飯岡が営業役、私がコンサルタント役で客先に出向いたのだ。

アポが取れるのもまれだし、契約に至ることはことさらまれなので、とてもうれしかった。
固定給は月額16万5千円と低く、業績給がないととてもじゃないがやってられない。
1契約取れると、アポイントを取った営業担当者は15%、クロージングしたコンサルタント役の担当者は7.5%のマージンがすべての支払いについてもらえるのである。これがなければとうの昔に辞めている。

ぶっちゃけ言うと、エイトタウン社と直接契約したほうがよっぽどマシである。
このSEO業者は2ちゃんねるではむちゃくちゃ叩かれているように施策はひどいものだ。
そして、うちの会社が入ることで、値段もすごく高くなる。

SEO業者への月額支払に72.5%マージンを載せた金額が見積額だ。
もともとの価格自体は安かろう悪かろうという金額なのだが、当社が間に入ることで高く悪くwになってしまうのである。
72.5%という数字は半端に見えるが、当社が50%マージンを取り、担当社員の2名で合わせて22.5%のマージンがあるので、これを足すとこんなきりの悪い数字になるわけだ。

今回エイトタウン社からの見積は、日額成功報酬20,000円だった。
そんなわけで34,500円が当社からの見積額だ。ぼったくりである。

さて、話は元に戻る。
榎戸商会は自然素材の靴下を製造販売している会社である。
もともと自社で運営するショップで販売しており、乾燥肌やアトピーで困っている人を中心に根強いファンがいた。
2年ほど前からECショップを始めて、現在は月商300万円まで成長し黒字化したそうだ。

そんな矢先、ショップの入っていたビルが耐震性に問題があるということで、取り壊さなれればならないことになったらしい。
新しい店舗をオープンするのは多大な投資が必要なのでこの際店舗は作らずに、ECショップを主力にすることにしたそうだ。
そんな矢先我々の会社がSEOのテレアポをしたというナイスなタイミング。いわゆるラッキーってやつである。

倉橋さんは店舗の運営の合間にECサイトを軌道に乗せただけあって、清楚な中にも意思の強さを感じさせる女性だった。
ブログの更新は店舗が閉店してから行い、ソーシャルの運用は日中のお客さんが一人もいない時間にせっせとやったそうだ。ショップのFacebookページは「いいね!」が4000以上もついている。
これは彼女のアイコンのおかげもあったかもしれないが・・・。
自分もこの会社を担当できることがとても嬉しかった。

何としても成果を出さねば。

「靴下」

という超ビッグキーワードで上位表示すれば売れるはずだ。

「靴下という超ビッグキーワードを狙います」

彼女は一瞬口ごもって、

「それでいいのでしょうか?」

やっぱり靴下を売るECの店舗であれば「靴下」というキーワードを狙うべきだろう。

「これでいいんです。素人じゃ、こんなビッグキーワードを上位表示させることなんかできませんが、我々だったらできます。だから正解なんです。期待してください。」
「そういうものなんでしょうか・・・。わかりました。」
「まずは一点お願いがあります。」
「なんでしょうか。」
「Googleのウェブマスターツールは使ってますか?」
「はい。」
「であれば、ウェブマスターツールは削除してください。」
「いいんですか?」
「はい、GoogleはSEOを嫌います。ウェブマスターツールを入れていると、SEOしていることがGoogleに知られてしまいますので、まずは施策に入る前に消す必要があるんです。」
「そういうものですか。」

実はエイトタウン社から指示されているからそう言っているだけで、それが正しいのかどうかなど正直わからない。

「期待してますよ」

榎戸社長は最後にそう言って打ち合わせは終わった。

FTPのログイン情報をもらって会社に帰り、エイトタウン社にこれをメールで送った。
これでもうやることは基本的にない。

あとは月次の報告のタイミングで順位報告を送るだけだ。
でもしかし・・・。

意外に榎戸商会を再訪するタイミングは早く訪れた。

3週間後のことである。
エイトタウン社が、

「Facebookのいいね!の販売を開始したんですよ。
榎戸商会さんに順位の報告がてら、営業に行ってみませんか?」

という提案をしてきたのだった。
私はこれに一も二もなく賛成し、倉橋さんにアポを取った。

まずは、順位の報告だ。

「我々の施策の開始前は靴下というキーワードでの検索順位は89位でしたが、現在47位まで順調に上がってきました。」

「そうですか、さすがプロは違いますね。」
榎戸社長は上機嫌だった。
倉橋さんの表情を窺ってみたが、残念ながら何の表情もなかった。

「今回は一つ提案があります。Facebookページの「いいね!」を集める対策です。現在「いいね!」ですが約4000です。これを簡単に10倍にすることができます。」
「そうなんですか。それはすごいですね。今まで苦労してやっと4000集まったのですがそれが簡単に10倍になるってことですね。さすが専門業者ですね。」
「まあ、プロですから。」

倉橋さんは言いにくそうな表情をしていたが、

「すいません、今の4000のいいね!ですが、いいねして下さった方は私の会社のファンの方で、多くの方が買ってくださっています。増やしていただくのはいいのですが実際に購入につながるのでしょうか?」

そんなこと分からんわ。
どうなんだろう?

「もちろんです。ファンが増えるわけなので購入数も増えますよ。」

あーあ、言っちゃった・・・。
わからないし仕方がない。
エイトタウン社の営業を連れてきた方がよかったなぁ。

「そうですか。」

何となく彼女は釈然としない表情をしていたが、この日は40000いいね!を200万円で販売するという話が榎戸社長とまとまった。
200万円の7.5%が、15万円がマージンとして入るので来月の給料はだいぶ太いはずなのだが、浮かない気分だった。

まあ、契約を取った時に浮かない気分なのはいつものことなのだが、今回は特にそうだった。

それから約3週間後のある日、電話が鳴った。倉橋さんからだった。

「すいません。靴下ってキーワードだけではなくて、そのほかのキーワードも検索に表示されなくなってしまったのですが。」

まずい・・・。

「調査を行いますので、またご連絡します。」

エイトタウン社に急いで連絡する。

「そうですか。おそらくは一時的な下落だと思います。」
「御社の施策のためということはありませんか?」
「当社のリンクは品質が高いのでその可能性はまずありません。もし、リンクペナルティだとすれば他のSEO業者のリンクが影響しているのではないですか?」

そんなことはない。榎戸商会がSEO業者に依頼をしたのは今回が初めてのはずだ。

「それはないはずですが・・・」
「確かめてみましたか?」
「確かめてはいませんけど・・・」
「確かめなければ何とも言えないんじゃないですか?」
「ではどうやって確かめるんですか?」

エイトタウン社の担当者は少しの間沈黙して、

「しばらくして順位が回復しなかったらよその業者がやっていたということになるってことですね。」
「????」
「あとは契約していなかった場合でも、ネガティブSEOっていって同業者が競合サイトの順位を下げるために、品質の悪いリンクを付ける場合があるんです。その可能性が高いですね。」
「同業者から妨害を受けている可能性があるってことですか?」
「うちのリンクが原因ってことはありえないですから、それしかないでしょう。」

他の案件でも下落した例はいくつもあった。
それは全てエイトタウン社の責任ではないのか?

「過去にもいくつか下落した例ありましたよね。それも御社の施策が原因ではないっていうことですか?」
「そうです!そんなことを言われるのは心外です。リンクは正しくつければ絶対にペナルティにはならないんですよ。」

毎回この手の説明を受けてもなんだか納得がいかない。

「ネガティブSEOだったとしたらどうするんですか?」
「当社のペナルティ回復サービスというサービスがあります。圏外に飛んでしまったキーワードが圏内に戻ってきたらその時点で課金発生です。」

通常ならばこの手の問い合わせは電話でのらりくらり何とかかわすのだが、この説明をしに榎戸商会に行った。
この日は社長は他の用事で不在だったので倉橋さんに聞いたままの説明をした。

彼女はあからさまに不快そうな表情をした。

「うちの会社で今までSEO業者を使ったことはありません。またネガティブSEOなんてうちみたいな小さい会社に対してそんなことをする同業者がいるとも思えませんが。」
「まあ、これはあくまでも可能性であって、自然に順位が戻ることが普通なのでいったん様子を見てみましょう。」
「順位戻るのが普通ですか?」
「はい。」

実際は順位が戻ったことはほとんどない。
今まで順位が圏外に飛んだケースは15件ほどあったが、回復したケースは4件しかない。
回復したケースでも元の順位までは戻っていない。

こう言いながら実に苦しいのである。

「検索経由での売上げがほとんどなくなってしまいました。日額7万円ぐらいはあったのですが1万円を切ってしまいました。すぐに戻ってくれないと本当にまずいです。」
「わかりました。」

そう言いながら重い鉛を飲み下したような陰鬱な気分になったのである。
帰社してからエイトタウン社に何とかして回復してほしい旨を話してみたもののの、彼らもなんだかしみじみしなくて暖簾に腕押しという感じであった。

彼らは個々の案件が課金できなかったとしても、トータルでは3割ぐらいの案件で課金できているから儲かっているはずである。
上がらなければ「ハイ、次!」って感じでいいのだろうが一人一人の顧客としてはそれが全てなのだからたまったもんじゃない。

そして悪い時には悪いことが重なるものである。

数日後、今度は榎戸社長から電話があった。

「あのFacebookのいいね!なんだが御社にお願いしたことが原因だと思うのですが、まずいことになっているので相談させてくれませんか?」
「どうしたんですか?」
「いいね!を金で買っただろという書き込みがFacebookにたくさん書き込まれてしまっているんです。」
「・・・」
「Facebookからつながっていたお客さんが買ってくれなくなってしまいました。」
「・・・」
「検索経由の売上も激減してしまってますね。」
「・・・」
「うちの会社ほとんど売上なくなってしまいました。どうすればいいのでしょう?」
「・・・何とか早急に考えてみます。」

エイトタウン社にペナルティ回復サービスを無料でやってくれと電話をしたのだが、それは無理だと言われてしまった。
当社でこの金額を負担できないか?という話をしたのだが、社長にはやはり却下されてしまった。

「榎戸商会って君の取引先だよね。自分で何とかしなよ。」

ペナルティ回復サービスの成功報酬は75万円であった。
こんな金額個人で払えるわけもない。
なんとかならないか・・・。

エイトタウン社を訪問した。
当社の担当者は特に決まっていないらしく、平井主任という営業担当が応対することになった。
平井主任は年齢は30歳ぐらいに見えるが、入社して間もないらしくあまり詳しいことはわからないらしい。
しかし、

「ペナルティ回復サービスは無料では提供はできません。」

しかしきっぱりと言い切った。

「ペナルティ回復する場合は、我々のリンクも含めていったんすべて外さないといけないです。そうしたら我々課金できなくなってしまうじゃないですか?我々はタダ働きですか?」
「でも榎戸商会さんに多大な迷惑が掛かっているんですよ。どうするんですか?」
「それは別に我々の責任ではありません。」
「本当に御社の責任はないのですか?」
「ないですね。我々の施策のせいでペナルティになったという証拠でもあるのですか?」
「せめて、Facebookのいいね!の返金だけでもできませんかね。」
「なぜ返金しなきゃいけないんですか?我々は契約通り40000いいね!を集めました。なのに文句を言われる筋合いはありませんよ。契約書をちゃんと読んで下さい。」

遠慮も何もあったものではない。
結局交渉にも何もならなかった。

榎戸商会からの電話がそれから何度かあったが居留守を使い、メールは全て無視した。
電話口では相当なやり取りが毎回あったようなのだが、のらりくらりとかわしているようだった。

1ヶ月程やり過ごしたある日、被った損害について賠償して欲しいという旨の内容証明郵便が届いた。

社長にこれを見せたところ、

「そんなもん、法的効力なんてないから放置でいいわ。それよりも営業して。」

内容証明郵便の内容は読んでいると胸が苦しくなる内容だった。
売上がほとんどなくなり、ソーシャルネットワークで築いてきた信用も失い、このままでは近いうちに廃業せねばならなくなることが切々と綴られていた。

内容証明も無視して、数日後榎戸社長と倉橋さんがアポなしで事務所にやってきた。

私は居留守を決め込もうと思ったのだが、社長から、

「お前のクライアントだろ。何とかしろ。」

と言われてしまい、逃げ道はなかった。

「どうしてくれるんですか?」

榎戸社長の口調は穏やかだったが、もう逃がさないという覚悟があった。

「すいません。」
「謝らなくてもいいです。どうしてくれるんですかときいているのです。」
「どうにもできません。」
「どうにもできないって御社がやっていることですよね。自分で何とかできないんですか?」
「実はうちは何もやってないんです。うちは代理店でSEOを売っているだけなんです。」
「じゃあ、販売元に何とかしてもらってください。」
「販売元には掛け合ってみました。でもどうにもなりませんでした。本当にすいません。」

「・・・私たちを騙したんですね。」

倉橋さんの言葉は私の心臓を鋭く貫いた。

「私たちが愚かだったのが悪かったのでしょうか。」
「いや、君はもともとSEO業者に依頼することに反対だった。私のミスだ。私が不勉強だったせいだ・・・。しかし、私は君たちを許さない。」
「どうするのでしょうか?」
「君たちにできることは我々の被った損害を賠償することだけだ。賠償しないなら訴訟に訴える。」

ミーティングから解放されて顛末を社長に報告した。

「訴訟になっても別に問題ない、契約書は完璧だから。うちには一切支払いの義務はない。まあ、あんなちっぽけな会社だから訴訟なんてできるわけがない。」

しかし・・・。

「私たちを騙したんですね。」

この言葉が頭の中をグルグルまわっている。
本当は騙したくなんかなかった。

私は会社を退職した。

その3か月後、榎本商会のECショップのページは消滅し、それからほどなくしてどっかのSEO業者のバックリンクのサイトに変わっていた。

SEO業者はこうして倒産した


これはフィクションであり、登場人物や出来事はすべて架空のものであることをあらかじめお断りしておきますなのである。

住太陽氏がSEOの寓話という面白い記事を書いていたので、自分もSEOについてフィクションを書いてみたくなったのだ。

とは言え、私の話は住氏と違って役に立ちませんけどね。


「すいません、2週間後にはお支払いします。」

綾瀬は電話口で、見えぬ誰かに向かって頭を下げていた。
彼女は私が入社した頃からすでに経理担当の役員だった。
私が入社したころはいつも真新しいルイヴィトンのバッグを持って、かかとが10㎝はあろうかというハイヒールを履いて出勤していた。

しかし、最近は融資の依頼のために金融機関を回るのでかかとのないローファーで毎日出勤しているし、地味なノーブランドのビジネスバッグである。

「はい、大丈夫です。ご迷惑かけて申し訳ありません。・・・では失礼します。」

追い打ちをかけるようにまた電話が鳴る。

また電話口で彼女が謝っている。
今日は月初日なのだ。
うちの会社の支払いサイトは月末締めの翌月末支払である。
今回は心なしかそれ程でもないのだが、毎月この日の彼女は辛そうだ。

私は机に座って受話器を手に取って躊躇する。
テレアポは嫌なのだ。

そもそも自分は営業で入社したのではなかったし・・・。
テレアポなんかすることになるのならSEO会社に入社なんかしなければよかったと後悔することしきりである。

電話が鳴ったので取る。
テレアポするよりマシなのでちょっとだけほっとする。

「もしもし金町不動産です。お世話になってます。佐久間取締役いらっしゃいますか?」

見まわしてみるとさっきまでいたのにいなくなっていた。

「綾瀬はいま席を外しているのですが」
「そうですか、先月の家賃いつ払ってもらえるかわかります?」
「申し訳ございません、私ではわかりかねるのですが・・・。」
「じゃあ、伝えてもらえます?その事務所の大家さん、御社の事務所の家賃で食ってるのね。大家さんの奥さんは人工透析で大変なんですよ。
 御社からの家賃が入らないととっても困るんです。他の支払いを後にしても家賃は先に払って欲しいんですよね。」

「はあ、お伝えしておきます・・・」

確かに大家さんも大変だろうけど、自分も給料が欲しい。
今月も給料は遅配で、10日遅れで半分だけ支給されたが残りはいつ支給されることやらである。

綾瀬が戻ってきたので、電話のことを伝えた。

「そうよね。私も分かってるんだけどね。でもねえ。お金ないのよ。私だってね、役員報酬ろくにもらってないんだから。もう会社に300万も貸してるのよ。」

一応伝えましたって感じであるが、これじゃあ難しいかも知れんな。

テレアポに戻る。

「はい、当社のSEOは絶対順位が上がります。ホワイトハットという安全な手法を取っているので大丈夫です・・・」

今日もアポが取れない。
ガチャ切りである。

前であれば電話が終わってすぐにかけていたが最近はやる気が出ないので、意味もなくGRCを眺めて気を紛らわせている。
しかしまあ、どれもこれも上がってないわw

電話が鳴る。

「羽鳥商店ですけど、お宅に頼んでたキーワードなんだけどさ、まったく検索に出なくなっちゃったんだけどどうしたの?」

またこれか・・・。確認するまでもないがGRCを確認するとやはり圏外に飛んでいる。

「それですね。一時的な下落だと思いますので、あともうしばらくお待ちいただけますか?」

何とかとりあえず事なきを得た。

また別の電話。

「あのさ、待てって言われたから2ヶ月待ってみたんだけどさ、全然順位回復しないよ。どうして?」
「アルゴリズムが変わった影響なんです。当社としても対策をしてますので。」
「おたくさぁ、成功報酬より月額固定の方が得だからお勧めですよって言ったじゃん。でも全然上がらないよね。詐欺だと思うんだけど。」
「すいません、何とかしますので・・・」

私も本当は成功報酬のほうがクレームにならなくていいと思う。
自分だって好きで月額固定を勧めたわけではない。

「上がらないから固定報酬にするんだよ。」

と社長から押し付けられたからである。

ペンギンアップデートの前から上位表示の勝率はすでに下がりまくっていて、課金できるキーワードは2割を切っていた。そして、アップデートを境にして壊滅的に順位が下がり課金できるキーワードは1割を切るまで低下した。

4割ぐらいのキーワードは圏外に飛んだ。
本当であればうちの会社のSEOなんかやらない方がいいと言いたいのが本音である。
この業界の中でも評判が悪い某社や某社や某社のリンクの方がうちよりマシだ。

「何とかするってどうするの?」
「優良なリンクを徐々につけていますのでそのうち回復すると思います。」
「いつ回復するの?」
「あと1ヶ月ぐらいお待ちいただけますか。」
「あんた先月も同じこと言ったよね!」

回復なんかするわけないってわかってる。
何もしてないし。
回復してくれないかなって祈っているだけだ。

「いいよ。もう解約するから!」
「でもまだ御社の場合はまだ3ヶ月契約が残っておりますので・・・」
「なんだよ。まだ払えっていうのか。ふざけんなよ。お前じゃ話にならん。社長を出せ社長を。」
「社長はあいにく不在でございまして。申し訳ございません。」
「いつだったらいるんだよ。」
「さあ、わかりません。」
「わからないって何なんだよ!」

本当にわからないのである。
最近はほとんど会社に来ていない。ふらっと会社に現れて、いつの間にか消えているのである。

「申し訳ありませんが、わかりません。」
「何なんだお前の会社は」

電話は切れた。良かった。

とりあえずインスタントコーヒーを淹れて飲んで一息つく。
テレアポしたくないのでGRCを見ながら気分を紛らわす。

騙しであることは最初は抵抗感があったが慣れた。しかし、受注が取れたとしてもクレームになるだけだからモチベーションが上がるわけもない。

ではなんで辞めないのか?

事務所にいるのは綾瀬と私だけ。
最後の施策担当者も辞めてしまって施策ができるのは、もともと営業担当だった私しか残っていないからである。

いや、それは違うな。

一番社員が多かったころは20人以上いたのだが、大量離脱事件があったり、その後も櫛の歯が欠けるように少しづつ社員が減っていって社員で残っているのは私だけ。
営業部長といえば聞こえはいいが部下は誰もいないし、手取り給与23万で部長って切なくて笑える。むしろ、役付ではない時の方がずっともらっていた。徐々に給料は下がっていき、部長職を拝命した時には入社前より給与が下がったのである。

でも、いまだに私がこの会社にいる理由は・・・

また電話が鳴った。よく電話が鳴る日である。

珍しいことに社長だった。

「今持っているドメインやブログ売却することになったから、ログイン情報まとめて俺にメールしておいて。」

はい?って感じである。

「え?廃業するんですか?」
「違うよ。今の被リンク上がらないだろ。よそからマシなリンクを買うことにしたんだよ。そうすりゃあ、もうちっと課金できるんじゃないか?」
「そうかもしれませんね。」

どこにそんな金があるんだよ。
そもそもこんな腐ったリンク買うやついるのか?

色々疑問ではあったがまとめて社長にメールした。

そんなこんなでろくすっぽテレアポもしないうちに昼休みの時間になった。

「友部さん、もう上がってもいいわよ。」
「え?まだ昼ですけど。」

「社長からは黙っていろって言われたんだけど言っとくね。
実はね、この会社今日で終わりなの。今まで本当にお疲れ様。

残りの給料も退職金も払えないから、事務所にあるもので欲しいものあったら好きに持って帰って。」

いつか来るとは思っていたが、それが今日とは。
ある日会社に出勤したら、会社の中のものがすっからかんになっているとか、借金取りが押し寄せているといったドラマチックな出来事を少し期待していたので、少し肩透かしを食らった感じだ。

欲しい物か・・・。ここにあるパソコンやサーバーってもう5年ぐらい前のものだし、ページプリンタもメンテナンスしてないからかすれて汚れた横筋が印刷される代物だ。

欲しい物か。
綾瀬がずっと世話をしていた机の上の小さなサボテンの鉢植えは可憐な花を咲かせていた。

「これもらっていいですか?」
「え、これが欲しいの?」
「はい。」
「べつにいいけど。」
「ありがとうございます。」

「友部さんはこれから大変だよね。どうもしてあげられなくてごめんなさいね。」
「綾瀬さんはどうするんですか?」
「再来月結婚するの。」
「マジですか?」
「マジです。」
「おめでとうございます。」
「ありがとう。」

私はもう来ることのない事務所を後にして、貯金もないしなぁ、手に職もないしなぁ、綾瀬さん結婚しちゃうんだぁとか色々な想いが去来しては、消えることなく頭の中をぐるぐると渦巻いた。

「全部終わった」

自分で自分に言い聞かせるようにそう呟いたのである。

書評 渡辺隆広著「ネットショップSEO2014」


久しぶりにSEOの書評である。

kindleの電子本である。
紙の本だとすると91ページ相当ということで、ボリュームも小さく挿絵などもなく、でも818円という強気の値段設定。
でもこの本は絶対に買いである。

ネットショップSEOと書いてあるが

  1. CMSを導入するサイト
  2. ニュースサイトなど多くのコンテンツを保有するサイト
  3. CGM的な要素があるサイト
  4. 大量の情報を扱うサイト

上記のようなサイトを運営しているWebマスターは必読である。

また、

  1. CGMサイトを構築するシステムエンジニア
  2. Webディレクター
  3. Webコンサルタント

といった職業の方にも役に立つだろう。

またSEO担当者やSEOコンサルタントも読むべきである。というか必読といって差し支えないと思う。
渡辺氏ぐらいのレベルのコンサルタントであれば、必要ないのかもしれないがほとんどの人にとっては多くの気づきがあるはずだ。
少なくとも私は至らない点が多いので、この本には多くの学びを得たのである。

最低限のSEOの知識があればわかるよう平易に書いてあるのだが、深い含蓄が込められている。
(とは言え機動戦士ガンダムのたとえは難しくてよく分かりませんでした。すいません・・・)
サラッと書かれている一文の中に込められた過去の経験に想いを致す。
そこに至るまでに試行した数々の試みなどが脈打って伝わってくるようだ。

kindleにブックマークをしながら読んだら、たったの91ページしかない本なのに、ブックマークだらけになった。

この本は書かれている情報の質に比較してとても安いと断言する。
これだけの知見をごく短い時間とわずかな金額で手に入れることができるのは素晴らしいことだ。

私として最も印象深く役立った一節を引用してみる。

過去のコンテンツをアーカイブしておきたい(2013 年のクリスマス用コンテンツを「/xmas2013/」、2014 年のクリスマス用コンテンツを「/xmas2014/」に格納する)ケースでは、たとえば、当年(2013年)のクリスマス商戦ページは「/xmas/」にしておきます。
そして、翌年( 2014 年)のクリスマスを迎える前には、まず「/xmas/」にある 2013 年分のコンテンツを「/xmas2013/」フォルダへ移動し、そして「/xmas/」には 2014 年分のクリスマス用のコンテンツを格納する、というふうにします。
以降は同様に、2015 年になったら 2014 年分は「/xmas2014/」、2015 年は「/xmas2015/」……といった具合に、つねに最新の年のコンテンツが「/xmas/」に入るようにすれば良いのです。

各々URLにはリンクといった資産があるため、変えずに同一にするべきだが、毎年変わるようなページはどうすればいいか?といった話である。
これは言われてみればごくごく当たり前なのだが、SEOの知識で無理やり考えようとするとわけが分からなくなる例だ。URLが変わったらリダイレクトしなきゃ…って考えるとわけがわからなくなる。

2013 年のクリスマス用コンテンツを「/xmas/」から「/xmas2013/」に格納し、「/xmas/」には2014年のコンテンツを用意する場合に、商戦が始まる半年ぐらい前から「/xmas/」から「/xmas2013/」リダイレクトさせてやるようにして、クリスマス商戦が始まったら「/xmas/」には改めて新しいコンテンツを作り、リダイレクトを解除する????

表層的なSEOにとらわれて考えるとこんなややこしいことを考え始める。
運用として不自然で手間がかかるし、SEO的な観点で考えてもこれまた駄目だ。

※以下は蛇足で、どうでもよい話なので読まないこと推奨である。

なぜSEO的な観点で駄目かというと、本来最も評価を高めなければならない今年の商戦の/xmas/というURLの評価は上がりにくくなる。最終的にはリダイレクトを解除しても、/xmas/というURLにリンクの価値が即座にわたることはなく、また相当部分が失われてしまう可能性もある。
で、昨年のページに対して張られていたリンクであるが、その昨年の内容だから張られていたとしても、結局最終的にリダイレクトも解除されてしまうので、そのコンテンツそのものに対するリンクは残すことができない。
結局、この方法はSEO的にもデメリットしかない。これなら最初から/xmas2013/というURLで公開した方が遥かにましである。

脱線が長くなった。

検索エンジンに対して新しいURLに評価を渡してやることに極端にとらわれる必要はないってことだ。
渡辺氏の書いている解決策は自然で、ごく普通に考えればこうなるという当然の帰結である。

この例をはじめとしてごく普通にごく自然にごくシンプルに考えることが最も正しいことを教えてくれる。
正しい考え方によって、ユーザービリティもSEOも両立させられることが分かる。

この本は知識を身に着けるというよりも、正しい考え方を学ぶ本だと言える。

またWebサイトは作って終わりではなく、普通は作ったところからがスタートだ。拡張、更新が命である。
通常SEOは静的な状態においてどうなすのが正しいのかという視点で語られることが多い。
どのように運用していくべきか?についても含蓄のある示唆が数多く含まれている。


分量も少なくさらっと読めるので是非一読されたい。

簡単に読める本は一見馬鹿にされがちだが、難しいことをわかりやすく簡単に表現することは並大抵ではできない。
血肉にするほど深い理解がなければできないことである。このようなものを書けるのはやはり業界の第一人者だからだろう。

ペナルティでなくても検索順位が大きく下がってしまう原因


順位が大きく下がった場合にはペナルティではないか?
と焦るかもしれない。というか焦る人がほとんどだろう。

しかし、ペナルティとは限らないということを今回は書いておきたいのだ。

※ペナルティという言葉が一般的に使われる状況は実際はあいまいで、二つの意味を含んでいる。
ネガティブな要因によってアルゴリズムによる順位計算の結果大きく順位が下がる場合と、スパムを発見されたことによってオペレーターが手動で順位を下げる「マニュアルアクション」の2種類がある。
詳しくはSEO Japanの記事Google、手動ペナルティをほぼ100%ウェブマスターへ報告をご覧ください。
今回はネガティブな要因によって順位が大きく下がる現象、前述の2つをひっくるめてペナルティということにする。

何故にこのようなお題で書いてみたくなったのかというと、ペナルティではないのに順位が落ちた際に、ペナルティかと思っていじくって逆にまずいことになってしまっているサイトを数多く見てきたからである。

ペナルティでもないのに、ナチュラルリンクも否認してしまったり、サイト構造をユーザービリティやSEO的な観点において改悪してしまったりといったことがよく見られる。
このようなことを防ぐための考慮点についてまとめてみたのだ。

1.クローラーが巡回できなくなっている

これは意外に多い。
レンタルサーバーがスパムに対応するために海外からのアクセスを遮断した結果、Googleのクローラーも弾いてしまっているケースだ。このような場合はGoogleウェブマスターツールで確認できる。
クロールエラーの使い方(Googleウェブマスターツール)という非常に分かりやすく、役立つ良記事がnanapiにあるのでご確認いただきたい。
脱線するのだが、最初この記事を見たときは、

「なんでこんなすごい記事がnanapiにあるのだろう?」

と思ったら、記事の最後を見たら辻正浩氏が書いているとあり「さもありなん」と思った次第だ。
ちなみにこの記事であるが、ソフト404の解説は必見である。

2.一時的に下がっただけ

本当に何も原因がなくても一時的に下がる場合がある。
何も修正しなくても1か月ぐらいしてヒョッコリ順位が戻ったりするようなケースもあるので、スパムにあたるようなことをやっておらず、クローラーが正常に回ってこられているのであれば、とりあえずは静観するのが吉であることが多い。

3.同一ドメインの他のページがある

無料ブログなどを使っているとよく生じる問題である。

同一ドメインで検索上位に表示されるのはたいてい1ページのみである。
そのため同一ドメインで(サブドメインが別でもこの問題は生じる)別のページが自分のページの順位を追い抜くと、自分のページは圏外に飛ぶことが多い。
これはごく普通に見られることでやむを得ないことである。

私としては同一ドメインであったとしても、別の人が管理しているブログであればこのような制限に引っかかるのはGoogleのアルゴリズムが間違っていると思っているのだが、現実はそうなのだから仕方がない。

対応策としては独自ドメインに移転するしかない。

4.ほぼ同一のコンテンツが他のサイトにある

原則的に同一のコンテンツについては検索結果上位に2ページ以上表示されない。
代表的なページのみが上位表示されて、あとは表示されなかったり検索順位が著しく下になる。
代表的(とGoogleがみなす)なページと、自分のページの評価が非常に近くても順位は大きく隔たってしまう。

2ちゃんねるのまとめ系サイトを運営しているWebマスターが順位が下がったと言って、Googleに怒りをぶつけているといったケースを見たことがある。
Googleはそもそもその種のサイトを評価しないと最初から明言しているのだから、その種のサイトを作ってGoogleが評価しない怒るのはお門違いなのだ。

アフィリエイトをやるのならまとめサイトではない他の手法を選んでもいいはずだ。
それにもかかわらず、わざわざGoogleが評価しないと言っているまとめサイトをやるのであれば、Google以外から集客を考えるべきなのだ。

5.コンテンツに価値がない

そもそもコンテンツに価値がないケースである。
コンテンツにさほど有用性がなくても順位が上昇する場合もなくはない。

しかし、アルゴリズムの進歩や順位の再計算によってこのようなコンテンツはいずれ順位が下がる。
順位が下がったのは、

あるべき順位に落ち着いた

ということなのだ。
今までの順位のあたりの周辺のサイトと自サイトを冷静に見比べてみて、価値が相応だと思えるかどうかを一度考えてみるのはよいことである。
今の順位が不当に低いと思えば腹が立ったり困惑したりするだろうが、もともとが良すぎだったと思えば納得できるはずだ。これから上げていけばいいと腹をくくるか、あるいはこんなもんで相応だと納得すればいいのだ。


なんにせよ、ペナルティ以外の要因によって検索順位が大きく下がることがあるということを覚えておくのがよい。
これらとペナルティを峻別するため一番大切なことは「気持ちを落ち着けて冷静になる」ことであると最後に述べておくのである。

SEO人同士の関係について少々語ってみることにする


今回はものすごく小ネタである。
SEO人同士の人間関係について感じる種々のどうでもいいことについて語ってみたい。
何の役にも立たないので、興味がなければ時間の無駄なのでスルーを推奨である。

私はSEOをやっている人と話すのが大好きである。
まあ、それ以外の人と話すのも好きなんだが、SEO人と話すのは特に好きだ。
SEOを学び始めてから誰からも教わったことはないし、今後も多分そんなことはないだろう。

SEOは多くの人にとって苦悩の歴史であると思う。
順位が上がらないとか、壊滅的に下がったりとか、検索経由のアクセスが徐々に下がっていってついにはほぼゼロになったりとか・・・。自らの境遇をのろったり、悲嘆にくれたり・・・。まあそんな感じである。

そして苦しい時も誰も助けてくれない。

自分の周辺にいて、相談に乗ってくれる人がいればどれほど楽なことか。
たいていの人は誰かにSEOを教わりたかったはずである。
私なんかも、その昔SEOを始めたばかりの頃はSEOがうまくいっているサイトの構成などを真似していろいろやってみて、でも全然うまくいかず、

「なんでうまくいかないのじゃ!」

と地団太を踏んだことが幾度となくある。
今では真似てもうまくいかない理由っていうのは何となくわかる(全部がわかるとは言わないが)のだが、当時はわからなかった。

実は今でもSEOでわからないことはないわけではない。
っていうかわからないことの方がずっと多いって言ってもよい。
今でも悩むことは多々ある。
辻氏ぐらいのレベルに達することができれば悩まないのかもしれないが、その境地に達することは未来永劫無理そうなので、SEOをやめない限り悩みからは解放される日は来なさそうだ。

たいていは周辺に悩みを解決してくれる人がいないのが普通だろう。
SEOの専業の会社でもSEOを深く知っているコンサルタントは大勢いないだろうし。

SEOをやっている人と話をしてみたくなる。悩みを解決したいっていうのはあるのだが、

「ああ、それ・・・、むつかしいですよね」

って語り合うことがきっと救いなのだと思う。
同じ問題にぶつかって、苦闘しているいわば同士みたいな人たちと話をすることは慰めにもなるし、新たな勇気をもらうことでもある。

私は若いころ昔の文学作品を読んだ時に、この偉大な文学者も同じ問題に悩んでいたのか?ということを知って大いに感動したのである。悩んでいるのは自分だけではない、と知った時に時空を超えた過去の偉人と心がつながった気がしたものだ。解決策がそこになくてもいいのである。

SEOはこれに似ているって思う。
解決不能、あるいは解決困難な問題が多々あり、世界中のいたるところでSEO人がぶつかっている。
ある意味同じ悩みを持った同士のようなものだと思うのである。

これらの人々は古典の文学書と違って、今を生きていて時間を共有しているし、アルゴリズムの変化があったりすれば、

「あああ、それそれ!」

みたいな当事者としての意識を共有しているので、観客ではなく同一のフィールドでプレーしているプレーヤーみたいなある種の連帯感がある。

SEO業者はそれぞれが競合他社だと言えるのに、仲がよかったりするのはその辺に原因があるのではないか?と私は思っているのだがどう思われるだろうか?

でもSEO人には大きく分けて2つのグループというか、派閥のようなものがある。
この2つのグループは決して交わらない。

ホワイトハットとブラックハットではない。

SEOをやってきて力がある人でブラックハットに手を染めなかった人はまずいない。
だからホワイトハットかブラックハットか?はあまり大きな対立軸にならない。

ホワイトハットのSEOを推奨している人でも、実際に会って話をしてみるとブラックハットの話も大好きだったりとかするのがなかなか面白い。
まあ、今はブラックハットをやっていない、あるいはブラックハットはもうメインではやっていないってケースが多い。

では2つのグループは何かというと、Googleを究極において信用しているかいないかだ。

自分でブラックハットをやっていても、Googleを信じているグループはサテライトサイトは登録しなくても、重要なサイトはウェブマスターツールやGoogle Analyticsを導入している。
Googleを信じないグループはこれらを導入しないことを推奨している。

ここまで書けば、ある程度SEOをやってきた人であれば、どのSEO人はどっちのグループに属すのがわかるだろう。

この2つのグループ間には驚くほど交流がない。

2つのグループはPR戦略、ブランディング戦略にも大きな違いがあり、くっきりと別れる。

誰がどっちなの?どうPR戦略が違うの?それぞれのグループにおける力関係は?みたいなことを書くのは週刊誌的なネタとしては面白く、バズるのかもしれないが、止めておくことにするのである。
なんで止めておくのかというと、まあ、そこは大人の事情ってことで宜しいでしょうか?

SEOコンサルティングの営業と契約はどうあるべきか


今回はSEO業者やコンサルタント向けの記事である。
しかしながら、クライアントにも読んでもらいたい記事でもある。

ホワイトハットSEOのコンサルティングをする場合の重要なポイントだ。

被リンクゴリゴリの外部施策しか提供しないのであれば、別に考える必要はない。
提供する内容が契約前にクライアントにわかったとしても、クライアント自身で実施できないからだ。

ところがホワイトハットSEOというものは誰でもできる。
誰でもとまで言うと語弊があるが、Webサイトのコーディングができる人であれば誰でもできる。
もし、コンサルティング契約前に、

「このような点を改善します」

ということをすべて明かしてしまうと、場合によってはすべて終わりになってしまう。
SEOのコンサルタントができて、Webサイトの制作業者にできないサイト改善は何か?それは、

どのようすればSEOの観点から正しい実装になるか

であり、現時点のWebサイトと理想のあり方のギャップがどこにあり、どうすれば理想に近づけられるかの判断である。
これができるからSEOのコンサルタントは飯が食える。

昔の話なのだが、売上高1兆円をはるかに超える大手企業からSEOの提案が欲しいと言われたことがある。
発注することはほぼ確定だから、できるだけ具体的に改善ポイントをまとめて欲しいという要望だった。
なので、時間をかけてサイトを分析して、レポートをまとめたのだが、

「この内容でしたら、自社のコーダーでできますね」

って言われて結局分析しただけ丸損だった。
後日その会社のサイトを見てみたら、私がまとめた内容に基づいてサイトの改善がされていたという腹立たしい経験である。
自分自身が甘かったのが悪いと言わざるを得ないのだが、ではどうするのが正解だったのだろうか?

1.企画段階で準委任契約をまず締結すること

準委任契約とは、成果を明示しない契約と考えればいい。
弁護士に依頼する場合は報酬を払うが、勝訴を確約するものではない。
この種の依頼をする契約が準委任契約だ。

システム開発などの場合では、設計のフェーズではまず準委任契約を締結しておき、設計がきちんと固まってどれくらいの作業量になるかが確定したら、請負契約に切り替えるといった契約形態が正しいとされている。

ところが、SEOのコンサルティングにおいては準委任契約しか普通はあり得ないし、準委任契約を契約する以前をどうするか?なので、こういうわけには普通はいかない。

2.秘密保持契約で縛りをかける

秘密保持契約(NDA:Non-disclosure agreement)は正式契約前に交わすことが多いので、提案を許可なく流用してはいけないという文面を入れて牽制するって方法はある。しかし、これも確実なものではない。

基本的にはSEO施策を無断でやられてしまった場合、盗用であることを立証することは非常に困難で、裁判に訴えるとしても費用がかかるため厳しい。
(本当に裁判は金がかかる。スラップ訴訟という言葉があるが、資金力がある企業側が個人や中小企業を恫喝するために、自らの非を顧みず嫌がらせ訴訟を起こすことである。個人は負担に耐えかねてたいていギブアップしてしまう。結局は金がないと戦えないのである)
しかし、相手が大手であれば、マスコミのネタになることを恐れることもあるだろうし、秘密保持契約でとりあえず守っておくという選択肢は無効とも言えない。

3.結果のみを提示する

Aという改善を行えばBという効果が得られる。
という内容をすべて提案書に入れるのではなく、Bの部分のみを明示する方法である。
まあ、当たり前っていえば当たり前だ。
典型的なのが、情報商材のセールスレターである。

こんなにいいですよ。
って書いておきながら、核心部分は完全にぼかしてある。
本当にBという効果が得られるのかどうか怪しいのが多くの情報商材だ。

情報商材はそれでも信じて買う人だけ買う。

SEOのコンサルティングもこれと同じでいいと思う。

私を信じるのか?信じないのか?

である。
内部施策は一つ一つの施策は効果があるかどうかが確約できるものではない。
積み重ねて初めて成果が出るが、どの施策が実を結んだのかはわからないかもしれない。
あるいは最初は全く成果が出ないかもしれない。
それでも信じてくれるか?である。

それでも信じてくれるクライアントだけが契約してくれればいいと割り切ってしまうのも良い方法であると思う。

4.一部だけ具体案を提示する

確実に効果がありそうな一部の施策についてのみ営業段階で指摘し、効果が検証できたら契約するという方法である。
基本的なSEOの考慮が全くできていないところなどには有効な方法である。
これができれば3.の信頼ができるので、その後スムーズに進めることができるだろう。
理想の一つであるが、いつでも有効とも限らないので万能の営業手法でもない。

5.契約前には一切何もやらない

「提案には最も金が要る。」これを納得してくれるクライアントとだけ付き合う。

最もいい方法である。

信頼にたるといかに思わせるか?3.よりも更に難しいが、最高無上の方法である。
これができるようにするにはどうするか?

ブランド力を高めるしかないのである。

厳しい道のりだが、日々積み上げていくしかないだろう。


最後にクライアント側の方に向けて一言書いておきたい。

ブランド力には本物と偽物がある。
一見ブランドっぽいものにもたくさんフェイクがあるのがSEO業界だ。
それを正しく見極めるのはどうすればいいかについて書いておこう。

真に自信のある人は自分を大きく見せようとしないことに留意してほしい。
SEOの世界における第一人者の多くにお会いしたことがあるが、皆すべて謙虚である。
彼らは自分を飾る必要がない。

虚勢を張っている感じがあればそのブランドは偽物であると疑ってかかったほうがよいだろう。

アフィリエイトは何故嫌われてしまうのか?


私自身はアフィリエイトを否定するものでは決してない。
むしろSEOを勉強する過程において、アフィリエイトを学ぶことから得られる実践的な知見は大きい。
だからむしろ推奨したいと考えているのである。
SEOだけでは、そこからコンバージョンに至る大部分の過程を学ぶことができない。ところが、アフィリエイトをやることで自分でなんらビジネスを所有していなくても、コンバージョンに至るかなりの過程を実践で学べる。だから、アフィリエイトそのものを推奨したいのだ。

さて、今回の話は、私がアフィリエイトを嫌っているのではなく、

何故世間の人々の多くがアフィリエイトを嫌ってしまうのか?

ということを論じているというわけであるので、誤解のないようあらかじめ申し上げておきたい。

さて、アフィリエイトにはこのような大きなメリットがある。

  • 広告主
    コンバージョンが発生して初めて費用を支払うことができるため、広告の費用対効果が明確である。
  • アフィリエイター
    自分で在庫負担などの金銭的な負担なしで、様々な商品やサービスを売って(紹介して)利益を得られる。

さて、少々話は外れるのだが、近江商人の話をしてみたい。
商才に優れていたと言われる近江(滋賀県)出身の商売人は近江商人と呼ばれた。
成功した近江商人はがめつく商売をすることを嫌い、真っ正直に商売をすることで消費者から信頼を得て成功したと言われている。

近江商人は様々な商売哲学を残したが、その中で最も有名な哲学を体現した言葉が

「三方良し」

である。

・売り手
・買い手
・商売に関わる社会の人々

が全て満足する商売が良い商売であるというのである。
私もこの考え方に賛成である。
これを正しいビジネスのありかたと私は定義している。

アフィリエイトは広告主・アフィリエイター共にリスクの少ないビジネス、販促手法である。
アフィリエイトはWinWinのビジネスモデルであると言われるゆえんだ。

しかし、広告主・アフィリエイターともに売り手側である。

買い手、およびそれに関わる社会の人々にとってもよいのか?

と考えてみるとどうだろう?

まず買い手にとってのメリットとは何か?
消費者自身が気がついていなかった商品やサービスに対する発見を与えることである。

知らないモノを知ったことによって購入の選択肢が増えた。
あるいは、あるモノを買うつもりだったのだが、それとは別のモノの長所を知ったことでよりよい選択をすることができた。
といった場合だ。

商品を提供する売り手自身が気がついていない、消費者視点からみたメリットの紹介。
様々なメーカーを横断した比較といった切り口。

これらはアフィリエイターなればこそできる切り口と言えるだろう。
価格.comなども広告収入で成り立っているわけで、アフィリエイトとも言える。この種のアフィリエイトビジネスは消費者の利益の著しい向上につながっている。

最後にそれに関わる社会の人々についてどう影響があるか?

様々な影響があるが、サーバー業者といった産業の売上が増えたりするといった周辺産業への波及効果があるであろう。

さて、こう書くとアフィリエイトには何も批判される理由はないように見える。
しかし、実際のところアフィリエイトのメリットの本質は、

売り手とアフィリエイターがWinWinであることである。
そこに消費者やその他の人々に対する利益という観点が考慮されていないことが多いのだ。
一言で言うと売る側の都合だけしか考えられず、結果として誰かに害をなすということである。

その結果こういうことがおきる。

1.公平性が考慮されない

アフィリエイトで何かの比較サイトを作る場合を考えてみよう。
商品A、B、Cがあったとして、実際はAが最も価格が安く品質も良かったとする。
その次に良いのがBで、Cは値段も高く品質も悪いとする。

ところが、商品Aにはアフィリエイト広告がなく、Bには広告があるものの広告単価が低い、Cは広告単価が高いとする。

こんな場合、多くのアフィリエイターはCを最も高い評価を与え、Bは相対的に低く評価し、Aは紹介しない。
本来は消費者に対してはAを紹介するべきなのだが、アフィリエイトというビジネスの構造上そういうことにはなりにくい。

消費者の判断を歪める原因になりやすいのである。

2.ステルスマーケティングの温床になりやすい

アフィリエイターの目的は自分が広告するものを買ってもらうことである。
なるべく不利な情報は書きたくない。
まあ、それだけならいい。
嘘八百が並ぶことが多い。

そもそも、ほとんどのアフィリエイターは商品についての知識など一切持ち合わせずに適当に書いている。
数万円もするようなものをいちいち買って評価するなんてことは普通はやれない。
数万円どころの話ではなく、数百円のものだって買うことは稀だろう。

知識を持たずに、売りたいがためにデタラメ、嘘八百の誇大広告を書いた記事は有害以外の何ものでもない。

この手の記事が増えると、逆に売り手にとっても悪い影響が出る時がある。

あまりにもあからさまなステルスマーケティングの記事が増えると、企業姿勢を疑われる可能性が出てくる。
一般消費者はアフィリエイトというビジネスモデルを知らない。
企業が組織ぐるみでステルスマーケティングをやっているって思われたりもする。

だからブランドイメージを大切にする企業はアフィリエイト広告という販促手法を取らないことが多い。

売り手にとっても、買い手にとってもこの種のステルスマーケティングは嫌われるのだ。

3.二次情報が氾濫する

前述のとおり、多くのアフィリエイターは自分でその商品なりサービスなりを実際に使ってみることなく、誰かが書いた情報を元にリライトしたり甚だしきはそのまま丸写ししてコンテンツを作る。
これは何ら新たな価値をネットの中にもたらしていない。
それのみならず膨大な二次情報を生み出すことで、本来必要な一次情報を埋もれさせてしまう。

何かについて調べた時に、アフィリエイトサイトばかりが検索結果に表示された場合のガッカリ感はかなりなものである。
何故そんなにがっかりするのか?
それは、

「そこに自分が欲しいナマの情報があると思えない」
「どうせ似たようなことしか書いていない」

と思えるからである。

4.詐欺が多い

特に情報商材である。
情報商材のアフィリエイトは単価が高いため、かなりメジャーなアフィリエイトの分野の一つであるが、インチキな情報が氾濫している。
このインチキな情報をまき散らしているのがアフィリエイトだ。
アフィリエイトがもし存在しなければ、大多数の人はその種の詐欺的な情報商材を目にすることはないだろう。

またアフィリエイト自体が情報商材のネタとして使われていて、

「何もしなくても、毎日5万円入金される驚異のアフィリエイト」

みたいないかがわしいキャッチコピーで流布している。
見るからに怪しい。この手のキャッチコピーにひっかかるまともな人はまずいない。
ギャンブルのような射幸心をあおる詐欺、それがアフィリエイトであるという図式が多くの人の頭にある。

また、この種の詐欺はアフィリエイターが被害者になる。
射幸心を煽る悪のアフィリエイターが、情報弱者のアフィリエイターをカモにするのだ。
カモにしようという気持ちが溢れまくっているので、アフィリエイトイコールいかがわしいというイメージになるのだ。

5.楽をして稼げるという誤解がある

「何もしなくても、毎日5万円入金される驚異のアフィリエイト」
といったこの手のフレーズがいまだになくならないのは、それがある一定確率で信用されているからだ。
いくらこんなフレーズで引っ掛けようにも引っかかる人がいるというのは、それを信じる人がいるからである。

人は他人が羨ましい生き物だ。
毎日働いていても大して給料をもらえるわけでもない。
それ故に、働きもせずにいい暮らしができるなんてけしからん(実際は羨ましい気持ちの裏返し)!

という気持ちを持っている人がいるわけだ。
実際のところ、アフィリエイトって何もせずに稼げるわけでもないので誤解なのだが、その種の誤解を生み出す表現を日々アフィリエイターが生み出しているのでいつまでたってもなくならない。

6.スパムの温床である

アフィリエイターの多くは、手間をかけずに儲けたいと考えている。
また、ブランドイメージを損なうなんてことを考える必要がない。
だから、スパムに走ることが多い。

検索エンジンスパムは、検索ユーザーの利便性を損なう。
人工リンクを中心としたSEOをゴリゴリやるこで、上位に表示させようとするウェブマスターが多くなると検索エンジンは機能しなくなる。
この検索エンジンの機能不全に大きく一役かっているのがアフィリエイトだ。

上位表示させるためには手段を選ばない。
最悪ペナルティを食らっても、ドメイン移転すればいいやぁみたいな戦略は企業は取り得ない。
企業と異なりいくらでも検索結果を汚染するようなサイトを作ることができる。

またメルマガアフィリエイトみたいなものは、スパムメールの温床になる。
スパムメールはインターネットのトラフィックの多くを占めており、ネットワークの負荷の大きな原因になっている。

7.社会通念上許容しがたい商材を扱う

出会い系などはこの最たるものだ。
「女子高生と出会える」みたいなこんな半社会的な広告を作ったりするのはアフィリエイターである。
いくら出会い系サイトを運営していたとしても、業者自身はそのような広告を作ったりはできないから(本音のところは売上が取れれば万々歳)事実上アフィリエイターを黙認する。


アフィリエイトが嫌われてしまう原因を書いてきた。

私は色々書いてきたが、アフィリエイト自体が悪だと言うつもりはまったくない。
アフィリエイトというビジネスは消費者を軽視しがちになりやすい性質を持っているってことを論じてみただけである。

実際に自分が扱う商品なりサービスをきちんと研究して、分析をし独自の視点からユニークな記事を書いているアフィリエイターも多い。
それは結局のところ消費者の利益にもつながり支持を得られるし、最終的にはそれで稼いでいるアフィリエイターもいる。

消費者視点でのコンテンツを作るアフィリエイターが増えて欲しい。アフィリエイターの社会的認知は向上するだろう。
元々の売る側が気が付かなかった視点での記事を作ることは誰にとってもプラスになる、三方良しのビジネスであるはずなのだ。

さて、最後に付け加えておくと、世の中キレイ事じゃないってそんなことぐらい私だってわかっている。でも、

「キレイ事じゃないんだよ!」

って居直るってことは悪だと思われることを肯定していることに他ならないと思うのだ。
嫌われるのが嫌である、あるいは誤解であると思うならば、消費者の視点からアフィリエイトのビジネスを展開して欲しいと切に願う次第である。

SEO世界を根底から揺るがす新アルコリズムを勝手に予想してみる


今回のテーマであるが、Googleにこれから導入されると私が思うアルコリズムを予想してみた。
まあ、あくまでも予想だが案外実現する可能性は低くはないという気はしている。

1.アフィリエイトタグを元に
 同一のWebマスターのサイトを紐付けるようになる

現時点でも技術的には実装は可能だろうが、冤罪が発生する可能性が大変高いためあえて実装していない、あるいは実験中かもしれない。

アフィリエイトタグを手がかりにして同一管理者のWebサイトを特定する。
あるサイトがペナルティを受けた場合に、ネガティブ評価の一つのシグナルとして使う。
このことだけで他のサイトがいきなりペナルティを受けるというわけではなく、他のネガティブな要素と組み合わさったらペナルティが発動するといった使い方になるだろう。

なぜ冤罪が発生するのかというと、例えば、
他人のブログのコメント欄や掲示板にアフィリエイトタグを貼る。
無料ブログなどでは自分が貼っていないアフィリエイトタグが自動的に貼られる。
といったことが起こるからだ。
でもこのような問題があるが、技術的にはクリアできそうな感じもするし、ペナルティ発動の小さなシグナルとして使うのであれば問題なさそうな気がする。

2.まとめの自動作成

現在NAVERまとめといったキュレーション系のサービスが大流行である。
確かにこれらのサービスは便利である。
その大きな原因は検索エンジンの機能がまだ足りないことにある。

現在の検索エンジンは一つのページを探すという目的のために作られている。
しかし、これでは用が足りないことが多い。

日本近海で採れるカニの種類を調べたいとする。

このような調べ事をしたい場合は、検索エンジン単体ではまったくもって無理である。
そのような知識をまとめたページを検索エンジンを使って探すことになる。

このようなことをネットで調べたいといったケースは大変多いため、NAVERまとめといったサービスには需要がある。

また現在の検索エンジンで最も不便だと思う点の改善にもつながる。
検索上位は同じような情報のページが占めてしまい、必要な情報が探せないことがある。
もし、類似情報を全て一つにまとめてくれれば、ページを数多く送って探す必要がなくなるかもしれない。

私のイメージとしてはこんなインターフェースである。
「日本近海で採れるカニ」
と検索すると、

日本近海で採れる蟹のSERPsから未来の検索を占う

こんな感じで表示される。むちゃくちゃ便利じゃないだろうか?
目的の情報へのアクセスのしやすさからいずれはこのようなまとめをGoogleが自動的につくるようになるのではないか?

と私は思ったりしている。
実際に現在でも下記のようなカルーセルと呼ばれる検索結果が導入されているので、まとめ機能をGoogleが実装する日は遠くないと思う。

「高倉健が出演した映画」と検索すると、こんな検索結果が出現する。

高倉健が出演した映画
※クリックすると拡大します。

3.範囲指定の導入

例えばショッピングといった分野では金額から検索することができる。
「液晶テレビ」とショッピング検索すれば、価格で絞り込むことができる。

これがもっと拡大されるのではないか?
と私は思っている。
現時点においては、ウェブマスターがタグ付けすることによってGoogleは金額などを見出している。
しかし、いずれはそんなことをせずとも文脈解析・図形認識などによって、

「この数字は横幅だろう」
「これは製品の色だろう」

といったことがいずれは自動的にわかるようになると思う。
そうすると、自分は木目調の家具で部屋をコーディネートしていたとする。
そんな場合に隙間に入る丁度いいサイズの木目調の家具とかを探せるようになる。

現在はこのようなインターフェースはECサイトなどにもないので、一気にGoogleはECサイトの実装すべき機能を先取りして実装しちゃうかもしれない。
そんな気がちょっとしている。

4.ランキング表示機能

「日本の高い山 順番」

と検索すると、富士山、北岳、奥穂高岳・・・といったように順番に表示されるって機能はできそうな気がする。

「日本 高い山」

と検索すると、検索2位に注目いただきたい。

なんとなくそんな感じである。
これを拡張したら多分イケるだろう。

5.文章のオリジナリティを解析する

私は今日のブログでは実はこれが一番書きたかったことである。
現時点においてコンテンツの価値を計る重要な要素は今でもリンクである。

リンクは比較的容易にスパマーから操作されてしまう欠点がある。
しかし、リンクを評価から外すことはあり得ない。Google登場前のスパムサイトのオンパレードの検索結果に逆戻りするだろう。
リンクに替わる評価基準はないだろうか?

私は一つあると思っている。
リンクを評価基準から外すのではなく、別の大きな評価基準を作るのである。

それは、一次情報がどれだけ存在するか?

である。
AはBである。
という関連性をコンテンツを解析して大量に抜き出す。
その関係性が初めて記述されたページをオリジナルとして認識して、一次情報とする。
このアルコリズムを実現することは非常に難しいが、原理的には不可能ではない。

現在の検索エンジンは基本的には共起語の有無によってしかコンテンツの内容の良否を判断できない。
ところがこのアルコリズムの導入によって、コンテンツの内容の正否と一次情報が判別できるようになる。

「タラバガニキャンディー」はタラバガニのキチン質の甲羅を使って作られた、新時代の健康志向のキャンディーである。
という文章が、田村製菓という小さい町の洋菓子店のホームページにあったとする。

タラバガニキャンディーはキャンディーだ。
タラバガニキャンディーはタラバガニによって作られている。
タラバガニキャンディーはキチン質が含まれる。
タラバガニキャンディーは健康に役立つ。

ますは田村製菓のホームページから上記のような関連性を見い出す。
この時点ではまだ評価としては未定だ。
正しいか?どれだけ評価すべきかわからないからだ。タラバガニキャンディーなるものは存在しないかもしれない。

その後それが楽天などに掲載された場合や、アフィリエイターや、はたまたテレビで取り上げられて様々に引用されたとする。
すると、上記のような関連性が様々なページ上に掲載される。
それによって、上記の関連性は正しいものとしてGoogleに認識されて、田村製菓のページの情報が一次情報として評価される。

こんなアルコリズムである。
ページのオーソリティが高い二次情報の方が上位表示されてしまったり、類似情報に一次情報が埋没してしまうことを防ぐことができる。

一次情報を加工した二次情報が氾濫しており、どれが正しい情報なのかさっぱりわからない状況が多々発生している。
私は少々二次情報の氾濫には以前からうんざりしているのだ。同意見の方もいらっしゃると思う。
真に貴重な一次情報を特定できるようになるのだ。

構文解析や、リアルタイムのインデックスといった非常に難易度が高いハードルがあるが、このアルコリズムが導入されればコンテンツの正当性を測る指標としてのリンクは価値を大きく減じるだろう。
SEOの常識を揺るがすアルゴリズム変更になるだろうが、みなさんはどう思われるだろうか?

今ペナルティでなくてもリンクの否認を行うため被リンクのチェックはすべきなのか?


まずは最も重要な問題について考察してみる。

人工リンクを行っていなくても
被リンクのチェックはすべきか?

これである。
近年被リンクのチェックを行う必要性が高まっている。

本来であれば、人為的な被リンクを自サイトに対して行ったためにペナルティを受け、これを回復するために行うのが被リンクのチェックの目的だ。
しかし、人為的な被リンクを貼ることによって、競合サイトの検索順位を下げることができることを、Googleは近年では暗に認めてしまっている。

もしあなたが〇〇な状態であれば、否認ツールを使いましょう
マニュアルアクションとられていなくても、おかしなリンクを発見したら否認ツールを使うべきですか?

Googleのアルコリズムについての広報を行っているマット・カッツ氏は、これらの記事に書かれているように、

「ネガティブSEOが自身のサイトに行われていると感じた時」
 もリンクの否認が有用であると述べている。

本来こんなことはWebマスターの仕事ではなく、Googleにやってもらいたいのだが現実を考えれば已むを得ない。

とは言え、リンクの否認を行うことを前提にリンクのチェックを行うべきサイトは決して多くはないと私は考えている。
では、どんなサイトがこれを行うべきか?私が考えるのは3つのケースである。

1.Webサイトからの集客の重要性が高いか?

業務を行うことは人件費が発生することだ。
一般論としては人件費の使い道として優先度は低いものの、Webサイトの重要性が高くなればなるほど重要になると考えなければならない。

重要なサイトであれば、1ヶ月に1回程度は見ても良いと思う。
特に競合が激しい分野、つまり検索キーワードが直接ビジネスに直結するような分野、例えば金融関連などでは重要である。
被リンクによるネガティブSEOなんてあり得ないと言い張っても、万が一ではあっても被害が出てからであれば遅い。

実際、この手のネガティブSEOが成功させることは難しいのであるが、ネガティブSEOを狙ってリンクを貼ること自体は容易である。
たいてい自動化されているため、数万というリンクを一度に貼ってもコストはたいしてかからない。
しかも、リンクは低品質であればあるほど低価格である。

低品質なリンクを数万、あるいは数十万も貼られれば、たいていのサイトは大丈夫とは言い切れない。
成功率は低いものの攻撃する側としては比較的低コストでできるから、こんな人の道に外れたことを誰もやらない保証はないのだ。

2.人為的な被リンクを行っていたことがあるか?

人為的な被リンクをこれまで行っていたら、サイトの状況は危険水域にあるかもしれないと思っていたほうがよい。
被リンクによるペナルティは、堤防と一緒である。
ある程度の水位までは耐える。
しかし、ある一定の水位を超えると一気に決壊する。

人為的な被リンクは今現在は確かに検索順位の上昇に貢献しているかもしれない。
しかし、確実に水位を上げている。
一番いいのは人為的な被リンクをやめることなのだが、やっているのであれば特に注意せねばならないだろう。
中古ドメインを使っているといったケースも同様だ。

3.スパムペナルティを受けたことがあるか?

このようなサイトはブラックリスト入りしていると考えたほうがよいと私は思う。
憶測にしか過ぎないのだが、私がもしGoogleだったら、かつてペナルティを与えたサイトについては特に警戒する。

会社の金を横領したという過去がある人物がいたら、収監されて処罰を受けて帰ってきたとしても私だったらお金を任せる仕事はさせない。
私だけではなくて、多くの人もそうだろう。

こういうふうに疑いの目で見られるわけで、恐らくはその人物は終生そう思われる。

Googleもこれと同じだろう。
永遠に猜疑心は消えることなく持ち続けると考えたほうがよいと思うのだ。


さて、上記の3つのケースを除きリンクの否認のために、被リンクのチェックをする必要はないと私は考えている。

最後に、どのようなリンクを否認しなければならないのかについて書いておこうと思う。
実際にGoogleから警告が来た場合は、疑わしきリンクは全て外すなり、否認するのが原則である。

しかし、上記のような場合はあくまで予防であり、危険水準に近づいた水位を下げることが目的である。
ナチュラルなリンクを残さねばならない。

誰が見ても確実にSEO目的のリンクだとわかるようなリンクをはずさない限り、水位を下げる効果は小さい。

手っ取り早く水位を大きく下げるためには、アンカーテキストに着眼するのがよいと考えている。
SEO目的の被リンクは、アンカーテキストにSEOしたい文字列が含まれるのが特徴だ。
だから、それに着眼すればよいのだ。

ウェブマスターツールにはどのページから、どのアンカーテキストでリンクされているかチェックする機能が残念ながらない。
ダウンロードしたURLについて、どのようなアンカーテキストでリンクされているかチェックするといったツールを作ることは、ちょっとプログラムを作れれば難しくはない。

こんなものを作って、重要キーワードに焦点を合わせてチェックすることが有効だ。
重要キーワードでの、低品質なページからのリンクを減らしてやれば、安全性はぐっと高まる。

これはお勧めである。

順位保証による成果報酬型SEO業者の金額設定


いまさら被リンクについて書くのも何なのだが、いまだに被リンクはSEO業者の飯のタネである。

SEO業者が書いているSEOブログの中に、

「Googleのガイドライン違反は危険なのでやめるべきです」

と書いておきながら、サービス案内には順位保証型のSEOが掲載されていたりなんかして、実に香ばしいっていうか・・・
人間には本音とタテマエがあって、本音は隠すことが多いのにここまでくると潔いっていうか、厚顔ぶりにシビれる。

ある程度SEOを知っているのであれば当たり前のことなのだがもし知らないのであれば、覚えておいて欲しい。

順位保証型SEOはGoogleのガイドライン違反なしに成立しない

のである。
順位をあげるために確実性のある方法は2つしかない。

  1. コンテンツを充実させる
  2. 人為的に被リンクを貼る

この2つしかなく、順位保証型のSEO業者が取りうる選択肢は後者のみである。

前者は、不可能ではないのだが不可能に近い。
コンテンツを充実させることで検索順位は上昇するが、ビッグキーワードで一般的な順位保証型のSEOの成果基準となる10位以内にまで達することは非常に難しい。
あまり上がらないこともある。
コンテンツを充実させると、ロングテールキーワードでの集客は取れるようになることは間違いないのだが、順位が上がるかどうかはやってみなければわからない。
しかもコンテンツの充実のためには多大なコストがかかる。

成果が出るか出ないかわからない施策のために、SEO業者自身がリスクを負ってコンテンツを投入することはできない。
また、SEO業者はあくまでSEO業者にしか過ぎないので、自分でコンテンツを作り出すことができない。
というわけでコンテンツを充実させるといった、順位上昇施策によって成果報酬を得る施策は現実的には不可能なのだ。

というわけで後者の人為的な被リンクを貼るという施策しか選択肢はない。
人為的な被リンクはGoogleのガイドライン違反であり、違反を冒さない順位保証型SEOっていうものは存在しないのだ。

「Googleのガイドライン違反は危険なのでやめるべきです」

と言いながら、順位保証型SEOを社業として行うことは矛盾以外の何ものでもない。
私は以前「SEO人のポジションとポジショントーク」という記事の中で、ブラックハットを倫理的に否定するつもりはないと書いた。
ブラックハットを否定するのではないが、この種のポジショントークは否定しなければならないと思っている。
これは明らかに騙しであり、騙そうとする対象は検索エンジンではなくクライアントであるからだ。

「ガイドライン違反はいけません。
でも当社の順位保証型SEO施策は違反ではありません。」

こんな嘘はある程度知識があれば一瞬で見破れる。
しかし、私が憤りを感じるのは正しい知識を持たない素人を騙そうとしていることがミエミエだからである。

熱く語ってしまったが、順位保証型SEOとはイコール人為的被リンクであるということがここまでのおさらいだ。

さて、それでは

順位保証型SEOの金額設定はどのような考え方で行われているのか?

これはSEO業者の立場に立って考えるとわかりやすい。

一見割安に見える料金設定も、業者の都合であることが多いことがわかるだろう。

大手業者であれば何も施策を行うことなく、順位が上がった時だけ成果報酬を取ろうとすることはない。
(順位保証型であれば、所定の順位に達すれば課金が発生するため、実際はほとんど何も施策をしないインチキ業者も存在する)
大手業者や良心的にやっている被リンク系の中小零細業者はボッタクる意図ではつもりはやっていない。

なのになぜ高いか?

その理由は

成功確率にかかっている

のである。

ビッグキーワードになればなるほど、課金金額が高くなるのもこれが理由だ。
いくら被リンクを貼ろうと何をしようと、ビッグキーワードになれば上位表示は難しい。

とにかく1サイトあたり月額30,000円もらいたいと考えたとする。
(これくらいの金額はSEO業者としては割りと普通の設定である感じ)
成果に関係ない固定課金だったら月額30,000円もらえばよい。

ところが、競合サイトとの兼ね合いによって上位に食い込める確率が変わってくる。

上位表示できる確率が5分の1ぐらいしかなさそうと推定したら、30,000円では受注できない。
この場合だと金額を単純計算すると5倍する必要があり、150,000円という金額が適正な金額になってくる。
(実際はこの計算は正しくはない。コインを投げて2回投げても表が100%出るとは限らないのと同じである)。

上位表示できる確率が10分の1であれば、10倍して300,000円が適切であろう。
順位保証による成果報酬型SEOは高く見えるのだが、このような理由で致し方がないのだ。

さて、最近(でもないか)、1キーワードではなく、3キーワードとか5キーワードとかでも上限金額が同じであることが多い。

1キーワード上位表示しても、150,000円だが、5キーワード全て上位表示した場合でも150,000円という設定。

このように割安な感じになる。一見するとお得な気がするがどうしてこうなるのだろうか?

1キーワードだけだと上位表示できる確率は5分の1というケースであれば、5キーワード設定することができれば単純計算で100%の上位表示確率になる。
(実際はいずれのキーワードでも上位表示しない確率は、0.8の5乗となり、32.768%の確率でどのキーワードも上位表示しない。どれかのキーワードが上位表示する確率は67.232%となる)

5キーワード施策しても手間が5倍になるわけではない

どのみち、キーワードは分散させなくてはいけないので、分散させるキーワードについても成果報酬対象キーワードにすればいいだけである。
例えば、「タラバガニ通販」というキーワードで上位表示させようとさせる場合でも、全てアンカーテキストを「タラバガニ通販」にしてしまうわけにはいかない。
全て同じアンカーテキストにしてしまうと、アンカーテキストが不自然にかたよるため順位が上がりにくくなったり、ペナルティになる危険性が著しく増えるからだ。
だから、アンカーテキストはバラけさせなければならない。
そのバラけさせる中に、

「タラバガニ激安」
「タラバガニお歳暮」
「カニ 訳あり」
「お歳暮 カニ 通販」

といった、成果対象キーワードを含めればアンカーテキストが分散して安全性が増す(安全性が増すってだけで、安全になるわけではない)。

なので、施策の手間はさほど増えず、成功率は上がるのでキーワードが増えると安くなったりするわけだ。

とはいっても、これは別にSEO業者がクライアントを騙しているわけではなく、それでクライアント側が納得するならばお互いの利害が一致したということであろう。
運が良ければ複数のキーワードで上位表示することもあるわけだし。

この料金設定は業者・クライアント双方にメリットがあるため、順位保証による成果報酬型SEOとしては最も合理的な料金設定であると思う。

でも、2つ気をつけてもらいたいと思うことがあるので最後に書いておこう。

1.どのキーワードであっても
  上位表示された場合は課金されてしまう

ビジネス的に有用性が低いキーワードでも課金されてしまう。
月間検索数が少ない競合の少ないキーワードが混ざっていると、そのキーワードだけ上位表示されて課金されるという嬉しくない事態が起こり得る。というか、こんなケースが普通に起こる。このリスクを納得した上で施策を依頼するか、全てのキーワードがビジネス的に費用対効果に見合うことを確認するべきである

2.ガイドライン違反なので
  当然ペナルティの危険がある

これは前述したとおり。
リスクを甘受することができるか?
ペナルティを受けた場合の対応策があり、ビジネスに与えるダメージを食い止める策があるのか?

当然ながら最も重要なポイントである。
私は基本的には人為的な被リンクはおすすめしないのだが、ビジネス的なデメリットを理解した上でこれをあえてやるという選択肢はあり得ると思っている。
しかし、デメリットは非常に大きいのでお勧めはあまりできないというのが私の考えではある。

CSS Nite LP, Disk 29「SEO 2013」についてレポートしてみる(Part.4)

最後に紹介するのは辻正浩氏である。

辻正浩氏

辻正浩氏は昨年のCSS Nite LP, Disk 24「インハウスSEO」において「事例で考える『SEOの力』」というテーマで公演をした。
この中で公開されたノウハウの多くは一般的に語られていないものであって、多くのSEOの専門家に強いインパクトを与えたことはいまだに記憶に新しいところである。

そして今回の公演も期待を全く裏切らないものだった。

さて、テーマであるが、

SEOを成功させる一覧ページの作り方

である。
これほど面白いテーマはなかなかない。
最も重要な問題でありつつ、SEOの教科書的な情報源からはなかなか得られない情報だからだ。
私自身もWebサイトを作り始めた時に非常に頭を悩ませたし、今も頭を悩ませる問題である。

さて、本題に入ろう。

SEOへのアプローチには3つある

  • マーケティング
  • コンテンツ
  • 技術
  • この3つがあるが、「技術」について主に説明する。

    SEOに必要な技術要件の多さ

    大規模なサイトになればなるほど、必要な技術要件は多くなる。

    数十ページしかないページであれば、ほとんどSEOの知識は必要なく、
    数百、数千ページとなるとかなり多くなり、
    数億ページとなると非常に重要性が高まる。

    ある程度以上の規模のサイトになると、SEOへの考慮が非常に重要になる。

    Webサイトの構造と必要になる技術要件

    • トップページ
      ・特定ワードで評価させる内部修正
      ・重要なページへのリンク
    • 一覧ページ
      ・たくさんありここが重要
    • 末端ページ
      ・テキストを評価させる内部修正
      ・リンクを受けやすくする仕組み
       など

    一覧ページのSEO要件[初級者向け]

    一覧ページにもコンテンツとなるテキストを配置する

    ページへのリンクを表すテキストの羅列は検索エンジンには評価されにくいからだ。
    検索エンジンに評価されるために、一覧ページの上部にユニークなテキストが必要である。

    title要素

    「検索結果」といったtitleは論外(検索結果に表示されたとしてもほとんどの人はクリックしない)
    一覧のカテゴリの名称入るのは絶対条件

    札幌の一覧であれば「札幌の店舗一覧」といったようにカテゴリの名称が入っていなければならない。

    nanapiの事例
    「LINE(ライン)の使い方徹底ガイド116記事」
    といったようにカテゴリの名称が入っている。
    (※筆者注:LINE・ラインって両方入っているのも小技)

    一覧ページへの内部リンク

    主要ページから内部リンクを貼る。
    SEOだけではなくユーザービリティの観点でも必要である。
    nanapiの事例では、グローバルナビゲーションやパンくずリスト、一覧ページで各記事タイトル下部にそれぞれ設置したパンくずリストなどからリンクしている。

    一覧ページヘの内部リンクの重要性は知っていると言いながら、できていないケースが多いので重要である。

    一覧ページのSEO要件[中級者向け]

    一覧ページのSEO上の役割とは

    • 1ページ目を特定キーワードで評価させる
    • より多くのページにより良い内部リンクを渡す
    • より多くのページを認識させる

    より多くのページを認識させるためには、

    1.ページ送りリンクに配慮する。

    「次へ」で延々とページ送りしないと、後ろのページにたどり着かないという作りはだめだ。
    nanapiの事例では、ページ送りは少ないクリック数で後ろのページにたどり着けるよう配慮されている。

    2.重複コンテンツを避ける。

    重複コンテンツの問題はサイトの規模が大きくなると苦しむところだ。
    重複コンテンツになりやすい理由としては以下のようなものがある。

    アイテムの追加により1ページ目から2ページめへ押し出されたページが全く同じものになることがある。
    1ページに5件しか表示されない仕様であれば、5件追新しいデータが追加されたら2ページ目と新しくできた1ページ目が全く同じになってしまう。

    1ページに表示される件数を増やすと重複になりにくい

    先ほどの例で言えば10件表示される仕様に変更すると、2ページ目には5件のデータが1ページ目から押し出されるが、新しい1ページ目との類似度は50%となるためかなり影響が軽減される。

    また1ページに表示される件数を増やすことは、検索エンジンから同じ一覧ページのインデックス数でも多くのページへ内部リンクできることにつながる。
    一覧ページが10ページだけしかインデックスされなかった場合を想定すると、
    1ページに5件表示の場合は、内部リンクがされるのは50ページ。
    それに対して10件表示であれば、内部リンクがされるのは100ページとなり、後者の方が有利になるということだ。

    また一覧できる数が増えることはユーザービリティの向上にもつながる。

    title、h1にページ番号を入れる

    title、h1が重複すると重複コンテンツと判定される可能性がある。
    そのためページ番号を入れて重複になることを防ぐ必要がある。

    ソース上部の共通情報を減らす

    検索条件設定といった内容のページの先頭部分に膨大なHTMLのソースが存在する場合もある。
    (プルダウンの全選択項目といったHTMLのソースは人間が目で見ている以上に大きく、これらのプルダウンがたくさん並んでいたりすると膨大なHTMLのソースが存在することになる)
    このような場合などは重複コンテンツと判定されやすい。
    iframe化して検索エンジンから認識されないようにするとか、画面の下部に持っていくとかして防止するのがよい。

    パラメータはしっかり整備する

    検索エンジンに認識させるべきでないURLを反映させない。
    (※筆者注 アユダンテ株式会社の安川洋氏も同じセミナーの中で同様のことを述べていた
    これが難しいならばcanonicalを使って正規化、それも無理であればウェブマスターツールのパラメーターの設定を行いパラメータを無効化する。
    とは言え、ウェブマスターツールのパラメーター設定はなるべく行わないほうがよい。

    一覧ページのSEO要件[上級者向け]

    SEO技術面では内部リンクが一番重要であり、すべてを左右すると言える。
    その中でも一覧ページは内部リンクを最も操作しやすいテンプレートであり重要だ。

    どのリンクがGoogleからどれだけ評価されているかは人間からはわかるわけがない。
    わかることは以下の4つである。

    1. ウェブサイトによっても似たようなリンクであっても全く違う
    2. この半年でかなり変わった
    3. 検索エンジンがほぼ無視する内部リンクも増えている
    4. ユーザーを移動させるリンクには評価がある

    高度な内部リンク最適化の二つの道

    • 実験を続けてアルゴリズムを追いかける 修羅の道
    • ユーザー観点での内部リンクを突き詰める 平和な道

    この2つがある。
    (※筆者注:私はこの修羅の道という言葉には深く打たれて感動したのだが、この日のセミナーに参加した人々もやはりそうだったらしい。
    SEOで飯を食う人間であれば、クライアントにはそのようなことはさせなくても、自らは修羅の道を往くべきではないか?というように思う。
    私は最近はアルコリズムをほとんど追っておらず忸怩たる思いがあった。それ故に己の怠惰を喝破されたようでこの言葉には非常に深く打たれたのである。)

    理想の一覧ページとは

    ある要件を忘れているところが多い。

    ページを訪れた人が、わかりやすいページになっていますか?

    一覧ページにユニークかしたテキストを入れることはユーザーの利便性にもつながる。
    これをつきつめたのが、「コンテンツ化一覧ページ」である。

    例えば、「デジタルカメラ 通販」と検索した人の検索意図を考えてみよう。

    このような検索キーワードであっても必ずデジタルカメラを買いたい人とは限らない。
    実際にカメラ屋に行った時に、
    「さあ、どれにします」
    と目の前にデジタルカメラを突き出されたら、困惑することになるだろうがWebサイトもこれと同じである。
    実際の店舗でやられて困るようなことが、Webサイトでは普通に行われていると言える。

    様々なデジタルカメラの購入に関する情報を知りたいといったニーズがあり、買いたいというニーズはその中のごく一部かもしれない。

    「デジカメは今が買い時な理由」

    こんなコンテンツをページの上部に置くのがよいだろう。

    一覧ページコンテンツ化で達成できること

    一覧ページにランディングした時の

    直帰率の低下
    PVの上昇
    コンバージョンレートの上昇
    キーワードの順位の上昇
    流入キーワード数の上昇

    といったことが実現できた。
    ユーザー観点もSEO観点も満足させるのがコンテンツ化一覧ページだ。

    ユーザー観点での改善は技術要件も満たす場合が多い!

    検索エンジンは検索結果に検索結果を出したくない

    多くのユーザーはWebサイト内の検索結果ページが、Googleの検索結果に表示されることを望んでいない。
    検索から訪問するページとして、ユーザが望んでいないページを出そうとするSEOで成果が上がるわけはないのだ。
    (※筆者注:たいていのユーザーは、自分が必要とする情報そのものズバリがあるページが、検索結果に表示されて欲しいと考えるだろう。Webサイト内の検索結果ページには必要とする情報はたいていは存在せず、その中からまた探さねばならないことになる)

    SEOへのアプローチには3つあり全てが必要

  • マーケティング
  • コンテンツ
  • 技術
  • マーケティング、コンテンツこの2つだけだと、せっかく価値があっても見てもらえないという残念な状況に。
    技術、マーケティングこの2つがよくてもコンテンツが欠落しているSEOはスパムである。
    技術、コンテンツこの2つがよくてもマーケティングが欠落していたら売上につながらない。

    まとめ

    バランスのよいSEOを継続するには。
    いいSEO施策はユーザーにも評価される。
    ユーザ利点の薄いSEO施策は安定しない。

    CSS Nite LP, Disk 29「SEO 2013」についてレポートしてみる(後編)

    次に紹介するのは、アユダンテ株式会社の安川洋氏である。お題は、

    事例で学ぶキーワードとカテゴリー

    安川 洋氏

    である。
    一度だけアユダンテの方とはお話をしたことがある。
    真性のホワイトハットSEOであり、システム連携といった難易度の高い案件などに参画し技術力で食っている会社であるらしい。

    多くののSEO業者はホワイトハットと言いつつ、実際話を聞いてみると、

    「やっぱり被リンクですよ」

    ってな感じが普通であるため、かなり驚いた記憶がある。

    その会社の代表が安川氏であり、やっぱり否が応でも期待するところであったが、期待を裏切らずセミナーの内容は非常に濃いものであった。
    惜しむらくは時間が押していたことと、元々の持ち時間が少なかったため、話された内容を頭のなかで理解するための時間が取れなかったことが残念だった

    さて、本題だ。

    海外レディースファッション通販サイトWajaの事例でECサイトにおけるSEOの急所について語ってくれたのがこのセミナーである。

    SEOとは何か?二つの視点

    何に対してオプティマイゼーションするのか?

    1. ユーザーの視点
    2. 検索エンジンの視点

    この2つの視点がある。
    ※情報供給者の視点で考えてはいけない。

    1.ユーザーの視点

    検索キーワード「H&M」の例
    handm

    ユーザーは意図を検索キーワードに込めて検索を行う。 
    検索結果に表示される説明に検索意図と合致するページがあればクリックするし、なければ戻るボタンを押す。

    「H&M」というキーワードで検索した場合の例。

    検索結果はよく対策されている。納期の説明も書かれているのがよい。

    サイトに来訪したユーザーの意図

    • キッズの商品はどこかな
    • H&Mのドレスがほしいんだけどな

    といったニーズがあって来訪している。
    それらのニーズに答える選択肢があるのであれば、ファーストビューの中にクリックできる選択肢を入れ、ユーザーを適切に誘導できるようにする。
    そうすればGoogleもそれを認識してサイトリンクに表示するようになる。

    ユーザー視点のポイント

    ・キーワードが重要

    子供服を売っているのであれば、「子供服」というキーワードで最適化を行うべきだ。
    「キッズ」というキーワードを使うと、多くの検索ニーズを取りこぼしてしまう。
    しかし、キーワードを組み合わせた時に、「ブランド名 キッズ」の方が「ブランド名 子供服」よりも検索数が多い場合もあるためチューニングが必要だ。

    ・検索結果を見て買いたくなるか
    ・ファーストビューに、ユーザーが最初にしたくなる絞り込みが表示されるか

    ECサイトにはどんなキーワードがあるか

    ※コーディネート、といったような直接的にコンバージョンに結びつかないキーワードは今回の対象にしない。

    キーワードの種類ごとにコンテンツと施策を考える

    • ビッグキーワード(例:海外ファッション/ファッション通販)
      施策すべきページ:トップページ
    • コンテンツ:海外ファッション通販のメリットなど

    • ブランド名(例:カルバンクライン/ケイトスペード)
      施策すべきページ:ブランドページ
      コンテンツ:ブランド名は商品の羅列になりがちだがSEOを考えるとそれだけでは弱い。
      ケイトスペードと検索した人に対して、ケイトスペードの商品を数千羅列したようなページを出すのがいいのか?っていう話だ。
      ブランド名を検索する人はそのブランドの歴史といったものを知りたい人もいるわけで、商品情報だけではなくブランドについての解説といったコンテンツも必要だろう。商品のランキングといったコンテンツもよい。
    • アイテムカテゴリ(例:ダウンコート/財布)
      施策すべきページ:アイテムカテゴリページ
      コンテンツ:そのアイテムにおけるトレンド、ランキング、商品情報
    • ブランド・アイテム掛けあわせ(マックスマーラー ダウンコート/ケイトスペード 財布)
      施策すべきページ:クロスカテゴリーページ(ブランドとカテゴリをかけあわせたもの)

    ブランド軸とアイテム軸

    クロスカテゴリにおいてどっちの軸を優先に考えるべきか?

    「ケイトスペード バッグ」「バッグ ケイトスペード」

    通常は前者になる。ブランド名の方がユーザーに対するコミットメントが強いからだ。

    ブランドはコンバージョン性行が非常に高い。
    ブランドにも、アイテムにも強豪は多くどっちも重要。

    有名なブランドならブランドを優先し、ニッチなブランドであればアイテムを優先すべき。

    ブランドカテゴリ

    ブランドとは?

    ブランドとは指名で購入されるということ
    ブランド名が命。「トリーバーチ」なのか「Tory Burch」
    日本語で検索されることが多い。アルファベットは綴りが長くなると、アルファベットで検索されることはまずない。
    「トリーバーチ」といったように検索される。

    ブランドの並べ方について

    アルファベット順でよいのか?
    人気のブランド、SEO的に重視すべきブランドをフィーチャーするようにする。
    これらの特別なブランドについてはフラグを立てて(他のデーターと違うことをデータ項目として持たせておくこと)前に並べる、複数のページで表示されるといった対策が必要だ。
    お店でも売れ筋を全面に押し出して陳列するのと同じである。

    アイテムカテゴリ

    勝てるキーワードを選ばなければならない。
    例えば、「ワンピース」1語、これで勝てるか?
    ワンピースは漫画のワンピースが検索結果の多くを占めてしまうから、これに勝つのはまず無理だろう。

    そこで「ワンピ」といったキーワードを考える。この検索結果にはワンピースは混ざらない。
    でっかいキーワードで無理矢理1位にしようすることは得策ではないのだ。

    巨大なワンピースジャンルのなかにも宝物がある。

    「マキシワンピース」「マキシ丈ワンピース」「リネン ワンピース」「フォーマル ワンピース」
    こんなキーワードである。
    (「リネン」は素材だよね?カテゴリじゃないんじゃない?そんなこと気にしなくていい)

    属性カテゴリの処理

    属性カテゴリとは・・・レディース、メンズ、子供服、ベビー服マタニティなど

    基本的にはレディースとメンズはユーザービリティ的に分けたいが、検索数が少なくSEOの観点におけるキーワードとしては優先度が低い。
    検索数の多い子供服・ベビー服を第一階層に置き、レディースとメンズはアイテムで絞り込んで、その後の絞り込みとしたほうがよい。

    絞込階層の例)
    Tシャツ -> メンズ
    子供服 -> Tシャツ

    バランスを整える

    カテゴリで絞り込んでいくと、特定カテゴリが多すぎたり、少なすぎたりしてバランスが悪くなることがある。
    統合する・分割するなどしてアイテム数のバランスを整える必要がある。

    クロスカテゴリの処理

    複数のカテゴリを指定して絞り込んだ場合の表示結果。
    絞り込みの要素は2つがよい。3つ以上の絞り込みを使う場合には細心の注意が必要になる。

    存在しないカテゴリを作らないように注意すること。絞込んだ結果が存在しないクロスは作らないようにする。
    リンクがグレーアウトまたは非表示といった処理を行う。また、絞り込み結果が少ないものは他のカテゴリに統合する。
    4つ以上の絞り込みを行う場合は、ファセットナビゲーションを用いることになるが、階層構造を検索エンジンに伝えることができないため用いないほうがよい。

    絞り込みの主軸を考えることが大切。
    最優先となる主軸はブランドを持ってくるべき。URLもパンくずリストも。

    例)
    URL: /brand/handm/t-sharts
    パンくずリスト: ブランド >> H&M >> Tシャツ

    2.検索エンジンの視点

    検索エンジンの中の人はこう考える

    • ユーザーが「マンゴ」と検索した場合
      どの「マンゴ」のことか分からないなあ。取りあえずは検索結果の中に少しずつ色々入れたほうがいいな。
    • クロール中にトレンチコートをオススメ順に並べたページと価格の並べかえを見つけた。
      どっちも検索結果に表示するのはユーザーの利便性が下がるからどっちかだけにしよう。
    • クロール中に似たような大量のページを見つけた
      いちいち重複を確認するのも大変だから、サイト全体が低品質だってことでいいとしよう。
    • クロールバジェットとは

      1サイトのコンテンツボリュームに対するGoogleの評価価値のこと。
      PageRankが高いとこれが一般的には大きいと考えられる。

      (※筆者注:クロールバジェットについてはWeb担当者Forumパンダ・アップデート後の重複コンテンツを知る – 重複コンテンツ対策完全ガイド #1に詳しい)

      クロールバジェットに対してはこれを増やす、節約する2つのアプローチがある。

    • 自然なリンクを増やすことで、サイト価値を増すことでクロールバジェットを増やす。
    • 価値のないページをクローリングさせないことで、クロールバジェットを節約する。

    canonicalに出会ったクローラーの中の人

    あれもこれもcanonicalってやめて欲しいって考える。
    どれもこれもcanonicalってなっているとせっかくクローリングしたのに、その処理が全部無駄になってしまう。

    canonicalは使うな

    間違えて使うぐらいなら使わない方がよい。
    canonicalを使わなくても、重複コンテンツの排除は可能だ。

    検索キーワードにならない並べ替えの表示結果はAjax、FORM POSTなどを使ってインデックスさせないようにする。
    URLにパラメータを持たせるのではなく、Cookieを使用する。

    といったような方法を用いることで、canonicalを使わなくても重複ページを回避することが可能だ。

    重複コンテンツの排除

    商品数がゼロのページ。
    並べかえ、一部の絞り混み、おすすめ順のページと安い順のページはほぼ確実に重複になる。
    絞り込みの順番が違うことにより異なるURLが生成される場合は非常に危険。

    URLの設計が大切

    • 階層を強く意識したURL
      絞りこみの主軸をメインにURLを構築し、パンくずもこれに合わせる(前述の通り)。これによって検索エンジンが主軸を重要だと認識する。
    • ページネーション
      1ページ目
      /brand/handm/shirt/
      2ページ目
      /brand/handm/shirt/2/
      最後は/で終わるようにする。実装する技術要素に依存しなくなる。
      .php .asp .htmlといった拡張子がつくようなURLにすることは好ましくない。
      PHPで実装されていたサイトを、別の言語で実装し直すとURLが変化してしまったりする。
      1ページ目に戻った時
      ◯ /brand/handm/shirt/
      × /brand/handm/shirt/1/
      1ページ目に戻るときは、/1/ にならないようにする(重複コンテンツになってしまう)。
    • 絞り込み
      主な絞り込み条件にならない条件をURLに反映させない。
      例)/color/red/,/size/m/
      色とかサイズといった条件で検索する人はいないので、上記例のようなURLは存在させないほうがよい。
    • クロールさせないテクニック
      ・robots.txt 特定のページだけを除外しようとするのは面倒
      ・nofollow,noindex クロールバジェットの節約効果が低い
      ・Ajax
      ・FORM POST
      ・ウェブマスターツール 他の手法と併用可。しかし、設定ミスなどでまとめてインデックスされなくなるなどの問題もある。