Microsoftは先日のプレスイベントで重要な2つのハードウェア、Surface Pro 4とSurface Bookを発表した。Surface Pro 4のハードは実質的にSurface Pro 3だが、Windows 10搭載のおかげで初めて仕事に使えるマシンに生まれ変わった。Microsoftの歴史上、これは初の現象かもしれない。レビューの結論は以上だ。読者は解散してよろしい。
というわけにもいかないので、Surface Pro 4と兄貴分のSurface Bookを先週いっぱい使ってみた経験を少し詳しく報告しよう。この両機種は最初の印象ではそっくりだったが、実際に触れてみると、まるで違う製品だった。そのあたりも紹介していきたい。読者は新しいSurface Proについて少なくも漠然とした印象くらいはお持ちと考える。もしそうでないなら、まずこちらを読んでいただきたい。
概要と印象
Surface Pro 4はPro 3に比べて筐体がやや薄くなり、ハードは強力になった。また各所に改良の努力が見られる。
あっさり言ってしまえば、内容としては前回の製品とほぼ同様のタブレットだ。しかし MicrosoftはPro 4で「最良のタブレット」を目指した。そのために搭載されたのがWindows 10だが、これは前回Pro 3に搭載されたWindows 8.1が強みというより弱みになっていたのと対照的だ。
Windows 10を得てPro 4は以前と比べものにならないくらい強力になった。なんども同じことを言うなと叱られそうだが、事実なので止むをえない。
比較
Surface BookとSurface Pro 4を同時にテストすると両機種の差異が非常によくわかる。重要な点から紹介しよう。:
- Surface Pro 4はタブレットのハイブリッドであり、そのとおり、ユーザーのタブレットないし軽量ノートをリプレースしようとしている。
- Surface Bookはノートのハイブリッドであり、メイン・マシン、ないしセカンド・マシンの位置を占めようとしている。
両製品のサイズ、モニター、バッテリー容量、キーボード、価格などがこれを裏付けている。
- Surface Pro 4はより小型で、軽く、持ち歩きに便利、Bookに比べて価格が安い。
- Surface Bookはより大型で、重く、持ち歩きに不便で、Pro 4より価格がはるかに高い。
つまりユーザーのニーズによってどちらの製品が適切か決まることになる。
これだけでは多少漠然とした解説かもしれない。たしかに両製品ともカテゴリーとしてタブレットとノートの境界線上に位置しており、注意深く観察しないと違いを見失いがちだ。
ところがうまくしたもので、実際に使ってみると両者はまるで違う。Pro 4はデスクトップで使う製品で、おそらくは普段は強力で大型のモニタが接続されているだろう。Surface Bookをタブレットとして使ってみると、いささか違和感がある。
私は発売前にお蔵になってしまったSurface Mini以外のSurfaceはすべてテストしてきた。その上で言うが、Surface Pro 4はこれまででダントツに最良のSurfaceだ。
信じてもらいたい。
メリット
私が前回のSurface Pro 3に感じていた最大の不満はWindows 8.1とキーボードの設定方法だった。今回Type Coverは大きく改良されて使いやすいキーボードになった。とはいえ専用キーボードを好むコンピュータ・オタクも多いだろう。仕事でタイプしているならほんのわずかの能率の差も大きく影響する。
Surface Pro 4のキーボード、いわゆるType Coverはこの種の製品として断然最良だ。機能としては見たとおりだが、キータッチや信頼性などどこにも妥協の跡が感じられずまったく申し分ない。もちろん極めて薄型のキーボードを叩いている感触はある。ただそれがまったく気にならないのだ。
比較を続けるならPro 4のタイプカバーはSurface Bookの専用キーボードのレベルにほとんど達している。ほとんど、ということはやはり多少そこに差がある。頑丈なノートパソコンの筐体をカバーで完全に再現するのは無理だ。またSurface Bookのキーボードはフルメタル製だ。
デメリット
ここまで読んで「お前は壊れてレコードプレイヤーか? さっきから同じことばかり言っているぞ」という感想をもたれたのであれば申し訳ない。だがSurface
Pro 4はこれまでの不満を一気に解消するような製品に仕上がっているのも事実だ。
とはいえ、 Pro 4にも限界はある。もし読者があらゆる作業が可能なフルパワー・マシンを求めているならPro 4は向かない。毎日外出しており、そのつど重いマシンを担いていくのが気が進まないならPro 4は好適だ。しかしあくまでニッチ・デバイスだということには留意されたい。
しかしそういう機能上の点はあまり重要な問題ではない。Surface Pro 4に対して私が感じる最大の違和感は価格だ。MicrosoftはPro 3に比べてPro 4を100ドル以上も値上げした。Pro 4は入門モデルでさえ899ドルもする。キーボード(Type Cover)は別にしてだ。つまりそこそこ実用になるPro 4を買えば。楽に1000ドルを超えてしまう。メイン・マシン以外のコンピュータにしては良い価格といわざるを得ない。
しかしMicrosftの考えではPro 4はビジネス用であり、ホーム・マシンではないようだ。MicrosofttはPro 4のターゲットとして企業のIT担当を考えていると思われる。ここにその証拠が上がっている。
一般の認識
誰もがPro 4をビジネス用と考えている
とりあえず結論
段階的な改良というのはそれぞれの製品を実際に使ってみないとなかなか実感できない。それでもSurface Pro 4が非常にすぐれたデバイスであることには変わりない。デスクトップマシンならSurface Bookのパワーが欲しいが、仕事で外に持ち歩くなら断然Pro 4だ。どちらも毎日の作業にすぐにでも欲しいところだ。
このタブレット、Pro 4はバッテリーが強力で、スクリーンは美しく、スタイラスペンのタッチは軽快だ。キーボードも良い。
現在のところ興味があるのは、Surface Bookがその強力なパワーでPro 4のシェアを侵食するかどうかだ。それとも両デバイスは全体としてSurfaceのシェア(と売上)を拡大するだろうか? 今後じっくり観察していきたいところだ。
〔日本版〕Surface Pro 4はMicrosoftが日本版を予約受付中。価格は13万4784円(税込)から。Surface Bookについては現在Microsoftサイトでは予約分は売切のようだが、他社サイトから予約できるようだ。価格は不明。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)