シンクロライフはグルメSNSとして、レストランの口コミ投稿・閲覧機能のほか、AIが口コミを分析してユーザーの嗜好に合ったレストランをレコメンドする機能を備える。ユーザーは、投稿やレストラン利用により暗号通貨「シンクロコイン(SYC)」をアプリ内のウォレットに貯めることができ、貯まったシンクロコインをギフティが提供する「giftee for Business」のeギフト購入に使うことが可能だ。
ユーザーレビュー投稿や加盟店利用で暗号通貨が貯まる、グルメSNS「シンクロライフ」を運営するGINKANは2月18日、ギフティが提供する「giftee for Business」と連携したことを発表。連携により、シンクロライフのアプリ内で貯めた暗号通貨「シンクロコイン(SYC)」で、コンビニやマッサージなど、7ブランド・24商品のeギフト購入が可能になった。また対象ブランドの実店舗でアプリ内のチケットを示して、eギフトを利用することもできるようになっている。
シリコンバレー発のアクセラレーターPlug and Playが日本法人を設立し、国内での活動を本格化したのは2017年9月のこと。それから1年が経ち、彼らが年2回実施するアクセラレーションプログラムも「Batch 0」「Batch 1」の2期が完了した。現在は59社のスタートアップが参加する「Batch 2」が走っているところだ。
12月4日、東京・渋谷のコワーキングスペース「Plug and Play Shibuya」で開催された「メディアラウンドテーブル」では、Plug and Playが日本のスタートアップ成長に向けて考えていること、そしてBatch 1参加企業2社の成果と、Batch 2採択企業1社の現状についても紹介があったのでお伝えしたい。
日本でイノベーションを進めるために大切な5つの要素
Plug and Playは、2006年の創立から2000社を超える企業を支援し、70億ドルを超える資金調達を達成しているアクセラレーター・投資家だ。米・シリコンバレーに本拠地を置き、全世界26カ所にオフィスを構えるPlug and Playは、スタートアップを中心にしたエコシステムを形成を目指し、14にわたる幅広いテーマのそれぞれでアクセラレーションプログラムを実施している。
Plug and Play Japan代表 マネージングパートナー フィリップ・ヴィンセント氏
Plug and Play Japanの代表でマネージングパートナーのフィリップ・ヴィンセント氏は、まず世界のスタートアップエコシステムの状況を紹介。各国のPlug and Playの拠点の中でも、特にエコシステムがうまく発展している地域の特徴を紹介した。
パリではフィンテックと流通領域を対象に活動する2拠点が、いずれも2016年に開設された。このうち主にフィンテックを扱う「BNP Paribas-Plug and Play」は、2017年の夏にオープンした3万4000平方メートルの広大なインキュベーション施設Station Fを利用している。大きな一つの屋根の下で、起業家同士のコラボレーションも生まれやすい環境のStation Fには、約3000社のスタートアップが入居でき、20〜30のアクセラレーションプログラムが実行されている(Station F オープン時のTechCrunchのレポート)。
フランスでは政府のイノベーション推進施策により、海外から起業のためにフランスに移住する人のためのFrench Tech Ticketや、テック系人材とその家族のためのFrench Tech Visaといった特別なビザプログラムが用意されている。また政府の後押しを受けた、スタートアップエコシステム醸成のためのイニシアチブ「La FRENCH TECH」もある。
最後に紹介されたのは中国だ。北京、上海、深圳など、中国にはPlug and Playの拠点は8カ所あり、近いうちに10拠点に増える計画だ。中国でも政府がスタートアップエコシステムを力強くプッシュしている。また、スタートアップへの投資は中国が世界の半分を占めており、今では、評価額10億ドル以上のユニコーン企業の数が米国より多くなっているという。
さて、翻って日本の状況はどうだろうか。
日本でPlug and Playは、フィンテック、IoT、保険、モビリティの4領域でプログラムを実施。2019年春からはブランド・流通のエリアもカバーしていくことになっている。
Plug and Play Batch 1と実証実験で学んだこととして、神谷氏は「3カ月という短いBatch期間でキッカケの創出と、期間目標のコミットができたことで、Plug and Play Japanの強力な“お見合い力”を実感した。また東急不動産との実験取り組みで、大企業へのイメージが180度変わった。(SynchroLifeという)プロダクトでビジネスをまだしたことがなかった僕たちが、いきなり東急不動産と組めるというのはすごい経験だ」と話している。
一方、パートナーとしてGINKANを支援した東急不動産。渋谷で次世代のビジネス共創を目指し、2020年に向けて100のビジネス創出を目指すプロジェクト「SHIBUYAスタートアップ100」を立ち上げて、スタートアップを支援。その一環として、2017年11月にはPlug and Playとともに渋谷にインキュベーション施設を開設した。
東急不動産 都市事業ユニット 事業戦略部の伊藤英俊氏によれば、インフラとしての施設提供のほか、スタートアップとの事業連携も20社が確定しており、近く30社になる見込みとのこと。GINKANとはPlug and Playを通じて、Fintechパートナーとして組むことになった。
Trilliumは2014年の設立。米国カリフォルニア州サニーベールにあるTrillium本社は、シリコンバレーのPlug and Playから支援を受けており、東京でもBatch 1に参加することになった。Trilliumでは、ほかにも世界各地のPlug and Playでプログラムに参加している。またTechCrunch Disrupt Berlin 2017のStartup Battlefieldではピッチも披露している(英文記事)。
東京のBatch 1では、パートナー探しに加えて「インベストメントでも成果があった」と山本氏は述べる。2018年7月のシリーズA2ラウンドで、総額1100万ドル(約12億円)の資金調達を実施したTrillium。山本氏は「このラウンドでMUFJグループ(三菱UFJキャピタル)が参加したことは、Plug and Playの日本のBatchに採択された成果として大きい。出会って3カ月で投資が決まった」と話している。
またシリコンバレーのPlug and Playでも「ピッチを行ったところで(パートナー企業との)出会いがあった」と山本氏。世界中に拠点を持つPlug and Playは「世界に羽ばたくスタートアップにとっては、大変いい場所だ」と評価する。
「Plug in Play SHIBUYAでも、パートナーとなる企業と出会うことができた。今後PoC(概念実証)を目指していく」(山本氏)
「この実験は米国で行われたもので、日本では事例がまだない」としながら、井田氏は「日本でもスマートフォン使用による交通事故件数は、2011年から2016年にかけて2.3倍に増えているという統計がある。Plug and Play Japanのプログラムに参加することによって、PoCを実施し、日本でも導入実績、ケース事例を作りたい」と述べる。また「(日本での)認知向上やブランドづくりも図りたい」とBatch 2参加による成果に期待を寄せていた。