CES:Nvidia、モバイル・グラフィックス・カード、Tegra X1を発表―パワーはA8Xの2倍のモンスター

ラスベガスで開催中のCESで今日(米国時間1/5)、Nvidiaが発表したTegra X1モバイル・チップセットはモンスター級のパワーだ。消費電力は同程度のままでiPad Air 2に採用されているA8Xチップセットの約2倍のグラフィックス能力を発揮する。Tegra X1はすでに量産に入っており、このチップセットを搭載したタブレットが市場に登場する日は近い。

ベンチマークによればTegra X1は、タブレットをデスクトップ・コンピューターなみのゲームマシンにできそうだ。X1は最新のGeForce GTXデスクトップ・グラフィックスカードにも採用されているMaxwell GPUマイクロアーキテクチャーを採用しているのだから不思議ではない。またX1はデスクトップ版のゲームAPIを利用できるのでデベロッパーはゲームのモバイル化が容易になる。

X1は256コアのMaxwell GPUと8コアの64bit ARM CPUを搭載し、Nvidiaによれば「史上初のテラフロップスモバイル・グラフィックス・プロセッサー」だという。 X1はH.265またはVP9コーデックを利用して60fps 4KウルトラHD動画を再生できる。AppleのA8Xと同じ20nmプロセスのチップなのでAppleのタブレットとグラフィック・ベンチマークを比較しやすい。NvidiaはX1とiPadおよびNvidia自身のTegra K1チップセットを搭載したNvidia Shieldタブレットを比較する各種のベンチマークテストをデモした。

それによると、X1のパフォーマンスはTegra K1、iPad Air 2のほぼ2倍、3Dmark 1.3 Icestorm UnlimitedとBasemarkX 1.1の1.5倍だった。またX1はエネルギー効率もすばらしい成績で、K1の2倍のパフォーマンスで消費電力はほぼ同等、A8Xと同等の電力消費の場合1.7倍のパフォーマンスを示した。

Nvidiaの新グラフィック・チップセットの驚異的な能力はNetflixを始め、多くのコンテンツ・プロバイダーに大きな影響を与えるだろう。これで60fps、4Kビデオのストリーミングが急速に現実化する。60fps能力はゲームやスポーツの中継に重要だ。またバーチャル・リアリティーの進歩にも大きく寄与する。

Tegra X1と在来モデルを並べて4Kビデオを再生するとその違いは大きい。60fpsの4Kがバターのように滑らかな動きなのに対して、30fpsは明らかにガクガクとして見える。もっとも現状では60fps、4Kのソースを見つけるのは難しい。しかし最近発表されたGoPro Hero 4 Blackは60fps、4Kの動画撮影能力がある。またX1の登場によってこのクラスのコンテンツ供給は急速に拡大するはずだ。

もちろんNvidiaはこのパワーを活かせるソフトウェアの確保に努める必要がある。そしてこれはフラグメント化に悩むAndroidプラットフォームの場合は難事業だ。このことがNvidiaが独自のShieldシリーズを始めとする独自のタブレット製品を開発している理由でもある。

いずれにせよX1が量産体制に入っている以上、近々X1に最適化されたハードウェアが登場するだろう。消費者がX1のパフォーマンスを体験する日は近そうだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Project Tangoの第二の開発機はTegra K1タブレット、1024ドルでふつうの人も買える

 
 

Googleの3D奥行き感知型モバイルプロジェクトProject Tangoに、新たな開発用ハードウェアが加わった。その今日(米国時間6/5)デビューしたタブレットの開発キットは、NVIDIA Tegra K1プロセッサと4GBのRAM、128GBのストレージ、1080pのディスプレイ、定番のAndroid 4.4、WiFi、Bluetooth LE、4G LTE、そして二つのカメラと、奥行き感知というマジックを演ずるための背面奥行きセンサを搭載する。

このタブレットはこれまで噂にすぎなかったが、今度は6月下旬に1024ドルで発売される。デベロッパが登録しておくと、リリース直後に通知をくれる。Googleは“限られた量しか”作らないと言っているから、一般消費者向けの発売ではない。しかし登録するときに自分がデベロッパか否かをチェックボックスで指定するだけなので、誰でも買えるのだろうが、申し込みがその“一定量”を超えそうなときはデベロッパを優先するのかもしれない。

EngadgetがこのProject Tangoタブレットの詳細を報じており、初期的なソフトウェア体験にも一部触れている。3月に出たProject Tango開発機、スマートフォンキットは、わずか200台がデベロッパの手に渡っただけだ。しかし今度のタブレットは、もっと多くの人にテストしてもらうのが目的だろう。とくにゲームまわりがおもしろいと思うのだが、Engadgetはゲーム業界の大手UnityやEpicの名を挙げて、彼らはすでにTangoの仕事を始めている、と言っている。

Tangoをまだよく知らない読者は、この、GoogleのAdvanced Technology and Research部門による野心的なプロジェクトに関する、一連の本誌記事をお読みいただきたい。視界処理用のチップはMovidiusというスタートアップの特殊なチップを使用、これまでのモバイルになかった全く新しいユーザ体験の扉を開くものだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))