Vibeがお気に入りアプリと連携できるリモートコラボソリューションを発表

米国時間9月15日にTechCrunch DisruptのStartup Battlefield(スタートアップ・バトルフィールド)でプロダクトを発表したスタートアップのVibeは、企業のリモートコラボレーションをもっと簡単にすることを目指している。

インタラクティブな大型デジタルホワイトボードとクラウドサービスを組み合わせた同社のシステムを利用して、リモートでブレインストーミングやクライアント向けのプレゼンテーション、バーチャルのトレーニングなどを実施することができる。

VibeはSlack、Dropbox、Teams、Zoom、OneDrive、Chrome、Asanaなど多くの人気ビジネスアプリ(Vibeサイト)の大規模なエコシステムとも連動するので、企業はまったく新しいワークフローを学んだりアプリを乗り換えたりすることなく、これまでに投資してきたツールを使い続けることができる。

ワシントン州ベルビューに本社を置く同社は、理想のリモートコラボレーションソリューションを求める人々が2016年に創業した。当初はヘッドセット付きのVRデバイスを考えていたが、その後自分たちが本当に求めているのはリアルタイムコラボレーションのプラットフォームになる単一のツールだと認識するようになった。

現在、同社のシステムには55インチの4Kタッチスクリーンデバイスが含まれている。このデバイスはフルスクリーンモードや分割スクリーンモードで他社のアプリと統合し、ホワイトボードとして使いながらビデオ会議やチャットをしたりアプリを操作したりすることができる。

プレゼンテーションや画像、他のアプリのファイルに注釈を書き込み、それをホワイトボードのプロジェクトに保存することもできる。Vibeの高解像度レンダリングエンジンにより、無制限のキャンバス、低レイテンシー、異なるアプリの注釈が実現されていると同社は説明する。

VibeのボードはスクリーンキャストまたはHDMIケーブルを使えば2つ目のスクリーンとしても動作し、注釈も利用できる。同社のクラウドサービスは、AWSをベースにしている。

Vibeはスケッチや書き込みをする際の描画の反応時間が7ミリ秒未満という低レイテンシーを約束している。また、Vibeのボードに加えウェブブラウザ、iPad、Androidタブレットとさまざまなデバイスでコラボレーションに参加できる。

このプロダクトは2019年後半にステルスでリリースされ、これまでに400社以上に販売された。そしてTechCrunch Disruptのスタートアップ・バトルフィールドで正式に公開された。

Vibeを選んだ顧客の多くはZoomやSlackなどのアプリを使い続けることができているが、ZoomやSlackはMicrosoftのSurface Board、GoogleのJamboard、SamsungのFlip、CiscoのWebExブランドのボードとは統合されていないと同社は述べている。

これはクライアントが使っているアプリで協働する必要がある企業にとっては重要だと同社は強調する。また、学校のシステムのIT部門に販売するにも有効だ。オープンなエコシステムなので教員や生徒、管理者が同社のテクノロジーを受け入れやすいからだ。

ボード自体は2999ドル(約31万円)で継続的な月額や年額のサービス料金は必要ない。これは競合よりかなり安い。GoogleのJamboardは4999ドル(日本では64万円)プラス年間サブスクリプション600ドル(日本では7万7000円)、Cisco WebEx Boardは4990ドル(約52万円、日本ではオープン価格)プラス月間サブスクリプション199ドル(約2万円)、MicrosoftのSurface Hubは8999ドル(日本では99万9800円)プラスOffice 365のサブスクリプション料金がかかる。

VibeはTechCrunchに対し、P-CAPタッチセンサーではなくIRタッチセンサーを採用したことによりコストが20%削減され、低価格を実現できたと語った。トレードオフとしてパームリジェクションが苦手だが、コラボレーションのほとんどの場面で満足のいくものだろうと同社は考えている。これに加え、同社はIntelベースのWindowsではなく、オールインワンのARMチップで動作するようにOSとレンダリングエンジンをカスタマイズしている。このためVibe用の小型PCを追加で購入する必要はないが、使い方によってはパフォーマンスが落ちるかもしれない。

Vibeの共同創業者たちはエンジニアリング、画像処理、コンピュータビジョン、サプライチェーンのロジスティクスのバックグラウンドを持っている。

CEOのCharles Yang(チャールズ・ヤン)氏は浙江大学でコンピュータサイエンスを学んだシリアルアントレプレナーで、この大学で共同創業者たちと出会った。VPのJian Zhao(ジアン・チャオ)氏は画像処理、コンピュータビジョン、マルチメディア、機械学習のバックグラウンドがあり、ケンタッキー大学でコンピュータと電気工学の博士号を取得した後、Microsoftのソフトウェアエンジニアを5年間務めた。

CTOのJiulong Wang(ジウロン・ワン)氏は分散処理システム、アーキテクト、デバッグ、パフォーマンスチューニングの経験を生かしている。かつてはMicrosoftとTwitterの開発者だった。COOのSusie Deng(スージー・デン)氏はBYDに11年間勤務し、国際的な経済と貿易の経験からサプライチェーンと財務の問題に取り組みVibeのホワイトボードの価格を下げることに貢献している。

Vibeは現在、ベルビューの本社に加え中国の杭州、深圳、上海にオフィスを構える。

同社はCherubic Ventures、Unity Ventures、InnoLink Ventures,、Challengers Capitalから資金を調達している。

カテゴリー:ネットサービス

タグ:Disrupt 2020 Vibe デジタルホワイトボード

画像クレジット:Vibe

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(翻訳:Kaori Koyama)