ウェブサイト変更モニタリングの誤アラートを80%減らすVisualpingが約6.6億円を追加調達

ウェブサイト上の値下げなどの更新や変更を監視できるサービス「Visualping(ビジュアルピング)」は、2021年初めに発表した200万ドル(約2億2000万円)のシードラウンドに加え、600万ドル(約6億6000万円)のエクステンションを調達したと発表した。今回のラウンドは、シアトルを拠点とするFUSEがリードした。FUSEは、2020年にIgnition Partnersからスピンアウトした比較的新しい投資家を擁するVCだ。先行投資家のMistral Venture PartnersN49Pも参加した。

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バンクーバーを拠点とする同社は、現在カナダで行われているGoogle for Startups Acceleratorクラスの一員だ。このプログラムは、AIや機械学習を活用したサービスに焦点を当てている。ウェブサイトのモニタリングは機械学習が大きな価値をもたらす明白な分野には見えないかもしれないが、これらのサービスを利用したことがあれば、多くの誤アラートが発生する可能性があることをご存知だろう。これらのツールはほとんどの場合、ウェブサイトの基本的なコード内の何かが変更されたことを探し、それに基づいて(そして時には、あなたが設定した他のパラメータに基づいて)警告を発するだけだ。

画像クレジット:Visualping

先にVisualpingは、まさにそれを回避するための初の機械学習(ML)ベースのツールを発表した。同社は、150万人以上のユーザーからのフィードバックと新しいMLアルゴリズムを組み合わせることで、最大80%の誤アラートを排除できるとしている。これによりVisualpingは、ユーザーが新しいアラートを設定する際に、サイトをどのように監視するかの最適な構成を学習できるようになった。

「Visualpingは、世界中で100万人以上のユーザーと、フォーチュン500社の大多数の人々の心を掴んでいます。彼らの旅の一部となり、このラウンドの資金調達をリードすることは夢のようです」とFUSEのBrendan Wales(ブレンダン・ウェールズ)氏は語った。

Visualpingの創業者兼CEOであるSerge Salager(セルジュ・サラガー)氏によると、同社は今回の資金調達を、製品の開発だけでなく、商用チームの構築にも充てる予定だという。これまでのところ、同社は主に製品主導で成長してきたと同氏は語った。

同社はその一環として、これらの新しいMLツールに対応し、コラボレーション機能を追加した「Visualping Business」と、コンサートのチケットの空き状況などを監視したり、ニュースや値下げ、求人情報などを把握したい個人ユーザー向けの「Visualping Personal」の発売を予定している。今のところ、パーソナルプランにはMLのサポートは含まれない。「誤アラートは、個人利用では2〜3のウェブサイトをチェックするので大きな問題にはなりませんが、企業ではチームが1日に何百ものアラートを処理しなければならないので大きな問題になります」とサラガー氏は話してくれた。

現在のところ、これらの新プランは、iOSおよびAndroid用のモバイルアプリとともに、2021年11月にリリースされる予定だ。また、同時期にブラウザ拡張機能もリニューアルする。

また、Visualpingはウェブベースのサービスを収益化しているが、ブラウザ拡張機能はまだ無料で使用できることも言及するに値する。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

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バンクーバーで起業し、トロント証券取引所に小さな会社を公開したSerge Salager(セルジュ・サラガー)氏は、数年前その会社を買いたいという大金持ちの買い手に声をかけられた。うれしく思う反面、この買い手が他には誰と交渉しているのか気になって、サラガー氏は、買収の可能性がある他のターゲットについての価格や機能の変更情報や求人情報などのニュースを、ウェブ上で夢中になって探した。

サラガー氏の懸念は正しかった。その買い手はライバル会社を買収したのだ。だが良いこともあった。このことでサラガー氏は新しいビジネスアイデアを思いついたのだ。それは、ウェブを横断して変更された情報を追跡するために、既存のものよりもはるかに優れたサービスを作ることだった。

こうしてVisualping(ビジュアルピング)が誕生した。16人の従業員を抱える6歳のこの会社は、インターネット全体の変更をモニタリングしている。現在150万人のユーザーを獲得しているが、そのうちの何割か(数字は非公開)のユーザーは、フォローしているウェブページやキーワードの数に応じて、毎月のサブスクリプションフィーを支払っている(1日2回までの検索は無料、最多で1日667回までの検索は月額97ドル、約1万600円がユーザーに課金される)。

ジャーナリストたちには、取材対象となる人物や企業を追跡するのに役立つサービスとして好評だ。法律事務所は、変化する規制やその他の情報を把握するためにこのツールを利用している。また、Apple(アップル)の従業員は、会社に対してどこで何が言われているかを把握するために使っている。

ユースケースはほぼ無限にあるが、Visualpingの持つ優位性は、その明らかな使いやすさにある。ユーザーが、監視したいページや、ページの一部のスクリーンショットやキーワードを指定するだけで、サイトが変更されたり、どこかにキーワードが出現したことを、Visualpingがメールで知らせてくれる。

Visualpingはブラウザの拡張機能を提供しており、今夏にはモバイルアプリもリリースする予定だという。そのVisualpingもまた、パンデミックの恩恵を受けている企業だ。実際、Rite Aid(ライト・エイド)やCVSのような企業のサイトを延々と更新し続ける代わりに、Visualpingを使って新型コロナウイルスの予防接種の実施状況を確認する人が増えている。これは最近このスタートアップをWSJ、CNBC、Fox Newsなどが取り上げたことが大きい。

一方、他のデータ企業と同様に、Visualpingはユーザー求めに従って生成している情報に機械学習を適用することで、常に賢くなり続けているとサラガー氏は主張する。例えばあるページのバナー広告が変更されたときにはアラートを出すことはないし、またユーザーが大幅な価格変更を追跡している場合には、Visualpingはその価格変更が一定の閾値を満たすまでは、アラートの送信を控えることができる。

もちろん、データにはプライバシーの問題がつきものだが、この点についてサラガー氏は、Visualpingはデータ保護とプライバシーに関するEUの法律であるGDPRに完全に準拠していると主張している。

サラガー氏はまた、将来的にはGoogleのように顧客の検索傾向に基づいてターゲット広告を提供することも考えられるが、Visualpingを知ってもらえる企業が増えてきたこともあるので、現在は新たな エンタープライズ製品の構築に全力を注いでいるという。このビジョンは投資家たちにも支持されていており、サラガー氏は、Visualpingが2020年12月にカナダのファンドであるMistral Ventures、そしてN49PとAngelListシンジケートから200万ドル(約2億2000万円)のシード資金を獲得したことを初めて公にした。

これは莫大な資金ではないが、Visualpingが生み出している収益を考えれば、今後2年間を乗り切るのに十分な資金だと彼はいう。ではそのあとは?私たちはサラガー氏に、将来的な提携を考えているかどうか、また、前の会社で起きたことを踏まえて、買収交渉に応じるかどうかを聞いてみた。

彼はどちらの質問にも率直に「はい」と答えた。彼はVisualpingが「Dropbox(ドロップボックス)のような公開企業になる」というシナリオもあるが(Dropboxも消費者向けのサービスを提供していたが、後にビジネス向けのサービスを拡大した)、もう1つ考えられるのは「Googleへの統合です」と付け加える。「私たちの製品はGoogle Alerts(グーグル・アラート)とは非常に相性が良いと思っていますので、Googleによる買収も狙い所の1つかもしれません」。

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(文:Connie Loizos、翻訳:sako)