Volvoが2030年までにEVへ全面移行、販売もオンラインに

Volvo Cars(ボルボ・カーズ)は、販売のオンライン移行を含む同社の広範なトランスフォーメーションの一環として、2030年までに生産・販売する車両をすべて電気タイプとすると明らかにした。

「持続可能性への鍵は電動化です」と同社のCEOであるHåkan Samuelsson(ホーカン・サミュエルソン)氏は現地時間3月2日のプレゼンテーションで述べた。「充電施設への投資とともに、とるべき正しい道であり、Volvoが選んだ道です」。

この発表は、同社のCMA車両プラットフォームをベースとした低床のクロスオーバーC40 Rechargeの立ち上げに際し行われた。C40はVolvoのEV(電気自動車)にフォーカスしたRechargeブランドで2つ目となるモデルである一方で、バッテリー式電動のみの車両としてまったくゼロからデザインされた初のモデルだ。完全電動とプラグインハイブリットパワートレインがあるすべてのVolvo車両はRechargeブランド下にある。XC40 Rechargeと同様、C40はGoogleのアンドロイドOSで動くインフォテイメントシステムを搭載し、無線ソフトウェアアップデートに対応する。

画像クレジット:Screenshot/Volvo

「初めてのクルマであり、未来のクルマでもあります」とCTOのHenrik Green(ヘンリック・グリーン)氏は述べ、C40が2つのモーター、78kWhバッテリーを搭載し、推定航続距離420kmはソフトウェアアップデートを通じて今後改善する、と付け加えた。C40の生産は2021年秋始まり、ベルギー・ヘントにある同社の製造プラントでXC40 Rechargeとともに組み立てられる、と話した。

中国の浙江吉利控股集団有限公司が所有するVolvoは世界販売の50%をEVに、残りをハイブリッドにすることを目指している。2030年までに販売車両はすべてEVになる、と同社は述べた。

サミュエルソン氏によると、欧州で2020年販売された車の3台に1台は充電できるプラグインハイブリッドのRechargeモデルで、Volvoは電動化の目標に向け順調だ。

同社の革命はパワートレインだけではない。

「将来の顧客への提案は電動自動車だけでは成り立ちません」とサミュエルソン氏は話した。「顧客に耳を傾ける必要があります。顧客は車を入手する際に透明性とシームレスなエクスペリエンスを期待しています」。

VolvoはEVをオンラインで原価販売する。顧客は車両を定期利用あるいは購入でき、顧客ケアパッケージが付いてくる。車両はまた、注文と納車の期間を短くするためにあらかじめ選ばれたコンフィギュレーションとなる。

Volvoの全電気自動車ブランドになるという動きはGM(ゼネラルモーターズ)やJaguar(ジャガー)を含む多くの自動車メーカーのものと同調している。GMは2021年3月、2035年までにEVのみの販売とするとし、2040年までに世界の事業をカーボンニュートラルにすると約束した。そして2020年11月には、今後5年で電気自動車の開発、自動化テクノロジーに270億ドル(約2兆8820億円)を注入すると発表している。この額はガス・ディーゼルへの投資を上回る35%増で、プロダクトのすばやいマーケット投入を狙っている。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

ボルボは完全電気自動車Polestar 2を中国で生産開始

Polestar(ポールスター)は、COVID-19のパンデミックで自動車産業が大打撃を受け、世界中に自動車工場の閉鎖の波が広がる中、完全電気自動車Polestar 2の生産を中国の工場で開始した。

Polestar 2の生産開始は、Volvo Group(ボルボ・グループ)傘下の独立した高性能電気自動車ブランドであるPolestarにとって重要な一歩となる。それは、世界が新型コロナウイルスが引き起こす感染症COVID-19による大騒動の真っ只中に開始したというだけの理由ではない。ちょうど3年前、新たな使命を帯びて再出発したボルボの名前で売り出される初の完全電気自動車だからだ。

かつてPolestarは、Volvo Cars(ボルボ・カーズ)の高性能車のブランドだった。2017年に同社は、エキサイティングで運転が楽しい電気自動車の製造を目指すブランドとして再編成された。そこはTesla(テスラ)が最初に製品を投入して以来、独占状態が続いているニッチな市場だ。Polestarは、Volvo Carsと中国の浙江吉利控股集団が共同で保有する企業だ。2010年に、Volvoはこの吉利に買収されている。

COVID-19は、Polestarとその親会社の事業に影響を及ぼした。世界で最初にこの感染症が猛威を振るった中国で工場閉鎖が始まった。現在、COVID-19の流行の中心が欧州と北米に移り、中国の工場は再開されている。だが欧州と北米の自動車メーカーは、ほとんどが生産を見合わせている。

PolestarのCEO、Thomas Ingenlath(トーマス・インゲンラス)氏は、従業員の健康と安全にしっかりと配慮した上で、この厳しい状況の中で生産を開始したと話している。また、中国の路橋区の工場は、同社がいかにしてその親会社の専門性を活用しているかを表す好例だと言う。

集団感染に対処すべく、頻繁な職場の消毒や従業員のマスク着用と定期的な体温測定の義務付けといった特別な感染予防対策が施されているという。こうした取り組みの結果、中国人従業員にはCOVID-19の検査で陽性になった者はいないとPolestarは話している。

COVID-19は、Polestarのスケジュールにも影響を及ぼした。同社はオンラインでのみ車の販売を行い、車両のサブスクリプションも提供することに決めた。以前は客が車に触れ、予約すれば試乗もできる「ポールスター・スペース」というショールームの開設予定を公表していた。これは、既存のVolvo販売店の中に併設されるのではなく、独立したショールームだ。Polestarでは2020年までにオスロ、ロサンゼルス、上海など60カ所にオープンすることにしていた。

そのショールームのオープン予定が、COVID-19によって延期させられてしまった。しかし状況が改善すれば、直ちに仮設の販売店を開設し、現在まだ建設中の恒久的なショールームができるまでの間、人々に実車を見て知ってもらおうと同社は計画しているとのことだ。

Polestar 2が何台生産されるかは、明らかになっていない。PolestarがTechCrunchに話したところによると、年間「数万台」が計画されているという。その数はPolestar 2の需要と、同じ工場で生産される他のモデルとの兼ね合いでも変わってくる。

画像クレジット:Screenshot/Polestar

またPolestarは、出荷を開始するまで正確な予約台数は公表しない。出荷はヨーロッパでは今夏、中国と北米がそれに続くことになっている。予約台数は5桁だと、同社はTechCrunchに明言した。

Polestar 2が初お目見えしたのは2019年2月。テスラのModel 3に対抗する車という位置づけだった(初代のPolestar 1はプラグインハイブリッドで、モーターを2基、34kWhのバッテリーパックを3基、ターボとスーパーチャージャーを備えた直列4気筒のガソリンエンジンを搭載していた)。

だが、2020年から2021年にかけてVolkswagen(フォルクスワーゲン)、GM、Ford(フォード)それにLucid Motorsなどのスタートアップ、さらにオフロードに特化したRivianといった他メーカーから販売される新型電気自動車とも競合することになりそうだ。

出力408馬力、トルク487ft·lb(約660Nm)、78kWhのバッテリーパック1基を搭載し、航続距離は欧州のWLTPモードで292mi(約470km)というこのファストバックスタイルの車の技術と性能が人々を魅了するものと、ポールスターは期待している。

Polestar 2の情報システムは、Android OSで管理されるため、結果としてGoogleアシスタント、Googleマップ、Google Play StoreといったGoogleのサービスが車内で利用できるようになる。Android Autoと混乱することはない。Android AutoはOSの上層に位置する二次的なインターフェイスだからだ。Android OSは、Linux上で走るオープンソースのモバイル用オペレーティングシステムを元に作られているが、スマートフォンやタブレットではなく、自動車の中で使うように作り変えられている

画像クレジット:Screenshot/Polestar

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(翻訳:金井哲夫)