住宅ローン借り換え支援のWhatzMoneyが8000万円調達――ローン仲介サービスを開始

住宅ローン借り換え支援サービス「ゼロカラリフォーム」などを展開するWhatzMoneyは6月29日、8000万円の資金調達を完了したと発表した。投資家リストは以下の通り:

  • D4V
  • 木下友宏氏

木下氏は産業用太陽光発電のバローズの創業者。2017年3月に同社をマザーズ上場のAbalanceに事業譲渡したのち、現在は大阪のコワーキングスペース「Campanio(カンパニオ)」を運営している。

WhatzMoneyは2016年3月に同じくD4Vなどから総額4500万円を調達しており、累計調達金額は1億2500万円となる。

WhatzMoneyが手がけるゼロカラリフォームは、住宅ローン借り換えのメリットを試算するサービスだ。ユーザーとなるリフォーム会社が同サービスを利用することで、借り換えのメリットを原資にしたリフォーム提案を行うことができる。これまでに、約20社のリフォーム会社が同サービスを利用しているという。ゼロカラリフォームについては以前にもTechCrunch Japanで紹介しているので、こちらの記事も参考にしてほしい。

WhatzMoney代表の前田一人氏によれば、日本の住宅ローン利用者は全体で約1000万人。これは、中国、アメリカに次ぐ第3位の市場規模だという。

記録的な低金利が続く日本では、住宅ローン借り換えによってメリットを得られる人も多い。WhatzMoneyの試算によれば、全体の70%、つまり約700万人の人々が住宅ローンの借り換えで100万円以上のメリットを得られるそうだ。

8月よりローン仲介サービスを開始

しかし、ゼロカラリフォームによって顧客に借り換えのメリットを伝えられたとしても、”手続きが面倒くさい”などの理由から実際に借り換えをするまでに至らないケースも多い。

そこでWhatzMoneyは、今回調達した資金を利用してローン仲介サービスを開始することを決めた。これは、同社が顧客の属性をふまえて最適な住宅ローンをリコメンドし、これまでは顧客が行っていた手続きを同社がすべて代行するというサービス。

同社がエンドユーザーから受け取る手数料は10〜20万円を想定しているという。これらの手数料が(新しく借り換える)住宅ローンの借入金に上乗せされるかたちだ。

仮に、100万円以上のメリットが得られる700万人が借り換えし、手数料が20万円だとすると1兆4000億円の市場規模になる。

また、同社はエンドユーザーを直接獲得する”B2Cモデル”ではなく、あいだにリフォーム会社などの事業会社を挟んだ”B2B2Cモデル”に注力していく。エンドユーザーを1人1人獲得するのはコストが掛かり過ぎるからだ。

これに対し、競合サービスであるMFSの「モゲチェック」は、リアル店舗を設置して最終顧客に直接営業をかけている。中間に事業会社を挟んでマーケティング費用を節約するWhatzMoneyとの戦略の違いは非常におもしろいところだ。

同社は住宅ローンの仲介サービスで基盤を固めたあと、借入額が大きい投資物件用ローン市場にも参入していく構えだ。「投資物件用ローンの借り換えでは、メリットが2000万円を超えることもある。そうすれば手数料も100万円程度に設定することも可能だろう」(前田氏)

同社は8月までに貸金業の登録を完了し、その後ローン仲介サービスを開始する予定だ。

WhatzMoneyチーム。右から2番目が代表の前田一人氏。

住宅ローン借換で浮いたお金を原資にリフォーム提案、日本のWhatzMoneyが新サービス開始

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住宅ローンの比較・検索サービス「WhatzMoney住宅ローン」を展開する日本のWhatzMoneyは本日、リフォーム会社比較サイトの「リショップナビ」を運営する株式会社アイアンドシー・クルーズ(以下、IACC)と業務提携をすると発表した。これにより同社は、住宅ローンの借り換え支援サービスの「ゼロカラリフォーム」をローンチする。

WhatzMoneyが展開中のWhatzMoney住宅ローンは、763社の金融機関が取り扱う1万7000件以上の住宅ローンを網羅するサービスだ。一方で、IACCが運営するリショップナビには1200社以上のリフォーム工務店が加盟しており、同サービスはこれまでに累計で3万人を超えるユーザーを獲得している。この2社が手を組んで新しくローンチするサービスが「ゼロカラリフォーム」だ。

WhatzMoneyは同サービスを通して、リショップナビに加盟するリフォーム工務店に、住宅ローンの借り換えシュミレーションやフォローアップサービスを提供する。工務店はゼロカラリフォームを利用してリフォーム希望者に住宅ローンの借り換えを促し、借り換えによって浮いた金利支払額の差を元に、リフォーム希望者の実質的な負担を抑えたリフォーム提案をすることが可能になる。

矢野経済研究所の調べによれば、2015年の日本の住宅リフォーム市場規模は約6.5兆円だった。既存の住宅を有効活用したいというニーズの増加を背景に、今後10年間でこのマーケットの市場規模は約7.4兆円まで拡大すると言われている。しかし、実際の現場におけるリフォームの受注には大きな壁がある。それは、高額なリフォーム費用だ。

平均的なキッチンまわりのリフォームでは100万円から150万円程の費用がかかり、より規模が大きなリフォームの住宅の増改築では、200万円から300万円程の高額な費用がかかることもある。実際のリフォーム受注の現場では、たとえ消費者にリフォームの希望があっても高額な費用を前に断念してしまうケースもあるようだ。

そこでゼロカラリフォームでは、消費者にローン借り換えによって得られるメリットを具体的に提示することで、実質的な負担を抑えたリフォーム提案を実現しているのだ。

ゼロカラリフォームではまず、IACCが運営するリショップナビによってリフォーム希望者とリフォーム工務店をマッチングする。消費者の住宅ローン情報を元に、工務店はWhatzMoneyに住宅ローン試算の申し込みをする。申し込みを受けたWhatzMoneyは、工務店に借り換えシュミレーションと住宅ローンプランについてのサポートを提供する。工務店はそのシュミレーション結果を利用して、借り換えによって得をする具体的な金額を消費者に提示し、それを原資にしたリフォーム提案を可能にするという仕組みだ。WhatzMoneyは借り換えを決断した消費者に対してフォローアップサポートも提供している。

WhatzMoney代表取締役社長の前田一人氏は、「不動産営業の方は、不動産の専門家であって、住宅ローンの専門家ではありません。そのため、多くの不動産営業の方が”どの住宅ローンがお客様に最適なのかわからない”などという課題を持っています。本サービスにより、不動産営業の方は住宅購入者に最適な住宅ローンの提案ができるようになります」と説明する。

同サービスにとって追い風となるのが、日本の金利水準だ。長期金利が継続的に低下を続ける日本では、住宅ローンの借り換えによるメリットが大きい。

10年以上の住宅ローンは、10年もの国債金利(長期金利)と連動する。過去10年間の長期金利を見てみると、2016年では1.5%を超す水準にあった長期金利はその後下落を続け、マイナス金利政策の導入が始まった今年は0%を切る水準で推移していた(11月中旬からは再び0%を上回る金利水準となっている)。

例として、借入残高が2000万円で、残りの借入期間が20年、金利1.5%の住宅ローンを組んでいる消費者を考えてみよう。工務店がゼロカラリフォームを利用して、その消費者に金利が0.5%の住宅ローンへの借り換えを提案できた場合、その消費者が手にする「借り換えによるメリット」は200万円となる。先ほども述べたように、平均的なキッチンのリフォームにかかる費用が100万円から150万円だということを考えれば、非常に魅力的な提案だと言えるだろう。

しかし、ここまでメリットの大きい住宅ローンの借り換えを検討していない消費者も多い。「住宅金融支援機構の調査によれば、およそ50%の住宅ローン利用者が自身の住宅ローンの内容を理解しておらず、日々の生活の中で、住宅ローンの見直しなどを行う機会がありません」とWhatzMoneyの前田氏は話す。そもそも借り換えによるメリットを消費者が理解していなかったり、知っていても面倒くさくて手がつけられない、というのが現状なのだ。

日本のスタートアップの中にも、MFS株式会社の「モゲチェック」など住宅ローンの借り換えを促すアプリやサービスなどはある。しかし、MFSが2つ目の有人店舗を11月にオープンしたことからも分かるように、消費者に借り換えのメリットを理解してもらうという点が各社にとって最大の課題となっているのだ。

その点、WhatzMoneyは今回の業務提携により、「この資金を利用すれば、このリフォームが可能になる」という具体的なメリットを消費者に提示することで、潜在的な借り換えのニーズを引き出す仕組みを構築したと言えるだろう。