ウィキリークスから漏洩した外交公電の影響で国家支援ハッカーの追跡が困難に

2010年に流出した機密文書は、WikiLeaks(ウィキリークス)が公開した機密扱いの外交公電により、外国のスパイが使用する戦術と手法に「目に見える変化」が生じる可能性が高いと警告していた。

この文書は最近、非営利団体である米国家安全保障文書館が行った情報公開法に基づく請求により機密解除され、TechCrunchにも共有された。それによれば、米軍の主要なサイバー戦争部隊である米国サイバー軍(United States Cyber Command、USCYBERCOM)は、漏えいした在外米国大使館間の外交公電が今も行われている同軍のサイバー活動を暴いたり妨害したりすることを恐れている。こうした米国サイバー軍の内情が漏れるのは極めてまれだ。

国家安全保障文書館のCyber​​ Vault ProjectのリサーチフェローであるMichael Martelle(マイケル・マーテル)氏は、ウィキリークスによる公電の公開が敵に「優位性を高める時間」を与えたと述べた。

米陸軍情報アナリストのChelsea Manning(チェルシー・マニング)氏がダウンロードした75万件の機密公電を漏えい情報公開サイトウィキリークスに転送したのはほぼ10年前になる。マニング氏は、史上最大の米国の機密資料漏えいにより35年の刑を宣告された。その後2017年に、当時の大統領であったBarack Obama(バラク・オバマ)氏によって減刑された

サイバー軍は2010年12月付のいわゆる状況認識報告に発見事項を記載した。The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)などのメディアが、情報源を守るため墨塗りつきながらも外交公電の完全な内容を公開した数日後だ。多数墨塗りされた報告書は以下のように警告していた。サイバー軍は、ウィキリークスで公開された「情報を使用」した外国のサイバー諜報部隊による対米活動が活発になると予測している。

画像:国家安全保障文書館

報告書によると漏えいした公電は、米国政府機関が当時、外国の敵が使う戦術や技術を「知って」おり、それには「マルウェア、ツールセット、IPアドレス、侵入活動で使用されるドメイン」が含まれることを「明確に述べていた」。

さらに同報告書は、同じ敵が「自身の現在のインフラと侵入技術に変更を加えて、米国のサイバー防衛を回避すると予想される」と警告していた。

画像:国家安全保障文書館

機密解除文書は墨塗りされているため、サイバー軍が想定している敵を正確に特定することはできないが、マーテル氏は唯一特定の国、中国だけが後日ウィキリークスが公開した別の文書で言及されていると述べた。その文書は墨塗りされていない。

Google(グーグル)は最初の公電が公開されるわずか1カ月前に、同社のネットワークに標的を絞ったサイバー攻撃を仕掛けたことで中国政府を公に非難した。アンチウイルスメーカーのSymantec(シマンテック)や防衛請負業者のNorthrop Grumman(ノースロップグラマン)などの複数の企業も、「オーロラ作戦」として知られるようになったサイバー攻撃に見舞われた。グーグルはその後、怒りをあらわにして中国から撤退した。

サイバー軍による報告書は、国防総省と米国の諜報機関はいずれも、敵が「この新しい情報を活用して」「サイバー戦略をさらに進める」ことを恐れており、異常に対して「警戒を怠らない」と述べている。

サイバー軍のスポークスマンはコメントを控えた。グーグルもコメントしていない。ウィキリークスへのメールも返信がない。ウィキリークスの創設者であるJulian Assange(ジュリアン・アサンジ)氏は現在拘束されており、機密公電の公開に関連して米国への引き渡しの審理が行われている。

画像クレジットNicholas Kamm / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

スウェーデン当局がWikiLeaks創設者アサンジ被告の暴行容疑捜査を打ち切り

スウェーデン当局は、WikiLeaks創設者Julian Assange(ジュリアン・アサンジ)被告に対する性的暴行容疑の捜査を打ち切った。

今日発表した声明文の中で、検察当局は疑いのある行為から10年近くがたち「証拠がかなり弱まった」と述べた。

「被害者は信ぴょう性と信頼性のある証言をしてきたことを強調しておきたい。被害者の証言は首尾一貫しており、広範にわたり、そして詳細なものだった。しかしながら、これ以上捜査を続ける理由がないほどに証拠は弱まった、というのが私の見解だ」とスウェーデン検察の次席検事であるEva-Marie Persson(エヴァ−マリー・パーソン)氏は語った。

スウェーデン検察は2010年8月にさかのぼる性的暴行疑いに関する捜査を再開したことを5月に発表したばかりだった。その前、捜査は2017年に中断されていた。しかしエクアドルがアサンジ被告の政治亡命保護を却下した後にアサンジ被告がロンドンのエクアドル大使館で逮捕されたことを受け、被害者の弁護士からの要請で捜査が再開された。

逮捕後、アサンジ被告には保釈条件に違反した罪で有罪判決が言い渡され、現在いるロンドンのベルマーシュ刑務所に収監された。

アサンジ被告はいま、米国への身柄送還に直面している。米国は早くから身柄引き渡しを要請していた。当初は機密コンピューターへのハッキングの疑いで、その後、諜報活動取締法違反の疑いが追加された。

送還に関するヒアリングは2020年2月に行われる予定となっている。アサンジ被告の弁護士は、アサンジ被告が弁明にもっと時間をかけられるようヒアリングを遅らせるよう要望を出し、英国の裁判所はこれを却下していた。

アサンジ被告が2012年にエクアドル大使館に逃げ込んだのは、スウェーデンへの身柄送還を免れるためだった。WikiLeaks創設者は米国への送還のリスクがあると主張した。しかし7年ほどケンブリッジで籠城して過ごしたのち、アサンジ被告はいま大きな裁判に直面している。

画像クレジット: Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

スウェーデンがアサンジ被告の暴行事件捜査を再開

スウェーデンの検察当局は、Wikileaks創設者のJulian Assange(ジュリアン・アサンジ)被告が2010年に起こした女性暴行事件の捜査を再開した。

当局は今日、アサンジ被告に対し欧州逮捕状を発行すると発表し、ウプサラ地方裁判所に令状を申請した。事件はエンヒューピングで起こったとされている。

スウェーデン検察当局は以前にもこの暴行事件を捜査しようと試みたが、アサンジ被告が2012年にロンドンにあるエクアドル大使館に逃げ込んだ後に逮捕状を取り下げていた。

アサンジ被告による別のスウェーデン人女性に対する2件目の暴行事件の捜査は時効の関係で再開されない。

Wikileaks創設者はエクアドルが政治亡命保護を却下した後、ロンドンにあるエクアドル大使館で先月逮捕された。その後アサンジ被告はすぐに、2012年に保釈条件を破ったとして有罪となった。サウスウォーク・クラウン裁判所の裁判官は今月はじめにアサンジ被告に禁錮50週を言い渡した。そして被告はいま、英国のベルマーシュ刑務所で服役している。

スウェーデンの次席検事Eva-Marie Persson氏は米国時間5月13日、欧州逮捕状とすでに米国が要請している身柄引き渡しをどのように扱うかは英国当局が決めると話した。

この判断は英国の裁判所次第となり、犯人引き渡しの要請で対立がある場合は内務大臣のSajid Javid氏がアサンジ被告をどこに送るか最終的に決めることが考えられる。

先月、英国の警察に身柄を拘束されるやいなや、Wikileaks創設者は米国からの要請でも再逮捕された。米国は、密告者チェルシー・マニングによる軍機密情報のWikileaksへの漏洩に関係する機密コンピューターへのハッキングの容疑でアサンジ被告の送還を模索している。

「アサンジ容疑者が米国に送還されることになるかもしれない手続きが英国で進められている事は認識している。欧州逮捕状と、米国からの送還要請が対立するようなことになれば、英国当局が優先順位に基づいて決定する。どうなるかは予想できない。しかしながら、私の考えではスウェーデンでの事件は英国において同時に進められる」とPersson氏は声明文で述べた。

捜査の再開については、Persson氏は「状況が変わった」と述べるにとどめた。

「ジュリアン・アサンジがエクアドル大使館から出てきたために、この事件をめぐる状況は変わった。これにより事件の捜査を前に進めるという見解だ」。

Persson氏はまた、アサンジ被告が釈放されるまで25週間服役しなければならないことを英国当局が伝えてきたことも明らかにした。

アサンジ被告に対する捜査再開は「かなりの捜査が行われることになる」ことを意味するとPersson氏は付け加えた。これは、アサンジ被告が英国の刑務所にいる間にスウェーデン検察当局が尋問する可能性を示唆している。しかしそのためにはアサンジ被告が面会に協力することに同意しなければならないだろうとの見解もPersson氏は示した。

「私の考えでは、容疑者との面会が必要だ。欧州逮捕状に基づき、英国で服役しているアサンジ被告に面会を申し込むことが必要不可欠になるだろう。しかしながらそうした面会は被告の同意が必要だ」とPersson氏は述べた。

Wikileaksの編集責任者であるKristinn Hrafnsson氏はスウェーデンが暴行事件の捜査を再開することについて声明を出し、その中でスウェーデンが「かなりの政治的圧力を受けて動いていて、そしてこの事件はこれまでずっと誤って扱われてきたと主張している。

Hrafnsson氏はまた、アサンジ被告がエクアドル大使館に逃げ込んで7年間も籠城していたにもかかわらず、捜査回避を模索したことを否定した。そして新たな捜査は「ジュリアンが身の潔白を証明するチャンスだ」とも述べた。

保釈条件違反の判決に先立ち、アサンジ被告は英国の法廷で読み上げられた声明の中で「私が行ってきた行為の中で私から無礼な振る舞いを受けたと感じる人に率直に」謝罪し、逃亡しようと決断したことを悔いているとも述べた。

「アサンジは常に進んでスウェーデン当局の質問に答えていた。また6年間にわたり繰り返し質問に答えるよう言われていた。アサンジがスウェーデンの取り調べを回避したというメディアが展開する主張は嘘だ」とHrafnsson氏は書いていて、アサンジが英国で服役中にスウェーデン当局の面会を断るという選択はしないことをほのめかしている。

先月、英国の議員70人で構成する超党派グループは内務大臣宛に、検察が送還を要求するであろう(今、実際に要求している)スウェーデンにアサンジ被告を送ることを認める「擁護行動」を求める書簡を提出した。

書簡では内務大臣に「性的暴力の被害者の側に立ち、アサンジの事件が適切に捜査される」こと、そして原告のために「適正な手続き」がその後に続くことを要求している。

議員たちはまた、この暴行事件の時効が2020年8月であることも指摘した。これは、この事件を裁判に持ち込むために残された時間が少ないことを意味し、それゆえに米国からの送還要請よりもスウェーデン検察に優先順位が与えられるべきと主張している。

アサンジ被告は米国への送還に抵抗している。送還手続きは何カ月もかかるという見方がある一方で、Guardianによるとアサンジ被告は5月2日にあった裁判所での審問でビデオリンクを介して米国への送還には同意しないと語った。

イメージクレジット: Jack Taylor / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

英裁判所がウィキリークス創設者に50週の禁固刑

WikiLeaks(ウィキリークス)の創設者であるJulian Assange(ジュリアン・アサンジュ)被告は今日、2012年に保釈中の条件に違反したとして英国のSouthwark Crown裁判所から50週の禁固刑を言い渡された。アサンジ被告への量刑言い渡しを受け、WikiLeaksはツイートの中で「ショッキング」で「報復的だ」と決めつけた。

同被告は先月、エクアドルがそれまで彼に与えていた政治亡命を認めない姿勢に転じた後にエクアドル大使館で逮捕され、その後、保釈条件に違反した罪で有罪との判決を受けていた。

アサンジ被告は、性的暴行容疑に直面していたスウェーデンへの強制送還を逃れるため、そして米国への強制送還を恐れ、ロンドンにあるエクアドル大使館に2012年に保護を求めて駆け込んだ。その後ほぼ7年間、エクアドル側の堪忍袋の尾が切れるまで、自ら大使館の中に閉じこもって籠城していた。この間、スウェーデンの検察当局は外交亡命保護から同被告を引きずり出すことはできず、被告に対する捜査を打ち切った。

The Guardianの報道によると、法廷で弁護士が読み上げた書簡の中で、アサンジ被告は自らが置かれたぞっとするような状況に恐怖を感じていたと主張し、私が行ってきた行為のなかで私から無礼な振る舞いを受けたと考える人に率直に謝罪した。そしていま、逃亡したことを悔いているとも述べた。

英国の警察署に先月拘置されるやいなや、アサンジ被告はすぐに米国の要請に基づき再逮捕された。この再逮捕は、機密扱いのコンピューターをハッキングした疑いによるもので、米国は身柄の引き渡しを求めている。50週間の禁固刑言い渡しは、米国への送還に対してアサンジ被告が戦いを始めるまで英国にとどまることを意味する。

米国での容疑は10年ほど前のもので、前陸軍情報分析官で告発者のChelsea Manning(チェルシー・マニング)からWikiLeaksに提供された軍機密情報の漏洩に関するものだ。マニングがリークした文書はWikiLeaksによって公開され、ここにはアフガニスタンやイラクからの何十万もの戦場報告が含まれていた。これにより、米軍が公の報告より多くの市民を殺害していたことが明らかになった。

アサンジ被告は、機密情報の報道のためのジャーナリストの身分と言論の自由をうたう米国憲法修正第1項の主張を模索した。しかし米国の当局は、マニングの機密情報へのアクセスを可能にするパスワード入手をWikiLeaksの創設者がほう助した、と主張している。

 

もしアサンジ被告が米国に引き渡され、そうした容疑で有罪とされた場合、最長5年の服役となる。米国への送還をめぐる審理で、アサンジ被告は木曜日に再び出廷する。一方のマニングはWikiLeaksを調査する大陪審への証言を拒んだとして刑務所に入っている。マニングはもともと機密の軍文書を漏洩したとして35年の量刑判決を受けて服役していたが、前大統領バラク・オバマにより恩赦が与えられ、7年に減刑されていた。

イメージクレジット: Jack Taylor / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

ハッキング容疑でウィキリークス創設者を逮捕、米が引き渡しを要請

WikiLeaks(ウィキリークス)創設者のJulian Assange(ジュリアン・アサンジ)が英国の保釈条件に違反した容疑で今朝早くにエクアドル大使館内で逮捕されてから事態が急展開する中で、アサンジ容疑者は米国の要請に基づき再逮捕された。これにより、同容疑者は米国からの身柄引き渡しに直面することになりそうだ。

アップデートされた声明で、ロンドン警視庁は以下のように述べている。

ジュリアン・アサンジ(47才、1971年7月3日生まれ)は本日4月11日木曜日、中央ロンドン警察署に身柄を送致された後の10時間53分に、米国当局の要請に基づき再逮捕された。これは、犯人引き渡し法第73節下での引き渡し令状によるものだ。容疑者はウェストミンスター司法裁判所に可能な限り早く出廷する。

同容疑者は、ロンドン警視庁に拘留中に再逮捕された。WikiLeaksによると、彼はウェストミンスター司法裁判所に今日午後に出廷することになっている。

WikiLeaksはまた、アサンジ容疑者が米国の前陸軍情報分析官Chelsea Manning(チェルシ−・マンニング)がWikiLeaksに漏らした機密情報を公にしたという共謀罪で、米国の引き渡し令状に基づいて逮捕されたとツイートした。

米国で同容疑者が訴追されたことは昨年、まったく関係のない裁判文書でWikiLeaks創設者への訴追が載っていることが公になった後に、思いがけず明らかになった。

米司法省は木曜日、アサンジ容疑者が米国の機密コンピューターに侵入しようと企てた疑いがあることを声明で明らかにした。検察は、SIPRNETとして知られる米国政府機密ネットワークにマンニングがログオンするのに必要なパスワードを入手するのをAssange容疑者がほう助した、としている。

ジャーナリストは機密情報の出版に関して、米国憲法修正第一項の言論の自由保護のもとにほぼカバーされていて、犯罪ではない。しかし同容疑者はまた、機密のネットワークから情報を漏洩するようマンニングを「積極的にそそのかした」としても告発されている。司法省は、アサンジ容疑者に最大5年の服役刑が科される可能性があるとしている。

マンニングはオバマ大統領が2017年に任期を終える前に恩赦が与えられて減刑され、その年の5月に釈放された。そして今年3月、WikiLeaksを調べる大陪審への証言を拒んだとしてManningは再逮捕された。マンニングは米国の刑務所に入ったままだ。アサンジ容疑者の英国から米国への引き渡しプロセスは数年かかるかもしれない。そしてどのような結果になるかは不明だ。

例えば、英国のコンピューターハッカーであるGary McKinnonの別件では、当時のTheresa May内相が健康の観点から2012年に引き渡しを阻止した。

アサンジ容疑者の弁護士の1人、Geoffrey Robertson氏がBBC Newsに語ったところでは、「アサンジのケースでは、米国が公共にとって重要な情報を出版した出版者を引き渡すよう求めているという、法外な振る舞いをしている」と述べた(The Guardianより)。

Robertsonはまた、アサンジ容疑者の「健康問題」の観点からもエクアドル大使館にいるより英国警察の拘置所にいる方がいい、と示唆した。

今朝早くに逮捕される前、同容疑者は2012年以来、エクアドル大使館に籠もっていた。そこへは、スウェーデン当局による性的暴行容疑捜査に関連して、英国で保釈されている最中に駆け込んでいた。

そうした容疑の捜査は後に打ち切られたが、アサンジ容疑者容疑者は米国へ引き渡される恐れがあるとして大使館内にとどまっていた。エクアドルが今朝早く同容疑者の政治亡命を却下するやいなや、英国の警察がただちに逮捕に動いた。

【アップデート】米国時間4月11日にロンドンの裁判所に少しだけ出廷したアサンジ容疑者は、保釈条件に違反した罪で有罪とされ、量刑言い渡しまで拘留される。The Guardianは、引き渡し要請に関連して同容疑者は5月に出廷することになっている、と報じている。

米国のアサンジ容疑者に対する起訴状は下記の通りだ。

Image Credits: Dinendra Haria/SOPA Images/LightRocket via Getty Images / Getty Imagesunder a license.

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(翻訳:Mizoguchi)

ジュリアン・アサンジ、インターネットを遮断されてWikiLeaks編集長を退任

WikiLeaksのトップが交代した。ファウンダーで争い好きのリーダー、Julian Assangeが退き、元WikiLeaks広報担当者のKristinn Hrafnssonが指揮をとる。WikiLeaksが言うところの「異例事態」よってAssangeが「連絡不能」になったためだ。

Assangeは2006年に同組織を設立し、以来編集長を務めてきた。後任となるアイスランドのジャーナリスト、HrafnssonはWikiLeaksにとって新しい人物ではない。以前Hrafnssonは「WiliLeaksの法律プロジェクトを指揮した」ことがあり、Assangeは日常業務を徐々に減らしていたとされている。Assangeは組織のパブリッシャーとして引き続き関わっていく。

Assangeは、2012年に性的暴行の容疑によるスウェーデンへの送還から逃れるために初めて亡命を試みて以来、ロンドンのエクアドル大使館に潜伏中だ。6ヶ月前、エクアドル政府はAssangeの隔離を決行し、インターネットを切断するとともに面会を禁止した。

報道によるとAssangeは エクアドルの新大統領、Lenín Morenoと緊張関係にある。同氏はAssangeを前政権から引き継がれた受け入れがたい問題と捉えているふしがある。Moreno大統領はAssangeの拘束について、「彼の命に危険があるとわれわれが想定する限り」としている——これはWikiLeakのファウンダーの近い将来に疑いの余地を残す発言だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ロシア政府がスノーデンの滞在許可期間を再び延長

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ロシア外務省の担当者が、元NSA(アメリカ国家安全保障局)契約職員で内部告発者のエドワード・スノーデン(Edward Snowden)に対する一時滞在許可の期間が延長されたと明かした。

The Guardianは、ロシアの外務報道官を務めるMaria ZakharovaがFacebook上でこの事実を明らかにしたと報じている。Zakharovaは自身のFacebookページに、スノーデンが居住許可を手に入れるまでの期限が「数年間」延長されたと記していたのだ。

TechCrunchでは、ロシアの外務省および現地のスノーデンの弁護士Anatoly Kucherenaと確認をとっているので、新しい情報を入手次第この記事をアップデートしたい。

昨年のアメリカ大統領選で、ロシアのウラジミール・プーチン大統領と親しいドナルド・トランプ次期大統領が勝利すると、コメンテーターの中にはスノーデンを取り巻く状況が今後どう変わってくるのかについて疑問を抱く人もいた。

プーチンとの親しい関係を利用して、トランプがスノーデンの引き渡し交渉をする可能性は十分ありえる。

しかしプーチンは、すぐにスノーデンをトランプへ引き渡すつもりはないようだ。

RTが引用していたKucherenaのコメントによれば、まもなくスノーデンは(彼が望めば)合法的にロシアの永住権を申請できるようになる。というのも、既にスノーデンは4年近くロシアに滞在しており、滞在期間中に法を犯したこともなければ、ロシア国内で訴えられたこともないからだ。

スノーデンの最初の滞在許可が期限を迎えた2014年7月にも、ロシア政府は3年間の延長を許可していた。

アメリカ政府や関係当局による監視プログラムについて書かれた機密文書と共に2013年5月にアメリカを去った後、スノーデンは香港でジャーナリストに当該文書を手渡した。その後、アメリカ政府にパスポートを失効させられた彼は、モスクワ空港に取り残されてしまったが(本当は南米へ向かうつもりだったと報じられていた)、結果的にロシア政府から一時滞在許可証が発給され、それ以降ロシアに滞在している。

日曜日にThe Cipher Brief上で公開された、元CIA副長官のMichael Morellが書いた記事に対するFacebook上のコメントで、Zakharovaはスノーデンの「ロシアに滞在する許可」が延長されたと述べた。なお同記事の中でMorrelは、プーチンに「完璧な大統領就任祝い」としてスノーデンをトランプに引き渡すよう求めていた。

「スノーデンがアメリカの地に降り立ち、手錠を掛けられる光景を目にすれば、トランプ次期大統領とインテリジェンス・コミュニティー(IC)の間にある溝も埋まることでしょう。ICは誰よりもスノーデンが裁きを受けることを望んでいます」とMorellは記している。

「はっきり言って私自身はスノーデンのことを裏切り者だと考えていますが、陪審員の評決、そして有罪であれば裁判官の判決を尊重するつもりです。ひいては、スノーデンが市民の自由を脅かす恐れのある(しかし実際に事件は起きていない)プログラムの存在を大衆に知らせたヒーローなのか、それとも国の安全に関する機密事項を世界中に漏らした裏切り者なのかに関する司法当局の判断を尊重したいと考えています。憲法で定められた司法制度に答えをだしてもらいましょう」と彼は付け加える。

一方スノーデンは、アメリカ政府から公正な裁判を受ける権利が与られるならば帰国するつもりだと繰り返し発言していた。ここでの公正な裁判とは、スパイ活動法に基いたものではなく、彼が陪審員の前で自身の行動は公益のためだとする答弁の機会を与えられるようなものを指している(スパイ活動法で起訴された場合、被告にそのような答弁の機会は与えられない)。

さらにZakharovaはFacebook上のコメントで、「就任祝い」としてスノーデンをトランプに受け渡すようプーチンに求めているMorellの記事の内容を、スノーデンの行為が「裏切り」だと示唆する「ヘイトスピート」だと述べた。

スノーデンの弁護士を務めるKucherenaも、Morellの声明を「全く馬鹿げている」と非難した。

二人の反応からは、スノーデンのロシア滞在が持つ、プーチン政権にとっての宣伝効果を感じ取ることができる。彼らはスノーデンを使って、次期アメリカ政府に道徳的な圧力をかけようとしているのだ。

さらにロシア政府は、スノーデンが告発した情報を使って、自分たちのオンライン活動に対する批判をかわそうとしているようだ。例えば先月末に行われた会見の中でZakharovaは、アメリカの監視プログラムに関するスノーデンの告発内容を引用し、アメリカ大統領選をロシアが妨害したとする欧米からの批判に反論した。

「紛れもない事実に基いたスノーデンの告発によって、サイバースパイ・サイバーアタックのためのシステムを世界中に広げようとするアメリカ政府の活動が明らかになりました」と彼女は述べ、さらに「彼らがサイバーアタックを行ったと主張している国はひとつしかないにも関わらず、その証拠さえ提示されていません。アメリカ政府や外国の関係当局は、自分たちの行いを正して世界中の国々に許しを乞う代わりに、ロシアへ責任をなすりつけようと躍起になっています」と付け加えた。

昨年の9月には、American Civil Liberties UnionやAmnesty International、Human Rights Watchに所属する人権活動家のグループが、オバマ大統領に対して彼が大統領の座を退く前にスノーデンの赦免を求めるキャンペーンを開始した。彼らはスノーデンの行いが、アメリカ国民の安全を損なうばかりか、むしろ政府による監視活動の見直しのきっかけになったと評価しているのだ(Morellも彼の行動が「合理的な変化につながる議論を巻き起こした」と認める一方、「スノーデンの告発内容の網羅性の高さから、アメリカ国家の安全が一様に損なわれた」と主張している)。

昨日オバマ大統領は最後の仕事のひとつとして、WikiLeaksに外交・軍事関連文書を漏えいした罪で禁錮35年の判決が下された、元陸軍情報アナリストで内部告発者のChelsea Manningに対する大幅な減刑を発表した。

しかし政権交代直前にスノーデンが減刑される可能性は低いようだ。

大統領報道官のJosh Earnestは、両者の間には「著しい違いがある」と述べ、Manningが軍の刑事司法プロセスを踏んで「不正行為を認めた」一方、スノーデンは彼自身が「敵国」と呼ぶ国へ逃げ込み、「直近にアメリカの民主主義を脅かすような組織的行動をとった国で身を隠している」ことを強調した。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

オフショア取引の闇を照らす「パナマ文書」の衝撃―文書2.6テラバイトをドイツ紙が入手

2016-04-04-panamapapers

すべてはSuddeutsche Zeitung〔南ドイツ新聞〕への1通の暗号メールから始まった。それが今や極秘ビジネス文書としてインターネットl史上最大のリーク事件に発展した。

インターネットlはいわゆるPanama Papers〔パナマ文書〕を巡って激しい興奮状態に陥っている。文書の量は約 2.6テラバイトあり、数十万のオフショア企業に関連している。リーク元は世界的には無名のパナマの小さな法律事務所、Mossack Fonseca〔モサック・フォンセカ〕だった。

多くの読者にとってパナマの法律事務所というのはピンと来ない存在だろう。しかしモサック・フォンセカのクライアントには政治家、セレブ、スポーツ選手、これまでもスキャンダルの中心的存在と目されてきた組織などが多数含まれている。

パナマ・ペーパーズによって暴露された情報の中には、 ウラジミール・プーチンの10億ドルのオフショア資産、アイスランドの首相が持つタックス・ヘイブンではないかとの疑惑に包まれた私企業、そして最近のスキャンダルの常連である国際的サッカー運営組織、 FIFAが含まれている。FIFAの場合、幹部は個人としても文書中に登場する

ドイツの当局は2年前からモサック・フォンセカ法律事務所と犯罪組織のつながりに気づき、捜査を進めていた。Suddeutsche Zeitungの記事によれば法律事務所の内部告発者が情報を当局に売り渡していた模様だ。

捜査の進展とともに複数のヨーロッパの銀行が罰金を課せられ、捜査情報は世界の当局と共有された。

しかし今回のリークは桁外れだ。WikiLeaksが暴露したアメリカ国務省の文書エドワード・スノウデンのNSA文書などとは比較にならないほどの重要性を持つ。 ミュンヘンを本拠とするSuddeutche紙はICIJ(International Consortium of Investigative Journalists=調査ジャーナリストの国際コンソーシアム)と協力して世界各地の100人以上のジャーナリストのを動員して調査を進め、文書の背景調査と裏付けを行ったという。

Suddeutsche Zeitungの調査報道チームのメンバー、Bastian Obermayer〔バスチャン・オーバーマイヤー〕によれば、この調査にはフランスのLe Monde、イギリスのBBCとThe Guardianも加わっているという。

ICIJのディレクター、Gerard Ryleは「まず最初の感想として、われわれは過去に思いがけず大事件に発展した報道を何度も手がけてきたが、それらに比べても今回の事件ははるかにビッグだ」と述べた。

一方、BBCは関連記事で文書のr概要を以下のように紹介している。

  • パナマのMossack Fonseca法律事務所が所有する1100万件の文書がドイツの新聞、Suddeutsche Zeitungに渡った。同紙は情報をICIJ(International Consortium of Investigative Journalists)と共有して調査を進めている。BBCパナマ支局と他の78カ国107のニュースメディアも文書の分析に加わった。BBCは文書をリークした人物の身元に関する情報を持っていない。
  • 文書はこの法律事務所がいかにしてクライアントのマネー・ローンダリング、課税や捜査の回避を助けたかを明らかにしている。
  • Mossack Fonseca法律事務所は40年にわたってまったく潔白な業務を続けてきたとしている。同事務所はこれまでに刑事事件に関連して捜査されあるいは訴追されたことはない。

文書には世界的に悪名高い独裁者、腐敗した権力者、たとえばエジプトのホスニ・ムバラク前大統領、処刑されたリビアの独裁者、ムアマル・カダフィ、シリアの現大統領、バシャール・アルアサドなどが含まれるという。

Suddeutsche Zeitungの調査報道チームの記者、Frederik Obermaierは「〔この文書の分析で〕いかに多数の人間が関係しているかが明らかになってきた。独裁者もいれば日本のヤクザ、シシリーのマフィア、ロシア・マフィア、武器商人、麻薬密売人、ペドフィルなどあらゆる人物が含まれる。わずか一つの法律事務所の文書が公開されただけで、今後どれほどの悪事が暴露されることになるのか、緊張を感じずにはいられない。…すべてはこのSuddeutsche Zeitungで始まった」と述べた。

画像: Matt Straubmiller/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Wikileaksの最新文書、NSAの対同盟国スパイ活動を暴露

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それにしてもNSAはどういう地獄耳だ。つい先ほどWikiLeaksは、NSAの同盟国に対するスパイ活動の方法を極めて具体的に示す文書を公開した。”The Euro Intercepts” と呼ばれる文書群は、NSAによる、フランス、ドイツの経済団体および政府高官に対する組織的スパイ活動を詳細に説明している。

Wikileaksはツイートで、NSAが実施した、ドイツ、メルケル首相の秘書を含む側近を対象としたスパイ行為の詳細を語った。さらにWikileaksは、ドイツ政府および経済部門の最重要ターゲットの、電話番号の一部と個人識別情報を含むリストも公開した。

漏洩した情報には、米国のNSAと英国のGCHQによる協力レベルの詳細も記載されている。文書には、このコンビによる密室会議の盗聴への取り組みが書かれ、最近のフランソア・オランド、フランス大統領とメルケル首相のギリシア救済計画も含まれていた。

NSAによるドイツおよびフランスに対するスパイ活動を暴く最近の一連の文書は、ヨーロッパで暴動を呼び、オバマ政権の大きな頭痛の種となっている。

今日の発表のタイミングは偶然とは程遠く、メルケル政権は元上級判事を特別捜査官に任命し、NSA提供による、ドイツ情報機関が追跡してきたターゲットのリストを精査させる。メルケル首相が米国諜報機関と協力しているという認識は、同氏の最近の支持率に大きな打撃を与えている。

今日の文書公開に関する声明で、Wikilealsのファウンダー、Julian Assangeはこう書いている:

今日公開した文書は、米国の経済的スパイ活動がドイツやヨーロッパの主要機関へと拡大していること、およびEU中央銀行やギリシヤ財政危機等の問題を論証している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook