Windows 10X搭載の2画面デバイスの年内登場は期待しないほうがいい

Microsoft(マイクロソフト)は2019年10月、デュアルスクリーンデバイス向けに特別に設計されたフラッグシップOSの新バージョンこと、Windows 10Xを発表した。当初の計画では2020年のホリデーシーズン前にWindows 10X搭載のデュアルスクリーンデバイスを発売する予定で、2020年2月にはこの新しいフォームファクターに開発者が対応するのを支援するツールを多数発表した。しかし米国時間5月4日、Windows 10Xは当面の間はデュアルスクリーンデバイスから遠ざかることが発表された。つまり、デュアルスクリーンのWindowsデバイスは当分は出てこないということだ。

マイクロソフトのWindowsとデバイス部門のチーフを務めるPanos Panay(パノス・パナイ)氏はブログ記事で、同社がこの決断をした理由について現時点で顧客が何を今必要としているかに焦点を当て「顧客の今のニーズを叶えることに集中する」ことを望んでいるからだと述べた。パナイ氏はブログ記事の中で明確には説明していないが、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによる前例のない状況を考えると、マイクロソフトは新しいフォームファクターを強調するのではなく、既存のツールやサービスの改善に力を入れたいと考えていることは明らかだ。

「Windows 10Xは柔軟性を重視して設計されており、それによってクラウドの力を活用して顧客の作業や学習、そして遊びを新しい方法で支援する、シングルスクリーンのWindows 10Xデバイスに焦点を当てることが可能になった」と、パナイ氏は記述している。「これらのシングルスクリーンデバイスは、我々が顧客に届けるWindows 10Xの最初のデバイスとなるが、同時に我々はOEMパートナーと協力して、デュアルスクリーンデバイスを市場に投入するための適切なタイミングを模索し続ける」。

シングルスクリーンのWindows 10Xデバイスは、通常のラップトップや2in1デバイスまたはタブレットのようだ。マイクロソフトはこれらの最初のWindows 10Xデバイスの姿を定義することを拒否し、「より多くのデバイスが登場する」とだけ伝えた。

パナイ氏は5月4日の投稿で「Windowsデバイスが仕事、学習、遊びに最適な方法であることを保証する」ために、Windows 10のイノベーションを加速させたいと強調した。彼はその正確な意味について、それ以上の詳細を共有しなかった。

またパナイ氏は、マイクロソフト製品のユーザーがWindows 10を使っている時間は月に4兆分間で、前年比で75%増だと述べている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

マイクロソフトがWindows 10Xのデュアルスクリーン向け開発ツールを提供開始

米国時間2月11日、Microsoftは同社主催の365 Developer Dayで、デュアルスクリーン端末向けのWindowsであるWindows 10Xのアプリケーション開発者向けのツール群を発表した

中でも注目に値するのがWindows 10Xエミュレーターだ。これを使うとデベロッパーは自分のアプリケーションがデュアルスクリーン端末でどう見えるのかを事前確認することができる。現時点でWindows 10Xのハードウェアは市場に存在しない。Microsoft自身のSurface Neoを始め、いくつかのメーカーが休日(ワシントン誕生日)前の発売を予定しているが、Microsoftはデベロッパーにこの新しいユーザー体験の準備を進めて欲しいようだ。

Microsoftは、現在のWindowsアプリケーションはデュアルスクリーンでもそのまま動作すると発言している。ただし、2画面を有効に活かすためには、アプリケーションが対応する必要がある。現在Microsoftはアプリケーションを3つのパターンに分けている。実質的にアプリを2画面に広げるexpansive workspace(ワークスペースの拡大)、片方にアプリの主画面を、もう一方にツールを配置するfocused screens(専用画面)、および2つのアプリを並べてマルチタスクを容易にするconnected apps(アプリ連携)だ。

新しいエミュレーターとプレビューSDKを使って、デベロッパーは最適な動作を検討できる。

また同社は、新しいJavaScript APIおよびCSSメディアクエリーを提案し、HTML、CSS、およびJavaScriptを使ってPWA(プログレッシブ・ウエブアプリ)やWebViewsとしてアプリを制作するデベロッパーを支援する。同社はW3C(WWWコンソーシアム)と協力して標準化を進めたいと言っている。「目標は、ブラウザーやオペレーティングシステムを超えたインターオペラブルなデュアルスクリーン体験を作れるようにすること」とMicrosoftは語った。

Microsoftのクロスプラットフォーム開発プラットフォームであるXamarinも、UIツールキットのXamarin.Formsでデュアルスクリーンをサポートする。さらに、React Native(Facebookが開発したフレームワーク)向けにもデュアルスクリーンモジュールを提供する予定だ。

目的は明白で、新しく出てくるデバイスを活用する方法を見出すためのツールをデベロッパーに与えることだ。同社は最高のユーザー体験について一定の考えをもっていることは間違いないが、デベロッパーのどんな使い方をするかも見てみたいと思っている。デュアルスクリーンWindows端末は、まだ始まったばかりであり、Microsoftがエコシステムから学び、それを取り入れるための時間は十分ある。

さらに同社は、新しいSurface端末とWindows 10Xを休暇前に発売する可能性は今もあると私に言った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook