マイクロソフトがゲームチャット「Discord」買収で交渉最終段階か、買収額は1兆円強規模

マイクロソフトがゲームチャット「Discord」買収で交渉大詰めか、買収額は1兆円強規模

MARTIN BUREAU via Getty Images

ゲームプレイ向けの低遅延なボイスチャットサービスDiscordが、買収に興味を持つ複数の企業と交渉に入っていることをGamesBeatなどが報じました。有力な交渉相手としてはマイクロソフトの名前が挙げられており、Bloombergは交渉が最終段階にあるとして、100億ドル以上の規模になると伝えています。

Discordは低遅延のボイスチャットがゲーマーなどに人気のサービスで、新型コロナのパンデミックによって人々の娯楽としてビデオゲームの人気が上昇したこともあり、2020年にはユーザー数が倍増、売り上げは1億3000万ドルに急成長しました。その企業価値は12月には70億ドルとも評価されていますが、まだ企業として利益を出すには至っていないとも言われています。

他に買収に手を上げている大手企業としてはFacebookの名前があります。ただ、FacebookはAmazon、Google、Appleなどとともに独占禁止法関連の調査を受ける立場にあり、いまの時点ではやはりマイクロソフトが最も有力な買い手ということになります。マイクロソフトは2020年末時点で1310億ドルの現金を保有するなど資金力は申し分ありません。今年初めにはゲームパブリッシャーZeniMax Mediaの買収を完了し、さらなるゲーム関連企業を買収すべく検討しているとうわさされていました。

Discordはすでに数百万のゲーマーたちが登録済みで、マーケティングやプロモーションを仕掛ける対象としても有望です。しかし、現在のDiscordの独立性もまた、ゲーマーたちに対する魅力の重要な部分といえるかもしれません。これが大企業によって買収された場合、その企業の関係するゲームやサービスにDiscordのサービスも偏っていく可能性があります。

DiscordのCEO、Jason Citron氏の以前の会社であるモバイルゲームソーシャルプラットフォームOpenFeintは、日本のGreeに買収されたものの、両社のサービス統合はうまくいかず最終的にOpenFeintが閉鎖されるに至っています。

(Source:GamesBeatEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ゲーム / eSports
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マイクロソフトがBethesda親会社を買収、Elder ScrollsやFalloutなどがクラウドゲーミングサービスへ

米国時間9月21日朝、マイクロソフトは現金75億ドル(約7840億円)でZeniMax Media(ゼニマックス・メディア)を買収する計画を発表(マイクロソフトプレスリリース)した。このゲーム持株会社は、Bethesesda Game Studios(ベセスダ・ゲーム・スタジオ)、id Software(イド・ソフトウェア)、ZeniMax Online Studios(ゼニマックス・オンライン・スタジオ)、Arkane(アーカネ)、MachineGames(マシンゲームス)、Tango Gameworks(タンゴ・ゲームワークス)、Alpha Dog(アルファ・ドッグ)、Roundhouse Studios(ラウンドハウス・スタジオ)などの著名なパブリッシャーの親会社だ。

この契約が承認されれば、The Elder Scrolls(エルダー・スクロールズ)、Doom(ドゥーム)、Fallout(フォールアウト)、Quake(クエイク)、Wolfenstein(ウルフェンシュタイン)、Dishonored(ディスオナード)、Prey(プレイ)、Starfield(スターフィールド)など、業界で最も注目されているタイトルのいくつかがマイクロソフトの傘下に入ることになる。

Xboxの責任者を務めるPhil Spencer(フィル・スペンサー)氏はこのニュースを発表するブログで「彼らの素晴らしい作品はすべて、もちろん継続して成長していくでしょうし、マイクロソフトのリソースとサポートで彼らに力を与え、創造的なビジョンをより多くのプレイヤーに新しい方法で提供できるようにすることを楽しみにしています」と投稿している。

BethesdaのSVP(シニアバイスプレジデント)であるPete Hines(ピート・ハインズ)氏は、この買収についてパブリッシャー自身のブログで「Bethesda Softworksが最初に設立されてから34年間、世界、業界、そして当社は大きく変わりました。本日、それは再び変化しました。そして、この決定に疑問を投げかけてくるのはわかっています。しかし重要なのは、私たちは今でもBethesdaであるということです。昨日と同じように、何年も一緒に仕事をしてきたスタジオによって作られたゲームに取り組んでおり、それらのゲームは私たちによってリリースされます」と述べている。

今後数カ月の間にXboxとPlayStationの双方の新機種が予定されているため、このような契約の締結はタイトルの独占性の面でマイクロソフトを重要な位置に置くことができる。このような動きが最終的にThe Elder ScrollsやDoomのような大作が競合するシステムでどのような影響を与えるかについては、まだ議論されていない。

BethesdaのエグゼクティブプロデューサーであるTodd Howard(トッド・ハワード)氏は自身の投稿で、このような取引が実際にパブリッシャーのタイトルへのアクセス性を高めることになるとし、「我々の元々のパートナーシップと同様、今回の取引は1つのシステムや1つの画面以上のものです。私たちは、ゲームが持つ基本的な力、つながりを持ち、力を与え、喜びをもたらす能力に対する深い信念を共有しています。そして、それをすべての人に届けるべきだという信念を共有しています。画面の大きさ、コントローラー、あるいはコントローラーを使用する能力に関係なく、すべての人にそれをもたらすべきだと考えています」と説明している。

この動きにより、マイクロソフトのポートフォリオは15のスタジオチームから23のスタジオチームに拡大される。また、BethesesdaのタイトルがXbox Game Passに登録されることになり、現在マイクロソフトのゲームの未来を担う重要な要素と位置づけられているクラウドゲーミングサービスにとっては大きな勝利となるだろう。近日発売予定の「Starfield」のようなBethesdaのタイトルは、発売日にゲームパスの一部として利用できるようになる。また、マイクロソフトは今朝、同サービスの加入者数が1500万人を突破したことにも言及しており、これは4月に報告した1000万人から500万人も増加している。

2014年、Id Softwareの共同創立者であったJohn Carmack(ジョン・カーマック)氏がOculusに移籍したことを受けて、ZenimaxはFacebookを提訴(未訳記事)。この訴訟では、企業秘密の盗用を主張し、40億ドル(約4180億円)の損害賠償を求めていた。裁判所は、著作権侵害と契約違反についてはZenimaxを支持したが、企業秘密については支持しなかった。当事者は法廷外で和解(Variety記事)したという過去がある。

画像クレジット:Christian Petersen / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)