「みずほダイレクトアプリ」にMoneytreeの機能が追加、スタートアップの技術がメガバンクに新風を吹き込む

MT LINK

本日、みずほ銀行と個人資産管理アプリを提供するマネーツリーは記者発表会を開催し、技術的な連携を行うと発表した。マネーツリーが提供する「Moneytree」は銀行口座、クレジットカード、ポイントカードなどの情報を登録すると、口座情報を自動で読み込み、取引情報をまとめて管理できる家計簿アプリだ。今回、みずほ銀行のインターネットバンキング用のスマホアプリ「みずほダイレクトアプリ」にMoneytreeの口座情報を読み込むデータアグリゲーションAPI「MT LINK」の技術を採用し、一生通帳機能を追加すると発表した。

みずほ銀行が提供する「みずほダイレクトアプリ」では、スマホから銀行口座の残高確認や振込といった手続きができる。みずほ銀行の個人口座を持つ人は2400万人に上り、そのおよそ半数はダイレクトバンキングサービスに登録している。ウェブやスマホのブラウザからダイレクトバンキングを利用している人は多いが、スマホの「みずほダイレクトアプリ」の利用者数は数十万に留まるという。記者発表会に登壇したみずほフィナンシャルグループ、インキュベーションPT、PT長の阿部展久氏は、みずほ銀行にはイノベーティブな発想や新しいテクノロジーが足りていない部分があると認めた上で、ユーザーが望む利便性を提供するため、マネーツリーのデータアグリゲーション技術との提携に至ったと説明する。

MTLINK_1MTLINK_2 MTLINK_3

「みずほダイレクトアプリ」の画面イメージ

提携の第一歩として「みずほダイレクトアプリ」にマネーツリーが提供する「一生通帳 by Moneytree」の項目を追加すると阿部氏は説明する。みずほダイレクトアプリでは通常3ヶ月しか取引明細を遡って閲覧することができないが、一生通帳機能ではその名の通り、登録以降、生涯に渡るデータを保存して確認することができる。また、登録した預金口座の合算残高を表示したり、認証を連携することで決済や定期口座なども簡単に利用できるようになるという。「一生通帳 by Moneytree」の利用を開始するには、みずほダイレクトアプリからMoneytreeの無料アカウントを開設し、みずほ銀行の口座を登録してみずほダイレクトアプリと連携する。当面はみずほ銀行の口座情報のみを登録できるが、将来的にはみずほフィナンシャルグループで提供する各種金融サービスをつなぎこむこと、さらには他社の口座情報、クレジットカード、ポイントカードなどの情報も一元管理できるようにすることも視野に入れていると阿部氏は説明する。ユーザーが自身の資産状況をアプリから把握し、そこから一部を投資に回すことやライフイベントに備えることを考えた時、みずほグループが提供するサービスを利用するきっかけになることを期待している。

「メガバンクの銀行サービスがスタートアップのサービスと連携したのは日本初」とマネーツリーの代表取締役であるポール・チャップマン氏は会見で話した。マネーツリーは2012年5月に創業し、2013年4月からMoneytreeのアプリを提供している。メガバンクが設立してから4年程のスタートアップの技術を認め、自社サービスと連携するということは、ほんの数年前まで想像できなかったように思う。先日、MoneytreeのAndroid版のリリースについてマネーツリーに取材した際にもChief of Marketingを務めるザック・タウブ氏は金融機関のフィンテックに対する姿勢が変わってきているという話を聞いた。最初にアプリをローンチした2013年頃、どこの金融機関もまともに取り合ってもらえなかったという。だが、スタートアップでも安全で良い体験を提供できる技術を提供できることを示した結果、金融機関も協力的になり、現在Moneytreeが対応している金融機関などのウェブサービスは2400社以上に増やすことができたという。今回の会見でチャップマン氏は、2015年はフィンテックという言葉が普及した年だったが、今年はフィンテックの取り組みが加速する年になるだろうと話した。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。