膨大なリソースを投入してモバイルアプリケーションを作ったなら、もちろんそのアプリケーションを多くの人に使って欲しいと考えることだろう。アプリケーションストア内の順位も気になることだろう。当然のことだと思う。その考え方がおかしいなどという人はいないに違いない。ただし、どうやら多くのアプリケーション利用者は、アプリケーションをすすめられることを「うるさく」感じているようなのだ。
「うるさい」と思われる、「おすすめしすぎ」の状況については思い当たる人も多いことだろう。目的のページに移動する前に表示されるすきま広告などの話だ。目立つ文字で「アプリケーションをダウンロード」しようと提案する文字が表示され、ごくごく小さな文字で「このままウェブ閲覧を継続する」というオプションが表示されているものが多い。
そうしたすきま広告を「うるさい」と感じた人は多いことだろう。それでも「まあ便利に感じる人がいるのかもしれない」と大人の対応をしてきた人も多いのだろう。しかし、実は「便利に感じている人などほとんどいない」ことをGoogleが明らかにしてくれた。
実験はGoogle+を巡って行われたのだが、この結果についてはぜひとも意識しておくべきなのかもしれない。
わたしたちは調査の結果、すきま広告を排除すべきという結論にいたった。この結果は非常に興味深いものだったので、ぜひとも多くの人と情報を共有したいと考える次第だ。
– すきま広告での「Get App」(アプリケーションをダウンロード)のボタンをクリックしたのは9%だった(9%は多く見えるかもしれないが、この中にはすでにアプリケーションを持っている人も含まれ、また最終的にはアプリケーションのダウンロードを行わなかった人も含まれる)。
– 69%の閲覧者がページを離れてしまった。これらの人々はアプリケーションストアに遷移しなかっただけでなく、モバイルサイトの閲覧もやめてしまった。
この69%のひとびとも、どこかで情報を見つけて「面白い」と判断したはずなのだ。しかし閲覧途中ですきま広告が表示されるのをみて「うるせーよ」と思ってしまったわけだ。こうした傾向がみえるのはGoogle+関連ページのみではないはずだ。個人的には(よくできた)モバイルサイトは大好きだ。ネイティブアプリケーションでアクセスするよりも軽く感じることさえある。また、そもそも「アプリケーションを楽しみたい」というよりも、「情報を確認したい」ときに、アプリケーションのインストールをすすめられてもうるさいだけなのだ。
アプリケーションの導入を促したいと考えているサイトオーナーには申し訳ないが、べつに「いつでももアプリケーションが必要」なわけではないのだ。Google+も、まずは「アプリケーションの導入を促したい」と考えたようだ。しかし、だれもがネイティブアプリケーションを望んでいるわけではなく、それをすすめてもうるさく思われるだけに終わる可能性があることにも気づいたわけだ。
モバイルファーストを標榜するサービスも、どうやらそうしたことに気づきつつあるらしい(今回のようなデータが公開され、ゆっくりとではあるが認識が広がりつつあるらしい)。たとえばInstagramやVineなども、ウェブサイトでの機能を増強しつつある。アプリケーションのインストールを(しつこく)すすめることにより、コンテンツが閲覧される頻度を下げてしまい、また閲覧者数すらも減ってしまうことになるケースがあるわけだ。
GoogleのJennifer Goveも、昨年のI/Oで「Door Slam」という現象について話をしている。
たとえば、私自身、下のページを1日に10回程度閲覧する。そのたびにアプリケーションをすすめられていらいらしてしまうのだ。
アプリーションはすでに持っているのだ。ただ、Twitterなどからリンクをたどったりするような場合、わざわざアプリケーションを使って閲覧したいと思っていないのだ。
みなさんはどうだろう。「ダウンロードなう!」と言われて迷惑に感じるケースが多いのではなかろうか。
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(翻訳:Maeda, H)