「ノーコード」チャットボットビルダーのLandbotがシリーズAで約8.3億円調達

「ノーコード」チャットボットビルダーを提供するバルセロナのLandbotが、スペイン・イスラエル系VCファームのSwanlaabが主導するシリーズAで800万ドル(約8億3000万円)を調達した。イノベーションを対象とするスペインの公的機関であるCDTIからも支援を受けた。以前に投資していたNauta Capital、Encomenda、Bankinterもこのラウンドに参加した。

Landbotは2018年にシードラウンドで220万ドル(約2億3000万円)を調達し、顧客数が900社を超えた。そのときにTechCrunchは同社に話を聞いている。それ以降、有料で利用している顧客が2200社、同社のツールを使っている人数は5万人となった(無料と有料のアカウントの合計)。

シードラウンド以降に経常収益も10倍になり、新たな資金を得てさらに成長が続くと期待されている。

Landbotによれば、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大により会話型ランディングページの需要は急増したという。あらゆる業種の企業がインハウスのIT部門に多額の投資をせずに、増加しているデジタルの来訪者とのコミュニケーションを自動化しようとしているためだ。

中小企業から大企業内のチームや製品まで、さまざまな企業がLandbotを利用している。Landbotの顧客にはNestlé、MediaMarkt、CocaCola、Cepsa、PcComponentes、Prudentialなどが名を連ねる。

LandbotのCEOで共同創業者のJiaqi Pan(ヒアキ・パン)氏はTechCrunchに対し「eコマース、金融サービス、マーケティング代理店などの業界から強力な引きがあります。eコマースは新型コロナウイルス感染拡大以降、我々にとって最も成長が大きく、この業界の顧客は2倍になりました」と語る。

今回調達した資金でセールス、マーケティング、エンジニアリングの人材を雇用して、社員数を2倍にする計画だ(現在の社員数は40名)。

Landbotは2017年にチャットボットビルダーの「ノーコード」版をリリースした。本社は以前、バレンシアにあったが、人材確保のためにバルセロナに移転した。

Landbotの登場以降、急成長している「ノーコード / ローコード」の動きは本格的なトレンドになっている。これは生産性を上げ見込み客を増やすデジタルサービスが求められ、インハウスの技術者が構築できる分量を超えてしまっていることによる。

このような背景で、技術系ではないスタッフが技術的な機能をカスタマイズできるサービス構築ツールが台頭している。

新型コロナウイルス感染拡大がこうした傾向に拍車をかけ、Landbotのような抵抗の少ないツールは明らかに恩恵を受けている。

サンフランシスコを拠点とするManyChatなどの会話型チャットボットビルダーの競合企業と同様に、Landbotもウェブのフォームをもっとエンゲージメントの高いチャットインターフェイスに置き換えようとしている顧客からの引き合いがあると述べている。この点は興味深い。

Landbotのチャットボットビルダーはドラッグ&ドロップで操作でき、Landbotのいう「GIFやビジュアル要素が多くエンドユーザーの注目を集めるような、没入できるウェブページエクスペリエンス」をインフォメーションワーカーが作成できるようにするものだ。古くて退屈な動きのないフォームを、スマートフォンユーザーにはWhatsAppなどのメッセージングアプリでおなじみのエクスペリエンスに置き換えられるとなれば、中小企業にとって魅力があることはおわかりいただけるだろう。

パン氏は「ノーコード分野の主な競合についていうと、チャットボットの直接的な競合としてManyChatと重なる部分があります。一方、フォームを置き換えるために我々のプロダクトを利用している顧客が多数いるので、Typeformなどのフォームビルダーとも競合しています」と語る。Typeformもバルセロナを拠点とするスタートアップで、Landbotと同様に「会話型」で「インタラクティブ」にデータを収集するプラットフォームを謳っている。

Landbotは最近、インドを拠点とするチャットベースのマーケティングオートメーションツールのMorph.AIを買収した。Morph.AIはソーシャル、ウェブサイト、広告のトラフィックを見込み客に変換するツールだ。アジア市場でのプレゼンス拡大という狙いもある。

これまでのところLandbotの顧客の90%はスペイン以外で、60%を米国、英国、ドイツが占めている。

シリーズAの発表の中でSwanlaabのゼネラルパートナーであるJuan Revuelta(ホワン・レべルタ)氏は次のようにコメントしている。「Landbotの利点はドラッグ&ドロップのソリューションです。このプロダクトをさまざまな企業の誰もが使えるようにするにはシンプルさが不可欠です。中小企業にはカスタマーサービスの問題を解決したり豪華なマーケティングキャンペーンを実施するために贅沢に使える時間や資金はありません。Landbotはあらゆる企業が抵抗なく顧客と会話し必要なデータをやりとりして、スマートな決定を下し成長できるようにします。Landbotは2020年に素晴らしい成果を上げました。我々は、2021年にはさらに多くの企業に役立ててもらうためにこのチームを支援できることを楽しみにしています」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Landbot資金調達ノーコードスペインチャットボット

画像クレジット:Landbot

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(翻訳:Kaori Koyama)

投稿者:

TechCrunch Japan

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