「万国共通デジタル広告透明化」が今すぐ必要だ

【編集部注:本稿はLaura Edelson、Erika Franklin Fowler、Jason Chaungによる共著】

Mr. Zuckerberg(ザッカーバーグ様)、Mr. Dorsey(ドーシー様)、Mr. Pichai(ピチャイ様)、Mr. Spiegel(スピーゲル様)。私たちには万国共通デジタル広告透明性化今すぐ必要です。

差別的な広告ターゲティングと配信の与える悪影響はよく知られている。誤情報や不正な利益を目的とする広告コンテンツも同様だ。こうした害悪の蔓延はわれわれの研究が再三明らかにしてきた。その一方で、大多数のデジタル広告主は、責任ある立場にありながら顧客とつながりビジネスを拡大することしか考えていない。

多くの広告プラットフォームが、デジタル広告における問題の深刻さを認識しているが、問題に対処する方法はまちまちだ。プラットフォームは広告主や広告の審査を強化し続ける必要があるとわれわれは信じているが、これは広告プラットフォームが自分たちだけで解決できる問題でないことは明白であり、それは彼ら自身も認めている。プラットフォーム単独で行われる審査は機能していない。あらゆる広告の透明化が必要だ。これには広告費やターゲティング情報も含まれ、そうすることで広告主には彼らがユーザーを欺いたり操ったりした場合の責任を課すことができる。

以下にわれわれの研究結果を示す。

  • 広告プラットフォームのシステム設計が、広告主による性別、人種、その他慎重に扱うべき属性に基づくユーザー差別を可能にしている。
  • プラットフォームの広告配信最適化は、広告主が包括的な広告対象設定を行おうとしたかどうかに関わらず、差別的な結果を招く可能性がある。
  • 広告配信アルゴリズムは両極化を起こす可能性があり、政治キャンペーンが多様な政治感をもつ有権者に届くのを困難にする。
  • スポンサーはデジタル政治広告に13億ドル以上費やしているが、情報開示は極めて不適切である。現在の自発的アーカイブはユーザーに対する意図的あるいは偶発的な詐欺行為を防ぐことができない。

広告のコンテンツ、ターゲティング、および配信の透明化は、厳格なポリシーや強制力を必要とすることなく、デジタル広告による潜在的被害の大部分を効果的に軽減できるとわれわれは信じている。大多数の最大手広告プラットフォームが同意している。Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、Twitter(ツイッター)、Snapchat(スナップチャット)の各社は、何らかの形の広告アーカイブを持っている。問題は、こうしたアーカイブのほとんどが不完全かつ実装方法が悪く、研究者によるアクセスが困難であり、フォーマットやアクセス方法が大きく異なっていることた。われわれは、デジタル広告を配信する全プラットフォームが遵守しなくてはならない万国共通の広告情報開示を提案する。もし全プラットフォームがわれわれの提唱する万国共通広告透明化標準に同意すれば、それはプラットフォームと広告主には公平な競争の場が、研究者にはデータが、そしてすべての人々に安全なインターネットが提供されることを意味している。

デジタル広告の完全な透明化は大衆の権利である。われわれの提案がプラットフォームと広告主にとって大仕事であることは認識している。しかし、現在世界中のユーザーが受けている社会的被害は、万国共通広告透明化が広告プラットフォームと広告主に与える負担をはるかに上回っている。ユーザーには、毎日浴びせられている広告に関する真の透明化を求める権利がある。われわれはどのデータが透明化されるべきかについて詳しい解説を作り、ここに公開した

われわれ研究者はいつでも自分たちの役割を果たす用意ができている。今こそ万国共通広告透明化の時だ。

署名人:

Jason Chuang, Mozilla(モジラ、ジェイソン・チャング)
Kate Dommett, University of Sheffield(シェフィールド大学、ケイト・ドメット)
Laura Edelson, New York University(ニューヨーク大学、ローラ・エデルソン)
Erika Franklin Fowler, Wesleyan University(ウェズリアン大学、エリカ・フランクリ・ファウラー)
Michael Franz, Bowdoin College(ボウディン大学、マイケル・フランツ)
Archon Fung, Harvard University(ハーバード大学、アーコン・ファン)
Sheila Krumholz, Center for Responsive Politics(責任ある政治のためのセンター、シーラ・クルムホルツ)
Ben Lyons, University of Utah(ユタ大学、ベン・ライオンズ)
Gregory Martin, Stanford University(スタンフォード大学、グレゴリー・マーチン)
Brendan Nyhan, Dartmouth College(ダートマス大学、ブレンダン・ナイハン)
Nate Persily, Stanford University(スタンフォード大学、ネイト・パーシリー)
Travis Ridout, Washington State University(ワシントン州立大学、トラビス・リダウト)
Kathleen Searles, Louisiana State University(ルイジアナ州立大学、カスリーン・シールズ)
Rebekah Tromble, George Washington University(ジョージ・ワシントン大学、レベカ・トロンブル)
Abby Wood, University of Southern California(南カリフォルニア大学、アビー・ウッド)

関連記事:
透明化を真剣に考えるなら広告産業はSDKをオープンソース化せよ

カテゴリー:
タグ:

画像クレジット:Chainarong Prasertthai / Getty Images (画像は変更済み)

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。