もしもMagic Leapがコケても、同社を疑っていた人たちは少なくとも、その巨額の資本を調達する目ざとい能力だけは賞賛せざるをえないだろう。
同社は米国時間4月26日、日本最大のモバイル事業者NTTドコモと新たに2億8000万ドル(約312億円)の契約を締結したことを発表した。これにより、同社の絶えず増え続けている総調達額は26億ドルに達する。この契約は昨年のAT&Tからの、同じくクラウド指向の投資に続くものだ。
ドコモの吉澤和弘社長は、プレスリリースでこう述べている。「ドコモは高度なMRサービスの共同開発とオープンなイノベーションによるXRマーケットの拡張を志向しており、そのために、Magic Leapが提供するSpatial Computingのような革新的な技術と、5Gネットワークや7000万人の会員ベースといったドコモの強みを結びつけていきたい」。
この新しいお金がやってきたタイミングは、同社がMagicverseにさらに注力していこうとしている時期と一致する。それは空間にマップされるデジタルインフラストラクチャの層で、クラウドから提供されるAR体験の基礎となるものだ。最近の市場の動向を見てMagic Leapは、ハードウェアよりもクラウドプラットホームに傾注する気になったらしいが、でもクラウドはMicrosoftやAmazon、Googleなど多くの先輩たちがやはりAR/VRにフォーカスしているから、その中でのMagic Leapのアドバンテージはまだよくわからない。
確かに、5Gがあるからこそ世界の通信大手とのパートナーシップもあるわけだけど、でもそのハードウェアへの期待(とその大きな市場)が5Gに比べてはるかに実現性が危ういとしたら、これら有名大企業との結びつきは今後どうなるのか。
同社はこれまでハードウェアに大金を投じているが、そのビジネスは、同社が消費者企業としての意欲を継続するかぎり、FacebookのOculus(すなわち歩みののろい金食い虫)と大差ないのかもしれない。同社の唯一の製品Magic Leap Oneは、小売定価が2295ドルだ。
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最初のころは、Magic Leapが追究していたハードウェアは前例のないものだったが、やがて現実が追いついてきた。今では、同社が作ったものとMicrosoftなどのコンペティターが作ったものとの違いはとても小さい。ただしHoloLensはMicrosoftのAzureクラウドサービスを利用する先進的な企業のためのツールという位置づけであり、一方Magic LeapはVRゲームのデベロッパーに忠誠を誓っている。彼らが時間とお金を投じて作る芸術的なミニゲームのプラットホームは、それ自身すでにニッチである仮想現実の市場よりもさらに、ユーザー数が乏しい。
Magic Leapは4億8000万ドルの軍用ARの契約に入札したが、それはMicrosoftに行った。
Facebookはゲームの開発に数億ドルを投じている。たしかにMagic Leapには、投資家のお金を注ぎ込む場所として、コンテンツの開発に直接ではなく、もっといい場所がある。でも全面的な消費者向けリリースを大規模展開するためには、そのためのインフラストラクチャがまずないと近道はあまりない。
ところで、そのツケはどこが払うのだろうか?ドコモだろう、今回は。
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)