アップルがヘルスケアアプリにヘッドフォン難聴の防止機能新設

最近のWHOITUの共同調査によれば、世界の12歳から35歳までの人々のほぼ半数が聴力に深刻な障害を受けるリスクにさらされている。これは11億人という驚くべき数だ。

問題はスマートフォンの普及とともにパーソナルリスニングデバイス、つまりヘッドフォンやイヤフォンの利用も拡大したところにある。若い層はヘッドフォンなどのボリュームを目一杯にアップして大音量で音楽を聞きたがる。これがヘッドフォン難聴と呼ばれる回復不可能の外傷性難聴を引き起こす大きな原因になっている。

昨日(米国時間6月3日)のWWDCのキーノートでアップルが触れなかったヘルスケアアプリの新機能の1つがヘッドフォンのボリュームコントロールだ。この機能はAirPods、Beatsなどのヘッドフォン類のボリューム・レベルをモニターし、音量が大きすぎるとユーザーに警告を発する。

Apple WatchのノイズアプリはWatch内蔵のマイクで環境ノイズを測定する。ヘルスケアアプリはこの情報とヘッドフォンのボリュームを比較し、音量が90dBに達している場合、「音量が大きすぎる」と通知する。このレベルの音量に長時間さらされると聴力の喪失を招く危険がある。

残念ながらこの音量モニターの動作はプロアクティブではない。まずユーザーは音量モニター機能にオプトインする必要がある。それでもこうした機能が設けられたのは良いことだ。私自身、ジムで運動をしているとき、不快なBGMが流されていたのでついヘッドフォンのボリュームをアップして対抗していたことがある。このときの音量は長時間聴くには危険なレベルに達していた可能性がある。

12歳から35歳までの層も当然歳を取る。つまり問題は今後はるかに深刻化するだろう。大音量は聴力に重大な危険を及ぼすことが早急に認識される必要がある。

【Japan編集部追記】日本耳鼻咽喉科学会のページにヘッドフォン難聴の危険性が解説されている。ヘッドフォンなどは1日1時間以上の利用で危険性が増大する。またノイズキャンセリング機能は予防効果があるという。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。