Apple(アップル)は、同社のマップアプリのユーザーから集めた匿名情報を元にしたデータを一般公開すると米国時間4月14日に発表した。このデータは「Mobility Trends Reports」として毎日更新され、マップアプリの中で行われたルート検索の回数の変化を見ることができる。マップはiPhoneの標準ナビゲーションアプリで自動車、徒歩、公共交通機関の3種類のモードがある。
アップルは、この情報がいかなる個人とも結びついていないことを強調している。マップアプリが移動データをユーザーのApple IDと関連付けることはなく、人がどこにいたかという履歴を保存することもない。アップルによると、マップで集めた検索ワードや個別の経路などのデータは、ランダムに変わる識別番号と結び付けられるだけで、その番号も定期的にリセットされる。この匿名集約データが提供するのは都市、国または地域レベルのビューだけであり、ある地区での歩行者、ドライバー、公共交通利用者の数の変化を、ユーザーがアプリを開いて道順を調べた回数に基づいて表現している。
Appleのインストールベースの大きさと、日々の通勤や移動のためにGoogleマップなどのサードパーティーアプリを使う人はあまりいないであろうことを踏まえるとある都市における外出回数の減少を確認するかなりよい方法だと考えられる。
このデータはアップルのウェブサイトで誰でも入手可能で、互換性の高いCSV形式でダウンロードできる。ウェブ上でも特定の地域を検索したり、その地域の全体的な傾向を見ることができる。
個人にとっては好奇心を満たす程度のことだろうが、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を調査している都市や州、国の政策担当者にとっては、ソーシャルディスタンスや自宅待機、隔離命令などの拡散防止戦略の効果を確認するためにとても役立つだろう。
アップルはほかにも、Googleと共同でOSレベルの匿名接触者追跡システムを開発している。両社はまずデベロッパー向けのAPIを公開し、その後機能をOSに組み込み、公共保健機関のアプリと連携する。アップルは新型コロナ危機のために役立つことに対してとりわけ熱心であると同時に、そのための対策が個々のユーザーのプライバシーを侵害しないことにも腐心している。集団レベルで効果的な行動を起こす上では困難なバランスだが、アップルのリーチの大きさは、どんなツールを提供する上でも強力な優位性になる可能性がある。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )