アップルはクアルコムの3つの特許を侵害、米連邦裁判所が判決

モバイルチップメーカーのQualcomm(クアルコム)はApple(アップル)を相手取った裁判でまた1つ小さな勝利を勝ち取った。

ロイターの報道によると、サンディエゴの連邦裁判所は3月15日、Qualcommの3つの特許を侵害したとしてAppleに3100万ドルの支払いを命じる判決を下した。

我々が以前報じたように、電力消耗やiPhoneの起動にかかるスピードに関するサンディエゴでの特許をめぐる裁判は2017年半ばから2018年後半にかけて展開されてきた。

クアルコムは、この期間に販売されたiPhoneが未払いで特許を使用したとして、1台あたりロイヤルティー1.41ドルが支払われるべきだと主張していた。

Qualcommは近年、米国、欧州、アジアでAppleを相手取ってたくさんの特許訴訟を起こしている。Appleの主張するライセンス契約は不公平で違法であるとする両社間の大きなバトルにおいて、訴訟はほんの小競り合いにすぎない。

サンディエゴの判決について、Qualcommの代表取締役副社長で法務部長のDon Rosenberg氏は以下のように述べた。

今日の満場一致の判決は、対価を支払うことなく我々の価値あるテクノロジーを使用していることについてAppleに責任があると指摘している我々の世界中での特許訴訟の中で、最新の勝利となった。Qualcommが開発したテクノロジーとその他が、Appleのこの分野への参入、そして急速な成長を可能にした。今回のケースでの3つの特許の侵害は、Qualcommの数万という価値ある特許ポートフォリオにおいては小さなものだ。我々のIPの使用に対して支払いを拒むAppleの戦略を世界中の裁判所が却下していることをうれしく思う。

特許訴訟に関連するiPhoneのモデルはiPhone 7、7 Plus、8、8 Plus、Xで、Qualcommの米国特許番号8,838,949(フラッシュレス・ブート)の特許と、米国特許番号9,535,490(アプリケーションプロセッサとモデムの間のデータマネジメント)の特許を侵害している。そして、iPhone 8、8 PlusそしてXはQualcommの米国特許番号8,633,936(高パフォーマンスのパワーマネジメントを伴うビジュアルグラフィックス)の特許を侵害しているとさている。

特許はモデムに含まれておらず、「セルラーデバイスに不可欠な標準とはなっていない」とQualcommはしている。

ロイターの報道は、この判決がAppleとQualcommの間で展開されている10億ドル規模のロイヤルティー裁判に適用されるなら、裁判所が下した損害賠償はさらに大きな意味を持つ、としている。そして、QualcommのIPに1ドルの価値を認めることで、サンディエゴの裁判はチップのライセンスプラクティスが正当なものであるという主張を潜在的に支持している、とも指摘している。

この記事執筆時点で、Appleが判決に対して不服を申し立てるかどうかは明らかではない。ロイターの報道によると、Appleは判決について遺憾の意を表明した後、この件についてのコメントを却下した。

我々はAppleにコメントを求めている。

ロイターへのAppleのコメントは次の通りだ。「特許を侵害しているというQualcommが展開中のキャンペーンは、米国の連邦裁判所、そして世界においてQualcommが直面しているビジネスプラクティスの調査という、より大きな問題から注意をそらすため以外の何ものでもない」。

Appleは2年前にQualcommに対し10億ドル規模のロイヤルティー訴訟を起こしている。

今回、強気の裁判になっているのには理由がある。1つには、QualcommがAppleに特許ロイヤルティーリベートの支払いで10億ドル近くを借金しているという裁判が別にあることが挙げられる(CNBC経由)。この裁判は来月始まる。

米国の連邦取引委員会はまた、2017年にQualcommに対し独占禁止の訴訟を起こしている。ここでは、Qualcommが法外な標準規格特許ライセンス料金を課すことでAppleを除外していると主張している。

この訴訟は1月に完結し、判事Lucy Koh氏の判決はまだ出ていない。

同時にQualcommはAppleを相手取って世界でいくつかの訴訟を起こしてきていて、そのうちのいくつかでは勝訴している。

12月、Appleは中国マーケットでiPhone販売停止となっていたかもしれない予備判決を覆すために中国で控訴した。

一方、ドイツでは古いiPhoneモデルの販売が1月に禁止された。しかし2月までに、Intel(インテル)ではなくQualcommのチップを使っているにもかかわらず2つのモデルを再び販売している。

この記事はQualcommからのコメントがアップデートされた。

イメージクレジット: Justin Sullivan

 

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。