アップル製デバイス管理のKandjiがシリーズCで約114億円調達、評価額は1年で10倍の約912億円に

Apple(アップル)製デバイス管理プラットフォームを展開するスタートアップ、Kandji(カンジ)は、急速に収益を伸ばし、高額な評価額と多くの投資を引き寄せ、かなり好調に推移している。同社は米国時間11月18日、8億ドル(約912億円)の評価額で1億ドル(約114億円)のシリーズCを調達したと発表した。この評価額は、2020年10月に2100万ドル(約23億9000万円)のシリーズAを実施した際の10倍に相当する。同社はその後半年足らずで、2021年4月に6000万ドル(当時約68億4000万円)のシリーズBを発表した。

今回の投資ラウンドは、Tiger Global(タイガー・グローバル)が主導し、Definition、Frontline Ventures、既存投資家であるFirst Round Capital、Greycroft、Felicis Ventures、The Spruce House Partnership、B Capital Group、SVB Capital、Okta Venturesが参加した。Kandjiはこれまでに1億8800万ドル(約214億4000万円)以上の資金を得ており、そのうち1億8100万ドル(約206億4000万円)は2020年10月以降に調達している。

関連記事
モバイル機器管理のKandjiがパンデミック下に成長、シリーズAで22億円を調達
Kandjiがアップル製デバイス管理プラットフォームの急成長を追い風にシリーズBで64.8億円調達

Kandjiは、中規模から大規模の企業向けにApple製デバイスを管理する方法を提供している。創業者兼CEOのAdam Pettit(アダム・ペティット)氏は、パンデミックや在宅勤務がインバウンド顧客の関心を高めたと述べている。実際、収益はここ1年間で700%以上も伸びた。

その理由の1つは欧州での成長の結果だ。同スタートアップはロンドンにオフィスを開設し、その地域の市場が収益構成に大きく貢献しているという。「我々は欧州で事業を開始したばかりです。ロンドンにオフィスを開設し、そこでは急速に採用を進めていく予定です」とペティット氏は語った。「そのきっかけは、とても興味深いものでした。当社は海外でのマーケティングをほとんど行っていませんが、この1年間でトップライン売上の約25%が海外からのものになっています」。

また、Kandjiがこのレベルの投資を受けていることを見て、長期にわたりビジネスを行っていくと安心感を持つ大口の顧客が一般的に増えているという。「長く活動していくにつれ、より大きな顧客を増やしてきました。そしてお客様は、当社がここに居続けると感じて下さっているようです」と同氏は語る。「それらの大規模なお客様の販売前後の管理を行うには、より高度なチームが必要です。この半年間、そのための準備を進めてきました」とも。

ペティット氏によると、このプラットフォームを利用している企業は1000社を超え、年初に40人だった従業員は現在250人以上に増えたという。同氏は、2022年までにはこの人数を400人にしたいと考えている。2021年初め、シリーズBの頃に話を聞いたとき、ペティット氏は、多様性に富んだ包括的な文化を築くことがいかに重要か、そしてそれは採用活動から始まると話していた。そのコミットメントは今も変わらないという。

「当社は実際に、パイプラインを拡大するために、さまざまな工夫をしています。通常のネットワークの外に出て、そうでなければ得られないような候補者を採用するようにしています。また、当社だけでなく他の多くの企業にとっても、リモートでの雇用は特定の市場をターゲットにしないという意味で、(多様性の構築に)大きな効果があります。それも、採用パイプラインの多様性を高めるのに非常に役立っています」と同氏は語った。

Kandjiはサンディエゴとロンドンにオフィスを構えているが、ペティット氏は同社はリモートファーストの会社であり、今後もそうしていくつもりだという。

画像クレジット:Kandji

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Aya Nakazato)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。