米国時間8月26日、Apple(アップル)は、米国の開発者から同社に提起されていた訴訟について、和解案に合意したことを明らかにした。この和解案にはいくつかの変更点が含まれており、その中でも最大の変更点は、開発者がiOSアプリやApp Store以外で購入した支払い方法に関する情報を共有できるようになることだ。これにより、開発者は、Appleの手数料の対象にならない支払い方法についてユーザーに伝えることができる。また、この和解案には、価格帯の拡大や、アプリの審査プロセスに関する新たな透明性レポートが含まれている。
この集団訴訟は2019年4月に、アプリの開発者であるDonald Cameron(ドナルド・キャメロン)氏とイリノイ州のPure Sweat Basketballにより起こされたもので、AppleがiPhoneアプリのダウンロードをApp Storeに限定する反競争的な行為を行っているとしている。
本日の発表でAppleは「開発者が電子メールなどのコミュニケーション手段を利用して、iOSアプリ以外の支払い方法に関する情報を共有できることを明確にしています。開発者のみなさんは、常に自分たちのアプリやApp Store以外で行われたいかなる購入に対しても、Appleに対して手数料を支払うことはありません」と述べている。
これにより、開発者は電子メールや「その他の通信サービス」を利用して顧客とコミュニケーションをとることができるようになる。これまでAppleは、App Storeの規則で開発者に対してアプリ内で取得した連絡先情報を使い、アプリ外でユーザーに連絡することを禁じていた。今回の和解案では、この規則がすべてのアプリカテゴリーで解除されるため、開発者は同意したユーザーに対して、Appleの手数料を回避する支払い方法を伝えることが可能になる。
価格帯については、Appleは開発者が利用できる価格帯の数を100以下から500以上に拡大するとしている。また、アプリの審査プロセスに関する情報を共有するために、新たな年次透明性レポートを発行することに合意している。このレポートには、何本のアプリが却下されたか、無効化されたユーザーおよび開発者アカウントの数、「検索クエリと結果に関する客観的なデータ」、App Storeから削除されたアプリの数などが含まれる。
また、米国のApp Storeを通じて100万ドル(約1億1000万円)以下の収入を得た米国内の資格ある開発者を対象に、新たなファンドを創設するとしており、これには米国内の開発者の99%が含まれる。訴訟で原告を代理する法律事務所の1つであるHagens Bermanは、このファンドの規模は1億ドル(約110億円)で、250ドル(約2万7600円)から3万ドル(約330万円)の範囲で支払いが行われるという。
Cameron et al v. Apple Inc. proposed settlement by TechCrunch on Scribd
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画像クレジット:TechCrunch
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(文:Catherine Shu、翻訳:Hiroshi Iwatani)