中国インターネット大手ByteDance(バイトダンス)は、インド政府が先週TikTok(ティクトック)と他の中国のアプリの禁止措置を維持したことを受け、同社のインド従業員にチームの規模を縮小すると伝えた。この件に詳しい情報筋が明らかにし、またTechCrunchも内部メモを入手した。報道を受け、TikTokの広報担当は従業員の解雇を認めている。
インドで2000人超を雇用している同社は現地時間1月27日午前10時に従業員に情報を共有し、重要な職務のみ維持されると伝えた、と情報筋は述べている。従業員の3分の2以上が解雇される見込みとのことだ。2020年6月下旬に大量のアプリを禁止したインド政府がいつTikTokが復活できるのか方向性を明確に示さなかったため、ByteDanceは他に選択肢がなかったと述べた、と情報筋は匿名を条件に語った。
「インドで2000人超の従業員を半年以上サポートしてきましたが、従業員数を削減するより他にないことを大変遺憾に思っています。TikTokを再び展開できる機会を得てインドの数億人ものユーザー、アーティスト、ストーリーテラー、教育者、パフォーマーをサポートすることを楽しみにしています」とTikTokの広報担当はTechCrunchに話した。
禁止前、世界第2位のインターネット市場であるインドでのTikTokの月間アクティブユーザーは2億人で、TikTokにとってインドは最大の海外マーケットだった。インド政府は、中国との地政学的緊張が高まっていた2020年、中国と関連のある200以上のアプリを禁止した。これらのアプリは「究極的にはインドの主権と高潔さを損なう、インドの国家安全保障と防衛にとって脅威となる活動に関与した」とインド政府は述べている。
先週、インド政府はByteDanceと数十の中国企業に、最初に提起した懸念がまだ残っていて禁止措置を維持すると伝えた。
TikTokのCEOであるVanessa Pappas(ヴァネッサ・パッパス)氏とグローバルビジネス担当VPのBlake Chandlee(ブレイク・チャンドリー)氏は1月27日に従業員に宛てたメモの中でより詳細に流れを伝えた。「我々は当初、措置が短期的なものになることを、そしてこの問題をすばやく解決できることを願っていました。しかし7カ月が経ち、そうはなりませんでした。みなさんの多くがどのような結果につながるのか辛抱強く待ちました。かなりのストレスをともなうものでした。当社を信頼し続けてくれたことに感謝しています」と2人は書いている。
「想像できるかと思いますが、この大きな決断は簡単なものではありません。ここ数カ月間、経営チームは解雇を回避しようと精力的に取り組んできました。経費を削減し、その一方で福利厚生は提供し続けています。しかしながら、アプリが禁止されている間は全従業員を雇用し続けることはできないのです。今回の決断がインドの従業員に及ぼす影響を十分に承知しており、我々の思いはチームとともにあります」。
解雇の動きは、インドのByteDance従業員にとっての奇妙で混乱の日々を締めくくるものだ。禁止措置後も従業員はインドで禁止されていないByteDanceの生産性アプリLarkのような他のさまざまなアプリの開発に専念するよう言われていた。
しかし、そうしたByteDanceの他のアプリが憂き目にあうリスクを回避するために、これらアプリについて公では話さないよう従業員は求められていた。情報筋はByteDanceがインドでの他のサービスの販促をすべて停止した、とも語った。
「インドにいつ戻ってこれるかわからない一方で、回復力には自信を持っていて、その時が来たら復活します」とパッパス氏とチャンドリー氏はメモに書いた。
1月27日の声明の中で、在インド中国大使館の広報官Ji Rong(ジ・ロン)氏はインドの中国アプリ禁止措置は世界貿易機関(WTO)のガイドラインに反していると述べた。「WTOの無差別の原則と市場経済の公正な競争の原則に違反するこうした動きは、中国企業の正当な権利と利益を著しく損なっています。中国は断固反対します」。
「中国政府は常に、中国企業が海外で事業を展開するときに国際ルールと地域の法律・規則の遵守を求めています。インド政府はWTOのルールと市場原則に従い、中国企業を含む海外投資家の正当な権利と利益を保護する責任があります。また、インド政府が取ってきた行動は同国の事業環境の改善と産業関連のイノベーティブな開発を妨げています。中国とインドの経済・通商での協力は本質的に双方にとって有益です。我々はインドにただちに差別的措置を是正し、二国間協力にさらなる害を与えないよう求めます」。
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タグ:インド、アプリ、TikTok、中国、ByteDance
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(翻訳:Mizoguchi)