米国時間11月29日、ニューヨーク州南部地区検事局は、イーサリアム財団の職員であるVirgil Griffithバージル・グリフィス)氏が逮捕されたことを発表した。北朝鮮に出向き「平壌ブロックチェーンおよび暗号通貨会議」でプレゼンテーションしたことで、謀議を企てたという嫌疑がかけられている。
具体的には、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対し、米国財務省の対外資産管理局からの承認を得ることなく、労務を提供したとされている。訴状によれば、グリフィス氏は事前に米国国務省に連絡を取ったものの、北朝鮮に対する経済制裁のため許可は得られなかった。それでもグリフィス氏は中国経由で北朝鮮に入国した。さらにグリフィス氏は「制裁の回避と資金洗浄のための暗号通貨技術」について議論したとされている。
FBIの特別捜査官は、2019年5月にグリフィス氏と面談した。これは任意の事情聴取であり、同氏の「ブロックチェーンと平和」というタイトルのプレゼンテーションについて捜査官と話をした。彼は訪朝時の写真を見せて、来年もまた同じ会議に参加したいと述べたという。
またグリフィス氏は、メッセージングアプリを使って、他の人ともプレゼンテーションについて話し合っている。「A氏は、要約すると、北朝鮮は暗号通貨についてどのような関心を持っているのか、と尋ねた。それに対してグリフィス氏は、要約すると『恐らくは制裁を回避するためだろうが、知ったこっちゃない』と答えた」と訴状は記している。
イーサリアムの創立者であるVitalik Buterin(ビタリック・ブテリン)氏は、グリフィス氏の逮捕についていくつかツイートしている。「私は、北朝鮮が悪事を働くのを、バージルが実質的に手助けしたとは思っていません。彼は『オープンソースソフトウェアに関して公開情報に基づいてプレゼンテーションした』だけなのです。ハッキングのための『高度な個別指導』をしたというようなことはありません」と書いている。
またブテリン氏は、イーサリアム財団は、グリフィス氏が北朝鮮に出向いたことと何の関係もないと主張している。「イーサリアム財団は金を出してもいないし、何の支援もしていません。みんなが止めたのに、バージルは個人として行ったのです」とブテリン氏は書いている。
米国時間12月3日、裁判官はこの裁判を進めるための十分な証拠がそろっていると裁定した。グリフィス氏は仮釈放される予定だ。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)