ウォンテッドリー、従業員が様々なサービスを割引価格で使える「Wantedly Perk」のベータ版を公開

ビジネスSNS「Wantedly」を運営するウォンテッドリーは3月17日、Wantedly導入企業向けの新サービスとして、従業員が様々なサービスを割引価格で利用できる「Wantedly Perk」のベータ版をローンチした。

ウォンテッドリーでは同サービスを皮切りに、企業内での従業員の定着や活躍をサポートすることを目的とした「エンゲージメント事業」を開始する。

Wantedly有料プラン活用中の企業は無料で利用可能

Wantedly PerkはWantedlyの有料プラン活用中の企業を対象にしたエンゲージメント領域の新事業だ。導入企業に所属する従業員およびその家族(LGBTや事実婚などのパートナーも含む)は、家事代行やオンライン英会話などのサービスをディスカウント価格で利用できる。

本日時点では下記の7サービスが対象。サービスを掲載するパートナーに関しては今後も拡充する計画だという。

Wantedlyを有料で使っている企業であればWantedly Perkのベータ版は人数制限なく無料で使えるため、追加コストなしで従業員を応援する仕組みを導入できる(2021年8月頃の提供開始を予定している正式版では従業員のアカウント数が一定人数を超える際に有料化も検討しているとのこと)。

またWantedly Perk上に自社サービスを掲載するパートナーにとっては、ユーザーとの新たな接点になりうる。ユーザーへのディスカウントは必要なものの無料でサービスを掲載でき、紹介文を通じて自分たちの思いなどをアピールすることも可能。220万人のWantedlyユーザーのうち約8割を占める20〜30代の働くミレニアル世代を中心に、若い層に対して自分たちのプロダクトを訴求したい企業には有力なチャネルになるかもしれない。

従業員に対する福利厚生サービスとしてはベネフィット・ステーションやリロクラブなどが存在するが、ウォンテッドリー代表取締役CEOの仲暁子氏によると福利厚生サービスというよりは「従業員の自己実現支援サービス」としてWantedly Perkを位置付けているそうだ。

掲載するサービスの数を重視するのではなく「挑戦を可能にする学習や装備」をテーマに該当するものを厳選。その上でテックカンパニーとしてユーザビリティの高さにもこだわったという。

「ゴールとしては『挑戦を可能にすることで成長実感を得られる』社会人をふやすのが狙いです。故に、挑戦を可能にするための学習、生産性向上、ウェルネスといった領域のサービスを厳選してキュレーションしており、今後もそこを中心に強化していきたいと考えています」(仲氏)

従業員の定着や活躍を支援する「エンゲージメント事業」本格化へ

ここ数年のHR市場の変化としては「エントリーから採用」という範囲に限定して捉えられていた採用領域が、リファラル採用の浸透やSNS・社員口コミサイトの普及、人手不足の影響などもあって「入社後の従業員の定着や活躍」まで拡張している。

それに伴い国内でも社員のエンゲージメントやモチベーションを可視化したり、従業員の満足度を向上させたりするためのプロダクトが増えてきた。

ウォンテッドリーとしてはこれまで「Wantedly Visit」を通じて企業の認知度獲得からエントリー、そして採用に至るまでのフェーズをカバーしてきたが、市場の変化なども踏まえてエンゲージメント領域に進出することは以前から検討していたそう。今回のプロダクトもCEOの仲氏とCTOの川崎禎紀氏が中心で企画し、そこにCDOの青山直樹氏らも加わる形で開発を進めてきたというように、同社にとってもエンゲージメント事業が重要なプロジェクトであることがわかる。

「これまで『シゴトでココロオドルひとをふやす』というビジョンに沿って3.4万社を超える企業の皆さんの支援をしてきましたが、採用はゴールではなく、ジョインしたメンバーが長期に渡って活躍し、『シゴトでココロオドル』のがゴールです。その領域でサービスを出したいと常々考えてきましたが、エンゲージメント領域の認知が広がって来た今が良いタイミングだと考えました」(仲氏)

ウォンテッドリーは「シゴトでココロオドル」状態を「没頭することにより成果を出し、成果によって継続的に成長を実感できる状態」として捉え、“没頭”のためには自立、共感、挑戦の3要素が必要だとしている。既存サービスであるWantedly Visitは共感を軸に人と企業の出会いを創出するものであり、今回のWantedly Perkは従業員の挑戦を後押しすることを目的としたものだ。

今後同社では既存事業に加えてWantedly Perkを含むエンゲージメント事業を推進していくことで、「はたらくすべての人のインフラ」を目指すという。

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TechCrunch Japan

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