ウクライナのゼレンスキー大統領が降伏するフェイク動画をMetaが削除

ウクライナ大統領Volodymyr Zelensky(ウォロディミル・ゼレンスキー)氏が軍に降伏を命じているフェイクビデオを、Metaは米国時間3月16日に削除した。動画は、ロシアによる隣国ウクライナへの残忍な侵攻と並行して行われている情報戦争において警戒を要する最新の出来事だが、以前からウクライナ政府とソーシャルメディア企業が予期瞬間でもある。

MetaのセキュリティポリシーのトップであるNathaniel Gleicher(ナサニエル・グレイチャー)氏の説明によると、そのコンテンツは「操作されたメディア」に対する規則を破っているため削除された。マルチメディアによる偽情報の形式の1つで、公人が実際には口にしていないことを言ってるように編集した動画で表現されている。

このビデオは、誤解を招く操作されたメディアに対する、弊社のポリシーに違反しているため迅速に検討して削除し、他のプラットフォームの同僚たちにも通知した。

この誤解を招く動画のMetaによる削除はかなり早かったが、ロシア版FacebookであるVKontakte上ではすでに広まっているようだとAtlantic Councilのデジタル犯罪捜査研究所はいう。同研究所はさらに、Telegramのロシア寄りチャンネルが3月16日にゼレンスキー氏が国の降伏を呼びかけているディープフェイクを掲載したともいう。

国営テレビネットワークのUkraine 24も、ニュース表示が3月16日に同じ目的でハックされたと報じている。その表示は、Zelenskyからと称するメッセージがウクライナ国民に、ロシアの侵略軍への抵抗をやめるよう呼びかけている。

ロシアのハイブリッド戦争が始動。Ukraine 24のテレビチャンネルがハックされた。ニュース表示がゼレンスキー大統領の偽の降伏宣言を表示されるようになった。@ZelenskyyUaはすでにこのフェイクに反論して、彼が武器を置けと要求できるのはロシア軍に対してだけだと述べている。

ウクライナの大統領はすばやくその偽情報を否定して、侵攻の開始以来ゼレンスキー氏のコミュニケーションのスタイルとなったセルフィービデオで、Telegram上でメッセージした。

2022年3月初めにウクライナの戦略的コミュニケーションセンターが、ロシアは変造したビデオを使って侵攻の一般大衆の受け止め方を歪曲するかもしれないと警告した。そのセンターはウクライナ政府の文化情報政策省に属し「外部の脅威、中でも特にロシア連邦の情報攻撃を阻止する」ことに注力している。

同センターは3月2日にFacebookページで次のように述べている。「ウォロディミル・ゼレンスキーがテレビで降伏声明を述べているところを、自分が見ていると想像してみよう。姿も見えるし声も聞こえるからそれは事実だが、しかしこれは本当ではない。用心しよう。これはフェイクだ!」。

画像クレジット:Drew Angerer/Getty Images/Bloomberg, Getty Imagesより/Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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