スタートアップのエコシステムには、起業家だけでなく、彼らに資金や知見を提供する支援者がいるのは周知の通り。起業家が外部から資金を調達して事業のアクセルを踏む際に投資をするのは、ベンチャーキャピタルだったり事業会社だったりさまざまだ。
そんな支援者の中には「エンジェル投資家」と呼ばれる人たちがいる。TechCrunchの読者ならご存じかも知れないが、彼らは創業期のスタートアップに対しての投資を行う個人投資家たちだ。
一度自ら立ち上げた会社を上場させるなり売却するなりして利益を得た元起業家・元経営メンバーなどが、次の世代の起業家に対して資金を提供し、アドバイスを行い、人脈を紹介するというケースが多い。スタートアップ企業に投資をするだけでなく、ベンチャーキャピタルの手がけるファンドに対してLP出資するなどして、間接的に投資するケースも少なくない。ちなみにエンジェルという呼び名は、演劇業界における出資者からついているのだとか。
日本のネット領域では、ディー・エヌ・エー共同創業者の川田尚吾氏、ネットエイジ創業者の西川潔氏、現在クックパッド代表執行役兼取締役を務める穐田誉輝氏なんかの名前が挙がることが多い。ほかにも上場・事業売却した経営者らが若き起業家に支援をしているなんて話はちらほら聞くが、ここ数年のIPOやバイアウトによるイグジットで比較的若いエンジェル投資家が増えているのは確実な流れだ。
しかし、国内のエンジェル投資家がメディアなどに出て自分たちの存在をアピールすることは少ない。例えば僕たちがスタートアップの資金調達のニュースを書くときにも、「ベンチャーキャピタルの○○社および個人投資家などから資金を調達した」といった表現をすることがあるが、この「個人投資家など」は名前を非公開にしているエンジェル投資家であるケースも多い。クローズドな場を除いて大々的に自身の投資について語ることは少ない。
開催まで1週間弱となったスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2015」では、そんなエンジェル投資家をテーマにしたセッションを開催する予定だ。
このセッションにはコロプラ取締役副社長 次世代部長の千葉功太郎氏と、コーチ・ユナイテッド代表取締役社長の有安伸宏氏の2人が登壇する。いずれも本業では経営陣としての手腕を振るう一方、エンジェル投資家として積極的に若い起業家を支援している人物だ。
千葉氏は新卒でリクルートに入社したのち、ネット黎明期の2000年にサイバードに入社。様々なモバイルビジネスに関わったのち、2009年にコロプラ立ち上げに参画。同社を上場まで導いたのち、新卒採用や人材育成といった面で同社の成長を支えてきた。最近では子会社のコロプラネクストを通じて学生起業家への支援も積極的に行っているほか、個人でも多くのスタートアップに投資をしている。
一方の有安氏は新卒でユニリーバ・ジャパンへ入社したのち、2007年にコーチ・ユナイテッドを設立。語学や楽器レッスンのマーケットプレイス「サイタ」を運営してきた。2013年には同社をクックパッドへ売却。継続して事業を行いつつ、個人や「Tokyo Founders Fund(ノボット創業者の小林清剛氏や元ミクシィ代表取締役の朝倉祐介氏ら経営者8人によるファンド)」での投資活動を行っている。
セッションではエンジェル投資家として活躍する2人に、その実態を語ってもらえればと思っている。投資を始めた理由やそのスタンス、支援したい起業家の人物像、支援の手段や本業との兼ね合いまで、いろいろ話を聞ければと思っている。興味がある人は、是非ともイベントに遊びに来て欲しい。