オンラインチェックアウトの支配をめぐる戦いが続く中、BoltがシリーズCで78億円を追加調達

小売業者にオンラインチェックアウトテクノロジーを提供するスタートアップであるBolt(ボルト)は米国時間12月21日、シリーズCラウンドで更に7500万ドル(約78億円)を調達し、累計では1億2500万ドル(約130億円)を調達したと発表した。

WestCapとGeneral Atlanticが新しいトランシェをリードした。BoltのCEOであるRyan Breslow(ライアン・ブレスロウ)氏がTechCrunchに語ったところによると、バリュエーションはシリーズCの約2倍になった。PitchBookは、同社のシリーズCでのバリュエーションをポストマネーで5億ドル(約520億円)とした。つまりシリーズC1では約10億ドル(約1040億円)の評価だったということだ。

同社は最新の小切手を「シリーズC1」と呼んでいる。なぜシリーズDといわないのか。ブレスロウ氏によるとBoltの将来のシリーズDははるかに大きくなるという。

Boltが創造的に区切ったシリーズC1は興味深いが、今回の資金調達イベントは足元でのチェックアウトの分野全体の成長度合いと整合している。ある特定のeコマースの問題点の解決のために多額の資金が使われている。

競合するオンラインチェックアウトのソフトウェアプロバイダーであるFast2020年3月に2000万ドル(約21億円)を調達した(未訳記事)。そして6月、英国に本拠を置くが世界各国にもオフィスを持つCheckout.comが55億ドル(約5720億円)のバリュエーションで1億5000万ドル(約160億円)を調達している(未訳記事)。

Boltは7月、シリーズCの最初の5000万ドル(約53億円)を発表した。従い、今年のC1イベントは同社への4番目の主要な投資となるだけでなく、今や普通のトレンドになった「2020年に2回資金調達を行った急成長中のスタートアップ」の1つにもなった。Welcome(未訳記事)、Skyflow(未訳記事)、AgentSync(未訳記事)、Bestow(FinLedger記事)などの会社も今年その偉業を成し遂げた。

しかし、この市場について語るのはこれで十分だろう。Boltが何を開発していて、なぜそれが再びトラックいっぱいのキャッシュの受け取りにつながったのか掘り下げてみたい。

シリーズC1

Boltは、チェックアウト、決済、ユーザーアカウント、不正防止の4つのコネクテッドサービスを提供している。

同社のコアサービスはチェックアウトのプロダクトだ。同業の平均よりも速く、コンバージョンレートも高いと同社は主張する。同社の決済および不正防止サービスは、チェックアウトの世界で取引が本物であり支払いが受け入れ可能であることを保証する。最後に、Boltのユーザーアカウント(買い物客は最初に何かを購入する際、同社の技術によりユーザーの認証情報を保存するよう求められる)は、この技術を使用してオンラインでチェックアウトする人が将来再びそうする可能性を高める。こうしてBoltのサービスにより顧客がメリットを得られるようなる。

Boltは買い物客を多く引き付けるほど市場でより多くのアカウントを持つことになり、より多くのデータを不正防止ツールとチェックアウトパーソナライズテクノロジーに供給することができる。

そしてBoltはより多くのオンライン購入者にリーチしている。2020年に同社のサービスでアカウントを作成した人数は約10倍になったと同社は主張する。ブレスロウ氏によると、2019年12月時点でその数は約45万人だった。現在は約450万人であり、来年には3000万人に達すると同社は予想する。

想定する新規アカウントの規模が非常に大きいため、TechCrunchはブレスロウ氏に信頼区間について尋ねた。同氏は、Boltと提携しているAuthentic Brands Group(ABG)のおかげで、90%だと述べた。この提携は同社が先月発表した(PRWeb記事)取引だ。ブレスロウ氏はABGが5000万人の買い物客を抱えると述べた。おそらく3000万という数字は可能だ。

チェックアウトテクノロジーの配布は、酸素のようなものだ。そのため、この分野の競合企業は普及について語るのが大好きだ。たとえばここに、WooCommerceからサポートを受ける(PRWeb記事)Fastの話が先週からある。Fastはこの発表後、TechCrunchに処理件数に関する成長指標を開示することを拒否した。

Boltのこれまでの買い物客数の成長は、総取引数を通じリターンをもたらしている。同社はTechCrunchに対し、2020年は約10億ドル(約1040億円)の取引を処理し、2019年の流通取引総額(GMV)の約3.5倍に増えたと語った。おおむねその成長ペースは、2019年のBoltのGMVが約2億8600万ドル(約300億円)だったことを意味する。同社が2021年にその数字をどこまで拡大できるかが、ABGとの提携がどれだけうまく機能したかを測る主要な指標になる。

ブレスロウ氏はTechCrunchに、Boltは2021年にGMVが3倍になると予想していると語った。これはおよそ30億ドル(約3120億円)という数字を意味するとTechCrunchは解釈する。

ただしその数字を鵜呑みにせず、決済処理の割合を考慮した上でBoltの売上高を見積もってほしい。同社は決済だけでなく、詐欺防止などの他のサービスの料金をSaaSベースで請求することで収益を上げている。したがってBoltは決済とソフトウェアのハイブリッド企業であり、これはますます人気が高まっているモデルだが、特定のカテゴリーではソフトウェアの採用が遅れている。

GMVを3倍にし、買い物客のネットワークを大幅に拡大するというBoltの計画を支えているのは新しい資金だ。同社によれば、7500万ドル(約78億円)の新しいキャッシュが市場の需要に対応し、アップマーケットとエンジニアリングを動かしているという。要するに、より良いチェックアウトテクノロジー、つまりすべてのベンチャー活動に対して市場内の需要が多く、大規模な顧客はより多くのカスタマイズと販売サポートを必要としている。Boltは資金をそれらに使うつもりだ。

Boltが再び資金調達したばかりであることを考えると、FastやCheckout.comが2021年の第1四半期または第2四半期にさらに多くの資金を調達したとしても驚くにあたらない。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Bolt資金調達

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(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

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