クラウドベースのドキュメントエディターを開発するAlmanacが37億円調達、リモートワーク普及が背景

企業のオフィスへの復帰は遅れ続け、一時的なリモートワーク制度が恒久的なものになりつつあるなかで、リモートワークファーストの文化のためのツールを開発するスタートアップが、際限ない顧客の供給を目の当たりにしているように見える。

「企業は、リモートワークへの移行が新型コロナウイルスによる一過性の異常な出来事ではないことに気づいています」とAlmanac(アルマナック)のCEOであるAdam Nathan(アダム・ネイサン)氏はTechCrunchに語った。「ここ数カ月、爆発的な収益の伸びを見せています」。

Almanacはドキュメントエディターを開発しており、GitHubのような開発者向けプラットフォームからバージョン管理などの機能を取り入れている。リモートワークへの移行を捉え、オープンソースのオフィスドキュメントライブラリ「Core」を通じて新規顧客を獲得するとともに、オンラインで企業のハンドブックを作成するような、オンボーディングを容易にする機能を展開している。

ここ数年、急成長しているスタートアップ企業の資金調達期間が短くなっている。Almanacは2020年、Floodgateがリードした900万ドル(約10億円)のシードラウンドを発表した。この度発表した3400万ドル(約37億円)のシリーズAでは、パンデミックの間、スタートアップへの投資に最も積極的だったTiger Globalがリードした。このシリーズAには、General Catalystや多くのエンジェルとともにFloodgateも参加した。

Floodgateは、この共同作業型ドキュメントエディターを、より多くの企業がオンライン生産性ソフトウェアを本格的に導入する方法としたいと考えている。ローカルファーストのドキュメントエディターをゴミ箱行きにする動きだ。オフィス生産性スイートの世界では、Alphabet(アルファベット)のG Suiteが台頭しつつあるが、依然としてMicrosoft Officeが市場を支配している。

「私たちは、Microsoft Officeに対する世代を超えた挑戦者であると考えています」とネイサン氏は話す。「Microsoft Officeは古いプロダクトであるだけでなく、私たちが現在行っていることからすると、完全に時代遅れのプロダクトなのです」。

投資家らはパンデミック時代のトレンドを背景に多数のスタートアップに投資したが、そのトレンドはすでに消滅したように見える。オフィス文化やハイブリッド文化から完全なリモートワークへの移行が進んでいることは、従業員が柔軟なリモートワーク制度がある仕事を重視していることからも明らかになっている。

Facebook(フェイスブック)のような大手テック企業では、リモートで仕事が可能な従業員のために、フルリモートワークに向けた制度を徐々に整備している。一方、Apple(アップル)の積極的なオフィス復帰プランは、同社の従業員から公開・非公開を問わず珍しいほどの批判が殺到している。ネイサン氏は、多くの企業が変化する現実を把握するにつれ、この対立が加速すると予想している。

「個人的には、ハイブリッドというものが存在するとは思っていません」と同氏はいう。「オフィス文化かクラウド文化か、どちらかを選ばなければなりません」。

画像クレジット:Almanac

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

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