クロスボーダーeコマースの税務コンプラプラットフォームTaxdooがシリーズAで21.7億円調達

クロスボーダーのeコマース企業を対象に「金融コンプライアンスのために自動化されたプラットフォーム」と呼ばれるものを構築するスタートアップTaxdoo(タックスドゥー)が2100万ドル(約21億7000万円)の新規資金を調達した。

シリーズAラウンドをリードしたのは、ベンチャーキャピタルファンドのAccelで、Visionaries Club、20VC、それに既存投資家からHTGFが参加した。資金は、国際的な展開を含むTaxdooの成長や、増える雇用、研究開発、販売、顧客サポートに投資する。AccelのHarry Nelis(ハリー・ネリス)氏がTaxdooの取締役会に加った。

Harry Stebbings(ハリー・ステビングス)氏の20VCが含まれていることは注目に値する。ポッドキャスターからVCに転向した同氏は当初、同氏のマイクロファンドがさまざまなステージの米国のスタートアップをターゲットにしているため、欧州のVCであるStrideのパートナーとしての同氏の役割とは競合していないと述べていた。Taxdooはドイツのハンブルクを拠点としている。「20VCは基本的に、米国に対して主に投資しますが、英国とパリ以外の欧州のどこでもStrideが投資しない場所なら投資できます」とステビングス氏はWhatsAppのメッセージで明らかにした。

創業は2016年5月。3人の創業者であるChristian Koenigsheim(クリスチャン・ケーニヒスハイム)氏、Matthias Allmendinger(マシアス・アルメンディンガー)氏、Roger Gothmann(ロジャー・ゴスマン)氏がハンブルク大学で財務の博士号を取得した後だ。Taxdooは自動化により、Amazon(アマゾン)、eBay、Shopifyなどのさまざまなマーケットプレイスやプラットフォームで販売活動を行うクロスボーダーのeコマース企業が直面する税金とコンプライアンスの負担に対応したいと考えている。企業は、複雑さを増す付加価値税、会計、その他のコンプライアンス上の要請に直面しているが、データは複数のオンラインシステムにまたがってサイロ化されたままだ。

Taxdooはそのデータを1つの場所にまとめ、独自の技術によりトランザクションレベルのデータの取り込み、税金計算、欧州各国での申告を自動化する。顧客はプラットフォームを介して税理士と協力し、イントラスタット申告(物流に関する統計申告)を含むその他のコンプライアンスの負担を軽減することもできる。

「マーケティングと物流の観点から、欧州で国境を越えて製品を販売することがますます容易になっていますが、結果として生じる会計や付加価値税などのコンプライアンスの義務は販売業者にとって悪夢です」とTaxdooのクリスチャン・ケーニヒスハイム氏は筆者に語った。

「スプレッドシートを使用してこうした問題に手作業で取り組めばトラブルの元になります。この問題を解決するため、社内の専門知識を使って、データの収集からさまざまな国での付加価値税申告書の提出や販売業者の会計システムへの取引の統合まで、プロセス全体を自動化しました」。

ケーニヒスハイム氏によると、典型的なTaxdooの顧客はさまざまな市場や自社店舗で製品を販売しており、年間売上高は約500万~1000万ユーロ(約6億3000万~12億6000万円)だ。「私たちの最大の顧客は、年間売上高が1億5000万ユーロ(約190億円)以上のグローバルな消費者ブランドです」と同氏はいう。

例としては、air upやYFoodなどのD2Cブランド、eコマース企業のOmniDealやsellvinなどがある。「とりわけ私たちは、税務専門家、ERPシステム会社、eコマースエージェンシーと提携して、クライアントのこうした複雑な問題の処理を支援しています」とケーニヒスハイム氏は付け加えた。

「私たちの秘訣は、ワークフロー全体をエンドツーエンドで自動化することです。これは、自動化されたコネクターを使用して、マーケットプレイス、ショップ、ERPシステムなどのさまざまなチャネルからのデータを集約することから始まります。私たちのシステムが、適用されるすべての規制の下でデータを分析し、EU全体で必要な申告書を作成します。そして、私たちが作成した便利なソフトウェアソリューションにより、税務パートナーの国際ネットワークが申告書を提出します」。

Taxdooのデータは、販売業者の会計システムにエクスポートすることもできるため、販売業者は地域の税理士と容易に協働できる。

対象となる市場は急速に成長している。パンデミックによるデジタル化の加速とeコマースの成長が一因だ。Taxdooは、西ヨーロッパとスカンジナビアのeコマース取引全体に占めるクロスボーダー取引は現在約25%であり、さらに増加していることを示すデータを引用している。

AccelのHarry Nelis(ハリー・ネリス)氏は声明でこう述べている。「eコマースは活況を呈しており、あらゆる規模の企業が自社の製品とサービスを国境を越えて販売しようとしているため、統合された金融および税務コンプライアンスツールが早急に必要とされています。Taxdooの創業者は、税務、財務、ソフトウェアの交差点で独自の経験を結集しています。Taxdooをカテゴリーを定義する会社に育てるために彼らと協力できることをうれしく思います」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Taxdooeコマース資金調達

画像クレジット:Taxdoo

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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