実名グルメサービス「Retty」を手がけるRettyが、年内にも北米およびアジア進出を目指す。海外進出、そして組織体制強化に向けて、Fidelity Growth Partners Japanのほか、既存投資家のグリーベンチャーズ、みずほキャピタルから合計10億円の資金調達を実施した。
ユーザー数は月間100万人単位で増加
2013年12月に3億3000万円の資金調達を実施したRettyだったが、その後2014年に入りユーザー数は急増。2015年2月には月間700万人を突破。直近では1カ月100万人単位でユーザー数が増加しており、3月は800万人まで増加する見込みだという。ちなみにグルメサイト古参のぐるなびはユーザー数5200万人(2014年12月時点)、カカクコムの「食べログ」は6369万人(2014年12月時点)。どのサービスも開示された資料などを見ると、ユーザー属性は30〜40代が中心だそう。
Retty代表取締役の武田和也氏は、「ぐっと伸びているのを実感している。ユーザーだけでなく、店舗からの認知も上がっている。最近ではテレビCMをやってるサービスなども多いが、我々ははほとんど広告などを使っていない。口コミやSEOでの自然増だ」と語る。口コミは現在150万件、掲載店舗数は都市部を中心に全国25万件。「良質なコンテンツが蓄積された結果、それが価値を作っている」(武田氏)。
店舗の情報をテーマごとに複数件紹介する「まとめ」もトラフィックを集めているそうで、「『渋谷 ランチ』といった検索でも検索結果上位に入っている」(武田氏)という状況。なお全体のトラフィックはすでにスマートフォンが8割以上(ウェブ、アプリの合計。比率は非公開)で、PCは2割に満たない状況だという。
年内にも北米、東南アジアへ進出
今回の資金調達の目的の1つが海外進出だ。年内にも北米および東南アジアにコミュニティーマネージャーを置き、サービスを展開していくという。
「『英語圏』『スマートフォン』『外食文化』の3つのキーワードを重視している。Rettyは2011年6月にスタートしてここまできたので、先行投資で2年くらいはかかると思っている」(武田氏)とのこと。
すでに北米ではYelp(全世界で1億3500万ユーザーだ)が国内の食べログ的な立ち位置になっている印象もあるが、サンフランシスコやニューヨークなど、都市ごとのサービス展開を検討しているそうだ。アジアに関しては、シンガポールや香港などの名前も挙がった。
100人超の組織に、インターンも活躍
Rettyは今月中にもオフィスを移転する予定。現在は社員数は約30人、インターンも約20人(そこから新卒の社員になった人間もこれまで3人ほどいるそうだ)という規模だが、これを数カ月以内にも100人体制まで拡大する予定だという。余談だが、すでにインターンから「カウモ」「TravelBook」といったサービスを手がける起業家も生まれているそうだ。
ビジネス面では、2014年9月からネイティブアドを開始。すでに複数のナショナルクライアントから出稿があったという。「ユーザー数が数百万人となってから、店舗などからの問い合わせ件数も変わってきた」(武田氏)。また以前から語っていた店舗向けの有料機能についても、一部試験的に提供を開始しているそうで、状況を見て正式に展開していく計画だ。
アプリも刷新、ユーザーの好みを検索に反映
実は取材のたびに何度もスマートフォンアプリのユーザー数を聞いてきたのだけれども、Rettyは一度もその数字を開示していない( Google Playで確認しても「インストール数1万~5万件」とのことなので、700万というユーザー数全体から考えれば決して大きい数字ではないと思う。ちなみにぐるなび、食べログはともに「100万〜500万件」)。そんなスマートフォンアプリにもテコ入れを実施している。
iOS版はアプリをフルリニューアル。UIを一新したほか、検索ロジックについては、ソーシャルグラフやユーザーの嗜好(しこう)性を重視するように大きく変更した。Android版アプリでも検索機能が新しくなった。
例えば食べログなどで「渋谷 カレー」と検索した場合、どのユーザーであっても同じ点数順のランキングが表示されるが、新アプリでは、ユーザーがRetty上でフォローしているユーザーやブックマークしているレストランの傾向によって、独自の検索結果を表示するのだという。
「ランキング形式での表示は分かりやすいが、『高級な店』を求めている人もいれば『コストパフォーマンスのいい店』を求めている人もいる。アプリでは多様性を打ち出して、ユーザーごとに好みに合う結果を提供する」(武田氏)