いまどき、オンラインのWebサイトビルダーは足りすぎているが、その多くは専門職の人たちや小企業のオーナーが、外部の開発企業に頼まずに自分で自分のWebページを手早く作るための、使いやすいツール集だ。しかしここでご紹介するPadletは、方向性が違う。そのシンプルでコラボレーション的なWebサイト作成プラットホームは、さまざまな目的に使える。友だちだけと共有するプライベートなサイトでもよいし、クラスの子どもたち全員など特定のグループが利用するサイトでも、あるいはPowerPointの代わりに使って単純に情報を共有するためのWebページ集でもよい。
この、Y Combinatorから孵化したスタートアップが、このほどまた新たに120万ドルの資金を獲得して事業を拡大しようとしている。
Padletは数年前に、Wallwisherという名前でスタートした。それは複数のユーザが空のキャンバスの上でコンテンツを共有する、柔軟性に富んだツールで、Web上のスクラップボード(画鋲で切り抜きを貼り付けていく板)のようなものだ。しかしY Combinatorに参加してからは、人びとがWebページの上に何かを置くだけのサービスから、もっと飛躍したい、と考えるようになった。PadletのファウンダNitesh Goelはそう説明する。
“今ではPadletは、教室でコラボレーション的に使われている。みんなでわいわい言いながら、そのクラスのWebサイトを作るんだ。履歴書の作成にも利用されている”、とGoelはいろんな用例を挙げた。“教会がPadletを使って、“今日の祈り”を掲示しているところもある。Padletで事件を管理している警察署もある”。
Padletのユーザは、ほかの人から評価を聞いたり、招かれてコラボレーションに参加してユーザになった人が多い。ユーザの約40%は、サイトを見るだけでなく、自分でもコンテンツをポストしているアクティブなユーザだ。
今、月間のユニークアクセスは300万近くあり、とくに多いのが教室での利用だ。
それは、もっぱら教師だけが使って授業の計画や宿題を作る、という使い方と、クラスの活動としてWebサイトを共同で作る使い方の両方がある。
Padletそのものは、とても使いやすい。Webサイトははじめ、空のキャンバスとしてロードされる。そしてそこに、テキストや写真やビデオ、記事、リンクなどを載せていく。学校や企業向けの有料バージョンには、ユーザ管理やアクセス制御、大きなファイルのアップロード、ブランドやテーマの作成、強力なセキュリティとプライバシー、などの機能がある。近く、アナリティクス(アクセス分析)やGoogle Appsの統合、コンテンツのフィルタリング、リポートの作成などが加わる。
この有料バージョンは、企業が使うときは社員一人につき年額5ドル、学校なら一人の教師が年額45ドルで利用でき、児童生徒数の制限はない。月額で払いたい場合は、月額5ドルだ。
今回の投資ラウンドを仕切ったのはCherubic VC、これにBessemerのパートナーJeff EpsteinやFlexportのCEO Ryan Petersen、同CTO Amos Elliston、Dave Lerner、 Paul Sethi、Maiden Laneなどなどが参加した。同社が過去に得た資金は、エンジェルたちとY Combinatorからの45万ドルだった。
サンフランシスコにオフィスを構えるPadletは、今チームが4名。新たな資金により、デベロッパとデザイナー、そしてコンテンツとコミュニティ担当の‘部長格’を雇用したい、という。