グーグル子会社スマートシティ開発のSidewalk Labsがトロント事業から撤退

Sidewalk Labs(サイドウォーク・ラボ)はトロントのプロジェクトから撤退する。同社が米国時間5月7日、短い声明文で発表した。

「2年半にわたり、キーサイド地区開発の実現に情熱を注いできた。実際、我々はウォーターフロントにスタッフ30人を擁するオフィスを置くなど、時間や人材、リソースをトロントに投資してきた」とSidewalk Labsの最高責任者であるDan Doctoroff(ダン・ドクトロフ)氏はブログに書いた。「しかし前例のない経済不透明性が世界やトロントの不動産マーケットを覆っていて、真に包括的で持続可能なコミュニティを構築するためにWaterfront Torontoとともにこれまで練り上げてきた計画の根幹部分を損なうことなく12エーカー(約4万8500平方m)のプロジェクトを財政的に存立させることが極めて困難になった」。

Sidewalk Toronto(サイドウォーク・トロント)には多くの新テクノロジーをテストする場としての役割があった。未来の都市をいかに構築(または再構築)するか、その中心にデータ収集を据えたやり方で都市インフラを作り直すためのものだ。初めからプロジェクトは全監視システム問題の壁にぶつかった。この問題は、Sidewalk Labsが親会社のGoogleとデータを共有するという事実によりいっそう大きなものになった。

トロントのプロジェクトを棚上げするという決断はSidewalkにとってかなりの逆風となる。しかし新型コロナウイルス(COVID-19)による世界経済の後退を考えた時に予想されるべきことではあった。

「このプロジェクトの継続は止めたが、現在の衛生的な危機で将来のために都市を再設計することの重要性を認識した」とドクトロフ氏は声明文に書いている。「我々が過去2年半築いてきたアイデアは都市が抱える大きな問題、特にアフォーダビリティと持続可能性における取り組みに大きく貢献すると確信している。これは必要不可欠な社会的努力であり、Sidewalk Labsはそこに貢献するために取り組みを続ける」。

Sidewalk Labsはこれまで援助してきた、あるいはスピンアウトした内部イニシアチブのサポートを続けるとドクトロフ氏は述べている。ここには、次世代都市プラニングツールのReplica、 Sidewalk Infrastructure Partners、インフラ投資ファンド、都市コミュニティでのヘルスケアサービスを再設計する試みCityblockなどが含まれる。

Sidewalkはまた、これまで支援してきたロボティック家具のOri Systems、リサイクル企業のAMP Robotics、電気のモニター、管理ツールであるVoltServerのサポートも続ける。

Sidewalkはこれまでに、高層ビル向けの新たな建設材料や都市開発のためのデザインツール面で画期的な成果を出してきた。

「キーサイド地区のプロジェクトは我々にとって重要なものだった。今回の決断は難しかった。このプロジェクトに関わった多くのトロントの人々、そしてコミュニティグループや市民リーダー、地元の住人から受けたサポートに感謝している」とドクトロフ氏は書いた。「Sidewalk Labsはトロントの多様性、成長、チャンスに惹かれ、その思いはステップを経るごとに確たるものになった。トロントは、テクノロジーにおけるイノベーションで世界の中心となっている都市の1つであり、今回の決断はその事実を打ち消すものではない」。

画像クレジット:Sidewalk Labs

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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