YouTubeのチャンネル登録数を見ると、実は「ゲーム」カテゴリの登録が7924万人と、音楽(8578万人)に次いで多いことに気付く。
その動画の中には、PCゲームから家庭用ゲーム機、モバイルゲームの攻略動画から解説動画まであるのだが、1つのジャンルとして、モバイルゲームのプレイ動画がアップされているのに気付く。そのモバイルゲームのプレイ動画を録画し、共有するという仕組みを提供するのが、Y Combinator出身の米Kamcordの「Kamcord」だ。
同社は、モバイルゲーム向けのSDKをゲーム開発者に提供している。このSDKを組み込んだゲームでは、ゲームのプレイ中にバックグラウンドで動画を録画。ゲーム終了後などにその内容を即座にKamcordのプラットフォームやソーシャルメディアに投稿できるようになっている。導入デベロッパーは160以上、導入ゲームは200以上、Kamcordを通じてネット上に投稿された動画数は、合計20億件に上るという。国内でも、バンダイナムコゲームズやコロプラをはじめとしたデベロッパーがすでに導入している。投稿された動画が視聴、共有されることは、新規ユーザーの獲得やリテンション(利用継続)といった観点で強力なツールとなる。
そんなKamcordが米国時間5月1日に、TransLink Capitalなどから合計710万ドルに上る資金調達を実施したことを明らかにした。その中には国内のディー・エヌ・エーとKLab Venturesも含まれている。両者の出資額は非公開。
まだ具体的な取り組みは明らかにされていないが、DeNA、KLabの両社は今後、Kamcordの日本およびアジア進出をサポートしていくようだ。すでに両社で提供するモバイルゲームの一部にはSDKの導入が開始されているそうで、今後は検証のほか、国内デベロッパーへの導入を進めていくという。
実はKamcordの競合サービスである「Everyplay」を提供するフィンランドのApplifierが3月、Unity Technologiesに買収されたばかり。今後開発環境にUnityを選択した場合はEveryplayがバンドルされることになるが、KLab Venturesの楠田雄己氏は「KamcordがEveryplayの2倍のリテンションを記録した事例もある。バンドルされているから使うのではなく、クオリティが重要」としている。なおKamcordの収益化だが、当面は検討していないとのこと。「まずはデベロッパーに導入されないことには始まらない」(楠田氏)