スマホ事業不振のHuaweiはIoTに活路を見出そうとしている

米国・中国間の貿易摩擦に苦しんでいるHuawei(ファーウェイ)は、中国内外の多くのハードウェアメーカーに対抗することになる、他のスマートデバイスでの機会模索を余儀なくされている。

中国テック大手Huaweiの2020年の売上成長は緩やかなものとなり、わずか3.8%増の8914億元(約15兆435億円)で、純利益は3.2%増の646億元(約1兆895億円)だった。こうした決算内容はHuaweiの予測と一致した、と同社は現地時間3月31日に深圳で開いた年次報告会で述べた。報告会は上場していない企業の内情を垣間見る稀な機会だ。

決算の数字を比較すると、Huaweiの売上高は2019年に19%、2018年に19.5%成長していた。

2020年の減速は主に、米国が核となるチップセットの同社への輸出と消費者にとって重要なGoogleサービスの提供を禁止したのち、中国外でのスマートフォン売上高がスランプに陥ったことだ。しかしこうした困難な状況は、同社が事業を多様化し、スマホ事業の損失を相殺するペースを加速させてきた。

過去2年間、HuaweiはAR / VRヘッドセット、タブレット、ラップトップ、テレビ、スマートウォッチ、スピーカー、ヘッドフォン、車載システムなど多数のスマートデバイスでの取り組みを増やしてきた。

世界中でスマート車両がブームとなっているなか、特に同社の車産業への進出はかなり脚光を浴びた。ロイターはこのほど、Huaweiが独自ブランドの車を生産すると報じている。この件について同社は否定している。今日の年次報告会で同社の輪番会長Ken Hu(ケン・フー)氏は、Huaweiが独自の強みを発揮し、車載オペレーティングシステムやスマートコックピットなど特定の構成要素やサービスを供給するだけだと繰り返した。

Huaweiのコネクテッドプロダクトの基盤はXiaomi(シャオミ)のスマホとOSを中心としたIoT戦略を彷彿とさせる。両社の違いは、Huaweiは通信インフラのサプライヤーでもあるということだ。

英国などいくつかの国で、5G推進計画からHuaweiを除外する動きがあるにもかかわらず、Huaweiの通信部門の2020年売上高は前年と同程度だった。新型コロナウイルスパンデミックが通信事業にとってプラスに作用し、人々が家から働いたり教育を受けたりしたのにともない、ネットワークソリューションに対する世界の需要が高まった、とフー氏は述べた。

関連記事:英国がファーウェイの5G機器設置禁止を2021年9月発効に前倒しへ

HuaweiのIoT推進では初期の牽引力を示したが、競争は激しい。スマートウォッチが2020年の売上高に主に貢献したもの1つだった、と同社は話した。

グローバルではApple(アップル)がウェアラブル部門のトップで、調査会社IDCによると、Appleの2020年のマーケットシェアは34.1%だった。Huaweiはシェア9.8%で3位につけているが、国内のライバルXiaomiのシェアは11.4%と後塵を拝している。

全体的にHuaweiは2020年に成長を維持するために国内マーケットに大きく依存していた。国別では総売上高の65.5%を中国が占め、前年比15.4%増だった。一方、欧州、中東、アフリカの売上高は12.2%減、中国以外のアジアは8.7%減、北米・南米は24.5%減だった。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Huawei中国決算発表

画像クレジット:Ken Hu, Huawei’s rotating chairman

原文へ

(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。