携帯電話サイズのタブレット、別名ファブレット(phablet)は、アジア生まれだから、今この地域で、ガラスとプラスチック製のもっと大きな板で電話をするトレンドが興りつつあるのも、自然な成り行きかもしれない。今度のはファブレットよりもさらに大きくて、“今パッドフォーン(pad phone)で電話してるの”、と言うらしい。
アナリスト企業のIDCによると、画面サイズ7インチ以上のタブレットで携帯電話の機能のある製品が、日本を除くアジア太平洋(APeJ)地域で伸びており、タブレットの総売上台数に占める比率は、今年のQ1の15%からQ2(4〜6月)では25%に増大した。
すなわち同社の報告書Worldwide Quarterly Tablet Trackerによると、2014Q2にAPeJ地域で売れたタブレットの総台数1380万台のうち、350万台に、セルネットワーク上の音声通話の機能があった。
350万台すべての上で携帯電話機能が使われているとはかぎらないが、電話もできるタブレットの需要が増え、メーカーもその需要に応じた生産をしていることは事実だ。
IDCによると、電話のできるタブレットの本年Q2における売上は、前年同期比で60%以上増加している。そのすべてが、Android機だ。
携帯電話としても使えるタブレットは、数年前のSamsung Tabが初めてだが、その急激な伸びは今年に入ってからだ。つまり、タブレットで電話をするというトレンドは、今年始まった。
成長がとくに著しいのは、インドやインドネシアなどの途上国市場だ。IDCの報告書によると、これらの市場ではタブレットの総売上台数の50%近くが、携帯電話機能つきの製品だ。
タブレットの携帯化を盛り上げている要因は、なんだろう? IDCの分析では、途上国市場の消費者は一台でなんでもできるモバイル製品を求めている。映画やテレビ番組を見られる、写真を撮れる、メッセージングや音声電話ができる、…そのためなら画面が7インチと大きくてもかまわない。しかもこれらの市場では、高級機ではなく一般大衆向けのAndroidタブレットがとても安いのだ。IDCのアナリストAvinash K. Sundaramは、そう分析している。Androidタブレットが、本来の携帯電話〜スマートフォンの売上の一部を食っているのだ。
Sundaramによると、Androidタブレットを、それ一台だけの総合機として使用する途上国市場のトレンドは、製品の低価格がそれを引っ張る形で、今後さらに勢いを増す。
だからAsusが2011年にタブレットと携帯のハイブリッド機Padfoneを出したのも、そのときすでに同社が何かに感づいていたからだ。しかしそのときの同社は、低価格という重要な要因に気づいていなかった。画面が大きくてなんでもできるデバイスが、安くて、しかも電話もできるのなら、電話機能が主体の、あのちっちゃな機械は要らないのだ。
[Image by Cheon Fong Liew via Flickr]
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))