米国時間11月21日、Tesla(テスラ)のCEOを務めるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、注目の電動ピックアップ「Cybertruck」を米国ロサンゼルスで発表した。その人目を引くユニークなデザインで新型車は多くの注目を集めた。またその姿はトラックというより宇宙探査用のローバー(惑星探査機)を思わせる。そしてこの場合そのアナロジーがとりわけ的を射ている。なぜならこのCybertruckは、マスク氏が所有する別会社のSpaceXが、来るべき宇宙船Starshipの外壁に使用するのと同じステンレス鋼を身にまとっているからだ。
「この車は、文字どおりの防弾で9 mmの弾丸にも耐えられる」とマスク氏はお披露目の壇上で語った。「このボディはそれほど強力で硬く、我々が開発した冷間圧延ステンレス鋼で作られている。同じ合金を宇宙船のStarshipとこのCybertruckで使っている」。
以前マスク氏は、フルサイズの宇宙船「Starship Mk1」のプロトタイプを発表したイベントで、外壁にはステンレス鋼を使用し、その半分を大気圏再突入の高熱に耐えるためにガラスでさらに覆うつもりであることを明かした(Starshipは地球着陸の前に大気圏に「腹打ち飛込み」のように突入する)。Starshipが乗って打ち上げられる予定のスーパーヘビーロケットは、外壁をすべてステンレス鋼で覆われている。材料選びの理由はコストと有効性の両面からであり、実際にステンレスは高熱に耐えロケットを守ることに関して高い効果を示している。
テスラとSpaceXで同じステンレス鋼を使うことでコスト削減効果が得られることは明らかであり、Cybertruckが大量生産されるとなればなおさらだ。賛否あるデザインから考えるとありそうにないが、もしテスラが先日発表した価格を維持できるのであれば、経済性を買われて売れる可能性はある。CybertruckがSpaceXの仕事に恩恵を与える可能性はほかにもある。マスク氏はイベント前にTwitterで、火星には陸上輸送も必要だと言っていた。
そう、マスク氏はツイートで「加圧型」のCybertruckは「公式火星トラック」になると言った。例によって、マスク氏のツイートでジョークと実際の計画とを正確に区別することは困難だが、私は本件に関しては文字どおりの意味だと思っている。少なくともこの段階では。
宇宙飛行士用のCybertruck火星探査機は、理屈の上でTeslaとSpaceXの両方に益をもたらす。技術開発と製造の効率が上がるだけでなく、ステンレス鋼の例が示すように、宇宙向けにデザインすることに大きな利益の一つが、出来上がったテクノロジーを地球にも応用できる場合が多いことだからだ。
[原文へ]
(翻訳:Nob Takahashi / facebook )